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5G時代の働き方改革へ。~いい仕事場でいい仕事~

生産性向上

セミナーレポート1 基調講演

5G時代の働き方改革へ。~いい仕事場でいい仕事~

2020年01月22日

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「KDDI まとめてオフィスフェア」セミナーレポート・第一弾は、KDDI ソリューション事業企画本部長の藤井 彰人氏による基調講演の内容をお届けします。5G時代の幕開けとともに、かつてないスピードで暮らしと社会が変わり始めるなか、働き方やビジネスをどのように進化させていけば良いのか、将来への道筋を解説します。

<プロフィール>
KDDI株式会社
理事 兼 ソリューション事業企画本部長
藤井彰人

大学卒業後、富士通、Sun Microsystems、Googleを経て、2013年4月にクラウドサービス企画開発部長としてKDDIに入社。2018年1月よりソリューション事業企画本部長。2009年より情報処理推進機構(IPA)の未踏IT人材発掘・育成事業のプロジェクトマネージャーも勤め若者のチャレンジを支援している。

目次

私たちを取り巻く環境の変化

―― 生産性向上・残業時間削減など「働き方改革」実践の主となる話はありますが、まずはITICTを中心として、我々を取り巻く環境がどのように変化しているのか振返ってみましょう。

藤井氏:
この20年間で私たちの職場は大きく変わりました。かつて机の上には、大きなデスクトップパソコンや書類、スケジュール帳、計算機、固定電話などが所狭しと並んでいましたが、いまでは、通信環境さえあれば、ノートPCとスマートフォンだけで、どこでも仕事ができる環境を手に入れました。このようなツールの変化に応じて、我々はどのように働き方のプロセスを変えていくべきなのか、正確に理解する必要があります。そこでご紹介したいのが「学び方」の領域です。

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ネットワークやツールの変化により、教育現場、学び方の環境も大きく変化しました。アメリカでは、オンラインで教育を受けるスタイルが人気です。UDACITYという営利教育機関では、オンラインで専門家向けの職業教育を受けることができます。修了すると、卒業証書をもらい、企業からオファーを受けられるというシステムです。これなら、会社を辞めずに隙間時間で勉強し、転職活動をすることができます。
Khan Academyという有名なNPO法人では、小学校の初期段階から大学レベルまでの教育をほぼすべてを無料で学ぶことができるサイトを開設しています。国内においても、有名大学が講義内容を公開するところなどでてきていますよね。予備校でも、自宅では授業の動画で予習をし、学校では予習結果により個々の理解度を把握したチューターがサポートをするといったスタイルも登場しています。
ITツールをフル活用し、学び方をがらっと変えた教育現場の実情を知ることで、我々の今後の働き方はどのように変化していけばいいのか、と考えさせられます。

ビジネスにおいても、ITをうまく利用した新たなモデルが生まれています。例えばSTICHFIXという衣料品小売りで有名な会社があります。彼らはまず、お客さまに50ほどのアンケートへ回答するよう求めます。パーソナルスタイリングシステムというのですが。後日、手元に箱が届くんですね。中には回答結果を基に、スタイリングされた商品が入っていて、気に入ったものだけを購入し、あとは返却するというサービスです。利用回数が増すごとに、データが蓄積されることで、より自分好みの商品が届くようになります。さらに、そのデータをAI が学習することで、「うちのお客さまはこんなデザインの服を作ると買ってくれるんじゃないか」といった改善までできる。こんな領域にきているんです。ドアダッシュというオンデマンドのフリーデリバリーサービスでは、家にいながら「トイレットペーパーを買ってきて」「レストランでテイクアウトしてきて」といったことを注文できます。このように、ITを中心にビジネスも大きく変化しているんです。

イノベーションはオフィスから生まれる

―― 将来、オフィスや働き方はどのように変わるのでしょうか?ITを中心に、場所にとらわれない働き方を実現できる環境があれば「オフィス」という場所は必要ないのでしょうか?

