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法改正に基づく介護福祉士に認められる医療行為とは?医療行為と医療的ケアの違いも解説

法改正に基づく介護福祉士に認められる医療行為とは?医療行為と医療的ケアの違いも解説

2022年12月06日掲載(2023年11月01日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

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介護福祉士ができる医療行為は、法律で決められています。この記事では、介護・医療の現場における経営者および責任者の方に向け、介護福祉士にできる医療行為や医療的ケアを解説します。2011年に改正された「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等」の内容もあわせて紹介するので、参考にしてください。

目次

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医療行為と医療的ケアの違いとは

まず「医療行為」と「医療的ケア」の違いについて確認してみましょう。

医療行為(医行為)とは

医療行為は、原則として医師が行うものと決められています。看護師、または准看護師でも、すべての医療行為ができるわけではありません。介護福祉士を含む介護職も、医療職ではないため基本的に医療行為はできないとされています。

なお医療行為の内容については、原則として「侵襲性のあるもの」と定められてはいるものの、ある程度慣習的に決められている部分もあります。

医療的ケアとは

介護福祉士など医師免許や看護師免許を持たない人でも、医療的ケアなら認められています。医療的ケアは厳密にいえば医行為の一種ですが、ケアを必要とする人にとっては日常の生活補助の一部です。

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介護福祉士の医療行為に関する法改正のポイント

2011年に「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等」の法改正がなされました。この法改正のポイントは、特定行為である経管栄養と喀痰吸引の2つです。改正にあわせて、2012年から介護福祉士の資質や社会的地位の向上を目的とし、国家試験義務化の方針が固められました。ただし、これは延期され、現在2027年からの義務化予定となっています。

以下では、介護福祉士に任せられない医療行為と、介護福祉士が可能な医療行為・医療的ケアについて解説します。

参考1:介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律等の公布について(情報提供)〔医師法〕|厚生労働省

参考2:地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(令和2年法律第52号)の概要|厚生労働省

介護福祉士に任せられない医療行為

介護福祉士に任せられない医療行為は、以下のとおりです。

・摘便
・床ずれの処置
・インスリン注射
・血糖測定
・点滴の管理

介護福祉士ができることは、介護サービスの利用者に対するサポートのみです。サポートとは、医薬品使用の際の手助けのことで、たとえば器具の片付けや声かけなどが該当します。インスリン注射をするよう促したり、血糖測定器に試験紙をセットしたり、測定結果を本人と一緒に確認したりすることは介護福祉士でも可能です。

介護福祉士が可能な医療行為・医療的ケア

では、介護福祉士が対応できる医療行為や医療的ケアには何があるのでしょうか。

介護福祉士が対応可能な医療的ケア

介護福祉士が対応可能な医療的ケアは、以下のように法律で定められています。

・特定の安全な体温計を用いた体温測定
・自動血圧測定器を用いた血圧測定
・パルスオキシメーターを用いた酸素飽和度測定
・切り傷、擦り傷、やけどなどに対する、専門知識の必要ない処置

以下は、条件つきで介護福祉士に許可された医療的ケアに該当します。条件とは、いずれも患者に入院治療の必要がなく、容態が安定していることや、服薬に関する経過観察が必要ないなどです。

・床ずれの処置以外の皮膚への軟膏塗布
・皮膚への湿布の貼付
・目薬の点眼
・肛門からの出血の可能性がない場合、座薬の挿入
・誤嚥の可能性がない場合、服薬サポート

参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)|厚生労働省

状況に応じて介護福祉士が可能な医療行為

状況に応じて、介護福祉士に許可された医療行為もあります。条件を満たしていれば原則として、以下のような行為は行うことができます。

・爪やその周囲に疾患がなく、糖尿病に関する管理を必要としない場合の、爪切り・爪やすり
・重度の歯周病がない場合に限り、歯ブラシ、綿棒、巻き綿子などを用いた口腔ケア
・耳垢塞栓のケースを除き、耳垢の除去
・肌にパウチが接着していないもののみ、ストマ装具のパウチにたまった排泄物除去
・自己導尿補助を目的としたカテーテルの準備、体位補助など
・大きさ、成分、内容量等が特定の条件に合致する、市販の浣腸器を用いた浣腸

いずれのケースも、上に記載したとおり一定の条件にあてはまる必要があるため注意が必要です。

参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)|厚生労働省

研修必須の特定行為にあたる医療行為

2011年におこなわれた「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等」の法改正により、特定行為として「喀痰吸引等」に相当する介助内容が介護福祉士にも認められました。ここでいう「喀痰吸引等」とは、経管栄養と喀痰吸引の2種類を指します。以下では、経管栄養と喀痰吸引について、それぞれの内容を解説します。

参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)|厚生労働省

1.経管栄養とは

経管栄養とは、チューブやカテーテルを通して胃腸に直接栄養や水分を送り込む医療行為です。経管栄養には複数の種類がありますが、介護福祉士が介助できるのは「経鼻経管栄養」「胃ろう」「腸ろう」の3種類です。経管栄養には、胃からの逆流による嘔吐や誤嚥性肺炎のリスクがあり、様子をよく観察しながら行う必要があるため、研修の受講は必須です。

