ホームThink with magazineDX・デジタル化
工場DXが失速する原因は「つながらない」こと。現場Wi-Fiの見直しポイント

工場DXが失速する原因は「つながらない」こと。現場Wi-Fiの見直しポイント

2026年02月26日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

タブレットを導入し、ペーパーレス化を始めたものの、「Wi-Fiがつながらない」「データが同期できない」といったトラブルで現場から不満の声が上がっていませんか?工場のDXが失速する原因の一つは、通信環境の不備にあります。本記事では、工場特有のWi-Fi課題を解決し、安定した通信環境を構築するためのポイントを説明します。

タブレット運用が始まると、通信の弱さが"欠陥"になる

工場のDXが失速する原因の一つは、「Wi-Fiがつながらない」など通信環境に関するトラブル。タブレットを導入し、ペーパーレス化を進めた工場で最初に直面する問題がまさにこれです。

入力途中で接続が切れる、データが同期できない、写真が送れない。こうした小さなストレスは、現場作業者の反発を招き、せっかく始めたDXが止まってしまう原因となります。

なぜこのような問題が起きるのでしょうか。工場内のWi-Fi環境は、オフィスとは根本的に異なります。金属製の大型機械が電波を遮り、配管や什器が複雑に入り組んでおり、電波の死角ができやすいのです。さらに、生産設備の配置変更や新しい設備の追加によって、電波環境が変化する可能性もあります。

つまり、工場内のWi-Fi環境は、オフィスの常識が通用しない特殊な環境なのです。

まずは現状把握──「どこで」「いつ」「何台が」つながりにくいか

Wi-Fi環境の改善は、現状把握から始めることが成功への第一歩です。

「つながらない」という漠然とした不満を、具体的なデータに落とし込むことが重要で、確認すべきポイントは以下の3つです。

どこで:工場内のどのエリアで接続不良が起きているか
いつ:特定の時間帯に問題が集中しているか
何台が:同時接続台数が多い時に問題が発生するか

工場では「勘」でアクセスポイントを増設すると失敗しがちです。
機械などの遮蔽物の影響が大きい上に、機械を稼働した途端にWi-Fiが繋がらなくなることもあります。また、工場は図面通りにいかないケースも多いものです。図面上にあるはずの配管がなかったり、すでに他の配線で埋まっていたりと、現場独自の難しさがあります。

アクセスポイントの設置位置を決める際には、電波調査を実施し、実際の電波強度を測定することが欠かせません。特に工場では、機械が稼働した状態での測定が必要となり、オフィスへのアクセスポイントの設置とは勝手が異なります。

現状を正確に把握することで、無駄な投資を避け、本当に必要な対策を講じることができるのです。

Wi-Fiだけでなく、「構内LAN」と「外部回線」まで含めて設計する

工場内の通信トラブルは、Wi-Fiだけが原因とは限りません。「つながらない」と一言で言っても、実際にはWi-Fi(端末〜アクセスポイント)、アクセスポイントを支える構内LAN(配線・スイッチなど)、外部回線(光回線など)のどこがボトルネックになっているかによって対処法は異なります。

だからこそ、Wi-Fi機器だけを入れ替えるのではなく、構築・監視・ログ取得・障害切り分けまで含めて"止まらない通信"として設計することが重要です。

業務用Wi-Fiの要件

家庭用Wi-Fiルーターは、遮蔽物が多く、接続台数や稼働時間もシビアな工場環境で利用するには不安が残ります。安定した稼働のためには、業務用ならではの以下のポイントが重要です。

  • 多台数の同時接続でも、通信が途切れない安定性(台数・通信量を前提にした設計)
  • 長時間連続稼働に耐える機器品質
  • 複数のアクセスポイントをまとめて管理できる機能
  • トラブル時に原因を切り分けられる可視化/ログ取得

工場全体にWi-Fi環境を整備することは、その先のシステムと連携したリアルタイムでの在庫管理や、AIカメラを用いた不良率の改善への一歩にもなります。

外部回線(光回線)の重要性

工場内のWi-Fiが整っていても、外部回線が細いと、クラウド同期や画像・動画の送受信で詰まってしまいます。複数のタブレットが同時に写真・動画・図面などを扱う場合、回線帯域は体感品質を大きく左右します。

光回線など十分な帯域の回線を確保することで、安定した高速通信が可能になり、クラウドシステムとのデータ同期もスムーズになります。加えて、障害発生時に迅速に対応できるよう、回線事業者のサポート体制も含めて検討しておくことが重要です。

Wi-Fi、構内LAN、そして外部回線を一体で最適化することで、工場全体の通信環境が安定します。これが、DXを実現するための強固な基盤となります。

導入後に効く運用──ゲスト分離・端末制御・ログで原因特定

Wi-Fiは「つながる」だけでは不十分です。「迷子にならない」運用設計が、現場の問い合わせを減らし、安定稼働につながります。

運用設計をしっかり行うことで、導入後のトラブルを最小限に抑えられます。以下の3つのポイントを押さえましょう。

1. ゲスト分離

業務用ネットワークと来客用ネットワークを分離することで、セキュリティリスクを低減できます。工場見学者や外部業者が使用するゲストWi-Fiを別系統にすることで、社内システムへの不正アクセスを防ぎます。

2. 端末制御

接続を許可する端末を制限し、不明な機器の接続を防ぎます。MACアドレスによる制御(MACアドレスフィルタリング)や証明書による認証、MDMの導入など、複数の方法があります。

3. ログによる原因特定

接続ログや通信ログを記録しておくことで、トラブル発生時に原因を迅速に特定できます。「いつ、どの端末が、どのアクセスポイントに接続していたか」というデータがあれば、問題の切り分けが容易になります。

工場のペーパーレス化、さらにIoT化が進むとWi-Fiのニーズはさらに高まります。数多くのデバイスがWi-Fiでネットワークに接続されるようになり、安定した通信環境がより一層重要になります。

運用まで含めて設計することで、「つながる」から「安定してつながる」へと進化し、工場DXが加速するのです。

まとめ

工場内のネットワーク環境は、DXを進める上での生命線です。タブレットやIoT機器がいくら優れていても、「つながらない」状況では宝の持ち腐れになります。

まず現状を把握し、「どこで」「いつ」「何台が」つながりにくいかを明確にします。次に、業務用Wi-Fiを軸に、構内LANと外部回線まで含めて設計し、ゲスト分離・端末制御・ログ管理といった運用設計まで行いましょう。このステップを踏むことで、工場DXは確実に前進します。

「なんとなく」でWi-Fiを増設するのではなく、計画的に・段階的に進めることが成功の鍵です。安定した通信環境こそが、工場の未来を支える基盤となります。

KDDI まとめてオフィスは、お客さまの現場に合わせた最適な環境構築をお手伝いいたします。Wi-Fiの設計や運用のルール作りなど、最初の一歩からぜひお気軽にご相談ください。

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。