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クラウドPBXとは?利用のメリットとデメリット・料金相場や選び方

クラウドPBXとは?利用のメリットとデメリット・料金相場や選び方

2022年10月28日掲載(2024年02月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

クラウドPBXとは?利用のメリットとデメリット・料金相場や選び方

近年では社内のコミュニケーションスタイルや働き方の多様化から、オフィスにいなくても電話対応が可能な「クラウドPBX」に注目している企業は少なくありません。ただし、普段通話関連の情報に関わりのない方にとっては、クラウドPBXがどのようなシステム・仕組みであるか分からないという方もいるのではないでしょうか。

当記事では、クラウドPBXがどのようなシステムであるか、導入するメリットやデメリット、また料金相場や便利機能なども解説します。

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1.クラウドPBXとは?

クラウドPBXとは?利用のメリットとデメリット・料金相場や選び方

クラウドPBXは、PBX(電話交換機)の機能をクラウド化して構築するシステムです。クラウドPBXを利用した電話は「クラウド電話」や「クラウドフォン」と呼ばれ、場所を選ばない柔軟な通話環境を実現します。

従来のビジネスフォンサービスやPBXシステムでは、オフィスへの物理的な装置の設置が必須です。また電話線でつながれた特定の電話機や、社内LANの整備も必要でした。しかし、クラウドPBXなら、インターネット回線を通じてオフィスの外でも会社の電話番号を利用した発着信が可能です。従業員同士の通話であれば場所に縛られず、通常の内線電話と同様に無料で発着信ができます。

初期投資の削減や設置作業の簡素化も大きな利点です。近年、テレワークの普及が進む中、多くの企業が導入を進めています。

2.そもそもPBX(電話交換機)とは?

クラウドPBXとは?利用のメリットとデメリット・料金相場や選び方

PBX(Private Branch Exchange)は、各種電話機の外線・内線を管理するシステムです。PBXがあれば、卓上タイプの電話機・スマートフォン(スマホ)を問わず、外線・内線を使えます。社内はもちろん、PBXの設定次第で場所を問わず外線番号・内線番号を表示することが可能です。

PBXは拠点ごとに設置し、拠点専用のPBX同士が連携することで拠点間の通信ができます。物理的に設置するタイプもあれば、クラウド上に設置するタイプもあります。

外線を使うときは、各電話機から拠点専用のPBXに接続されたのちに、指定の外線へと接続される仕組みです。外線がかかってきたときは、拠点専用のPBXを介して各内線に接続されます。内線を使うときも、一旦拠点専用のPBXに接続されたのちに指定の内線へと接続され、拠点をまたぐ内線の場合もPBX同士で連携して接続します。

2-1.PBXとビジネスフォンとの違い

ビジネスフォンとは、1台の「主装置」と複数台の「専用電話機」を組み合わせて使用する電話のことです。ビジネスフォンは主装置を用いて、外部からかかってくる「外線」と、社内の電話機同士で通話する「内線」を制御します。PBXとビジネスフォンには、共通点もあれば相違点もあります。以下に、PBXとビジネスフォンとの違いをまとめました。

機能の違い PBX ビジネスフォン
内線を接続可能な範囲 拠点内に加え、複数拠点間でも接続可能 単一拠点内でのみ接続可能
接続可能な電話機の台数 数千台 数十台
スマートフォンの内線化の可否 内線化可能 内線化不可
業務効率化につながる機能 録音機能など、パソコンやOA機器との連携により業務効率化可能 録音機能など、パソコンやOA機器との連携により業務効率化可能 業務効率化に関する機能はなし

規模が大きく複数拠点にまたがる企業、従業員がスマホを頻繁に使う企業、業務効率化を望む企業などには、PBXを導入するメリットがあると考えられます。

2-2.PBXとビジネスフォンの耐用年数

PBXやビジネスフォンの法定耐用年数の目安は、約6年と言われています。しかし、中には10年20年と使い続ける企業も珍しくないでしょう。

しかし、まだ使えるからといって不具合が出るまでPBXを使い続けることには、ある日突然電話がつながらなくなるなど、業務に支障が出たり、商機を逃したりするリスクが存在しますので注意しましょう。また企業内の問題に留まらず、PBXの故障により顧客を巻き込むトラブルに発展する恐れもあります。

