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VPNのメリット・デメリットとは?仕組みや種類ごとの特徴を解説

VPNのメリット・デメリットとは?仕組みや種類ごとの特徴を解説

2024年09月30日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
VPNのメリット・デメリットとは?仕組みや種類ごとの特徴を解説

VPN(バーチャルプライベートネットワーク)とは、インターネット上に仮想の専用線を作り、安全な通信を実現する技術です。近年、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが増加する中で、VPNはその重要性を増しており、企業や個人の間で広く利用されています。

VPNを利用することで、公共のWi-Fiを使用しても通信内容が暗号化され、第三者による不正アクセスを防ぐことができます。また、拠点間のデータ通信コストを抑える手段としても有効です。

当記事では、VPNの基本的な仕組みや利用シーン、導入によるメリット・デメリットについて詳しく解説し、さらにVPNの種類とその特徴についても紹介します。

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1. VPN(バーチャルプライベートネットワーク)とは?

VPN(バーチャルプライベートネットワーク)とは?

VPNとは、Virtual Private Networkの略称で、日本語では「仮想専用通信網」と訳されます。VPNは、情報の送信側と受信側が専用機器やソフトウェアを使用して「トンネリング」や「カプセル化」という処理を行うことで、Web上に仮想の専用線を作る技術のことです。VPNを用いてインターネットに接続することを「VPN接続」と呼びます。

情報セキュリティ対策を施さずにWeb上でデータ通信をする場合、悪意のある第三者により通信内容を盗まれるリスクがあります。しかし、VPNを使って特定の人だけが利用できる専用回線を構築することで、情報漏洩のリスクを抑えて、安全にデータ通信を行うことが可能です。

1-1. VPNの活用シーン

VPNは、主に以下のようなシーンで活用されています。

  • 複数の拠点間でデータ通信を行う
  • 無料Wi-Fiを使わずに、社外のノートパソコンから社内ネットワークにアクセスする
  • 災害やサイバー攻撃に遭った際、社外から社内ネットワークに安全にアクセスし、すみやかに復旧作業や対応を行えるようにする
  • 海外などインターネット環境が不十分な場所にある拠点とデータ通信を行う
  • 取引先の会社と特別な通信を行う

特にコロナ禍でリモートワークが普及した際、自宅や出先で勤務する従業員が安全に社内システムにアクセスする手段として、VPNに注目が集まりました。また、大災害やサイバー攻撃などの緊急時に備えて企業が事業継続の方法・手段などを取り決めておく計画(BCP)の一環として、VPN を導入する事例もあります。

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2. VPN導入によるメリット

VPN導入によるメリット

VPNを導入することで、データ通信を行う際にさまざまなメリットを享受できます。以下では、データ通信にVPNを用いるメリットをさらに詳しく見ていきましょう。

2-1. 通信セキュリティを強化できる

VPNを導入すれば、通信時のセキュリティを強化できます。

フリーWi-Fiなど公共のネットワークで通信を行うと、企業の社内データや個人情報といった重要な情報が第三者に漏洩するリスクがあります。

一方VPNは、トンネリング・カプセル化・暗号化など複数のセキュリティ技術を利用し、ネットワークの安全性を高めていることが特徴です。VPNを使えば、社外からでも安全にデータ通信を行いやすくなります。

ただし、VPNのシステムや機器に脆弱性がある場合、サイバー攻撃の標的となるリスクがあるため、導入後は定期的にアップデートや保守を行いましょう。

2-2. 拠点間通信のコストを抑えられる

VPNを使えば、拠点間で通信を行う際のコストを抑えられます。

拠点間でセキュリティに配慮して通信を行う場合、VPNのほかに専用線を設置する方法があります。

専用線とは、拠点間を物理的な通信回線を利用して接続することで、安全性の高いデータ通信を行う仕組みのことです。通信の安定性とセキュリティが非常に高いため、行政機関・金融機関の通信システムや、安全性に細心の注意を払う必要があるネットワークなどによく用いられます。回線が途切れていなければ災害時に通信を行えることもメリットです。
ただし、専用線の設置や維持には高額な費用がかかり、設置に時間を要します。

