ホームThink with magazineセキュリティ対策・危機管理
後回しではいけない今こそ実施したいBCP対策と通信の冗長化

後回しではいけない今こそ実施したいBCP対策と通信の冗長化

2024年06月04日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

2024年3月26日、 ITメディアオンラインに「中小企業が行うべきBCP対策と通信の冗長化」についてのインタビュー記事を掲載した。

今回はその掲載記事をご紹介します。

自然災害に備えてBCPを見直すならば、通信障害対策を忘れてはいけない。電話やインターネットが使えなくなる事態に備えて、何を用意すればよいのか。平時にも役立つ対策を紹介する。

オフィスのお悩みはKDDI まとめてオフィスにおまかせください

「セカンドネットワーク」を整備して事業復旧を早める

「BCP検討時に通信手段を軽視してしまう企業は珍しくない印象です。個人のスマートフォンで連絡が取れれば大丈夫、と考えてしまうようです。ただし、それだけに頼るにはリスクがあります」とKDDI まとめてオフィスの三瓶裕介氏(営業推進本部 デジタルマーケティング部 マーケティンググループ 防災士)は話す。大規模な自然災害の発生時、どの通信事業者も復旧に向けて全力を尽くす。しかし現実には、避難所をはじめとする公的な場所を優先せざるを得ない状況があり、企業のインフラが万全の状態に回復するまでには時間がかかるものだ。そのため企業は、何の備えもせずにいると事業継続が難しくなる可能性がある。

こうした状況に対処する方策は、複数の通信手段を用意しておくことだ。単一の通信手段に頼るのではなく、"セカンドネットワーク"を用意することが重要だ。「こうした備えをしておけば、復旧までのタイムラグを短縮できます」と三瓶氏は語る。しかしBCPのためだけにセカンドネットワークを用意するのはコスト面から難しいと考える企業もある。KDDI まとめてオフィスの山田真章氏(営業推進本部 デジタルマーケティング部 マーケティンググループ グループリーダー)は、「セカンドネットワークには、日常業務でも利用できるものを選ぶことをお勧めします」と話す。要は「いざ使おうとしたら使い方が分からない」とならないように、「普段から利用できるものを備えとする」という考え方だ。

ではセカンドネットワークはどのように整備すればよいのか。"自然災害による通信障害"といっても状況はさまざまだ。代表的な状況を4つに分類して対策を紹介する。

  • スマートフォンでインターネットだけは利用できる
  • 固定電話だけは使えるが出社する必要がある
  • 携帯電話、スマートフォン(データ通信を含む)、固定電話の全てが使えない
  • 電話とインターネットは辛うじて使えるが、大勢に対して効率よく連絡を取りたい

「インターネットだけ使える」「固定電話が使える」場合

KDDI まとめてオフィスの三瓶裕介氏(防災士)

KDDI まとめてオフィスの三瓶裕介氏(防災士)

1つ目は「通話はできないが、スマートフォンでインターネットは利用できる」パターンだ。こうした状況に備えるには、クラウド電話サービスを導入するという対策が考えられる。クラウド電話サービスは、オフィスの宅内に主装置を置く必要がなく、万が一オフィスビルが被害に遭っても通話不能にはならない。インターネットさえつながれば利用場所を問わないため、オフィス外でも従業員や関係者と連絡が取れる。Cisco Systemsの「Webex Calling」は、固定電話の電話番号を利用して架電と受電ができるため、利用者営業所の電話番号宛ての電話をスマートフォンで受けられる。

2つ目は「オフィスに固定電話があり、電話回線が使える」パターンだ。固定回線なら使えるものの出社が必要、という状況はBCPの観点では不十分だ。三瓶氏は、こうしたケースへの対策としてIP電話サービス「KDDI 光ダイレクト」とFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「KDDI ビジネスコールダイレクト」の組み合わせを提案する。KDDI 光ダイレクトには着信転送機能があり、オフィスの固定電話宛ての電話をスマートフォンに転送できる。転送設定はユーザー企業専用Webページから設定できる。KDDI ビジネスコールダイレクトには、スマートフォンの内線化機能がある。従業員のスマートフォンを内線電話として扱えるため、従業員はオフィスの外でも内線電話をかけてコミュニケーションができる。これなら、オフィスに出社できない状況でも普段と同じように内線電話でコミュニケーションが続行できるはずだ。

「何の通信もできない緊急時」の備えには衛星通信

KDDI まとめてオフィスの山田真章氏

KDDI まとめてオフィスの山田真章氏

3つ目の「携帯電話、スマートフォン(データ通信を含む)、固定電話の全てが使えない」パターンには、衛星通信や衛星電話を導入することで備えられる。地上の通信インフラに大きな被害が生じたときにはこれを使うことで、復旧までの時間をしのぐことができる。KDDIは2024年1月、能登半島地震においてSpace Exploration Technologies(SpaceX)の衛星ブロードバンド「Starlink」の衛星通信設備と通信環境を避難所に無償で提供した。Starlinkのサービスは低軌道の衛星を利用しており、低遅延で高速の通信に強みを持つ。「Starlinkは通常業務でも十分な性能を持ち、工場のように広大な敷地内で電波が届きにくい場所をカバーするのに有用です。へき地や海上、山間部などの不感地帯での業務に利用する事例もあります」と山田氏は説明する。

