PBXとは、企業活動における外線・内線を管理するシステムです。従来のビジネスフォンとPBXの違いが、今ひとつわからない人もいるのではないでしょうか。この記事は、ビジネスフォンからの買い換えを検討している方や、新たに導入を検討している方に向けて書かれています。PBXとビジネスフォンとの違い、種類や機能などを解説しますのでご参考にしてください。
目次
- PBXとは?
- PBXの主な4つの機能
- PBXの3つの種類
- オンプレPBXのメリット・デメリット
- IP-PBXのメリット・デメリット
- クラウドPBXのメリット・デメリット
- クラウドPBXがBCP対策に向いている理由
- PBXを導入・変更する際に確認しておきたいことまとめ
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PBXとは?
企業は多くの電話機を使用しています。PBX(Private Branch Exchange)は、各種電話機の外線・内線を管理するシステムです。PBXがあれば、卓上タイプの電話機・スマートフォンタイプの電話機を問わず外線・内線を使えます。
また、社内以外の場所でスマートフォンを使用するときなども、PBXを通せば外線・内線とも企業の番号を表示させられます。
PBXが外線・内線を接続する仕組み
PBXは拠点ごとに設置します。拠点専用のPBX同士が連携することで、拠点間の通信が可能となります。また、PBXは物理的に設置するタイプもあれば、クラウド上に設置するタイプもあります。
外線を使うときは、各電話機から拠点専用のPBXに接続されたのちに、指定の外線へと接続されます。外線がかかってきたときは、拠点専用のPBXを介して各内線に接続される仕組みです。
内線を使うときも、いったん拠点専用のPBXに接続されたのちに指定の内線へと接続されます。拠点をまたぐ内線の場合も、PBX同士で連携して接続します。
PBXとビジネスフォンとの違い
ビジネスフォンとは、ビジネスに使用する固定電話機やスマートフォンなどの携帯用端末を指します。PBXとビジネスフォンには、共通点もあれば相違点もあります。以下に、PBXとビジネスフォンとの違いをまとめました。
機能の違い |
PBX |
ビジネスフォン |
---|---|---|
内線を接続可能な範囲 |
拠点内に加え、複数拠点間でも接続可能 |
単一拠点内でのみ接続可能 |
接続可能な電話機の台数 |
数千台 |
数十台 |
スマートフォンの内線化の可否 |
内線化可能 |
内線化不可 |
業務効率化につながる機能 |
録音機能など、パソコンやOA機器との連携により業務効率化可能 |
業務効率化に関する機能はなし |
規模が大きく複数拠点にまたがる企業、従業員がスマートフォンを頻繁に使う企業、業務効率化を望む企業などには、PBXを導入するメリットがあると考えられます。
PBXとビジネスフォンの耐用年数
PBXやビジネスフォンの法定耐用年数の目安は、6年と言われています。しかし、法定耐用年数を待たずに、適時買い換えや交換をおすすめします。
まだ使えるからといって、不具合が出るまでPBXを使い続けることには、ある日突然電話がつながらなくなるなど、業務に支障が出たり、商機を逃したりするリスクが存在します。また、企業内の問題に留まらず、PBXの故障により顧客を巻き込むトラブルに発展する恐れもあります。
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PBXの主な4つの機能
PBXの主な機能を解説します。後述するPBXの種類によっては、ここで紹介する機能が備わっていない場合もあります。
1.外線・内線との発着信機能
PBXは、外線から直通番号宛にかかってきた電話を指定した内線へと振り分けます。内線同士の発着信の制御も、PBXの役割です。また、「企画部内からの発信は、すべて企画部専用の電話番号で発信する」など、部門ごとに特定の電話番号での発信も可能です。
2.保留・転送機能
保留・転送機能を使うと、事務所の内線への着信を保留した上で、従業員のスマートフォンに転送できます。電話の取次先が分からないときは、パーク保留機能が便利です。パーク保留にして「○○について、パーク○番にお問い合わせです」など、社内にアナウンスをかけましょう。担当者が付近の電話機でパーク保留を解除すると、電話が引き継がれる仕組みです。
外線・内線の発着信機能と保留・転送機能については以下の動画もご覧ください。
3.録音機能