一方VPNは物理的な回線を使わないため、専用線と比べて設置や維持にかかるコストを大幅に削減可能です。コストを抑えてセキュリティの高い通信技術を導入したい場合は、VPNが有力な候補となるでしょう。

2-3. リモートワークにおける情報漏洩リスクを低減できる

VPNを導入すれば、情報漏洩リスクを抑えつつリモートワークを推進できることもメリットです。先述した専用線は、通信に物理的な回線が必要で外部からのアクセスができないため、従業員が自宅で行うリモートワークには適していません。

一方、仮想専用線を用いるVPNなら、多数の拠点からネットワークにアクセスでき、拠点間の距離に制限がないため、リモートワークに適しています。VPNルーターやソフトウェアの設定を行えば、パソコン(PC)だけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末でも通信ができます。海外の拠点や出張先のホテルでも安全かつスムーズな通信ができるため、企業の海外進出にも役立つでしょう。

2-4. 専門的な知識や技術がなくても導入できる

VPNは、専門的な知識や技術がなくても導入が可能です。先述の専用線は設置や維持に専門知識や技術が求められるため、社内に適した人材がいない場合、新たにエンジニアを雇うか外部に委託する必要があります。

一方、VPNを導入する際は、設置や維持、保守管理などの作業を事業者に一任できるため、専用線を設置する場合と比べて、人的リソースや人件費を大幅に削減できます。導入に大掛かりな工事が不要なため、短期間の試験的導入も可能です。

通信のセキュリティを高めたいが社内に知識を持ったスタッフがいない場合は、専用線よりもVPNの導入を検討するとよいでしょう。

2-5. アクセス規制があるエリアでもインターネットを利用できる

VPNを使うことで、アクセス規制があるエリアに滞在している間も、自由にインターネット接続ができます。海外の一部の国では、国内のネットワーク経由で接続できるSNSやWebサイトに制限を設けており、見たいSNSやサイトに接続できないケースがあります。

しかしVPNを活用すれば、アクセス制限を回避し、自由にインターネット通信を使用可能です。ただし、ロシア・イラク・中国など、VPN自体の使用を違法と判断したり厳しく制限したりしている国もあるため注意しましょう。

3. VPN導入によるデメリット

VPN導入によるデメリット

VPNには多くのメリットがある一方、注意すべきデメリットもいくつか存在します。導入後のトラブルを避けるため、設置前にデメリットもきちんと理解しておくことが大切です。以下の見出しでは、VPNを導入するデメリットを詳しく紹介します。

3-1. 情報漏洩のリスクがゼロではない

VPNはセキュリティの高い情報通信技術ですが、情報漏洩のリスクがゼロになるわけではありません。インターネット回線を利用する以上、セキュリティリスクを完全になくすことは困難です。さらに、ソフトウェアやシステムのアップデート・保守を怠った場合や、機器などに脆弱性がある場合は、サイバー攻撃により情報が漏洩するリスクが高まります。

また、自社や拠点の設備・設定に問題がなくても、接続先に問題があった場合、気づかずに情報漏洩のリスクにさらされることも珍しくありません。VPNを導入した後も、絶対的な安全性を保障するものではないため、その他のセキュリティ対策もあわせて実施しましょう。

3-2. 通信速度が遅くなる場合がある

VPNにはさまざまな種類があり、特にインターネットVPNを使用する場合、通信速度が遅くなることがあります。公衆の回線を利用するVPNは、アクセスが集中する時間帯などに通信速度が低下しやすいためです。また、トンネリング処理・暗号化・認証などのセキュリティ対策や、VPNサーバーの性能の問題により通信に時間がかかるケースもあるため注意してください。

通信速度の低下を防ぐには、できるだけ通信速度の速いインターネットを契約したり、IP‐VPNなどのギャランティー型VPNを利用したりして対策しましょう。

3-3. VPNサービスによってはコストがかかる

契約するVPNサービスの種類によっては、導入や運用コストが高額となる可能性があります。

VPNには多数のサービスがあり、性能により料金は異なります。一般的に、料金の高いVPNサービスほど機能性も高い傾向がありますが、多機能かつ高額なVPNを契約しても、活用できなければ意味がありません。そのため、VPNを選択するときは予算を踏まえて、自社の求める機能が必要十分に備わったサービスを選ぶことが大切です。