藤井氏:
オフィス業務の効率化の中心として、我々はITツールを使ってきたわけですが、すべてはネットワークをベースに、PCやスマートフォンという通信機器やさまざまなサービスに接続できればこそです。ネットワークのつながりにより、働く人と人をつなぐ。お客さまと会社をつなぐ。では、自分たちの会社はネットワークを通じて、何と何をつないでいけばいいのか?ネットワークを前提に考えることで、新たな働き方や、ビジネスが生まれていくんです。

ある友人は、起業するときオフィスをおきませんでした。ネットワークでつながったメンバーが各国にいて、カフェなどで会議ツールを使い、顔を合わせて仕事をするんです。別の知人は、会社のオフィスを廃止し、全員がリモートで働くという取り組みをしています。Salesforce では、リモートワーケーション用のオフィスを海岸近くに構え、希望する従業員は、夏場3 カ⽉はそこで仕事ができる制度を取り入れています。このように、柔軟な働き方で会社を魅力化して、優秀な人材をつなぎ留める・活用する・効率化することも、重要になってきます。

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ワークスタイルの変化と、前段としてネットワーク環境、通信デバイス(スマホ・PCなど)の必要性をご説明しましたが、実現すればデスクに縛られるという概念がなくなります。どちらかといえば、どこでも働けてしまう。けれど、みんなで議論をして、クリエイティブなものを考えついたり、コラボレーションして新しいアイディアを生み出す環境は必要です。私が以前いたGoogleではバーのようなミニキッチンが150mおきに設置されていました。効率のいいツールや環境を用意すると、従業員は誰とも会話しなくなっていきますから。「一息つこう」「お菓子でも食べよう」というときに、人が集まれる場所を意図的につくっておくわけです。将来、ツールや環境が整い、柔軟な働き方ができるようになればなるほど、このバランスが非常に重要になってくると考えています。

5G時代の到来、その波に乗る

―― 5G時代の到来を目前に、この流れに乗ることの重要性について考えてみましょう。

藤井氏:
例えば蒸気機関車です。当時、蒸気機関車を発明した人よりも、それを走らせる鉄道をひいた人や、その周辺で観光やレストラン・土地や建物のビジネスをはじめた人々が儲かったそうです。エジソンとテスラーの発電機や電球も、発明後に発電網を作り、コンセントが登場したところから、爆発的な家電ブームが到来し、瞬く間に成長しました。インターネットも同じですね。環境ができたことで、その周辺で多くのサービスやコンテンツ、プロバイダなどが生まれました。小売店がECサイトになったり、金融がインターネット経由で利用できるなど、ずいぶん便利になりました。
キーワードは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。最近よく聞かれる言葉ですよね。現在、⽂章などのデジタル化やその後のプロセスの自動化は達成されました。問題はその先の、自分たちの本業となるビジネスの部分をITICT技術を使って、どう変えていけるか、それがDXです。

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九州のとある小売り企業では、ウォルマートスタイルをまねて、IT技術をフル活用し、日々会社の成長を助けています。彼らは自分たちの店舗で、電子棚札を導入しています。「この場所で、この商品は、いくらの値札を付けるのが正解か」を判断し、本社側が自動で価格設定できる仕組みです。さらに、AI搭載のカメラを使い、どんな商品が売れ筋かの分析・改善まで行っています。正に、「デジタルトランスフォーメーション」ですよね。これだけ聞くととても高い壁に感じるかもしれませんが、誤解しないでほしいのは、彼らも一般の小売事業者だったということ。今の時代ですから、「こんなことを実現したい!」「これをやってみたらどうだろう?」というアイディアを実行するチャンスは溢れているんです。もしも、「うちの会社じゃ関係ない話だ」と思っている方がいらっしゃれば、将来の大きな機会損失にならないよう、今一度考えてみるのもいいのではないでしょうか?

