リモートワークを実施する企業が増え、リモートアクセスも定着しつつあります。リモートアクセスなら外部から自社のパソコン(PC)を操作できるため、業務効率化も実現可能です。この記事では、リモートアクセスの概要とともに、通信手段の種類やメリット・デメリットなどを解説します。導入手順についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
- リモートアクセスとは
- リモートアクセスの種類
- リモートアクセスのメリット
- リモートアクセスのデメリット
- リモートアクセスの主な通信手段
- リモートアクセスの接続方法を選ぶポイント
- リモートアクセスを導入する際の注意点
- リモートアクセスを導入する手順
- まとめ
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リモートアクセスとは
リモートアクセスとは、電話回線やインターネット回線を介し、ある場所から別の場所にあるPCを遠隔で操作する方法です。リモートアクセスを行えば、離れた場所から自社のPCを操作して業務を進められます。なお、リモートアクセスの方法には複数の種類があります。
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リモートアクセスの種類
リモートアクセスの種類としては、サーバアクセス型やクライアントアクセス型があります。リモートアクセスを導入する際は、それぞれの違いをあらかじめ理解しておくことが大切です。ここでは、リモートアクセスの種類について解説します。
サーバアクセス型
サーバアクセス型は、外部から社内のサーバにアクセスして遠隔操作する方法です。サーバそのものにアクセスするため、保存されているデータもダウンロードできます。ただし、安全性を高めるには、情報漏洩への対策が必須です。
サーバアクセス型は、業務でノートPCを使用している場合に向いています。たとえば、社内でノートPCを使用しており、社外へ持ち出す機会があるケースが当てはまります。
クライアントアクセス型
クライアントアクセス型は、端末ごとにサーバへのアクセスを許可したうえで遠隔操作する方法です。クライアントアクセス型を利用する場合、社内のPCの電源を入れておかなければなりません。そのため、社内のPCを外部から起動する仕組みも設ける必要があります。
たとえば、社内のデスクトップPCと携帯端末の両方を使い分けたい場合に適しています。また、経営システム部門をはじめとし、一部の従業員のみが限られたPCにリモートアクセスしたい場合にもおすすめです。
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リモートアクセスのメリット
リモートアクセスにはさまざまなメリットがあります。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのか解説します。
遠隔操作できる
リモートアクセスなら、遠隔操作によりオフィス以外のさまざまな場所からPCを利用できます。自宅、外出先、出張先などにいても、会社のPCから社内のシステムへアクセス可能です。場所を問わず、会社にいるときと同様のパフォーマンスで仕事を進められるのは大きなメリットです。在宅勤務やサテライトオフィス勤務、モバイルワークが可能な柔軟な働き方が可能となることで、従業員満足度の向上や、離職率防止といった効果にもつながります。
出先からでもPCに届く情報をチェックできる
リモートアクセスを導入すると、出先にいてもPCに届く情報を確認できます。取引先や自社の従業員からの連絡は、PCに届く場合が多いでしょう。リモートアクセスの仕組みがあれば、どこにいてもPCに届く情報をつぶさに確認できます。
その結果、迅速な返答や対応が可能になります。これにより、顧客へのスピーディなレスポンスで、商機を逃すことがなくなり、信頼関係を構築できる、従業員同士のやり取りが停滞せず、スムーズに進行するといったメリットがあります。
外部へ情報が流出するリスクを低減する
一般的に、自宅や出張先など、会社の外で仕事をするには、必要なデータをあらかじめUSBメモリなどにコピーし持ち出すか、データの入ったPC自体を持ち出す必要があります。これにより、紛失や盗難による、情報漏洩のリスクが高まります。リモートアクセスが可能であれば、会社のPCへアクセスする端末側のローカルに、機密情報をはじめとしたデータが残存することがなく、万が一の際にも、アクセス元端末から情報が流出することがありません。
移動コストや固定費を抑えることができる
オフィス外から会社のPCにアクセスして操作ができるため、必ずしも会社へ行く必要がなくなります。たとえば、自宅から近い距離のお客さま先へ商談に行き、定時近くに商談が終わったとしましょう。このとき、リモートアクセス環境があれば、日報と経費精算の入力をするために、わざわざ帰社して残業で作業をする、といったことがなくなります。これにより、交通や残業にかかるコストが削減できます。また、リモートアクセスによりどこからでも会社のPCへアクセスできるようになることで、オフィスへ出社する人数が少なくなれば、オフィス面積を縮小することも検討できるでしょう。そうなれば、月々の固定費を削減することも可能です。
