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一人一台のタブレットで「教える授業」から「考えさせる授業」へ|長野県須坂高校

教育・ICT

一人一台のタブレットで「教える授業」から「考えさせる授業」へ|長野県須坂高校

2020年11月25日

地域の知と創造の拠点としての「SAH(Super Academic High school)」という学校構想の実現を目指す、長野県須坂高等学校。長野県内の他の公立高校より一足早く、2020年5月に1年生全員にタブレットを配布した。導入からわずか5カ月で、「教える」授業から「考えさせる」授業へ変革を実現したという。

目次

須坂高校オリジナルの理想の学習環境を実現

須坂高校オリジナルの学習環境を実現

目指している学校構想の実現にはICTの活用が欠かせないと考え、ICTをすでに導入した学校を視察しながら検討を重ねた。家庭の通信環境に左右されず家庭学習を可能にしたかったことと、校内のWi-Fi整備が未完了であったことから、セルラー方式を選択した。

スムースな導入を実現すべく、端末は全生徒で統一することにした。生徒の私有端末の持ち込み方式だと、端末によって性能に差がある、一部の生徒のみ授業中にOSやアプリのアップデートが始まってしまうなど、授業の進行管理に影響がでたと、視察した学校から聞いたためだ。

さらに、スマホに似て直感的な操作が可能なこと、一括設定や管理が無料でできること、アプリの多さなどから、今のタブレットを選定した。授業で使うアプリは、視察した学校を参考にしたり、ネットなどで調査を重ねたりしながら決めていった。

生徒へタブレットを持たせるにあたり、トラブル防止や安全・安心の確保も欠かせない。KDDI まとめてオフィスにも相談しながら、管理ツールやフィルタリング設定など万全の準備を進めた。また、県内の多くの公立校に先駆けて導入したこともあり、保護者への丁寧な説明を心がけた。その際、KDDI まとめてオフィスが全国の事例を参考にしながら提供した情報も役立ったという。

授業の効率化で、授業スタイルの変革が進む

授業の効率化で、授業スタイルの変革が進む

授業のプラットフォームとして、授業支援ソフトのロイロノート・スクールを取り入れた。タブレットでのスライドや資料の提示、資料や課題の配布、課題の回収・添削・返却などに活用している。プリントの印刷・配布・回収や、板書をして生徒がノートに写す時間が節約できるので、授業時間を有効に使うことができる。ペアワークやグループワーク、授業の終わりにまとめと共有の時間を十分にとるなど、新たなアイディアを授業設計に加えることができるという。

※ロイロノート・スクールとは?
「思考力」「プレゼン力」「英語4技能」を育てる 授業支援クラウドです。全国2,000校以上の学校へ導入されており、KDDI まとめてオフィスがICT化をご支援する学校でも多く利用されています。

授業の効率化で、授業スタイルの変革が進む

タブレットの導入で、生徒に課す課題の形態も豊かになった。ノートを写真にとって提出させる、英語のスピーキングをタブレットで録音して提出させる、数学の問題の解法を音声で提出させるなど、教科を問わず生徒の学力を引き出す方法が充実してきた。プレゼンや協働学習の機会を増やすことで、学習的理解度とプレゼン能力・コミュニケーション能力も高まっている。

授業が変わると、生徒の姿勢や意識が変わる

授業が変わると、生徒の姿勢や意識が変わる

授業スタイルの変化は、生徒たちを変えはじめている。例えば、国語の授業で羅生門の最後のシーンについての感想を、タブレット上で書かせる。その後、全員の回答を電子黒板で表示させる。従来だと、二人か三人が指名されて発表するため、共有される視点・学びは限られていた。新しい授業スタイルだと、全員の視点が可視化されるため、生徒は多様な価値観に触れることができ、考えも格段に深まっていく。

積極的に手を挙げるのが得意ではない生徒の意見も可視化されやすくなる。面白い意見であると先生が取り上げるが、これが他の生徒の思考を広げる効果は想像以上に大きいという。なにより、本人が自分の意見に自信を持ち、授業に参加しているという感覚が強くなっていくのが収穫だ。

家庭学習でもタブレットは、活用されている。宿題をロイロノート・スクールで提出させることもあるという。生徒は宿題であっても通知がくるとうれしいようで、9時までに提出!と課題を出すと、ゲームをやる様な感覚で取り組んだりする。

提出した課題にコメントや質問を書くと、次の授業をまたずに先生が返答してくれることも好評のようだ。分からないことを放っておかなくなったことで、理解が深まって授業が好きになったとの声も上がっている。保護者から「受験の時よりも勉強している」と、うれしい報告もあったそうだ。

先生の授業の準備が変わる

先生の授業の準備も、「教える」内容の準備から、「思考させる」プロセスの準備にかわったという。
タブレットのおかげで反転学習や個別最適化がし易くなり、先生のアイディアでできることが増えた。生徒たちの思考する力をより強化しようと課題の出し方や授業設計をどんどんブラッシュアップしている。

その他では、課題や小テスト、ちょっと提示するためのプリントなどの印刷時間からも解放された。理解を促すためにインターネット上の動画やコンテンツを使うことがあるが、そういった素材を積極的に探すようになったのも変化と言える。

ICTで生徒の心に火をつける

ICT教育で生徒の子悪露に火をつける

ICTを活用して、さらに学びをアップデートしていこうとしている。授業と家庭学習の連携強化、アクティブラーニングのさらなる推進、同校独自の「哲学対話」との連携など、授業スタイルの変革をさらに進めていく予定だ。

懸念や心配もあったICT導入だが、授業が変わることで生徒の姿勢や意識が変わることを先生たちは日々実感しているという。ICT導入を推進した本多校長先生は、同校の学校構想SAHの実現に向けて手ごたえを感じている。「教育のICT化では、これまで以上に教材研究によってコンテンツを磨くことが重要になってきます。学校にとって大事なことは、ICTの利便性を生かし、いかに良質の刺激を与え、生徒の心に火をつけるかだと思います。今後は、一人一台タブレット導入のフロントランナーとして、授業や探究活動、生徒会活動、部活動を含む高校生活全体を魅力的なものにするために、紙ベースのアナログの良さも生かしたICTの成熟した利活用を追究していきたいと考えています」(本多校長先生)。

左から、新井隼冬教諭(数学科)、新田亮教諭(数学科)、本多健一校長、駒井健吾教諭(英語科)、今岡直也教諭(理科)

左から、新井隼冬教諭(数学科)、新田亮教諭(数学科)、本多健一校長、駒井健吾教諭(英語科)、今岡直也教諭(理科)

KDDI まとめてオフィス:短期間でのスムースなICT導入を支援

導入検討時に視察した学校への導入・運用の実績が、KDDI まとめてオフィスをICT導入のパートナーに選んだ要因だという。先行事例に基づいたアドバイスや、須坂高校仕様のタブレットの実現、保護者からの質問対応支援など、ICT導入をサポートした。導入が済んだいまも、何かあったときに迅速に相談にのってくれるパートナーになっているという。


<取材協力>
学校プロフィール:長野県須坂高校 様
長野県須坂市
県立/共学/722名(2020年4月時点)
高い志を持ち国際社会を逞しく生き抜く生徒を育成し、地域の知と創造の拠点となることを目指している。
その実現を加速すべくICT活用に取り組んでおり、2020年には県内の他校に先駆けて、1・2年生の生徒全員にタブレットを持たせた。2020年度、長野県から「信州グローバルハイスクール」に選定された。

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