スマートフォンをタップすれば、瞬時に世界中の情報にアクセスできる。SNSで友人とつながり、動画を観る。そんな「つながる」ことが当たり前の時代に育った高校生たちが、その裏側にある壮大な仕組みと、それを支える人々の存在に触れる機会がありました。
学校法人長野日本大学学園様とKDDI まとめてオフィス株式会社は、KDDIグループの総合力を生かし、学校法人長野日本大学学園様が目指す「ミライを創るチェンジリーダ(DX人財)の育成」を支援するために「キャリア教育及びDX包括連携協定」を締結しています。この包括連携協定に基づき、2025年12月に1泊2日の見学ツアーを実施しました。教員2名が付き添い、このツアーに参加した生徒は5名。彼らは何を感じ、どのような気づきを得たのでしょうか。
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学校の外で得る、本物の学び
今回のツアーは、生徒の卒業後の将来を見据えたキャリア教育や「情報Ⅱ」に役立つ学習・体験の提供を目的に実施されました。しかし、単なる校外学習ではありません。教頭の尾町教諭は「学校以外の場所で、より深い探究的な学びを行い、進路選択につなげる」という明確な目的を掲げています。
「長野という地域にいると、関われる人や資源が限られてしまいます。だからこそ、場所を変え、人を変え、多様な価値観を持つ企業さんと関わることで、生徒たちの価値観の幅を広げたい」と尾町教諭は語ります。企業の現場でプロからフィードバックを受けた生徒は「使う言葉が変わる」といいます。教科書やネットの情報だけでなく、財務や社会情勢といった要素まで踏まえて物事を考えるようになるのです。
インタビューを受ける尾町教諭
歴史が紡ぐ、技術の物語
ツアー初日、東京都多摩市のKDDI MUSEUMで、生徒たちはまず通信の歴史を学びました。1871年に長崎に敷設された海底ケーブルから始まり、モールス信号の体験や、巨大なパラボラアンテナによる衛星通信を見学。さらに、現代の光海底ケーブルや5Gへと続く通信技術の進化を追体験しました。
展示物の説明を受ける様子
展示されている海底ケーブルを観察する様子
ARを使ったアトラクションを体験する生徒たち。チームで街に携帯電話の基地局を設置してエリアを充実させていく
参加した國本さん(1年生)は、もともとゲーム開発に取り組んでいましたが、ローカル環境での開発が中心で、ネットワークには詳しくありませんでした。「クラウドの技術そのものというよりは、ネット通信に関わる『人』や『歴史』、そして動かすための設定などを知ることができました」と振り返ります。
モールス信号を体験する國本さん
特に印象に残ったのは、技術の背景にある物語だったといいます。「過去の偉人たちの挑戦やストーリーがあり、それが現代のKDDIの技術につながっている。『歴史と現代までのつながり』を知ることにすごく頭を使い、感銘を受けました」。技術的な話の前に、その背景にある物語に感動したのです。
インタビューを受ける國本さん
またKDDI ART GALLERYでは、スマートフォンとAR(拡張現実)スマートグラスを活用した新しい美術鑑賞を体験。通信技術が文化芸術の楽しみ方も変えている現状に触れました。
ARスマートグラスを使用した美術鑑賞体験の様子
自分の手で「つなぐ」体験
見学だけではなく、自分たちで手を動かして学びを深めるワークショップも実施。このワークショップは、KDDI まとめてオフィスが長野日本大学学園様のご要望に沿って準備したもので、実際にルーターやパソコンを用いた実習形式で行われました。生徒たちは自分のパソコンにIPアドレスを設定し、ファイル転送ソフトを使ってサーバーへアクセス。その上で、自作のHTMLファイルをアップロードし、Webサイトが表示される仕組みを体験しました。
独学でWebサイトの勉強をしていた内田さん(3年生)は、これまで自分のパソコン内でローカルのサイトを作るだけで、公開まではできていませんでした。「『通信』というと難しい印象が強かったのですが、今日実際に授業で手を動かしてみたことで、楽しく学ぶことができました」と笑顔を見せました。
KDDI まとめてオフィス社員と手順を確認しながら、サイトをアップロードする内田さん
インタビューを受ける内田さん
本ツアーの企画を担当した塚田教諭(情報科)は、「今の生徒たちの感覚だと『ネットは挿せばつながる』『スマートフォンは持てば使える』のが当たり前なんですが、その根本がどうなっているのかを学ぶことは、理系人材を育てていく上で必要」と語ります。ワークショップで自分たちが作ったWebページが実際にネットワーク上に上がって見られるようになった瞬間は、生徒たちにとって大きな成果となりました。
インタビューを受ける塚田教諭
24時間365日、インフラを守る使命
初日の最後は、日本の通信インフラを守る心臓部、ネットワーク監視センターの見学です。東京(多摩)と大阪の2拠点で同時に全国のネットワークを監視しており、片方が被災しても通信サービスを継続できる体制が敷かれています。能登半島地震の際のStarlink・車載型基地局などを用いた復旧活動内容や、さまざまなデータを駆使して現場対応サポートを行う災害復旧支援ツールが紹介され、生徒たちはリアルタイムで稼働する巨大な監視モニターを前に、インフラを支える責任感を目の当たりにしました。