災害時など、万が一に備えられる
地震や台風などの予期せぬ自然災害や、コロナの大流行のようなパンデミックが発生した場合、出社が難しい状況に陥る可能性があります。しかし、リモートアクセスができる環境が事前に整備されていれば、自宅にいながら遠隔で会社のPCにアクセスができ、平時と変わらず事業を継続することが可能です。リモートアクセスの導入は、日々の業務における生産性向上や情報セキュリティ対策以外に、BCP対策としての側面も持ち合わせています。
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リモートアクセスのデメリット
リモートアクセスには、多くのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
リモートアクセス中に通信を盗聴されると、そこからログインに必要な情報を盗まれ、悪意ある第三者からの不正アクセスを可能にします。また、アクセス元の端末自体のセキュリティ対策ができていないと、コンピューターウイルスに感染することも考えられます。アクセス元の端末を入り口にして、社内システムに侵入されると、そこからデータが流出したり、データを故意に削除されるといったトラブルが発生します。アクセスの際に必要なパスワードは複雑なものを設定し、定期的に変更する運用ルールを設ける、アクセス元の端末のセキュリティ対策を講じるといった対策をとり、安全性を高めましょう。不要なときはファイル転送の設定を無効にするなどの対策も有効です。
また、リモートアクセスを行うことで、必然的に通信量も多くなります。リモートアクセスを利用する以前と比べて、通信速度が遅くなる可能性もあるため、注意が必要です。導入を検討する際は、現状のインターネット通信環境を確認し、良好な通信を保てるかどうかも考慮しなければなりません。
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リモートアクセスの主な通信手段
リモートアクセスの通信手段は、VPN、リモートデスクトップ、VDI、クラウドなどがあります。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
VPN
VPNは、仮想ネットワークを構築し、関係者のみがアクセスできるようにして通信する方法です。「Virtual Private Network」の頭文字をとってVPNと呼ばれています。悪意をもった外部の人がアクセスするリスクが低いため、安全なリモートアクセスの環境を整備できます。
インターネットVPN
インターネットVPNは、インターネット回線上にVPN環境を構築して通信する方法です。低コストで利用できるため、人気があります。ただし、一般のインターネット回線に依存しているため、回線が混み合うと通信速度が低下する恐れがあります。インターネットVPNでは、IPSecやSSL-VPNなどを併用するケースが多いです。
IP-VPN
IP-VPNは、通信事業者専用の閉域網にVPN環境を構築して通信する方法です。「Internet Protocol Virtual Private Network」を略し、IP-VPNと表現します。一般のユーザーはアクセスできない領域を利用するため、インターネットVPNと比較し、通信速度が安定しています。また、安全性も高いです。ただし、ほかの方法と比較すると、導入時の費用が高くなる傾向があります。
導入費用を抑えたい場合、エントリーVPNの利用を併せて検討するのも手です。エントリーVPNは、ブロードバンドの閉域回線に接続して通信する方法です。
→こちらも併せて読みたい「テレワーク化するならばIP-VPNがおすすめ!その理由とは?」
イーサネット
イーサネットは、通信事業者のイーサネット網にVPN環境を構築して通信する方法です。IP以外のプロトコルも利用できます。通信速度が安定しており、セキュリティ面も優れています。ただし、イーサネットはVPNのほかの方法と比べても、導入費用が特に高額です。IP-VPN以上に費用がかかるため、予算と機能性を考慮して検討する必要があります。
リモートデスクトップ
リモートデスクトップは、社外の端末から社内の端末に接続する方法です。遠隔操作により、社内の端末を利用できます。そのため、社外の端末の性能が低くても、社内の端末の性能で作業できます。リモートデスクトップで作業した内容は、すべて社内の端末に記録される仕組みです。ただし、通信速度が遅くなれば効率も低下する恐れがあります。
VDI
VDIは「Virtual Desktop Infrastructure」の略称であり、「仮想デスクトップ基盤」を意味しています。PCで行う業務をサーバ上に構築した仮想PCで実行し、手元の端末に転送します。さまざまな権限を管理者が設定できるため、安全性が高いです。たとえば、アクセス権限、ダウンロード制限、OS更新などを管理者が一括で管理できます。
ただし、ネットワーク回線の速度が低下した場合、業務の効率も低くなる可能性があります。
