WSUS廃止による影響と移行先ツール|廃止までに取るべき対策とは
MicrosoftによるWSUSの非推奨化発表から時間が経過し、企業の更新管理は大きな転換点を迎えています。これまで社内ネットワークを前提とした更新管理の中核として、当たり前に使われてきたWSUSは、2026年現在も利用自体はできるものの、新機能の追加はなく、長期的にはセキュリティリスクを抱えた運用になりかねません。重要なのは「いつまで使えるか」ではなく、高度化する次世代のセキュリティ基準に合わせて「どう運用を設計するか」を早期に判断することです。
当記事では、WSUSの概要や、現状と廃止(非推奨化)の影響、クライアントパソコン(PC)とサーバーそれぞれに適した、Microsoft標準の移行先ツールを解説します。更新管理を見直し、セキュリティ強化と運用効率化を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
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1. WSUS(Windows Server Update Services)とは
WSUS(Windows Server Update Services)とは、Microsoftが提供する無償の更新プログラム管理ツールで、企業内のWindows環境における更新配布を管理者が集中制御できる仕組みです。社内に設置したWSUSサーバーがMicrosoft Updateから更新プログラムを取得し、管理者の承認に基づいて各端末へ適用することで、トラフィックの抑制や適用タイミングの可視化を実現してきました。
大きな特徴は、Windows 10/11などのクライアントPCとWindows Serverの双方を一元管理できた点にあります。Active Directoryと連携したグループ単位の制御が可能だったため、多くの日本企業で標準的な管理基盤として採用されてきました。しかし現在は、管理対象の特性に合わせた「クラウドネイティブな管理」への移行が推奨されています。
1-1. WSUSが廃止(非推奨化)された背景
Microsoftは2024年9月、WSUSを将来的に非推奨とする方針を発表しました。ここでの「非推奨」とは、直ちに利用できなくなるということではなく、今後「新機能の追加や機能拡張が行われなくなる」ことを意味します。現行機能や更新プログラムの提供自体は継続されます。
出典:Microsoft「Windows Server Update Services (WSUS) が非推奨に」
この判断の背景には、Microsoftが掲げるクラウドファースト戦略と、働き方の劇的な変化があります。働き方の多様化が進み、ハイブリッドワークや外出先でのデバイス利用が一般的になった現在、オンプレミス環境を前提としたWSUSによる従来の管理方式では、更新配布状況の可視化や通信帯域の最適化において、管理者の運用工数が増加しやすくなっています。そのためMicrosoftは、場所を問わず安全にパッチを適用できる、クラウドベースの更新管理への移行を明確に打ち出しています。
2. WSUSの廃止が企業に与える影響
WSUSの廃止(非推奨化)は、IT運用の現場に、以下のような複合的な影響を与えます。
- 集中管理と状況把握の困難化
代替手段を講じないままWSUSの運用を停止した場合、各端末が個別に更新を取得する形となり、「制御不能」な状態に陥ります。特に中小企業では、どの端末にパッチが当たっているかを1台ずつ確認する手間が生じ、管理者の負担が増大します。 - セキュリティ脆弱性への対策遅延
WSUSの新機能開発が停止することで、将来的なWindows OS仕様変更にWSUSが対応できなくなるリスクがあります。更新管理が滞ることは、既知の脆弱性を放置することと同義であり、ランサムウェアなどのサイバー攻撃に遭うリスクを高めることになります。 - 「管理のための管理」という無駄の発生
WSUSを維持するには、WSUSサーバー自体のOS更新や基盤となるサーバー環境の継続的保守が必要です。更新管理のための仕組みを維持すること自体が運用負荷となり、本来注力すべき業務とは別に、「管理のための管理」が発生しやすくなります。クラウドベースの管理へ移行しないまま運用を続ける場合、将来的には不要となり得るインフラ維持コストや人的リソースを消費し続けるリスクも無視できません。
