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iPadを自由に使ってチャレンジを|仙台白百合学園小学校

教育・ICT

iPadを自由に使ってチャレンジを|仙台白百合学園小学校

2022年03月29日

2021年4月、児童に1人1台のiPad(セルラーモデル)を導入した仙台白百合学園小学校。ICT環境の整備を中心となり進めた浅沼勉教諭は、学習支援アプリ「MetaMoJi ClassRoom」のマイスターに認定されています。今回は、iPad導入から間もなく1年を迎えるなか授業を見学させていただき、使い方などについてお聞きしました。


仙台白百合学園小学校 浅沼 勉 教諭(ICT支援部)

目次

児童の端末にiPadを選んだ理由

仙台白百合学園小学校が、児童1人1台のiPad導入を検討し始めたのは、コロナ禍で休校を余儀なくされた2020年4月でした。4月中旬からWebミーティングアプリ「Zoom」でオンライン授業を始め、児童とは家庭の端末でつながったものの、従来通りのプリントを使った授業には限界がありました。

浅沼教諭は「紙でやっていた教員は、郵送で手間も時間もかかり、家に届いていないというトラブルも正直ありました。コロナ禍で教員の意識も変わっていきました」と、当時を振り返ります。

児童が1人1台端末を持ち、黒板やプリントに代わる授業支援アプリを使えば、オンライン授業をスムーズに行うことができ、通常の授業でも導入済みの大型モニターを活用した授業が可能になるという考えから、導入に向けた検討が始まりました。

「端末は、手軽さとバッテリーの持ちを重視しました」と浅沼教諭。学校で人数分の充電ができないため1日使えるバッテリー性能と、低学年でも持ち運びやすいことを考慮した結果、セルラーモデルのiPadを選択しました。KDDI まとめてオフィスの修理交換プログラムと、最終的にiPadが児童の所有になる買取りプランも後押しとなったということです。

仙台白百合学園小学校 ICT端末・モニター導入の経緯

Before After
児童の端末 共用のWindowsタブレット24台を導入 2021年度 1人1台 iPadを導入
教員の端末 1人1台 Windowsパソコン
教室のモニター 各学年に1台 移動式モニター 2020年度 全教室に65型モニター設置
※1・2年生は電子黒板化

解答の過程まで可視化できるMetaMoJi ClassRoom

4年生を担任する浅沼教諭の国語の授業を見学させていただきました。この日は「言葉のタイムカプセルを残そう」という題材に対し、自分たちの係の仕事を振り返るという内容。児童は、MetaMoJi ClassRoomを使用し、浅沼教諭が配信したシンキングツールの表に記入していきます。ここでは、iPadに共有のキーボードをつなぎ文字を入力していました。

MetaMoJi ClassRoomを選んだ理由は、教員が主にWindowsのパソコンを使用しているため、iOSとWindowsの両方で同じように使えることと、児童が記入している状況がリアルタイムで見られることでした。

浅沼教諭は、iPadで児童が記入していく文字を確認しながら一言添え、よい内容に丸をつけるなど瞬時にリアクションし、取り組みに時間がかかっている児童には直接フォローに向かいます。児童が書く様子をリアルタイムで見られる機能について、浅沼教諭は「最終的な正解・不正解よりも、その過程が重要で、どのようにたどり着いたのか、どこでつまずいているのかを把握できることが大きいです」と話します。

各自が係の仕事について記入した後は、児童がiPadを持って移動し、記入した内容についてグループワークで互いに相談を開始。最後に、クラス全体に発表するという内容でした。40分間、常に変化のある授業が展開され、児童の集中力が途切れることなく進んでいる印象を受けました。

MetaMoJi ClassRoomの利点

  • 教材、プリントの配信や提出が簡単
  • 写真、動画、PDFなどさまざまなファイルが使える
  • 全員の回答が見られる
  • リアルタイムで記入する様子をモニタリングできる
  • シンキングツールをすぐに使うことができる

