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地震大国ニッポン。企業にも求められる、日々の"備え"。 頻発する地震。その時、企業として"すべきこと"は?

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地震大国ニッポン。企業にも求められる、日々の"備え"。 頻発する地震。その時、企業として"すべきこと"は?

2017年02月21日

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東日本大震災や熊本地震といった大規模災害が起き、日増しに機運が高まりつつある防災意識。企業においても従業員の人命を守ることはもちろん、事業をいかにして復旧・継続させていくかが問われ、BCP(事業継続計画)対策を行う企業も増えています。首都直下型地震や南海トラフ地震など、いつ巨大地震が起きてもおかしくない状況にある今こそ考えたい「企業防災」について、全5回の連載コラムをお送りします。
第1回は、地震が与える企業活動への影響や、企業防災の考え方についてお届けしましょう。

目次

首都直下型地震の経済損失は、最大で95兆円と想定

もし首都直下型地震が起きたら、一体どのくらいの被害が生じるのでしょうか?2013年に中央防災会議が公表した被害想定によると、『人的/物的被害想定』は下図の通り。甚大な被害が予想されています。

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一方、ライフラインの被害想定も深刻です。電力は、被災エリアの約5割(約1,220万戸)が停電し、復旧までに3?6日程度を要する見込み。固定電話は110万回線が不通で、2日目から通話規制が緩和されるものの、復旧は1?2週間かかると想定されています。携帯電話も長期間にわたり、広範囲でつながりにくい状態となります。

日々の暮らしが困難になり、企業活動もままならない状況に陥ることは、過去の震災をみても明らかです。首都直下型地震がもたらす経済損失は、最大で95兆円に上ると想定されています。

一方、主に東海から近畿、四国、九州の太平洋岸に大きな被害をもたらすといわれているのが南海トラフ地震です。内閣府が2014年に公表した被害想定データによると、全壊棟数は238万棟、死者・行方不明者は32万3000人。国は、津波が襲う太平洋沿岸などの市町村を特別強化地域に指定し、津波避難施設の整備費や、住宅をはじめ学校や病院などの公共施設を高台に移転する際、用地取得費を補助しています。

では、首都直下型地震や南海トラフ地震の被災想定エリア以外は安心かというと、そうは言いきれません。先の熊本地震や、2016年10月21日に最大震度6弱の地震が起きた鳥取県など、活断層の有無にかかわらず地震は発生します。巨大地震は、どこでも起こりうるのです。

『3.11』の倒産件数は累計1,698件。長引く企業活動への影響

巨大地震によって企業活動が停滞すると、店舗や工場、顧客、従業員、取引先、消費者など、あらゆる方面に大きな影響がおよびます。最も避けるべき『倒産』という事態も、これまでの震災で生じています。

東京商工リサーチの調べでは、東日本大震災関連の倒産件数は2016年2月24日現在で累計1,698件。各年別では2011年は544件、以降490件、333件、175件、141件と減少傾向ではありますが、震災のあった年以降も、その影響が実に長期間にわたることが分かります。

被害パターン別では、事務所や工場などの施設・設備などが直接損壊した『直接型』は142件にとどまるのに対し、取引先や仕入れ先が被災して、販路縮小や受注キャンセルなどが影響した『間接型』が1,556件。約9割が間接被害型の倒産です。

ここで大切になるのは『取引先の被災には打つ手がない』『致し方ない』と考えるのではなく、企業の規模にかからわず、資産の損害を最小限にとどめ、中核となっている事業を早く復旧・継続できるよう、その方法や手段をあらかじめ決めておくこと。すなわち事業継続計画(BCP)を立てることです。東日本大震災を機に、今では多くの企業がBCPの策定に着手しています。

かつて『防災』といえば、人命の安全確保や物的被害の軽減などにとどまっていました。しかし『事業継続』は、従来の防災の考え方に加え、経営全体の観点から重要業務を選択し、被災後に活用できる限られた資源を、どこに投入するか、いつまでの復旧を目指すかなどの計画も含みます。災害が起きてから動くのではなく、事前に潜在的な脅威を分析し、指示系統や復旧チームを確立しておくことが大切といえるでしょう。

企業防災のカギは『生命の安全確保』『通信手段の確保』『データの保全』

企業防災を考えるにあたり、踏まえておくべき要素が3つあります。

まずは生命の安全確保です。なにより従業員の命を守ること。避難場所やルートの確保、食料や薬などの備蓄もこれに含まれます。

2つ目は、通信手段の確保。地震直後は安否を確認する通信が多発し、電話が通じなくなることもしばしばあります。また、地下ケーブルが物理的に寸断され、数日間不通になるといった事態もありえます。そんな時、適切な手段を講じることができるかどうか、つまり初動の早さが、生命の確保や事業復旧にも影響を及ぼします。

3つ目は、データの保全です。普段仕事で使っているデータや顧客データが消失することは、事業継続にとって大きな痛手となります。そのリスクをどのようにして減らすべきか、災害が起きる前から備えておくことが非常に大切です。

連載コラムでは、これら3つの要素について、講じておきたい適切な手法や事例などを詳しく紹介していく予定です。ぜひ事業継続計画(BCP)策定の参考にしてください。

次回予告

次回のテーマは『通信手段の確保』です。これまでの実例を踏まえ、さまざまな確保のしかたをご紹介します。

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※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。