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3.PBXの主な4つの機能

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PBXの主な機能を解説します。ただし、後述するPBXの種類によっては、ここで紹介する機能が備わっていない場合もあります。

3-1.外線・内線との発着信機能

PBXは、外線から直通番号宛にかかってきた電話を指定した内線へと振り分けます。内線同士の発着信の制御も、PBXの役割です。また、「企画部内からの発信は、すべて企画部専用の電話番号で発信する」など、部門ごとに特定の電話番号での発信も可能です。

3-2.保留・転送機能

保留・転送機能を使うと、事務所の内線への着信を保留した上で、従業員のスマホに転送できます。電話の取り次ぎ先が分からないときは、パーク保留機能が便利です。パーク保留にして「○○について、パーク○番にお問い合わせです」など、社内にアナウンスをかけましょう。担当者が付近の電話機でパーク保留を解除すると、電話が引き継がれる仕組みです。

外線・内線の発着信機能と保留・転送機能については以下の動画もご覧ください。

3-3.録音機能

録音機能を活用すると、顧客からの問い合わせやクレームなどを録音が可能です。録音データを分析して業務改善に生かしたり、顧客の意見を抽出して商品やサービスの開発に生かしたりします。

カスタマーサポートなら、録音データからよく聞かれやすい内容を抽出しておくことでナレッジの蓄積ができ、サポートデスク全体の力の底上げ、対応時間の短縮などができます。新人教育として活用できるでしょう。

3-4.顧客情報管理・レポート機能

PBXとCTI (Computer Telephony Integration)を連携することで、容易に顧客情報の管理ができるようになります。顧客情報と発着信履歴を紐付けて、やり取りの頻度や通話時間などをレポート化できます。

PBXで保有している電話番号をもとに顧客情報を検索し、手元のパソコンに過去の電話内容などの情報を表示させることも可能です。顧客情報を確認しながらやり取りをすれば、テンポよく話を進められるとともに、顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。

※CTI...PBXに付属の顧客管理ソフトや、専用のCRMと連携させることで、顧客情報をPC画面に自動表示させる機能。

4.PBXの種類3つ

3種類のPBXについて特徴を解説します。それぞれ接続の仕組みを確認しましょう。

4-1.オンプレミスPBX(レガシーPBX)

物理的な電話線を利用した接続方法を、「オンプレミスPBX」と呼びます。オンプレミスPBXは今回紹介する3つのPBXではもっとも歴史が古く、オンラインに接続しない点が特徴です。電話線が届く範囲の電話機しか管理できず、フロアや拠点ごとにPBXが必要です。

オンプレミスPBXは、オンラインに接続しないため高セキュアと言えます。専用の電話線を使うので通話が高品質で、カスタマイズ性が高い点もオンプレミスPBXの強みです。

一方、オンプレミスPBXの導入には時間とコストがかかります。拠点やフロアごとにPBXを設置するため、オフィスのレイアウトが変わればPBXの設置場所も見直す必要があります。さらに、トラブル対応やメンテナンスにも手間がかかります。そのため、専門知識を持つ方がいない場合はオンプレミスPBXの導入・運用は難しいでしょう。

オンプレミスPBXは、拠点やフロアの数だけPBXを設置する必要があり、スペースや予算に余裕がある企業に向いています。オンラインに接続しないので、金融関連などセキュリティを重視したい企業にもおすすめです。円滑にオンプレミスPBXを構築・運用するためには、設備に詳しい専任の人材を確保する必要があるでしょう。または、環境構築から運用保守のサポートまでを請け負う企業にアウトソースする、という手もあります。

4-2.IP-PBX

「IP-PBX」は、物理的な電話線に変わり、IPネットワークを利用して接続します。IP-PBXには、専用の機器を設置して使う「ハードウェアタイプ」と、専用ソフトウェアを社内サーバにインストールして使う「ソフトウェアタイプ」の2種類があります。

IP-PBXは社内LANが整備済みであればオンプレミスPBXと比較して、短納期で導入できます。また、オンプレミスPBXよりも導入コストが少なくて済み、通信料も節約できます。また、携帯電話を内線化させたい場合は、FMC (Fixed-Mobile Convergence service) との組み合わせでこれを実現できます。

