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拠点間内線とは?仕組み・種類・メリットを詳しく解説

拠点間内線とは?仕組み・種類・メリットを詳しく解説

2025年10月27日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
複数拠点で使える「内線通話」とは?仕組み・種類・メリットをわかりやすく解説

複数の拠点を持つ企業にとって、社内のスムーズな連携は業務効率を左右する重要な要素です。そこで改めて注目されているのが「拠点間内線」です。拠点間内線は、地理的に離れた本社や支社間をつなぎ内線通話を可能にする仕組みで、2000年初頭にはすでに存在していましたが、近年ではクラウドPBXやスマートフォン連携など技術の進化により、より柔軟かつ低コストで導入できるようになりました。さらに、テレワークやハイブリッド勤務の普及に伴い、拠点間だけでなく自宅や外出先との連携も求められるようになり、内線の役割が再評価されています。こうした背景から、今あらためて「拠点間内線」が注目されているのです。

当記事では、拠点間内線の基本的な仕組みから、オンプレミス型PBXとクラウド型PBXの違い、導入による具体的なメリットなどを解説します。円滑なコミュニケーション手段を検討している企業のご担当者は、ぜひ参考にしてください。

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1. 拠点間内線とは

拠点間内線:地理的に離れた複数の事業所間をインターネット回線やVPNで接続し通話を内線として扱う仕組み

拠点間内線とは、本社と支社・支店、工場や店舗など、地理的に離れた複数の事業所間をインターネット回線やVPNで接続し、通話を内線として扱う仕組みです。以前はVPN接続が主流でしたが、現在はクラウドPBXを利用することでより柔軟な運用が可能となっています。拠点間の通話を内線化することで、通話料を削減できるほか、内線番号で相手を直接呼び出せるため業務効率が向上します。

また、外線の着信を別拠点に転送できる機能を備えたサービスもあり、その場合は迅速な対応が可能です。ただし、拠点間内線の基本機能ではなく、サービスごとの仕様に依存します。地理的に離れた拠点でも、内線通話によってスムーズな連携が可能になり、社内コミュニケーションの円滑化に大きく貢献します。

※内線番号で相手を直接呼び出すよう環境構築をしておく必要があります。

1-1. 拠点間内線の仕組み

拠点間内線は、複数拠点に設置されたビジネスフォンのPBXを、VPN(仮想専用ネットワーク)で接続することで実現します。VPNを使うことで、インターネットを介して各拠点の電話システムを安全に連携させ、拠点同士を内線でつなげる仮想的なネットワークが構築されます。

この仕組みによって、たとえば社内においては、東京本社の社員が大阪支店の担当者を内線番号で直接呼び出せるようになり、外線通話を使う必要がなくなります。また、社外からの電話を拠点間で保留転送することもできます。通話料金がかからないだけでなく、担当者に直接つながることで業務のスピードも向上します。

近年ではクラウドPBXを活用するケースも増えており、より柔軟で拡張性の高い運用が可能になっています。物理的な配線を必要とせず、初期導入が容易な点から、特に複数拠点を展開する企業にとって効果的な電話環境の整備手段と言えるでしょう。

2. 拠点間内線に使用される2種類のPBX

PBX:会社内の電話機同士を内線でつないだり外線との接続を制御したりする機器

PBXとは、「Private Branch Exchange(構内交換機)」の略で、会社内の電話機同士を内線でつないだり、外線との接続を制御したりする機器のことです。企業の代表番号にかかってきた電話を適切な部署や担当者に振り分ける、内線通話を無料で行う、通話の録音・転送など、ビジネスに必要なさまざまな電話機能を実現します。

かつて拠点間内線は、オンプレミスPBXを各拠点に設置してVPNで接続する方法、また本社にPBXを設置し、拠点側は電話機だけを置いて本社のPBXを利用する「サテライト接続型」が採用されていました。現在では、インターネットを活用して拠点をつなげるクラウドPBXが普及し、より柔軟でコスト効率の高い運用が可能となっています。