一斉に大人数に連絡したい場合にはビジネスチャットツール

4つ目のパターンは少し観点が異なる。「大人数に対し、電話以外の手段で連絡を取りたい」場合だ。例えば従業員の安否確認をする際、音声通話のみでは時間や労力がかかる。こうした場合、一斉に連絡できるコミュニケーションツールが有用だ。「グループを作っておけば、従業員に一斉に連絡できて状況のシェアもしやすくなります。KDDI まとめてオフィスでは、Microsoftの『Microsoft 365』、Googleの『Google Workspace』、LINE WORKSの同名ツールなど、各社のコミュニケーションツールを扱っており、お客さまの状況に合わせて適切な製品を提案しています。これらは日常業務でも便利に使えるツールですし、いざというときに困らないよう日頃から使うことをお勧めします」(山田氏)

業務改善をBCPにつなげる

これらのサービスを活用して通信環境を整備した幾つかの事例がある。

浄土真宗本願寺派 築地本願寺は、KDDI まとめてオフィスのサービスを活用して通信環境を整備した結果、BCP強化につながった。以前は固定電話の内線機能に頼るしかなく、職員間の連絡に時間がかかっていた状況を改善するために、全職員にスマートフォンを配布し、コミュニケーションツール「LINE WORKS with KDDI」を導入。KDDI ビジネスコールダイレクトを採用し、配布したスマートフォンを内線化した。内製のコンタクトセンターにはWebex Callingを導入。コンタクトセンター職員では回答が難しい問い合わせを、担当職員のスマートフォンへ転送できるようにした。この施策によって築地本願寺の職員は、場所に縛られない多様な働き方ができるようになった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、コンタクトセンター職員の出勤が難しい状況に陥った際には、在宅勤務に切り替えることで事業を継続できた。

築地本願寺様のコミュニケーション環境の概要

総合建設会社である所組は、現場業務の改善とBCPを見据えて衛星通信を導入した。同社は台風や集中豪雨に対する防災工事を担うために山間部での施工が頻繁にあり、現場の約4割は携帯電話がつながらなかった。従業員は外部への連絡のたびに電波が通じる場所まで15~30分かけて移動しなければならず、大きな負担となっていた。この状況を解消するために同社は、法人向け衛星通信サービス「Starlink Business」を導入した。「Starlinkのアンテナは小型であるため設置が容易で、通信品質も問題ない。現場でIP電話やメールのやりとりができるようになり、業務効率が改善した」と所組は評価する。同社の稼働エリアの中には、1カ所でも道路が通行止めになると孤立してしまう豪雪地帯がある。天候によって既存の通信設備が使えない事態に陥っても、衛星通信があれば通信手段を確保できる。同社はBCPの観点でも衛星通信のメリットを評価している。

さまざまな課題をワンストップで解決

通信障害を想定したBCPを考えるならば、独立した通信手段をセカンドネットワークとして確保しておくことが欠かせない。ただ用意するだけでなく、自社に適した環境を整備し、普段から利用することが"冗長化"になるのだ。ただし新しいネットワークインフラの導入には何かと苦労がつきまとう。「トラブルが生じたとき、問題点は通信事業者側にあるのか、それとも自社のネットワーク機器やシステムなのか、などと問題を切り分ける必要があります。これはユーザー企業だけでなくITベンダーにとっても簡単な工程ではありません」と三瓶氏は語る。それを踏まえて同氏は、KDDI まとめてオフィスの強みを「通信サービス、情報システム、デバイスなど、さまざまな製品とサービスを扱っており、ユーザー企業の課題に包括的な提案ができること」だと強調する。「弊社のサービスは『通信回線を引くまで』ではなく、ネットワーク機器を手配してお客さまがシステムを利用できる状態までフォローします。スマートフォンやPCなどのデバイス、さらには机や椅子などのオフィス家具も取り扱っています。課題に応じた解決策をワンストップで支援できます」(同氏)

山田氏は「通信事業は公共性の高いサービスであると自負しており、地震や台風など不測の事態にはできる限り早く復旧できるよう努力します。ただしどうしても、避難所をはじめとする公的な場所の復旧を優先せざるを得ない場面はあります」と説明する。だからこそ企業は、インフラが完全に復旧するまでの時間を乗り切るために、BCPを考える必要がある。「われわれも通信という観点から、BCPを積極的に支援していきたいと考えています」(山田氏)

【無料ダウンロード】

"もしも"に備え
知っておきたいBCP対策とは

"もしも"のときに、どうすれば良いのかを事前に策定するのがBCP(事業継続計画)です。BCP対策の中でも通信障害対策について詳しく解説していきます。

KDDI まとめてオフィスにおまかせください

ラベル:

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。