無料で利用できるVPNサービスも存在しますが、法人での利用はお勧めしません。無料VPNは通信速度が遅く、セキュリティ対策が不十分なことが多いため、ビジネス用途には不向きです。また、サーバーが限られ混雑しやすいことから、接続の信頼性も低くなります。企業利用には、信頼できる有料のVPNサービスを検討することを推奨します。

4. VPNの仕組みを実現する4つの技術

VPNの仕組みを支える技術としては、「トンネリング」「カプセル化」「認証」「暗号化」の4つが代表的です。以下の見出しでは、VPNの仕組みへの理解を深めるために、上記4つの技術についてさらに詳しく見ていきましょう。

4-1. トンネリング

「トンネルを開通させる」という意味のトンネリングは、VPNを仮想専用線として成立させるために欠かせない技術です。この場合のトンネルは、Web上に構築された仮想の専用線のことをさします。

通常インターネットは、不特定多数がアクセスできる公衆の回線を利用して行われます。VPNの場合、拠点間をつなぐ通信経路を仮想のトンネルで隔離し、その内部でデータのやり取りを行うため、外部のユーザーに情報を見られるリスクを軽減できます。

4-2. カプセル化

カプセル化は、トンネルを通ってやり取りされるデータを、付加データでカプセルのように覆い、暗号化して保護する技術です。VPN接続のトンネル内部では、パケットと呼ばれる分割されたデータが送受信されています。外部ユーザーから隔離されたトンネルの中の情報を、さらにカプセルで覆うことで、セキュリティが強化される仕組みです。

カプセル化された情報は、受信者のもとに届いてデータが解除されるまで中身を見ることができません。そのため、万が一第三者がトンネル内に侵入しても、情報漏洩を防ぎやすくなります。

4-3. 認証

認証は、トンネル内部への不正アクセスを防止するために、トンネルを使う権利を持っていることを利用者に証明させる技術です。トンネリングやカプセル化でデータを保護しても、IDやパスワードを不正入手した第三者が利用者になりすませば、簡単に情報を盗まれてしまいます。

そのためVPN接続では、認証システムを導入し、トンネルを利用する送信者と受信者が正しい利用者であることを確認しています。この認証システムには通常の認証システムに加えて、SMSやアプリケーションなどと連携した二段階認証が組み込まれる場合もあります。これにより、セキュリティが一層強化され、不正アクセスのリスクがさらに低減します。

また、VPNでは認証にシングルサインオン(SSO)という技術が用いられることもあります。シングルサインオンは、同一のIDとパスワードを複数のサービスやシステムで統合的に利用できる技術です。

シングルサインオンを導入することで、ユーザーは複数のパスワードを使い分ける必要がなくなり、パスワード管理の負担を軽減できます。さらに、複雑なパスワードを手帳にメモしたり、同じパスワードを使い回したりするリスクを減少させる効果もあります。これにより、セキュリティが向上し、ユーザー体験も改善されます。

4-4. 暗号化

暗号化は、VPNのトンネル内で送受信されるデータをさらに強固に守るために施される技術です。VPN通信において、データはトンネリング・カプセル化・認証など複数のセキュリティ対策により守られていますが、情報漏洩のリスクを完全に失くすことはできません。そのため、さらにデータの暗号化を行い、たとえ第三者に情報を盗まれたとしても容易に解読できないよう対策を講じています。

VPNにおける暗号化の種類は主に2つあります。1つ目は、ブラウザのSSL(ブラウザとサーバー間の通信を暗号化して送受信する仕組み)を用いるSSL-VPNです。SSL-VPNは、比較的コストを抑え、容易に導入できることがメリットです。2つ目は、専用ソフトを用いて全通信を暗号化するIPsec-VPNです。IPsec-VPNは、安全性が高く、複数拠点間の通信によく利用されます。

