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学校交流会 ~授業のICT活用実践~|開催レポート

学校交流会 ~授業のICT活用実践~|開催レポート

2022年02月21日掲載(2023年11月01日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

1月16日、ICTを活用した授業紹介と交流会を開催し、全国の教職員のみなさまにご参加いただきました。
今回は、北鎌倉女子学園中学校・高等学校さまにご登壇いただき、授業や小テストでのICT活用方法やそのメリット、生徒の反応などをご紹介いただきましたので、その概要をまとめてお伝えします。

交流会は、北鎌倉女子学園中学校・高等学校さまに会場をお借りし、スクリーン・プロジェクターが内蔵された教室にて授業紹介をいただきました。机・椅子も移動しやすく、アクティブラーニングがすぐにできる仕掛けになっています。廊下には、撮影背景用のグリーンバックも設置されており、校内全体を通してICT教育ができる環境になっています。

学校プロフィール
北鎌倉女子学園中学校・高等学校 さま
神奈川県鎌倉市/私立/女子校/中高一貫教育/中学校104名・高等学校354名(2022年2月)
「のびやかな自立した女性を育む」を教育理念とし、専門教育に力を入れる音楽科でも定評がある。2019年~2022年のApple Distinguished Schoolに認定された。なお、認定校は日本に現在11校しかない。(2022年1月現在) 

目次

前半:ICTを活用した授業紹介

後半:交流会の様子

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前半:ICTを活用した授業紹介
ICT授業で生徒は「眠くなる暇がない」

はじめに、社会科 佐藤拓也先生より、ICT教育を実践してみて感じたことや、ICT活用のメリットを含めた授業での活用法をご紹介いただきました。

「着任時からコロナ感染拡大防止のために導入されたオンライン授業を担当していましたが、当初はタブレット操作に苦戦していました。しかし、便利な使い方を模索したり、使いこなせるようになりたいというモチベーションを持つなどしてICTスキルを向上させ、オンライン授業に還元していきました。社会科目は覚えることが多く、講義を聞く時間が長い場合もありますが、ICTを活用することで授業内で生徒がイキイキ活動していることを実感しています。」

佐藤先生は、ICT活用のメリットを以下のように挙げています。

  • クラス全員に活躍の機会があるので「眠くなる暇がない」
  • 丁寧な個別指導「個に応じた指導」を行いやすい
  • 生徒が授業中にいろんな場所で同時にアクティブラーニングできる

「ICTツールを用いて発表を同時進行することで複数人が発表でき、個々に発表の機会が与えられることが魅力と捉えています。授業内での発言も、これまでは限られた生徒しか発言できない場面もありましたが、『ロイロノート』の機能で複数の生徒の意見を同時にきくことができています。紙のワークシートは、生徒が失くす・捨ててしまうなど弊害もありましたが、ロイロノートならばデータとして生徒の思考の過程を残すことができ、有意義な振り返りにつながっています。
また、課題で動画作成を課した際、動画編集方法を情報科の授業で学び、社会科の時間で還元するなどして、生徒がカリキュラム全体を通じてICTのスキルを身に付けていることも実感しています。学校が一丸となり、それぞれの授業でICT活用していることで、生徒に『社会の知識を身に付けさせるだけでなく、役立つ能力を育てることができる』と思っています。」

授業内は考える時間、共有する時間

次に、国語科 福田孝先生より、ICT活用で実現できることを、以下の4つのポイントで紹介いただきました。

  • 「匿名性の担保」で生まれること
  • 選択肢問題解答のLive感
  • 「共に創る」授業
  • 「板書」がなくなることでできる板書??

「匿名性の担保」で生まれること

「『Mentimeter(メンチメーター)』を用いて匿名で生徒が発言できるメリットを活用し、『間違える』という恐怖心がなくなることで、発言をためらう生徒でも意思表明ができるようになりました。また、思いついたときに誰かの発言を待つことなく一斉表明ができることも魅力です。そうすることで、より多くの意見を共有でき、答えを深められるため、生徒に気付きが生まれやすい授業展開ができています。」

選択肢問題解答のLive感

「入試問題の対策、模擬試験の準備などでもMentimeterを活用しています。選択肢問題を全員で解答し、クラス全体の解答結果・習得状況に応じて解説、再度問題を解く、という方法を取り入れて授業を展開しています。生徒はLive感を体感しつつ、受験対策に取り組めています。」

「共に創る」授業

「授業終了前の3~5分で『本日の学び』の振り返りの時間をつくり、Googleフォームを使用して生徒各自でリフレクション(振り返り)を行っています。教員が重点項目としていたことと、生徒が大事だと思ったことにギャップがある場合は、次回の授業で改めて重要項目を確認するなどしています。リフレクションの結果から、生徒は『先生が答えてくれる→質問したい』と思えるようになり、『主体的学び』の姿勢が生まれています。この手法を取り入れることで、集団授業でも生徒個々に対応できる個別指導の良さを取り入れて授業展開が可能であると実感しています。」

「板書」がなくなることでできる板書??

