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緊急事態発生に先駆けて、企業が考えるべき従業員や関係者の安全確保

緊急事態発生に先駆けて、企業が考えるべき従業員や関係者の安全確保

2023年01月12日掲載(2023年10月31日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

他国と比較して、日本は予期せぬ災害の多い国です。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの地震に加え、洪水や台風など、被害の大きい自然災害が数多くある国はそうありません。

世界中で起こるマグニチュード6以上の地震の11.9%は日本が震源地です。その上、30年以内にマグニチュード7以上の地震が発生する確率も70〜80%ほどと言われています。そう遠くない未来で、いずれ再び大きな地震が日本中を襲うだろうと予想されているのです。

世界の災害に占める日本の災害

出典:国土交通省「河川データブック2022」

その他、戦争や大規模テロ、感染症の拡大など、防ぐことが難しい災害などへの対策は企業にとっては必要不可欠です。災害時、直接被害はもとよりサプライチェーンにも影響が出て業務に混乱が発生しやすい(*)ため、スムーズに復旧できる体制作りが求められています。

*参考:経済産業省

このコラムでは、災害を始めとする緊急事態が発生した際の従業員や関係者を守る手立てについて考えます。

目次

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緊急事態が発生した際に起こり得る人的な被害

出典:中小企業庁「BCP策定運用指針」より

予期せぬ緊急事態が発生した際、通信環境を含むライフラインや交通機関などインフラでの障害が起きるほか、企業目線で考えても多数の影響があります。売上の低下、店舗やオフィスなどの倒壊、情報の破損、そして従業員やその家族が災害に巻き込まれているなどが一例です。上図は緊急時におけるBCP発動フローを示したもので、緊急時にまず大切なのが初動対応です。

まず考えるべきは従業員や関係者の安全の確保です。自然災害の場合であれば、設備や什器などの破損・倒壊によって怪我をしてしまったり、交通インフラが麻痺し帰宅や出社が難しかったり、沿岸部であれば津波や高波、河川氾濫に巻き込まれるなど、さまざまな事態が想定されます。

また新型ウイルスなど、感染症の蔓延の場合も、従業員やその家族への感染の可能性がありますし、最悪の場合のことも考えなくてはなりません。このように、緊急事態の際「人」に及ぼす影響は複数あるのです。

緊急時の安否確認は「数多くのルート確保」が鉄則

「人」に及ぼす影響が複数あるからには、緊急事態発生の際に、まず行うべきは従業員や家族を含めた関係者の安全確認です。いつでも全従業員が社内にいるとは限りません。休日や早朝・夜間であればなおのことです。

ただ、2011年の東日本大震災などを例に考えてみると、安全確認は非常に難しく時間のかかる作業でした。大規模災害発生直後は、安否確認のための電話が急激に増加し、電話回線はアクセスが集中。繋がりにくくなったためです(*)

*参考:総務省「大規模災害時におけるインターネットの有効活用事例集 インターネットの有効活用事例集」

上長から送信されたメールが正しく届かず安全確認ができないということや、事前に安全確認フローが整備されていなかったため確認タイミングが大幅にずれたこともあったようです。

現在ではSNSやチャットツールの発達によって、情報発信を行うことで安否確認ができたり災害時の情報を素早く確認できたりしますが、それも確認フローがあってこそ成り立つものなのです。

企業がまず整備するべきは、安否確認の手段をしっかりと決めて、従業員へ定着させることです。また、確認フローを策定する場合には「安否確認の手段を複数持つこと」がとても大切です。

メール、チャットツール、社内SNS、災害掲示板、集合場所を作るなどはどれも活用されてきた安否確認手段ですが、フローが一つのみだと、もしも通信回線が使用できなかったり交通インフラが麻痺していたりすると完遂できません。

なるべく多くの安否確認手段を決め、それらの優先順位を付けておくことで迅速な対応が可能になると考えられます。既読マークの付くSNSの活用や、チャットツール、Wi-Fi環境下でも使用できるスマートフォンを用いた安否確認のフローを組み込むことで、手詰まりなく確認できるフローを作ることができるのではないでしょうか。

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安否の確認で有効なのは、日頃から使い慣れているツール

前述したように、緊急事態の際の安否確認方法はさまざまです。何よりも大切なのは、あらゆるツールを駆使しながら連絡を行うことです。今の時代に適しているツールは、おそらく各種SNSやチャットツールでしょう。スマートフォンとも親和性が高く、自分自身の安否を発信したり、ダイレクトメッセージを送信したりといった活用方法があります。
日頃から使い慣れているツールを使うのが、緊急時は安心です。設定やログインの不具合も起きにくく、平常心で使用できるためです。
家族間でSNSを取り入れ、社内でビジネスチャットツールを日頃から活用し、安否確認訓練などを実施して、緊急時に連絡の取れるツールとなるようにしましょう。

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更に万全を求めるのであれば、衛星電話も検討しましょう。地上のネットワークを利用せず、衛星経由で通信を行う衛星電話は、通信インフラが破損するなど連絡手段が絶たれてしまったなど"もしも"の際にもコミュニケーションを取ることが可能になります。

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