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東日本大震災を機に、企業が行った災害対策とは?

東日本大震災を機に、企業が行った災害対策とは?

2017年02月21日掲載(2023年11月08日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

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企業防災に関する連載コラムとして、これまで『通信手段の確保』『データの保全』『生命の安全確保』この3つを軸にご紹介してきました。最終回では、企業における災害対策の事例をご紹介します。加えて、中小企業が知っておきたい支援制度や地域貢献などについてもご紹介します。

目次

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【事例その1】衛星携帯電話が、災害時の確実な連携を実現!

災害時は、固定電話を含めて通話が規制されることがあります。企業においても従業員の安否確認がままならなかったり、支社や取引先、工場と連絡がつかず、被害状況の確認が遅れ、復旧に時間がかかり、損害が生じる事態に陥ることも否めません。

そこで功を奏するのが衛星携帯電話です。証券業を手掛けるA社の場合は、震災前から危機管理委員会を設置し、取締役の緊急連絡網などに活用するため16台の衛星携帯電話を導入していました

東日本大震災の際、改めて衛星携帯電話の重要性の高さがクローズアップされ、増強を決断。携帯電話などの通信はトラフィック増により、つながりにくくなります。衛星携帯電話なら、危機管理のキーポイントである迅速な初動を取ることができるという判断です。震災から3カ月後の2011年6月には約200台の端末を追加し、各拠点のみならず主要グループ会社にも導入を図りました。

お互いが衛星携帯電話であれば地上のネットワークに影響を受けずに通話できると同時に、端末が小型軽量で通常の携帯電話と同じように扱えるため、素早く簡単に利用できることをA社は高く評価しています。端末は各支店の総務課長席に配置しているとのことです。

また、某県の消防本部では、救急搬送時の救急隊員・救急救命士と病院・医師との通話手段として、衛星携帯電話を導入しています。実際に東日本大震災でも災害対策本部との通信は衛星携帯電話でおこなわれ、刻々と変わる状況にも密なコミュニケーションで情報の共有がされ、被災者の救助に重要な役割を果たしました。

【事例その2】メール送受信できない事態を経て、クラウドサービスを導入

照明装置などの製造メーカーB社は、自社工場内にサーバを設置していました。東日本大震災で直接的な被害は受けなかったものの、震災後に工場一帯が計画停電エリアとなり、工場の稼働のみならず、東京本社や名古屋の事業所でメールの送受信ができない事態が発生しました。

これを受けて、クラウドサービス「G Suite Business ※」を導入。低コストで運用できることに加え、サーバはクラウド型でパソコン以外にもスマートフォンやタブレットでも利用可能な為、有事にも強いという判断です。過去のメール履歴を端末に依存せずに確認できるよう、Gmailと「Google Drive」の活用も従業員に促しました。

同時に導入したのが、スマートフォン。出張の多い上司用です。これにより、クラウドサービスで資料保存やメールを利用し、さらにスマートフォンを持てば、インターネット経由で、場所を選ばず資料やメールにアクセスし作業が出来るので、出張中であってもスムーズかつ迅速に意思決定などの連携が取れるようになったといいます。

BCP対策はもとより、スマートフォンの導入による利便性の向上、さらに拠点間固定電話の通話料削減という3つのメリットが実現したB社でした。
※「G Suite」は「Google Workspace 」にリブランドされました。

いざという時に活用すべき、中小企業を対象とした支援・補償制度

企業防災を考えるうえで、中小企業を対象とした支援や補償の存在も知っておきたいところです。

国は、企業活動の停滞が社会全体に及ぼす影響を踏まえ、これまで企業に向けた支援や補償など、数々の対策を講じてきました。先の熊本地震でも、被災して資金繰りが厳しくなった中小企業が少しでも早く事業復旧できるよう、災害時に適用される低利の融資を受けられるなどの支援措置がとられました。

また、日本政策金融公庫(国民生活事業および中小企業事業)のBCP融資が拡充・強化されています。これは中小企業が自治体と連携し、自ら作成したBCP(事業継続計画)に基づいて地域防災に役立つ施設や設備などを整備する場合、必要となる土地の習得資金が融資の対象になると同時に、金利が優遇されるものです。

中小企業の中には、避難タワーの設置や食料、生活必需品の備蓄・供給施設の確保、自社ビルを避難場所に指定するといった地域貢献をしている地域密着型の企業も多くあります。これらを行う際に、BCP融資は有効的に活用することができます。

"備えあれば憂いなし"は、個人・法人を問わずに言えること。企業の場合は従業員やお客さま、ひいては会社そのものを守ることにつながります。事業の規模にかかわらず、さまざまな企業が着手をすすめているBCP(事業継続計画)の作成に、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

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