ネットワーク監視センターの巨大な監視モニターを見つめる生徒たち
内田さんは「私たちが普段ネットを快適に使えているのは、24時間365日、交代でネットワークを監視する人たちのおかげなんだなと実感しました。自分の知らなかった世界を知って、すごく通信が身近に感じられました」と語ります。
塚田教諭も「生徒にとって一番学びになり、進路選択やキャリアをどうしようかと深く考えさせられたのは、やはりネットワーク監視センターを見たときだった」と振り返ります。
最先端の技術に触れる
2日目は、KDDIの高輪本社に移動し、「社外との共創とイノベーション創出を目指す未来への実験場」と位置づける「TSUNAGU BASE」を見学しました。
AIカメラを活用したデジタルサイネージや町おこしなどに活用できるXRプラットフォーム、社会実装を進めているAIドローンの説明を受けながら体験しました。
AIカメラを活用したデジタルサイネージを体験する様子
XRプラットフォームを体験する生徒たち
自動充電ポート付きドローン
見学の中では「メタバースコンテンツの作成は学生でもできるのか?」といった前のめりな質問も見られました。
その後、実際にドローンを飛ばす様子を見学し、ドローン自体にも触れることで最先端の技術に触れ、2日間の見学ツアーを締めくくりました。
実際にドローンを操縦する様子を見学
ドローンに触れて体験を深めました
文系・理系の枠を超えて
このツアーは、生徒たちのキャリア観にも大きな影響を与えました。文系の進学先を選んだ内田さんは「『情報=理系』という印象を持っていました。でもネットワーク監視センターの見学で『文系出身者も活躍しており、カスタマーサポートから目的意識をもち異動した人もいる』という話を聞き、文系や理系といった切り分けが全てではないと知れたことがすごく大きかった」と目を輝かせます。
國本さんも「今後はネットワークの知見を深めたい。分散型コンピューティングやブロックチェーンといったトレンド技術、あるいは中央集権的なコンピューターの仕組みなどへの理解を深めて、新しいプロダクト開発や、自分がやっているSNSの記事執筆などに活かしていきたい」と、具体的な目標を語りました。
尾町教諭は「進学校はどうしても『大学入試』一辺倒になりがちですが、大学側も多様な評価軸を持った入試を導入し始めています。一つの価値観だけでなく、多様な価値観に寄り添える生徒は、社会に出ても即戦力になります」と期待を寄せます。
企業連携だからこそ生まれる学び
塚田教諭は今後同様の企画を検討している学校へのアドバイスとして「『どうしたいか(学校側の意志)』をちゃんと形にすることが大事です。プロの方々と話すので、こちらの要望やアイデアを伝えながら計画を立てる必要があります」と語ります。また「来年度は授業の中に組み込んで、事前学習の時間をしっかり取った上で実施するなど、もっとブラッシュアップしていきたい」と、継続的な取り組みへの意欲を示しました。
普段何気なく使っているスマートフォンの向こう側に、150年を超える通信の歴史があり、24時間365日インフラを守る人々がいる。そして、文系・理系の枠を超えて多様な人材が活躍している。このツアーを通じて生徒たちが得た気づきは、これから彼らが進路を選択し、社会に出ていく上での大きな財産となるはずです。
「つながることが当たり前」の時代だからこそ、その裏側にある技術と人の営みを知ることが、次世代のデジタル人材育成の第一歩となるのかもしれません。
<取材協力>
長野日本大学学園
長野県長野市/私立/共学
長野県で唯一の幼小中高一貫教育に取り組んでいる学校法人。
日本大学の準付属校として、毎年4割の卒業生が日本大学に進学する。4年制大学への現役での進学率は90%を超え、長野県内ではトップクラスとなっている。また、新しい普通科として「探究創造学科」を新設。この学科では、自分の「好き」を究め、学びを深めることでその分野で世界をリードするスペシャリストを養成する学科となっており、地域のイノベーター人財育成につながる取り組みとして、特色ある探究的な学びを展開している。2024年4月には、ミライを見据えた多様な学びの環境を整えるべく、DXを活用した「通信制過程」をスタートさせた。また、全国で初めて国際バカロレア(IB)機構が提供する4つのプログラム(PYP,MYP,DP,CP)※の認定校となった。
※ PYP(Primary Years Programme:初等教育プログラム)、MYP(Middle Years Programme:中等教育プログラム)、DP(Diploma Programme:ディプロマ・プログラム)、CP(Career-related Programme:キャリア関連プログラム)
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