何度もやり直して確かめる ロボットを使ったプログラミング学習

総合的な学習の時間で行なわれたのは、ロボットを使ったプログラミング学習。ロボット掃除機ルンバで知られるiRobotが作ったプログラミングロボット「Root」と専用アプリを使い、実際に動かしながらプログラミングを学んでいきます。この専用アプリは、動作が割り当てられたブロックをつなげるだけでロボットが動くレベル1から、本格的なコードを使ったレベル3まで用意されていて、段階を踏んで学ぶことができます。

この日は、最初に、16マスに区切られた正方形の外周を1周するプログラムを考えることからスタート。児童は、ブロックをドラッグ・アンド・ドロップして動きを指定し、1周できるか試していきます。

浅沼教諭は、1周できたプログラムを全員で共有するため、児童のiPadを大型モニターにつなぎ、どのように考えて作ったかを発表してもらい、なるべく少ない指示で1周できるプログラムを検討させます。続いて、ロボットにペンを挿し、ペンを上下する指示を加えて大きな四角を描きました。

次は、難易度を上げ、好きな数字を書くプログラムを考えていきます。児童は、ロボットを動かすことを繰り返し、指示内容を修正しながら徐々に数字の形に近づけていきます。浅沼教諭は「プログラミングは、何度もやり直し確かめていくことが重要」と教えます。

最後に、数字が書けた児童のプログラミングを、ホワイトボード上で動かして確認しました。児童が、休み時間も友達とロボットを動かしている様子を見て、本当に楽しくプログラミングを学んでいるのだと実感しました。

デジタル化による変化と目指す学び

浅沼教諭にiPad導入後、よくなったことについて、お聞きしました。

児童に関することでは、MetaMoJi ClassRoomのモニタリング機能で全員の回答を見ることができることが大きいといいます。話すことが苦手な児童が発表する時に、他の児童が誘導してあげることで発表する力の向上につながることや、問題につまずいている児童が、他の児童の回答からつまずきの原因を解消するなど、児童同士の協働がうまく機能しています。

また、自宅や長期休暇中の活用も、導入前にはできなかったことが生まれています。児童が、鉄棒で逆上がりができた動画を保護者に見せるなど、これまでは見られなかった学校での子どもの様子が見られると保護者に好評だったことや、夏休みなどの長期休暇中にMetaMoJi ClassRoomを掲示板のように使うことで、宿題の提出方法などのちょっとした質問にも答えることができるようになりました。

さらに、浅沼教諭は教員にとってよかったことを「子どもたちと授業を作ることができるようになりました」と話します。授業にあった補助教材を準備しているものの、子どもたちの反応によっては変更した方がいい場面があり、紙のプリントでは急遽変更することができなかったことも、デジタルなら臨機応変に教材の変更が簡単にでき、最良の授業ができるようになっているということです。

そして、仙台白百合学園小学校では、2020年度から九州の小学校とオンラインで交流を始めるなど、ICTを使った新しい学びにも積極的に取り組んでいます。iPadを導入し目指す姿について、浅沼教諭は「最初のきっかけは授業で教えることにはなりますが、さらに児童が主体的にカスタマイズしていろいろなことに自由にチャレンジしていってほしいです。そして、発信する力を養い、学びを伸ばしてほしいです」と話してくれました。

<取材協力>
仙台白百合学園小学校
私立/女子校
仙台白百合学園は、1893年(明治26年)に前身である私立仙台女子学校として開校したカトリック系のミッションスクール。1961年に開校した小学校は「自分で考え、人と交わることを通してコミュニケーション能力を高める」ことを重視した教育を目指しています。また、国際社会で活躍できるグローバルマインドの素地を培うため英語教育に力を入れ、2016年度からは、算数を英語で学ぶCLIL(Content and Language Integrated Learning)コースをスタートしています。
宮城県仙台市泉区紫山1丁目2-1
https://el.sendaishirayuri.net/

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。