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テレワークを「わからない」から「できる」へ 〜補助金等の制度についてもご紹介〜

セミナーレポート4

テレワークを「わからない」から「できる」へ 〜補助金等の制度についてもご紹介〜

2020年02月05日掲載(2023年11月02日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

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総合人材サービスのパーソルグループの一員であり、IoTやAIなどのテクノロジーを駆使してお客さまの生産性向上を支援しているパーソルプロセス&テクノロジー様。そのコンサルティング部門では、お客さまの働き方改革のコンサルティングに多くの実績を重ねるとともに、部門内の従業員全員がテレワークを実践。今回は、経験豊富なテレワークについて、導入効果と導入を成功させるポイントを伺いました。

<プロフィール>

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
ワークスイッチコンサルティングゼネラルマネジャー 兼
メディアWork Switch® 編集長 兼
ワークスタイル変革コンサルティング事業企画責任者 兼
総務省テレワークマネージャー
成瀬 岳人 氏

目次

テレワークとは、在宅勤務のことではない

―― まず、テレワークとはどういう働き方なのか、正しい意味を理解しましょう。

成瀬氏:
弊社では、コンサルティング業務を行っている部門で、5年程前から新入社員を含む全員がテレワークを行っています。オフィスは江東区豊洲にあるのですが、従業員300名に対して、席が30席しか用意されていないので、特別な用事がない限り行くことはありません。スタッフは、お客さま企業を訪問してコンサルティングなどを行いながら、自宅や外出先、サテライトオフィスで日々仕事をしています。
テレワークと言うと、在宅勤務のことだと思っている人いるかもしれませんが、それはテレワークの1形態に過ぎません。

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総務省ではテレワークのことを「ICT を活用して場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義しています。つまり、そのときの業務に最適な場所で、ICTを使って効率的に働くことがテレワークの本来の意味です。自宅で仕事をしていても、書類とペンしか使っていなければ、それはテレワークとは呼べません。"ICTを活用して効率的に働く"というところが大きなポイントです。また、「新入社員にテレワークをさせるのはいかがなものか」という議論は、弊社でも実際にありました。自分で仕事を組み立てられないうちは、テレワークは無理だという考え方はもっともだと思います。では、何年目からなら良いのか。その線引きも非常に困難で、どうせやらなくてはならないなら最初からやった方が良いと判断し、導入に踏み切りました。もちろん、随時相談にのり、困っていればオフィスで一緒に仕事をするサポートもしていますが、結果として、最初からやらせた方が自分で自分の仕事を作る能力が身につき、成長も早いことを実感しています。

生産性向上からBCP対策まで、多様なメリットがあるテレワーク

―― テレワークの導入によって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

成瀬氏:
テレワークの導入は、企業に大きく4つのメリットをもたらします。まず一つ目は、働き方改革の本道でもある「生産性向上」です。単に通勤時間や移動時間を短縮できるだけでなく、ICTをうまく使いこなすことによって業務の無駄がなくなり、コミュニケーションが円滑化し、生産性の向上につながります。二つ目は、「採用力の強化」です。最近はテレワーク制度に関心のある学生が増えているほか、事情があってフルタイム出勤できない人の採用にも広く門戸を開くことができます。さらに三つ目、優秀な人材の「離職防止」にも効果的です。例えば、家族の事情で実家などへ転居しなくてはならなくなった従業員も、テレワークがあれば、継続して働いてもらうことができます。最後に、意外なところでは、「BCP対策」にもテレワークが大変有効です。これまでBCP対策と言えば、データセンターや工場などの事業継続が中心でしたが、これからは従業員一人ひとりに対して、例えば、「Aさんには災害時にどうやって働いてもらうか」を考えるBCP対策が必要になり、その実現に際してテレワークは欠かせない選択肢になります。

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「とりあえずやってみよう」では、必ず失敗する

―― テレワークの導入を成功させるポイントとは?