録音機能を活用すると、顧客からの問い合わせやクレームなどを録音が可能です。録音データを分析して業務改善に活かす、顧客の意見を抽出して商品やサービスの開発に活かすといったことができます。また、カスタマーサポートなら、録音データからよく聞かれやすい内容を抽出しまとめておくことで、ナレッジの蓄積ができ、サポートデスク全体の力の底上げ、対応時間の短縮などができます。新人教育として活用することもできるでしょう。
4.顧客情報管理・レポート機能
PBXとCTI (Computer Telephony Integration)※を連携することで、容易に顧客情報の管理ができるようになります。顧客情報と発着信履歴を紐付けて、やり取りの頻度や通話時間などをレポート化できます。また、PBXで保有している電話番号をもとに顧客情報を検索し、手元のパソコンに過去の電話内容などの情報を表示させることができます。顧客情報を確認しながらやり取りをすれば、テンポよく話を進められるとともに、顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。
※CTI...PBXに付属の顧客管理ソフトや、専用のCRMと連携させることで、顧客情報をPC画面に自動表示させる機能。
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PBXの3つの種類
3種類のPBXについて特徴を解説します。それぞれ接続の仕組みを確認しましょう。
1.オンプレPBX(レガシーPBX)
物理的な電話線を利用した接続方法を、「オンプレPBX」と呼びます。オンプレPBXは今回紹介する3つのPBXではもっとも歴史が古く、オンラインに接続しない点が特徴です。
オンプレPBXは、電話線が届く範囲の電話機しか管理できません。そのため、フロアや拠点ごとにPBXが必要です。
2.IP-PBX
「IP-PBX」は、物理的な電話線に変わり、IPネットワークを利用して接続します。社内LANが整備済みの企業であれば、IP-PBXの導入は簡単です。なお、IP-PBXには、専用のハードウェアを使う「ハードウェアタイプ」と、専用ソフトウェアを使う「ソフトウェアタイプ」の2種類があります。
3.クラウドPBX
「クラウドPBX」は、その名のとおりクラウド環境を利用した接続方法です。社内にPBXを設置しなくて済み、オンラインに接続できれば場所を問わず内線や外線を使って通話できます。
株式会社グローバルインフォメーションの市場予測では、クラウドPBX市場の高い成長率が報告されました。また、令和2年度情報通信白書によると、クラウドサービスを利用する企業は2015年には全体の44.6%でしたが、2019年には64.7%にまで増えています。ICT・クラウド化の波を受けて、クラウドPBX市場は今後も拡大し続けると予想されます。
(図表5-2-1-18を参照)
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オンプレPBXのメリット・デメリット
オンプレPBXは、オンラインに接続しないため高セキュアといえます。専用の電話線を使うため通話が高品質です。加えて、カスタマイズ性が高い点もオンプレPBXの強みです。
一方、オンプレPBXの導入には時間とコストがかかります。拠点やフロアごとにPBXを設置せねばならず、オフィスのレイアウトが変わればPBXの設置場所も見直さねばなりません。
また、オンプレPBXは、トラブル対応やメンテナンスにも手間がかかります。専門知識を持つ人がいなければ、オンプレPBXの導入・運用は難しいと考えられます。
オンプレPBXが向いている企業
拠点やフロアの数だけPBXを設置するオンプレPBXは、スペースや予算に余裕がある企業に向いています。また、オンラインに接続しないため、金融関連などセキュリティを重視したい企業にもオンプレPBXがおすすめです。円滑にオンプレPBXを構築・運用するべく、設備に詳しい人材が自社にいるかどうかを導入前に調べておきましょう。
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IP-PBXのメリット・デメリット
IP-PBXは社内LANが整備済みであればすぐ導入できます。オンプレPBXと比較すると導入コストが少なくて済み、通信料も節約できます。また、携帯電話を内線化させたい場合は、FMC (Fixed-Mobile Convergence service) との組み合わせでこれを実現させることができます。