ただし、IP-PBXはIPネットワークを介して通話するため、通信環境次第では通話品質が低下しかねません。そのため、高品質な通信環境を確保し、IP-PBXの通話品質を向上させることが大切です。また冗長性を考慮したネットワーク構築も重要になります。

また、IP-PBXはオンラインに接続するため、ハッキングなどのセキュリティリスクも懸念されます。セキュリティ対策を万全にし、最新のセキュリティプロトコルを導入することで、ハッキングなどのセキュリティリスクに対する防御策を確立しましょう。

社内LANが整備済みの企業は、IP-PBXが向いていると言えます。また、月額の通信料を抑えたい企業や、海外拠点を持ち、海外と国内の内線化を実現したいという企業にも、IP-PBXはおすすめです。割安なIP電話で、使用コスト削減が見込まれるためです。

4-3.クラウドPBX

クラウドPBXは、その名のとおりクラウド環境を利用した接続方法です。社内にPBXを設置しなくて済み、オンラインに接続できれば場所を問わず内線や外線を使って通話できます。

株式会社グローバルインフォメーションの市場予測では、クラウドPBX市場の高い成長率が報告されました。また、総務省による令和4年の調査によると、クラウドサービスを利用する企業は2017年には全体の56.9%でしたが、2021年には70.4%にまで増えています。ICT・クラウド化の波を受けて、クラウドPBX市場は今後も拡大し続けると予想されます。

出典:PR TIMES「クラウドPBX市場、2030年末までに683億米ドル規模到達見込み」
PR TIMES出典:総務省「データ集(第3章第6節)」

クラウドPBXが向いている企業は以下のとおりです。

・テレワークを推進させたい企業
・CRMなどのビジネスツールと連携させたい企業
・BCP対策も検討したい企業

クラウドPBXは、オフィスにPBXの専用機器を設置する必要がないため導入コストを抑えられます。テレワークを推進させたい企業にも、クラウドPBXがおすすめです。オンラインに接続できれば、場所を問わず企業の外線番号(0ABJ番号または050番号)を使えますし、内線番号も使えます。OA機器やCRMなどのビジネスツールと連携させたい企業にも、オンラインネットワークに接続するクラウドPBXが向いています。

5.クラウドPBXのメリット

クラウドPBXでは、インターネット回線を介して電話機能を使用することにより、コストの削減や通話の自由度の向上、業務効率化など、さまざまなメリットが期待できるでしょう。

ここでは、クラウドPBXのメリットを5つ紹介します。

5-1.コスト削減につながる

クラウドPBXは、物理的なPBXの設置が不要なため、機器の購入費用削減につながります。従来のシステムでは、オフィスにPBXを設置した上で、専用の電話機も必要でした。しかし、クラウドPBXなら会社が支給しているスマホやパソコン(PC)に専用のアプリケーションをインストールするだけで利用できます。導入時はもちろん、オフィスの移転やレイアウト変更、改装の際にも配線工事の手配や、配線を意識したレイアウトを検討する手間は必要ありません。

さらに、従業員同士の通話は複数拠点間であってもすべて内線電話として受発信でき、通話コストも削減されます。設定変更や拡張が簡単なため、社内の人材のみで対応することもでき、専門業者への依頼が減る点も大きなメリットです。クラウドPBXは従来のPBXに比べ、メンテナンスや故障のリスクが少なく、長期的に見ても運用コストを抑えられて経済的です。

5-2.どこでもオフィスの電話番号で通話ができる

クラウドPBXは、インターネット接続があれば、どこにいてもオフィス電話と同じ番号で通話ができる機能を持っています。従来のビジネスフォンでは、社内の電話回線とつながった電話機からしか会社の番号での発着信ができませんでした。

しかし、クラウドPBXを導入すれば、従業員のスマホやPCでも会社番号を利用できるようになります。テレワーク時や外出中でも、1つのオフィスにいるときと同じようにお客さまや取引先と連絡が取れるのは、大きなメリットと言えるでしょう。従業員がどこからでもオフィスの電話番号で通話できることにより、業務効率が向上し、柔軟なビジネスコミュニケーションが可能となります。また、働き方の柔軟性も向上するため、働き方改革推進、テレワークの促進効果が期待されます。

5-3.携帯やPCなどデバイスに縛られず電話ができる

クラウドPBXは、デバイスの種類に縛られず電話ができるマルチデバイス対応である点で、従来のシステムよりも利便性が大きく向上しました。従来のビジネスフォンシステムは、社内に設置された固定電話機やコードレス電話機しか利用できません。