3. WSUSはいつまで使用を続けられる?
WSUSは非推奨とされたものの、直ちに使用できなくなるわけではありません。WSUSはWindows Server 2025にも引き続き搭載されており、Windows Server 2025の延長サポート終了日である2034年11月14日(米国時間)までは、少なくとも利用できる見込みです。
ただしこれは、「不具合なく最新のOSを管理し続けられること」を保証するものではありません。将来的にWindows Updateの仕組みが変更した場合、WSUSが追従できないリスクも想定されます。そのため、「まだ使える」「あと10年ある」と安心するのではなく、次のPCリプレイスやサーバー更新のタイミングを移行のデッドラインと捉え、計画的に移行を検討することをおすすめします。
出典:Microsoft Learn「Windows Server 2025」
4. 【目的別】WSUSからの移行先として推奨されるMicrosoft標準ツール
Microsoftは、WSUSが担ってきた役割を「PC」と「サーバー」で最適に分離・発展させた標準の後継ツールを提供しています。以下では、それぞれの特徴と役割を解説します。
4-1. クライアントPCの管理なら「Microsoft Intune」
Microsoft Intuneとは、Microsoftが提供するクラウド型のエンドポイント管理サービスで、インターネット経由でデバイスを管理できます。PCが社内・社外のどこにあっても、更新ポリシーや構成を一元的に適用し、Windows Updateの適用状況を可視化・制御できる点が特徴です。
クライアントPCの更新管理においては、Intuneを基盤とし、Windows Update for Businessを用いて更新を制御する方法が基本となります。その上で、組織の要件に応じてWindows Autopatch※1 を活用することで、更新ポリシーの計画や段階的な展開といった運用判断をMicrosoft側に委ねることが可能になります。
これにより、更新運用に伴う設計・調整作業の負担を抑えつつ、安定したパッチ運用を実現します。
※1 利用には対象のライセンスが必要です。
出典:Microsoft Learn「Prerequisites」
4-2. サーバーの管理なら「Azure Update Manager」
Azure Update Managerとは、Microsoftが提供するサーバー向けの更新管理サービスで、Windows ServerやLinuxを実行するマシンの更新プログラムをAzure上から一元的に管理できます。Azure上の仮想マシンだけでなく、Azure Arcを介することでオンプレミス環境や他社クラウド上で稼働するサーバーも管理対象に含められ、複数環境をまとめて管理できる点が大きな強みです。
WSUSで担ってきたサーバー向け更新管理の移行先として位置付けられており、単一のダッシュボードで更新状況やコンプライアンスを可視化できます。また、即時適用だけでなく、メンテナンス時間に合わせた計画的な更新や、ピーク時間を避けた自動適用にも対応します。さらに、再起動を伴わないホットパッチや動的スコープによる大規模展開も可能です。
このようにAzure Update Managerは「サーバー管理」に特化しており、WSUSが担っていたサーバー更新管理をクラウド前提で安全かつ柔軟に置き換える役割を果たします。
5. WSUSの移行先ツールの比較ポイント
WSUSの移行先を検討する際は、管理対象や更新制御の考え方、運用コストを軸に比較するとよいでしょう。以下は、WSUSとMicrosoftが提供する標準的な更新管理ツールの比較表です。
| ツール名 | WSUS | Microsoft Intune + Autopatch |
Azure Update Manager |
|---|---|---|---|
| 主要な機能 | 更新プログラムの承認・配布 | PC管理+更新の自動化 | サーバー更新の自動化・可視化 |
| 管理対象 | クライアントPC、サーバー(社内ネットワーク前提) | クライアントPC(Windows 10/11)(社内・社外問わず) | サーバー(Windows、Linux)(Azure / オンプレミス※2) |
| 更新の制御 | 手動承認・手動運用が中心 | Microsoft主導の計画・段階的自動展開 | 即時/スケジュール/自動適用 |
| コスト | 無料(サーバー維持・運用コストは別途) | サブスクリプション型※3 | Azure VM:追加費用なし / Arc対応サーバー:有料(月額課金) |
| 向いている企業 | 閉域環境前提で更新管理を継続したい企業 | クライアントPC管理を自動化し、セキュリティを高めたい企業 | サーバー更新を効率化・可視化したい企業 |
※2 オンプレミスは Azure Arc 経由前提。
※3 Autopatchは Windows 10/11、Enterprise/Education などの対応エディションが必要。
クラウド型ツールは有料ですが、その価値はライセンス費用以上の運用削減効果にあります。Intune+Autopatchなら、社外PCを含めた一元管理と日常的なパッチ運用の自動化が可能となり、更新にかかる管理者の工数を大幅に削減できます。Azure Update Managerでは、サーバー管理やメンテナンス作業を効率化し、オンプレミスとクラウドが混在する環境でも更新状況を一元的に可視化できます。
これらは単なる機能向上に留まらず、運用に関わる人件費や管理負荷を含めたトータルコスト(TCO)の削減にもつながります。そのため、WSUSの役割を分解し、Microsoft純正のクラウド管理環境に統一することが、最も効率的で将来性の高い移行策と言えるでしょう。
まとめ
WSUSは非推奨化されたものの、すぐに使えなくなるわけではありません。しかし、今後は機能拡張が行われず、働き方の変化やセキュリティ要件に継続して対応することが困難になります。
クライアントPCの更新管理はMicrosoft Intuneを基盤とし、組織要件に応じてWindows Autopatchを組み合わせることで、ポリシーベースかつ自動化された更新運用が可能になります。また、サーバーについてはAzure Update Managerを活用することで、更新状況の可視化と効率的なパッチ管理を行うことができます。
これらのクラウドベースの更新管理は、Microsoft 365を前提とした ID・デバイス管理の仕組みと親和性が高く、WSUSから移行する際、Microsoft 365への切り替えは実質的な選択肢の一つになります。
このように、WSUSが担ってきた役割を用途に応じて分解し、クラウドベースで再設計することが、今後の現実的な選択肢と言えるでしょう。まずは自社の管理対象や現在の運用を整理し、段階的な移行計画を検討することが重要です。
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