一方、IP-PBXはIPネットワークを介して通話するため、通信環境しだいでは通話品質が低下しかねません。また、オンラインに接続するため、ハッキングなどのセキュリティリスクも懸念されます。
IP-PBXが向いている企業
社内LANが整備済みの企業は、導入の手間がかからないためIP-PBXが向いています。月額通信料を抑えたい企業にもIP-PBXがおすすめです。通話料が割安なIP電話の使用、海外拠点の内線化などにより通信料の削減が見込まれるためです。
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クラウドPBXのメリット・デメリット
クラウドPBXは、スマートフォンを内線化でき、サービスに申し込んでから短期間で利用を開始できます。導入するサービスの提供者側にクラウド上の更新・メンテナンスを任せられるため、システムに詳しい人材がいない企業でも利用可能という点が、クラウドPBXの魅力です。
一方、クラウドPBXを導入すると月額利用料金が発生します。加えて、IP-PBXと同じくオンラインネットワークを使うため、通話品質とセキュリティが懸念されます。
クラウドPBXが向いている企業
クラウドPBXが向いている企業は以下のとおりです。
・導入資金を抑えたい企業
・テレワークを推進させたい企業
・CRMなどのビジネスツールと連携させたい企業
・BCP対策も検討したい企業
クラウドPBXは、オフィスにPBX本体を設置する必要がないため導入資金を抑えられます。テレワークを推進させたい企業にも、クラウドPBXがおすすめです。オンラインに接続できれば、場所を問わず企業の電話番号で外線・内線を使えるためです。
また、OA機器やCRMなどのビジネスツールと連携させたい企業にも、オンラインネットワークに接続するクラウドPBXが向いています。
BCP対策も検討したい企業にクラウドPBXがおすすめの理由は、以下で解説します。
クラウドPBXがBCP対策に向いている理由
企業は、自然災害やテロなど、あらゆる種類のリスクに備え、BCP (事業継続計画) を策定しています。平時はもちろんのこと、万が一の事態が起きた際に重要なポイントの1つとして、「連絡手段の確保」があります。連絡手段を確保し、迅速な意思決定と対応をすることが、事業の早期復旧に繋がるからです。
クラウドPBXはインターネット上にPBX機能を構築するため、インターネット環境さえあれば通信をおこなうことができます。そのため、例えば災害によりオフィスが使えなくなったとしても、遠隔地から会社の電話番号が使える状態を維持できます。複数拠点を有する企業であれば、被災した拠点への着信を別拠点へ転送するといった対応も可能となります。
仮にインターネット回線が停止しても、災害時用に解放される無料の公衆Wi-Fi「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」を利用すると、通信キャリアに関係なく、スマートフォンから発着信できますので、併せて利用方法を覚えておくと良いでしょう。
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PBXを導入・変更する際に確認しておきたいこと
ビジネスフォン・既存のPBXから新しいPBXへと変更するときに、事前に確認しておきたい内容を以下にまとめました。
・ビジネスフォンの解約金が割高にならないか
・電話番号を引き継げるか
・新しいPBXに利用したい機能が備わっているか
ビジネスフォンを解約するタイミングによっては、残積分の一括返済と解約金などで高額な出費が生じます。電話番号を引き継げると、顧客に電話番号の変更を通知する手間が省け、問い合わせを逃すリスクも防げます。
PBXごとに機能は異なるため、自社に必要な機能が備わっているかどうかもPBX選定のポイントです。
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まとめ
PBXは、オンプレPBX・IP-PBX・クラウドPBXの3種類に分けられ、それぞれのPBXにメリット・デメリットがあることをご紹介しました。特徴と、メリット・デメリットを正確に理解した上で、自社に適したPBXの導入を検討しましょう。
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※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。