5. VPNの種類ごとの特徴

VPNには「インターネットVPN」「エントリーVPN」「IP-VPN」「広域イーサネット」の4種類があり、それぞれ特徴や性質が異なります。以下に各VPNの種類ごとの特徴を詳しく解説しますので、導入時の参考にしてください。

5-1. インターネットVPN

インターネットVPNは、インターネット上に仮想ネットワークを構築する接続方式です。公衆のインターネット回線を使用するため、導入のハードルが低めで、コストも抑えやすいというメリットがあります。導入時は、通信事業者から必要な機器をレンタルするか、知識のあるスタッフがいれば自社でネットワークを構築することも可能です。

ただし、インターネットVPNは手軽に導入しやすい反面、通信品質やセキュリティ面でほかのVPNに劣る可能性があります。通信速度は回線の混雑状況により変化する場合があるため、導入を検討する際は慎重に判断する必要があります。

5-2. エントリーVPN

エントリーVPNは、ADSL(電話回線を利用したインターネット回線)や光ブロードバンド回線などの閉域IP網を利用してデータ通信を行う接続方式です。通信事業者が提供する閉域網を使用するため、インターネットVPNと比べて高いセキュリティを確保できます。

また、エントリーVPNは比較的低コストで設置できることも特徴です。特に3〜5拠点程度の中規模オフィスで、コストと安全性のバランスがよいVPNを導入したい場合に適しています。ただしエントリーVPNもインターネットVPNと同様に、回線の混雑状況によって通信速度が低下するリスクがあるため、導入を検討する際には十分な考慮が必要です。

5-3. IP-VPN

IP-VPNは、通信事業者が提供する閉域網を利用して通信を行う接続方式です。通信事業者が所有する仮想の専用線を使用するため、事業者または契約者だけがデータにアクセスできます。

IP-VPNは、セキュリティレベルが高く、通信品質も安定している点がメリットです。公衆の回線を使わないため、外部の混雑状況に左右されず、快適な通信を行えます。さらに、IP-VPNには、品質保証・遅延保証などの保証サービスが付帯するケースもあり、これにより、ビジネスにおける通信の信頼性が一層向上します。

ただし、その分利用料金が高額になりやすい点には注意が必要です。コストよりも通信の安全性や快適性を重視する場合は、IP-VPNの導入を検討するとよいでしょう。

5-4. 広域イーサネット

広域イーサネット(イーサネットVPN)も、通信事業者が提供する閉域網を利用して通信を行う接続方式です。先述したIP-VPNと仕組みが似ていますが、広域イーサネットはより多彩なプロトコルに対応できます。

プロトコルとは、データ通信を行うために定められた手順や規約のことです。IP-VPNはIP(インターネットプロトコル)のみに対応している一方、広域イーサネットはさまざまなVPNプロトコルを設定できます。IP-VPNと同じくセキュリティや通信品質に優れている上、プロトコルの制限なしで通信環境を自由にカスタマイズできる点が魅力です。

ただし、広域イーサネットの設置にかかる料金は、4つのVPNの中でも最も高額です。また、設定や保守運用にも手間やコストがかかるため、予算に余裕があり、かつ拠点数が少なめの企業での導入に向いています。

まとめ

VPNは、現代のデジタル社会において、情報セキュリティを強化するための有力な手段です。VPNを導入することで、企業はリモートワーク環境でも安心して業務を進めることができ、データ通信のコストを抑えることが可能です。セキュリティ面では、トンネリングや暗号化、認証といった複数の技術を駆使することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に減らせます。

一方で、通信速度の低下や初期導入コストといったデメリットも存在しますが、これらは適切なVPNサービスの選定や運用によって軽減可能です。さらに、インターネットVPN、エントリーVPN、IP-VPN、広域イーサネットといった多様な種類のVPNが存在し、それぞれに異なる特徴と利点があります。

自社のニーズに合わせて最適なVPNを選び、安全で効率的な通信環境を構築することが重要です。

セキュアな通信環境の実現をご検討中の方は、ぜひお気軽にKDDI まとめてオフィスへご相談ください。

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