クラウドPBXでは、通話機能がありインターネットに接続できれば、スマホやPCといった既に所有しているデバイスをそのまま活用できます。高価な固定電話機に依存する必要がなくなるのは、クラウドPBXを導入するメリットの1つです。

5-4.電話の取り次ぎ業務を効率化できる

クラウドPBX導入により、電話の取り次ぎ業務が効率化できます。従来の電話システムでは外線電話を受けた後、担当者に内線で転送するか、一度電話を切ってから担当者に連絡する必要がありました。

しかし、クラウドPBXでは、かかってきた外線電話を直接外出中の担当者に転送できます。外部からの電話を直接担当者に転送できるクラウドPBXは、担当者の外出中でもスムーズに顧客対応ができ、顧客満足度の向上に寄与します。

また、IVR(Interactive Voice Response)という音声自動応答システムを利用すれば、着信を自動で適切な部署や担当者に振り分けることも可能です。共有電話帳やワンクリックでの発信、社名の自動表示機能は、従業員が迅速に電話を取り次げ、業務プロセスを効率的に進めることにつながります。

5-5.オフィスのレイアウト変更に柔軟に対応できる

クラウドPBXではオフィスに主装置を設置する必要がなく、インターネット環境がすでに整っていれば、配線工事も不要です。そのため、営業時間中に電話回線工事のための時間を設けたり、工事のために業務をストップしたりせずに導入ができます。

オフィスレイアウトの変更や移設・増設する際も簡単なセットアップで電話環境が整います。今後、従業員が増えたりオフィスを移転したりする可能性が考えられる企業には、特に大きなメリットと言えるでしょう。

6.クラウドPBXのデメリット

多くのメリットを得られるクラウドPBXですが、同時にデメリットも存在します。導入を検討する際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けておきましょう。

ここでは、クラウドPBXのデメリットを5つ解説します。

6-1.発信できない番号がある

クラウドPBXでは、以下の番号へ発信できません。

110 警察への緊急通報
113 設定・トラブルサポート
115 電報の申し込み
117 時報
118 海上事件・事故の緊急通報
119 消防・救急への緊急通報
144 迷惑電話お断り
177 天気予報
0570 ナビダイヤル

クラウドPBXでは、特定の番号への発信が制限されており、これには緊急通報番号などが含まれています。これは総務省により定められた法的な規制や、セキュリティ対策の一環として導入されたものです。

緊急時にクラウドPBXで特定の番号への発信ができない場合、従業員はスマホなど、緊急通報の発信が可能なデバイスを利用して、緊急通報先に直接連絡を取る必要があります。または、最寄りの警察署や消防署の番号へかけるという方法もあります。万が一に備えて、従業員には十分な周知と訓練が必要です。

6-2.ランニングコストがかかる

従来のビジネスフォンでは、機器を購入すれば通話料以外に月々の支払いは不要なケースが一般的です。一方、クラウドPBXはサブスクリプション形式のサービスのため、毎月の基本使用料が発生します。ほかにも必要なオプションサービスを契約する場合、月々のオプション利用料も発生します。そのため、契約内容や運用期間によって、トータルコストが高くなる場合があります。

ただし、クラウドPBXを提供する同一事業者の番号宛の通話や、内線電話で複数拠点をつないだ際の通話が0円となるため、必ずしも割高ではありません。また従来のビジネスフォンやIP-PBXでも、リース契約や保守点検の費用が発生する場合があるため、全体のコストを考慮することが重要です。

以下の表は、通話料の一覧を一部抜粋したものです。

着信先 通話料金(税込) ダイヤル番号 備考
Webex Calling宛て 無料 0AB~J/050
KDDI電話宛て 無料 0AB~J/050
KDDI ビジネスコールダイレクト宛て 無料 内線番号 オンネット通話
NTT加入電話宛て 8.8円/3分 0AB~J 国内固定電話
  • ※ KDDI電話は、KDDI 光ダイレクト、KDDI-IPフォン、auオフィスナンバー、auひかり、ケーブルプラス電話、Cloud Calling for MS Teams、Cloud Calling for Genesys Cloud CX、Cloud Calling for Zoom Phone