結局何が言いたいかというと、過去もそうであったように、通信が「5G」という次のステージへ進むことで、働き方やビジネスといった周囲の環境は確実に変化していくということ。もっといえば、ネットワークでつながっている現代においては、その普及スピードは鉄道や電球の比ではありません。それを理解したうえで、うまく波に乗ることができれば、みなさんの会社の成長、ビジネスの可能性も広がっていくのではないでしょうか。ぜひ2020年、5G元年といわれる年に、さらなる発展と新たな可能性について、考えてみてください。

デジタルで働き方を変える3つのポイント

―― 次に、働き方を変えるためのICTツールの選び方を教えてください。

藤井氏:
ポイントは3つ、モビリティ・コラボレーション・セキュリティです。どこでも仕事ができる環境を整えるには、モビリティ(機動性)の高い端末の確保が不可欠です。スマートフォンはもちろん、最近はSIMカードを搭載し、データ通信が行えるSIM PCも急速に普及しているので、これらの導入を検討するのもいいかもしれません。
また、「チームの生産性」を⾼めるためには、空間活用以外に、コラボレーションがしやすいツールが必要です。「Office365」や「G Suite」を活用し、クラウド上で情報共有すれば、チーム全体の共同作業を劇的に効率化できます。また、ホワイトボードの共有やビデオ会議やチャットが使える「Cisco Webex」や、クラウド電話サービスの「Cisco Webex calling」も私たちが注目しているサービスです。まだ固定電話やPBXを使用しているオフィスなら、電話の取り次ぎや伝言などの負担を削減でき、業務効率化につながります。

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さらに、こうしたツールを活用する上で欠かせないのがセキュリティです。個⼈⽤スマホでLINEを使ってお客さまとやり取りをしてしまう、いわゆるシャドーITは、会社の知らないところで機密情報や顧客情報が洩れる恐れがあります。また、別の角度でいえば、過去のお客さまとのやり取りといった重要情報が、会社に残らないことも問題です。これを防止するため、会社としてビジネス版LINEの「LINE WORKS」を入れるというのも一つの打ち手ですし、スマートフォンやPCは、紛失することを前提にリモートでのロックやデータ消去が行えるサービスを導入しておきましょう。また、昔のように社内と社外の境界線が明確ではなくなり、モビリティ化でさまざまな場所からのアクセスが可能となったことで、ファイアウォールでネットワーク環境を守っていればいいというわけにはいかなくなっています。セキュリティの鍵は、IDを守り、正しく認証すること。万が⼀、不正なルートでアクセスがあっても侵入を防ぐ「ID」 のセキュリティが重要となってきます。ただ、さまざまなクラウドサービスに対して、1つずつID・パスワードを設定していると、パスワードの使い回し、類推されやすい単純なパスワード設定、パスワードをメモに残すなど、セキュリティ上の問題がでてきます。そこでおすすめするは、複数のクラウドサービスのID・パスワードを統合管理できる「KDDI Business ID」のような認証基盤を導入するとともに二段階認証をかける仕組みです。スマートフォンに通知されたワンタイムパスワードを画面から入力しなければ認証されず、アクセスができないので安全です。さらにセキュリティを重視される方には、「MAMMobile Application Manager)」や「MCMMobile Contents Manager)」などの細かな管理が可能な「KDDI EMM powered by VM ware AirWatch」というサービスもあります。

働き方改革は、中間マネージメント層から

―― 最後に、ICTツールの導入など、「働き方改革」を進めるうえで注意すべきポイントをご説明していきます。

藤井氏:
デジタルで働き方を変える際にはどのようなステップで適応していけばいいのでしょうか?まずは導入の決断が第一歩ですが、その後、システムの導入と移行があり、最終的に新たなICTツールを全社に浸透させる。この「浸透させる」ことこそが、実は最も難しいのです。たとえトップダウンで導入が決まっても、浸透させるためのプランをしっかりと練り、慎重に進めましょう。急いで導入して現場を混乱させてしまうと、不信感をもたれてしまい、二度と変化を望まない負のループに陥ってしまいます。まずは中間マネージメント層を対象に丁寧に導入し、そこから部下に「報告はこのツールで」「次回のミーティングはこの方法で」と指示してもらい、業務の中で使わざるを得ない状況にするのがおすすめです。使いやすい機能から導入して、少しずつ業務効率を高め、働き方を変えていきましょう。

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かつて松下幸之助はこう言いました。「人より1時間余計に働くことは尊い。だが、今までより1時間少なく働いて、今まで以上の成果を挙げることもまた尊い」。みなさんの会社でも、これを機会に、モビリティ、コラボレーション、セキュリティに注目して、働き方を変え、オフィスを変えて、新たな成長への一歩を踏み出してみませんか。

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※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。