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入退室管理でさらに強化!オフィスセキュリティのステップ2

入退室管理でさらに強化!オフィスセキュリティのステップ2

2016年11月04日掲載(2023年11月08日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

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企業の『コンフィデンス(信⽤)』や『レピュテーション(評判)』を失墜しかねない、機密情報の漏えい。未然に防ぐには、どのような対策を行えばよいのでしょうか。

前回のレポートに引き続き、具体的な対応策をご紹介していきます。
オフィスのセキュリティ対策で難しいのは、ただ単に部外者の侵入をシャットアウトすればいいというわけではない点にあります。部外者が特定の場所に侵入することを制限するだけなら、厳重に施錠しておくことで目的は達成できます。しかし、社員が忙しく出たり入ったりを繰り返すオフィスを、厳重に施錠しておくというわけにはいきません。
そこで導入が進んでいるのが、入退室管理という方法です。人の出入りを管理するシステムのことを言い、部屋への入室を許可されている社員はスムーズに出入りできる一方、部外者が勝手に入室することを防いだり、入退室の記録を厳密に管理することでオフィスセキュリティを強化できるシステムです。

また昨今では、内部犯罪に対する警戒も重要とされていることから、特定の部屋や区画への出入りを曜日や時間帯で制限したり、社員ごとに認証レベルを細かく設定したりすることができるようになっています。

目次

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入退室管理の種類

入退室管理自体は、かなり以前から存在するオフィスのセキュリティ対策です。受付などで訪問者が入退室を記帳するのも、最も初歩的な入退室管理の方法です。現在では技術的な進歩に伴い、以下のようにさまざまな仕組みによる入退室管理の方法が考え出されています。

・テンキー方式
入退出口に設置されたテンキーに、あらかじめ設定してある暗証番号を入力して認証し解錠する方法です。
簡易で導入しやすい反面、暗証番号さえ分かっていれば誰でも入室可能で、個人ごとの入退室のログを記録することができないため、セキュリティレベルが低い方法です。また、暗証番号自体の共有が煩わしいため、大規模な運用には向いていません。

・非接触ICカード
非接触ICカードをリーダーにかざして認証・解錠する方法です。
規模を問わず多くのオフィスで幅広く導入されており、社員証などのカードに専用のICチップを埋め込み利用することができるのも特徴の一つです。個人ごとの入退室のログを記録することができ、偽装がされにくいため、テンキーに比べセキュリティレベルが高い方法です。
ただし、カードの紛失や盗難により誰でも入れてしまうなどの課題もあります。
そのため近年では、『機密情報漏えい防止』『ID・カードなどの管理、運用負担軽減』『なりすまし防止』などの観点から、バイオメトリクスを用いた高度なセキュリティを求めるケースが増えています。
バイオメトリクスとは、人の生体的な特徴や特性を用いて行う本人認証方式のことを言い、現在では以下の四つの方式が実用化されています。

【主なバイオメトリクスの種類とそのメリットとデメリット】

1.指紋認証
(メリット)
・製品が小型/安価である
・認証が速い
(デメリット)
・個人差や気候により認証しづらいことがある
・リーダー部に直接触れる必要があるため心理的抵抗感がある

2.静脈認証
(メリット)
・体内の生体情報のため、認証機器の汚れなどに左右されにくい
・偽造が非常に困難
(デメリット)
・認証に時間がかかる(操作、照合)
・個人差や気候により認証しづらいことがある

3.虹彩認証
虹彩の複雑な模様をデジタル変換し、数学的処理によって個人に固有な特徴を抽出して認証する技術です。
(メリット)
・認証器に触れる必要がない
・偽造が非常に困難
(デメリット)
・認証部分への立ち位置が難しく、認証に時間がかかる
・目の状態により認証できない場合がある

4.顔認証
(メリット)
・認証器に触れる必要がない
・認証が非常に速い
(デメリット)
・環境照度の影響を受けやすい
・認証技術が多様で、価格や精度にバラつきがある

バイオメトリクスによる本人認証は、パスワードや暗証番号など記憶に基づく認証にありがちな『忘れる』『他人に知られる』という問題や、カード所持にありがちな『紛失』『盗難』『貸し借り(なりすまし)』などの問題を回避することができます。その上、偽造することが非常に困難なため、高度なセキュリティレベルを求めている場合にも適しています。
バイオメトリクス認証は、空港における日本人の出入国審査に導入する方針を法務省が固めています。法務省は日本人の出入国審査に顔認証システムを導入することで、日本人の審査に必要な人員を減らし、その代わりに外国人の審査に対応する担当を増やし、全体の待ち時間の短縮を図りたい考えです。
また、人気アイドルグループのコンサートチケットがネットで高額転売されている問題の対策として、チケットに顔認証システムを導入することで、転売目的の購入を防ごうという動きも出ています。

入退室管理の導入費用

入退室管理を導入する場合、やはり気になるのは費用の問題です。
導入に必要となる費用は、ID認証リーダーの種類、ID認証リーダーの数量(入室のみ認証、入室・退室とも認証など)電気錠を設置する扉の形状、配線工事の距離や経路、保守費用の有無などの条件により異なってきます。
例えば、一つの部屋に対して入退室管理設備を導入する場合は以下の費用が必要となります。

機器費用
・ID認証リーダー
・電気錠
・管理PC
・管理ソフトウエア
・ICカード

設置工事など
・リーダー取付工事
・電気錠取付工事
・配線工事
・ソフトウエア設定費

保守費用(オプション)
・保証/サポートの有無
・ソフトウエア

無償アップデート ほか

まとめ

今まで入退室管理システムを使ったことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本人の大半は、知らず知らずのうちに入退室管理システムを使っています。どこで使っているかというと、それは駅の自動改札なのです。実は、駅の自動改札も一種の入退室管理と言えます。自動改札にICカードをタッチして中に入った時が入室で、電車を降りて再び自動改札にICカードをタッチして出た時が退室というわけです。

日々進化を続けているオフィスセキュリティは、こうしてさまざまな技術を取り入れながら、より安全なオフィス環境をつくり出しているのです。

次回予告

4回にわたって、オフィスのセキュリティ対策についてご紹介してきました。次回はいよいよ最終回、オフィスセキュリティ対策を導入した企業の事例をいくつか見ていきたいと思います。

【事例から学ぶ】自社のオフィスセキュリティ対策を見直そう!

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