以下では、拠点間内線で主に使用される「クラウドPBX」と「オンプレミスPBX」の特徴について解説します。

2-1. クラウドPBX

クラウドPBXとは、社内に物理的なPBX機器を設置せず、クラウド上に構築されたPBXサービスを利用して電話の発着信や内線通話を行う仕組みです。インターネット環境さえあれば、スマートフォンやパソコンでも内線機能を利用できるため、企業は場所の制約を受けずに柔軟な電話運用体制を構築できます。リモートワークや多拠点運用など場所を選ばない働き方に特に適した選択肢です。

クラウドPBXは初期費用を抑えやすく、固定電話機が不要な場合は設置工事も不要なため、短期間で導入できるのが大きな利点です。また、サーバーの保守やソフトウェアの更新などは提供事業者側で行うため、管理の手間も少なくなります。

一方で、月額利用料が発生することや、通話品質が通信環境の影響を受けるケースがある点には注意が必要です。また、ネットワーク環境のセキュリティ対策にも依存するため、導入前には安全性の確認も大切です。柔軟な働き方に対応しつつコストを抑えたい企業にとって、現代的かつ有力な選択肢と言えるでしょう。

※アプリケーションの更新は利用者側で行う必要があります。

2-2. オンプレミスPBX

オンプレミスPBXとは、自社内に設置された電話交換機(PBX)を使って、内線・外線の通話を管理・制御するシステムです。「オンプレミス」とは「施設内設置型」を意味し、物理的に機器を社内に置いて運用します。従来のビジネスフォンで広く使われてきた方式です。

オンプレミスPBXには、電話線で接続するタイプと、社内のIPネットワークを活用する「IP-PBX」と呼ばれるタイプがあります。IP-PBXでは、VoIP(Voice over IP)技術を用いることで、LAN経由で電話機やパソコン(PC)と接続し、通話や機能連携が可能です。

自社ネットワーク内で完結するためセキュリティや通話品質が安定しており、信頼性を最優先する企業に適しています。一方で、導入時の設備投資や保守管理といったコストが発生します。特に複数拠点で運用する場合は、拠点ごとにVPNの構築や、場合により機器の設置が必要になるため、手間や費用がかかる点には注意が必要です。

3. 拠点間内線のメリット

拠点間内線を導入することで、通話料の削減や業務効率の向上、リモートワーク対応など、企業活動を支えるさまざまな利点が得られます。ここでは、拠点間内線がもたらす具体的なメリットについて、6つ解説します。

3-1. 通話料の削減

拠点間内線を導入すれば、本社や支店など離れた拠点同士の通話が内線扱いとなり、通話料を無料または大幅に抑えることが可能です。通常は外線通話となるやり取りでも、内線として発信できるため、通信コストの削減につながります。

オンプレミス型PBXを利用する場合は、VPN接続のための固定IP契約やルーター設置などの初期費用が発生します。しかし、頻繁な通話がある企業にとっては、長期的に見て費用対効果の高い施策と言えるでしょう。

3-2. 業務のスピードアップ

スマートフォンや外線通話の利便性が高まる中でも、拠点間内線の導入には独自のメリットがあります。社内の電話帳やシステムを通じて部署や担当者を検索し、内線で直接連絡できる仕組みは、社内ネットワーク上で完結するため通話料の削減やセキュリティ面でも有利です。

また、外線番号の取得や発信制限がある環境では、内線の方がスムーズに連絡できるケースもあります。特に、頻繁なやり取りが必要な部門間では、内線を活用することで連絡のハードルが下がり、結果として業務連携のスピードや質の向上につながります。もちろん、相手が不在だったり、内線番号を覚えていない場合もあるため、他の手段と併用しながら柔軟に活用することが現実的です。

3-3. リモートワークや在宅勤務との連携

クラウドPBXやオンプレミスPBX(IP-PBX)を利用すれば、自宅や外出先でもスマートフォンやパソコンを使って内線通話が可能です。自宅で利用できるようになると、リモートワーク中でも社内と同じように連絡が取れるため、業務の遅延を防げます。個人端末を「社内電話」として活用できる点は、働き方の多様化にも対応した大きな利点と言えます。