成瀬氏:
テレワーク導入のコンサルティングをさせていただくと、「一度やってみたがうまくいかなかった」「制度はあるが活用されていない」というケースによく直面します。こうした失敗の原因は、「目的を明確にせずに導入している」「特定の部署・担当者だけで導入を進める」「現場が使いやすい運用設計ができていない」の3点に集約されます。
とくに多いのが、導入すること自体が目的化されてしまい、「とりあえず、事務職のAさんならできそうだからやってみよう」というケースです。もちろんトライアルは大切ですが、導入目的を明確にせずにトライアルしても何も検証できず、「できた・できない」で終わってしまいます。例えば、業務効率化を目的とするなら、それが可能になるテレワークのやり方を考え、必要なICT環境も含めて検証をするべきです。また、導入を検討する際に、人事部や総務部の特定の担当者だけで進めるのもお薦めできません。テレワークにはICTの導入が不可欠であり、セキュリティなど専門的な知識も必要になります。社内の専門部署の協力を得るか、経営層を説得して信頼できる外部コンサルやベンダーの協力を仰ぎましょう。さらに、テレワークは、運用設計がとても重要で、どの部署がどのように活用するのか、現場の業務に根ざした運用方法をしっかりと組み立てることが重要です。計画段階から現場も巻き込み、理解と協力を得ながら進めないと、せっかく導入しても誰も活用しないという事態になってしまいます。現場が使いやすい制度づくりと運用設計をしっかりと行いましょう。

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まずは、事務職の在宅勤務や営業職のモバイルワークから

―― テレワークはどのような職種から導入したら良いでしょう。そのために必要なICT環境とは?

成瀬氏:
テレワークは、業務内容によって必要なICT機器や運用方法が異なるので、まずは比較的導入しやすい部署から始めるのが良いでしょう。例えば、内勤事務職の在宅勤務です。こうしたテレワークには、内部にデータが保存されないシンクライアントPCと、社内のデータや業務アプリケーションにアクセスできるリモートデスクトップ(仮想デスクトップ)の環境が必要です。会社でもノートPCを使っているからといって、それを自宅へ持ち出して使うのはセキュリティ上、問題があります。かならず専用のパソコンを用意し、ID・パスワードで社内ネットワークにアクセスできる環境を構築しましょう。
また、営業職のリーダーを対象にしたテレワークも容易に導入できて、大きな効果をもたらします。例えば、外出先からパソコンやタブレットで会議に出席できるようにWeb会議のサービスを導入すれば、いちいち会社に戻る必要がなくなり効率的な営業活動が可能になります。また、最近はテレワーク難民という言葉も出てくるようになり、駅のベンチやビルのエントランスなどでパソコン開いている姿をよく目にするようになりましたが、「場所がないからWeb会議ができない」ということにならないように、サテライトオフィスを用意したり、コワーキングスペースが利用しやすい制度を作るなど、運用計画もしっかり組み立てましょう。

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一方で、テレワークを行う従業員の勤怠管理については、Web勤怠管理がおすすめです。働き方改革関連法案の施行に伴って、勤務時間の管理が厳格化されるなか、Web勤怠管理ならどこで働いていても、残業時間までをしっかり管理することができます。

国・自治体の導入支援制度を活用しよう

―― テレワークの導入支援や、ICT環境を整える補助金制度をご存じですか?

成瀬氏:
国による支援では、総務省が「テレワークマネージャー派遣事業」を行っています。これは、企業や地方公共団体での働き方改革に実績のある専門家 (テレワークマネージャー) が企業を訪問し、テレワーク導入支援やICTツールの紹介を行うもので、3回まで無料で支援が受けられます。また、東京都では、中小規模事業者向けの対策を行っていて、専門家による「ワークスタイル変革コンサルティング」を5回まで無料で受けられるほか、「はじめてテレワーク」という導入費用の助成事業も行っています。「はじめてテレワーク」は、文字通り、テレワークを初めて導入する企業が対象で、テレワークのためのICT機器・サービスの導入費用や、民間のサテライトオフィスの利用費用の補助を受けることができます。上限額は最大110万円ですが、最大3カ月間、費用が全額補助されるので、トライアルをするのに大変便利な制度になっています。
いずれの制度も、今年度はそろそろ終了してしまいますが、来年度も新たな施策が実施されるはずです。また、全国の自治体でも独自の支援事業を行っているので、ぜひお調べいただいてテレワークの導入に役立ててください。また私も、総務省のテレワークマネージャーとしてお手伝いをしているほか、弊社でも、テレワークの導入・定着のための支援プログラムを多数用意しています。「テレワークを始めたいが、何をしたら良いかわからない」とお悩みの企業様は、ぜひご相談ください。300社を超えるテレワーク導入支援のノウハウを活かして、みなさまの働き方改革をサポートいたします。

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