クラウド
クラウドは、社外からクラウドにアクセスする方法です。利用する人数や内容によって環境を変えられます。既存の社内システムを変更しなくてもすぐに利用できるため、スムーズにリモートアクセスに必要な環境を整えられます。ただし、クラウドをリモートアクセスに活用する場合、提供されているクラウドサービスの範囲内で利用しなければなりません。
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リモートアクセスの接続方法を選ぶポイント
VPN |
リモート |
VDI |
クラウド |
|
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導入にかかる期間 |
△ |
◎ |
△ |
◎ |
システム拡張性 |
○ |
△ |
◯ |
△ |
導入コスト |
△ |
◎ |
△ |
◯ |
セキュリティ |
◎ |
△ |
◎ |
△ |
リモートアクセスの接続方法を選ぶときは、自社のニーズを考慮することが大切です。ここでは、選ぶ際のポイントを解説します。
導入コストを抑えたい場合
導入コストを抑えたいなら、リモートデスクトップが最もおすすめです。リモートデスクトップなら、IP固定やポート開放などは必要ありません。Windows10(Windows 10 Home以外)には、リモートデスクトップの機能が標準搭載されています。
よって、新しくツールを導入しなくても、リモートデスクトップによるリモートアクセスを実現できます。なお、最も導入コストがかかる接続方法はVPNです。
セキュリティ面を強化したい場合
安全性を重視したい場合は、IP-VPNやイーサネットなどのVPNまたはVDIが適しています。OSの更新を含むすべての設定を管理者が管理できるため、セキュリティを強化しやすいです。ただし、システムの拡張性はそれほど高くありません。機能性を重視する場合は、そのバランスも検討しましょう。
リモートデスクトップは情報漏洩への対策に漏れが生じやすく、対策を強化するには専門知識が必要です。そのため、機密情報を扱う際は特に注意しなければなりません。
まずは気軽に導入してみたい場合
気軽にリモートアクセスを導入したいなら、リモートデスクトップやクラウドが向いています。いずれも社内システムを改めて変更せずにすぐ導入できます。仮に社内に浸透しなくても、無駄なコストを最小限に抑えることが可能です。
リモートアクセスの接続方法のうち、最も導入期間が短いのはリモートデスクトップです。反対に、最も導入に時間がかかるのは、VPNです。
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リモートアクセスを導入する際の注意点
リモートアクセスを導入する際は、気をつけたいことがあります。ここでは、具体的な注意点を解説します。
利用目的を明確にしておく
リモートアクセスを有効活用するには、あらかじめ目的を明らかにしておくことが大切です。どの業務にどのようなニーズがあるか確認し、リモートアクセスを導入する業務を絞り込みましょう。業務の種類や内容によっても最適なリモートアクセスの接続方法は異なるため、よく検討する必要があります。
セキュリティについて検討する
リモートアクセスでは社外から会社のPCやシステムへアクセスするため、セキュリティ面の安全を確保する必要があります。必要な対策の内容によっても具体的な方法は異なるため、注意が必要です。たとえば、社外の端末へデータのダウンロードを認めるか、データの保存に制限をかけるかなど、細かい部分について決めておかなければなりません。
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リモートアクセスを導入する手順
リモートアクセスを導入するには、最初に接続方法の種類を決める必要があります。機能や費用などを比較し、総合的にみて最適なサービスを選びましょう。導入当初から会社全体で利用開始するのではなく、特定のチームや部署などから試験運用を開始する、スモールスタートのスタイルをとるのも良いかもしれません。社内の運用ナレッジを蓄積し、徐々に適用範囲を広げていけば、問題が起きた場合の対処もスムーズにいくようになるでしょう。
また、リモートアクセスの導入においては、セキュリティ対策が特に重要です。機密データを流出させないようにするには、事前に自社で起こりうるリスクの洗い出しをするほか、他企業の具体的な失敗例をもとに対策を検討すると効果的です。
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まとめ
リモートアクセスを導入すれば、社外でも社内にいるときと同じように業務を進められます。さまざまな接続方法があり、特徴はそれぞれ異なります。自社の状況や業務の内容を考慮し、適切な接続方法を選択しましょう。
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※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。