2.喀痰吸引とは

喀痰吸引とは、吸引機を使用して痰や唾液を体外に排出させる医療行為です。このときの吸引は口腔内や鼻孔内、気管カニューレ内部に対して行います。気管カニューレとは、呼吸補助や誤嚥防止のために気管を切開して設置する管です。気管カニューレの長さにしたがい、カニューレの中だけ吸引が許可されています。

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【喀痰吸引等研修】経管栄養と喀痰吸引をするための研修

経管栄養と喀痰吸引をするための研修は3種類あります。喀痰吸引などの業務を行う担当者は、業務にあった内容の研修を受けなければなりません。

第1号研修と第2号研修は、介護施設利用者など不特定多数に対して業務を行う人向けの研修です。気管カニューレ内部の喀痰吸引と経鼻栄養を行う人は第1号研修を受け、これらを除いた業務を行う場合は第2号研修を受講します。第3号研修はALSなどの疾患を持つ、特定の利用者を介助する人向けです。

参考:平成24年4月から、介護職員等による喀痰吸引等 年4月から、介護職員等による喀痰吸引等(たんの吸引・経管栄養)についての制度がはじまります。|厚生労働省

喀痰吸引等研修を受講する方法

2022年11月現在において、介護福祉士を目指す人は、養成課程を終えたのちに実地研修を受ける必要があります。介護福祉士登録証が交付された後に実地研修を受けた場合、研修後に介護福祉士登録証の変更を行いましょう。

すでに介護職員として就業しており、かつ喀痰吸引などの業務を行っていない場合は、基本研修に加えて実地研修が必要です。一定の要件下ですでに喀痰吸引などに関する業務を行っている場合、都道府県に対して証明手続きをする必要がありますが、認定証を発行してもらえば研修なしで引き続き業務を担当できます。

参考:平成24年4月から、介護職員等による喀痰吸引等 年4月から、介護職員等による喀痰吸引等(たんの吸引・経管栄養)についての制度がはじまります。|厚生労働省

特定行為の実施には証明書が必須

喀痰吸引等研修の証明書がない場合、特定行為ができません。経過措置対象者(介護事業者等において条件を満たし、すでに喀痰吸引の業務を行っている人)や、これから介護福祉士になろうとしている人は、実地研修終了後に必ず証明書を申請しましょう。

申請には、喀痰吸引等研修修了証明書もしくは認定特定行為業務従事者認定証のいずれかと、実地研修修了証明書が必要です。これらの書類に「登録事項変更届出書」など所定の種類を添付し、社会福祉振興・試験センターへ申請を行いましょう。

参考:平成24年4月から、介護職員等による喀痰吸引等 年4月から、介護職員等による喀痰吸引等(たんの吸引・経管栄養)についての制度がはじまります。|厚生労働省

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「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等」が改正された背景

喀痰吸引など、介護福祉士の医療行為に関連する法改正が行われた背景には、介護の現場で医療行為に準じる対応が求められがちだったことがあります。日本国内全体の高齢化が進んだこともあり、介護の現場で喀痰吸引などの補助が必要になる人も増え、こうした現状を踏まえて、医療と介護の連携を強化するために法改正がなされました。

介護福祉士が医療知識を身につける方法

介護福祉士が医療知識を身につけるには、医療介護福祉士の資格を取得する方法があります。医療介護福祉士について解説します。

医療介護福祉士とは

医療介護福祉士とは、1年以上の実務経験がある介護福祉士が講座の受講により取得できる民間資格です。医療介護福祉士は単純に介護の現場で働くだけではなく、医療チームの一員として医療現場で働くことが可能になります。たとえば、終末期医療あるいはスタッフが医療の知識をより求められる介護老人保健施設などで、知識を活かした仕事が可能です。

職場で医療介護福祉士を雇うメリット

介護の現場で医療介護福祉士を雇用すると、介護福祉士よりも医療の知識があるスタッフを抱えることになるため、いくつかのメリットが生じます。たとえば、医師や看護師がいない現場でも冷静な対応が可能になり、利用者は安心できるでしょう。安心できること自体が付加価値を与えるため、利用者に選ばれる施設となる可能性も高められます。

医療介護福祉士を雇う注意点

医療介護福祉士は医療に関する知識のある介護福祉士ですが、医師や看護師ではありません。したがって、医療行為の対応ができる資格ではないことを理解しておく必要があります。緊急時において的確に対応できる人材という観点から雇用を検討しましょう。

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介護福祉士に医療行為をさせる際の注意点

介護福祉士に医療行為をさせる際には、許可された医療行為にとどめるよう注意しておく必要があります。介護福祉士ができない医療行為をさせると、重大な事故が起きる可能性があるため避けなければなりません。

介護福祉士が現場で医療行為を求められたときは、医師や看護師に連絡して指示を仰がせます。なお、直接医療行為ができなくても、介護福祉士同士の情報連携がスムーズになることで業務が効率化され、より安全性の高い対応ができることもあるため、連携が取りやすい仕組み作りが重要です。

まとめ

介護福祉士の医療行為は、法律によって「どこまでできるか、どこからができないか」が決められています。法律に定められていない医療行為については実施できないため、互いの連携を強めることでカバーしていく方法が最善です。

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