3-4. 電話転送やグループ着信の柔軟性

拠点間内線を導入すれば、拠点をまたいだ電話転送や保留※1、グループ着信(同時着信)設定※2といったPBX共通の機能が柔軟に行えます。たとえば、東京本社で受けた顧客からの電話を、大阪支社の担当者に内線で直接転送することも可能です。担当者が複数名いる場合には、グループ着信(同時着信)設定により、複数端末を同時に鳴らすことができます。

さらにクラウドPBXを利用すれば、物理的な電話機に依存せず、スマホアプリやPCソフトフォンでも同様の機能を利用できます。そのため、在宅勤務や外出先でもシームレスに着信・転送が可能です。従来の拠点内対応に比べて場所にとらわれない柔軟な体制を構築でき、社内連携や顧客対応力が一層高まります。

※1 保留転送機能は多くの場合PBXに標準搭載されていますが、利用には機種ごとの設定や、構成条件が必要です。

※2 グループ通話機能は多くの場合PBXに標準搭載されていますが、対応機種とオプション契約、設定が必要です。

3-5. 災害・緊急時の連絡手段として有効

災害や緊急時には、公衆回線が混雑して電話がつながりにくくなることがあります。しかし、VPNを通じて拠点間の社内ネットワークを接続することで通話できる可能性があり、その場合、迅速な連絡手段として有効です。特にクラウドPBXやオンプレミスPBX(IP-PBX)を活用していれば、自宅や外出先の端末とも連携できるため、被災時でも情報共有がしやすくなります。

ただし、ネットワーク自体が不通になる環境では利用できないため、無線機やチャットツールなど代替手段を併せて確保しておくことも重要です。結果として、複数の連絡経路を組み合わせることで、拠点間の連携体制が強化され、対応の遅れを防ぐことができます。

4. 拠点間内線のかけ方

拠点間内線の操作は、基本的に一般的な内線通話と変わりません。多くの場合、受話器を上げて内線番号をダイヤルするだけで、離れた拠点にいる担当者と通話が可能です。電話機によっては「内線」ボタンを押してから番号を入力するタイプもあります。

あくまで一例としてですが、転送を行いたい場合は、通話中に保留ボタンを押し、相手先の内線番号を入力して受話器を置けば、転送先の担当者がその通話を引き継げます。また、複数人でのグループ通話や電話会議も可能です。たとえば、通話中に別の内線番号へ転送し、通話相手が出たタイミングで会議ボタンを押すと、三者間通話が成立します。実際の操作方法は、PBXの機種や設定によって異なるため、必ずしも同じ手順になるとは限らない点に注意が必要です。

拠点間内線:離れた拠点にいる担当者と通話が可能

スマートフォンを内線端末として利用している場合は、専用アプリケーションを使って通話する仕組みです。アプリによって操作方法は異なるため、導入時に確認しておくことが大切です。内線通話の方法は電話機の仕様やPBXの設定によって多少異なるため、マニュアルや管理者の指示に沿って使い方を確認しましょう。

まとめ

拠点間内線は、地理的に離れた複数の事業所をインターネット回線やVPNで接続し、通話を内線として扱う仕組みです。従来の外線通話を内線化することで通話料を削減し、内線番号での直接呼び出しにより業務効率を向上させます。

実現方法としては、オンプレミスPBXをVPN接続する方式と、クラウドPBXを活用する方式の2種類があります。オンプレミス型は通話の安定性が高い一方、導入にあたって初期投資や運用・保守のコストが大きくなる傾向があります。

クラウドPBXであれば物理的な設備を必要とせず、より簡単かつ低コストで拠点間内線を構築できます。スマホアプリやソフトフォン(PCで利用できる電話機能)との連携も進んでおり、柔軟な働き方への対応にも有効です。今後の企業電話環境はクラウドPBXが主流になっていく傾向があり、拠点間内線の導入を検討する際も、クラウドを軸とした選択肢を重視することが有効です。

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