「元々は、前もって板書して授業を開始するスタイルをとっていました。しかし、生徒が板書内容をノートにとるのにかかる時間も気がかりではありました。そこでICTツールを活用することで、膨大な板書が一度で可能になり、授業時間を最大効率化できています。授業内は考える時間、共有する時間であることを生徒とも認識を合わせており、板書する時間や生徒がノートをとることを待つ時間がなくなることがメリットです。」

「板書」がなくなることでできる板書の例(一部)

  • 「授業の目的」の確認
  • 時事問題(板書内容、関連記事の紹介)
  • 大学入試問題演習+解説(本文・解説・問い・解答解説を1スライドで提示) など

イノベーションを絶やさない

最後に、情報科・ICT担当の三室哲哉先生より、Apple Distinguished Schoolの認定校としての学校の取り組み状況や、実践しやすいワークをご紹介いただきました。

「2年前の校内リニューアル時にプロジェクトリーダーも担当し、ICTを活用する学びも総合的に考えながら設計することができました。そうした環境整備の元、特定の教員が特別なことをしているわけではなく、全員が少しずつICT活用をしています。このことが評価されてApple Distinguished School認定を受けたのではないか、と思っています。ICTツールの導入にあたっては、『文房具のようにタブレットを使いたい』という思いがありました。授業で使用するデバイス・アプリケーションは特定せず、用途や効果に合わせて、自由に選択しています。」

三室先生ご自身が、Appleのテクノロジーをうまく使うために勉強し、使われているアプリケーション「クラスルーム」を紹介いただきました。

「クラスルームは生徒をナビゲートできるのがメリットです。生徒が操作をしている途中でも、一旦講義を聴いてもらいたいタイミングがあれば、アプリケーションを一斉にロックし、生徒の顔を上げてもらうことができます。また、授業の展開に合わせて使うアプリケーションを、生徒のタブレットで一斉に開くことも可能です。また、生徒のタブレットの画面を、教員のタブレットで確認することができるため、小テストをオンラインで行う際、机間巡視のように閲覧できます。」

続いて、「スクールワーク」を使った小テストの実践方法もご紹介いただきました。

「前日の授業の定着をはかるため、朝に10分間テストを行っているのですが、その小テストとテクノロジーを組み合わせて行うことを推奨しました。以前は、紙で配付・回収・返却をしていましたが、『スクールワーク』を導入することで一気に校内の利活用が進みました。また、スクールワークは、ひとつのものを全員で共同編集する場合に向いているため、学級日誌を作成することに活用しています。『Numbers』『Pages』『Keynote』との連携もしやすく、アップロード・ダウンロードが都度必要ないため、活用の幅も広がります。」

最後に、Apple Distinguished Schoolの認定校としてのお考えや、取り組みもお話しいただきました。

「ICT担当として、イノベーションを絶やさないことが、一番大きいと思っています。推進リーダーになるICT担当、管理職、各学年主任、全員が一致団結することが必要だと思っています。冒頭にも申し上げたように、学校の教職員全員が少しずつICTを活用できているということが、評価されたのではないかと感じています。生徒たちもApple Distinguished School認定校という意識があるようです。先生方全員が『Apple Teacher』として認定されているため、自信にもつながっていると思っています。また、ICT担当としては、全国の先生方とつながることができ、人と人とのつながりが大きく広がったと実感しています。」

後半:交流会の様子
質疑応答・情報交換

授業紹介後、参加学校の教職員の皆さまに北鎌倉女子学園の4名の先生方も交え、質疑応答・情報交換をする交流会を実施いたしました。

交流会では主に、以下の課題について活発な情報交換がされていました。

  • 端末の利用状況やフィルタリングについて
  • 保護者様との連絡
  • 学校内でICTツール活用をさらに促進させるには など

校内での活用促進について、北鎌倉女子学園の三室先生からは、小さなことから始めることを提案されていました。例えば、職員室内でのメモでの伝達をICTツールに置き換えるなどの取り組みを挙げています。まずは、習慣になっている業務にうまくICTを紐づけて、後からプラスアルファになる方法を少しずつ付け加えていくことで、仕組みを構築していく例が好評でした。教員向けの研修では、楽しみながらも授業ですぐに取り入れられるコンテンツのレクチャーを行い、意外と簡単にできる、という雰囲気作りを重視しているとのことでした。

北鎌倉女子学園中学校・高等学校さまのご協力により、参加者のみなさまには校内見学を実施し、ICTを活用する学びも総合的に考えながら設計された設備を体感いただきました。校内見学も大変好評で、参加後アンケートにも「参加現地に足を運ぶに限ると再確認しました。校舎見学はとても重要な要素だと思います。」など、ご感想をいただきました。

参加校(順不同、敬称略):

学校法人城北学園(所在地:東京都板橋区)
学校法人福岡雙葉学園(所在地:福岡県福岡市)
静岡雙葉中学校・高等学校(所在地:静岡県静岡市)
目黒日本大学中学校・高等学校(所在地:東京都目黒区)
藤沢翔陵高等学校(所在地:神奈川県藤沢市)
順天中学校・高等学校(所在地:東京都北区)
柏木学園高等学校(所在地:神奈川県大和市)
大和商業高等専修学校(所在地:神奈川県大和市)

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