出典:KDDI まとめてオフィス「Webex Calling エリア・料金」

6-3.インターネット環境の影響を受ける

クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、通信環境によって通話品質が左右される点はデメリットです。社内や自宅など通信環境が安定している場所での通話は基本的に問題ありません。

しかし、地下鉄や高層階、トンネル内などで通信が不安定になる場所では、音質が低下する恐れがあります。クラウドPBXの提供ベンダーによっても音質は異なるため、導入前に通話品質のチェックが必要です。

6-4.セキュリティ対策が必要になる

クラウドPBXはインターネット回線を使用するため、常に外部から攻撃されるリスクと隣り合わせといえます。利用するデバイスのウイルス感染や、不正アクセスにより、ログイン情報や顧客情報といった重要情報の流出、通話内容の傍受、端末乗っ取りなどのリスクがあります。

また、たとえばIDやパスワードが書かれた紙を紛失した、オフィス外でログイン時にショルダーハックで情報を盗まれたなど、ユーザーの不注意によって、漏洩する危険性もあります。

クラウドPBXの安全性を確保するためには、導入先として実績のあるベンダーを選んだり、社員のセキュリティ意識向上に向けた取り組みを積極的に実施したりと、注意深く対策に取り組む必要があります。利用するデバイスに強固なパスワードを設定し定期的に更新したり、デバイスを常に最新の状態にアップデートしたり、といった取り組みも忘れずに行いましょう。

6-5.導入時に電話番号が変わる可能性がある

クラウドPBXの導入にともない、既存の電話番号が変更になる場合があります。番号ポータビリティサービスを利用すれば、一部条件下で既存の電話番号を引き継げるケースがあるものの、すべての番号に適用されるわけではありません。

特にIP電話タイプのクラウドPBXでは、通信プロトコルの違いから市外局番を使用した従来の固定電話番号の継続利用は難しく、新たに050などの番号を取得する必要があります。クラウドPBXを導入する際は、現在のキャリアへ引継ぎが可能かを確認しましょう。

7.クラウドPBXの料金相場

クラウドPBX導入には、初期費用や月額利用料金、通話料金などがかかります。以下は、おおよその料金相場です。

初期費用 1万円~5万円前後
月額基本料金 内線1回線あたり1,500円~3,000円前後
通話料金 固定電話:3分につき8円前後
フリーダイヤル:1~3分につき10円前後
携帯電話・スマホ:1分につき15円前後
電話機本体 購入費:1台あたり1万円~5万円前後
レンタル代:100円から
設置機器代+工事費(光回線の場合) アダブター:1台あたり3万円~5万円前後
工事費:1万円前後
オプション料金 自動録音:月額約2,000円~3,500円前後
IVR:月額約1,500円~3,000円前後
電話会議:月額2,000円~5,000円前後

ただし、これはあくまでも相場です。実際にかかる費用は、利用するベンダーやプランによって異なります。具体的な料金は契約前に確認しましょう。料金プランによっては、通話時間を超過すると追加料金が発生するものもあるため、注意が必要です。

8.クラウドPBXの便利機能

クラウドPBXには、共通電話帳・保留機能・音声ガイダンス・留守番電話機能・CTI機能・IVR機能などが、基本機能として備わっています。これらの機能に加えて、クラウドPBXにはさまざまな便利機能も搭載されており、業務の効率化や顧客対応の質の向上が期待できるでしょう。

ここでは、クラウドPBXの便利機能を4つ紹介します。

8-1.通話録音機能

外線通話をすべて録音し、クラウドサーバーに保存する機能です。録音機能の利用により、「言った・言わない」のトラブル防止や、通話内容の確認・分析による顧客対応の向上が期待できます。録音データは相手の電話番号とともに時刻や通話時間なども記録され、任意での再生・ダウンロード・削除が可能です。

また、通話開始時に「この通話は録音されています」とアナウンスを流せば、執拗な営業電話や理不尽なクレームを抑制する効果もあります。コールセンターなどでの活用はもちろん、あらゆるビジネスシーンでのコミュニケーション品質の向上に貢献するでしょう。

8-2.インターネットFAX機能

クラウドPBXのインターネットFAX機能は、従来のFAX機がなくてもスマホやPCから直接FAXの送受信ができます。FAXのデータはPDFで送受信されメールなどで確認できるほか、送信相手は通常のFAXとしての印刷も可能です。

この機能により、紙やトナーの消費削減やペーパーレスを推進できます。オフィスにいなくてもFAXを確認できるため、テレワークや移動中でもコミュニケーションに支障をきたしません。

8-3.ビジネスチャット機能

クラウドPBXのビジネスチャット機能では、電話とメッセージの一元管理が可能です。ユーザー同士がチャットで簡単にやり取りでき、電話が不通のときにメッセージを残したり、誤解を避けるために文字情報を共有したりできます。

また、連絡に複数のアプリやアカウントを使い分ける必要がないため、業務の効率が向上します。業務専用のチャットツールの使用により、プライベートと切り替えやすく、誤送信や情報漏洩のリスクを減らせるのもビジネスチャットのメリットです。

8-4.ページング機能(構内放送)

クラウドPBXのページング機能(構内放送)を使うと、緊急放送や特定の従業員の呼び出し、会議の案内などが場所を選ばずに発信できます。たとえば、「◯◯さん、1番に電話です」や「火災が発生しました、速やかに避難してください」などのアナウンスです。

放送室に行かなくても必要な情報を迅速に伝えられるため、業務の効率化やお客さまへの電話対応の迅速化に役立ちます。非常時の連絡手段や迅速な避難指示、安全確保にも役立つ機能です。

9.クラウドPBXの選び方

クラウドPBXの選択肢は多く、提供事業者やサービスごとに異なる特徴や機能があります。自社の特性に合わせて、慎重にサービスを選びましょう。

以下では、搭載機能・通話品質・料金設定・既存番号の利用可否など、クラウドPBXサービスの選定時に考慮すべきポイントを4つ解説します。

9-1.必要な機能が備わっているか

クラウドPBXを選ぶ際、自社に必要な機能が備わっているか、必ず確認しましょう。内線化や保留転送などは基本機能として備わっています。しかし、サービスによっては録音機能や通話データ分析、文字起こし、スケジュール機能などが利用できません。

テレワーク対応や営業業務の効率化に役立つ機能、たとえばIVRやネットFAX、CRMツールとの連携なども選定のポイントです。また、クラウドPBXは基本的に自社で管理するため、管理画面の使いやすさも重要な要素となります。

9-2.通話品質が高いか

多くのクラウドPBXは従来のビジネスフォンと同水準の音質を実現していますが、通話の音声が途切れるなどの問題を抱えているサービスもあります。無料トライアルまたはデモンストレーションを利用して、実際の通話品質を確認することが大切です。

また、オフィスやリモートワーク時のネットワーク環境も通話品質に影響するため、実際の使用環境でもテストをしておきましょう。通話品質が高いサービスを選んだほうが、顧客満足度の向上や電話業務の効率化につながります。

9-3.予算に合った料金設定か

サービスによって、クラウドPBXの通話料金の設定やオプションの料金は異なるため、料金体系も比較しましょう。会社の規模や従業員数、回線数など、サービスによっても料金が変動する基準はさまざまです。

同業種や同規模の企業への導入実績を参考にすると、自社に適したサービスを選ぶ手助けになります。また、ビジネスフォンの残債があると一括での返済や解約金を求められる場合もあるため、確認しておきましょう。

9-4.電話番号がそのまま使えるか

クラウドPBXを選ぶ際には、現在使用している電話番号をそのまま利用できるかも重要なポイントです。クラウドPBXのサービスによっては、新規に電話番号を設定しなければならないケースも少なくありません。

電話番号を引き継げれば、顧客へ電話番号変更を通知する手間や、問い合わせを逃すリスクを防げます。既存の業務に影響をおよぼさないよう、自社の状況に合ったサービスを選ぶことが重要です。

まとめ

クラウドPBXは、各種電話機の外線と内線を管理するPBXの機能をクラウド化したシステムです。インターネット環境があれば、スマホやPCなどマルチデバイスで利用でき、場所を選ばずどこでもオフィスの電話番号で通話ができます。条件によっては比較的イニシャルコストが安価に抑えられたり、同一キャリ間の外線通話や内線通話が0円となったり、コストメリットもあります。ただし、基本使用料が月々発生する、場合により必要な機能がオプション扱いになる、今の電話番号を引き継げない可能性があるといった注意点もあるので、忘れず確認しましょう。

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