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電子帳簿保存法とは?保存区分や要件、対応するメリットなども解説

電子帳簿保存法とは?保存区分や要件、対応するメリットなども解説

2023年01月30日掲載(2023年11月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

電子 帳簿 保存 法

企業の経理担当者は、電子帳簿保存法について正しく理解しておく必要があります。電子帳簿保存法は何度か改正されており、2022年1月にも新たな改正法が施行されました。改正法では規則や罰則も強化されており、対象となる帳簿や書類を誤った方法で保管していると、ペナルティを受ける可能性もあります。本記事では、電子帳簿保存法の概要や法改正の流れ、対象企業などを詳しく解説します。

目次

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電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、企業が保管する帳簿や請求書、決算書などの国税に関する帳簿・書類を一定の条件のもと電子データとして保管することを認めた法律です。最初に施行されたのは1998年で、そこから何度かの改正を重ねて適用要件が緩和されたことにより、積極的に取り組む企業が増えています。

これまで国税関係の帳簿や書類は原則として紙で保存するように決められていましたが、デジタル化が進み経理業務が非効率になることから、紙からの脱却と効率化を目指して成立しました。

電子帳簿保存法の対象となる企業

電子帳簿保存法は、所得税や法人税に関する帳簿や書類の保存義務者が対象となります。具体的には、企業規模に関わらず、事業を行っていて法人税を納める義務のある企業、売上から経費や控除を引いた所得が課税対象となる個人事業主が対象です。

すべての事業者が電子データの保存に関する要件を満たしている必要があり、満たしてない場合はその帳簿や書類は認められず、ペナルティが科される可能性もあります。

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電子帳簿保存法の対象となる国税関係帳簿書類一覧

電子帳簿保存法によって保存が義務付けられている帳簿や書類のことを「国税関係帳簿書類」と呼びます。対象書類は「国税関係帳簿」「国税関係書類」「電子取引」の3種類に分けられます。以下の表では、それぞれの区分ごとの書類と保存方法についてまとめました。

基本的に、はじめから一貫してパソコン(PC)で作成された帳簿・書類は電子データで保存します。紙媒体で発行・受領した書類はスキャナで電子化したうえで、一定の保存要件のもとに保存することが認められています。

書類

保存方法

保存区分

国税関係帳簿

仕訳帳
総勘定元帳
売掛帳
買掛帳
現金出納帳

電子データ

電子帳簿等保存

国税関係書類

貸借対照表
損益計算書
試算表
棚卸表
請求書
見積書
納品書
注文書
領収書

電子データ
スキャナ保存

電子帳簿等保存
スキャナ保存

電子取引

EDI取引
インターネット取引
クラウド取引

電子データ

電子取引のデータ保存

これまでの電子帳簿保存法の改正の流れ

電子帳簿保存法は1998年に公布・施行されてから、数回にわたり改正が行われてきました。それぞれの改正内容は、次の表のとおりです。

概要

詳細

2005年

スキャナ保存制度開始

・対象は3万円未満の国税関係書類に限定
・電子署名要件あり

2015年

スキャナ保存の要件緩和

・3万円の金額制限の撤廃
・電子署名要件の撤廃

2016年

スキャナ保存の要件緩和、要件整備

・スマートフォン(スマホ)やデジタルカメラが対象に追加
・受領者がスキャンする場合は自署が必要

2019年

スキャナ保存の対象拡大

・過去分の書類も要件を満たすことで対象に追加

2020年

電子取引の要件緩和

・キャッシュレス決済で領収書が不要に
・一部データで保存時のタイムスタンプが不要に

2022年

電子データ保存・スキャナ保存の要件緩和
電子取引の要件整備
ペナルティ強化

・税務署長の事前承認制度の廃止
・電子取引データの出力保存が原則不可
・隠ぺいや偽装などの不正に対する罰則の強化

参考:電子帳簿保存法が改正されました - 国税庁

電子帳簿保存法の3つの保存区分

電子帳簿保存法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引のデータ保存」の3つの保存区分があります。それぞれの概要を解説します。

1.電子帳簿等保存

電子帳簿等保存とは、PCなどで電子データとして作成した帳簿や書類をそのまま一定の要件を満たしたうえで電子データとして保管することです。電子帳簿等保存における電子データでの保存は「容認規程」となっており、取り組みたい企業や個人事業主が任意で行います。

2.スキャナ保存

スキャナ保存とは、紙で受け取ったまたは作成した書類をスキャナで読み取り、一定の要件を満たしたうえで電子データとして保存することです。スキャナ保存も2022年時点では「容認規程」となっており、取り組みたい企業や個人事業主が任意で行います。

3.電子取引のデータ保存

請求書や領収書などを電子データでやり取りすることを電子取引と言います。電子取引のデータ保存は、電子取引で受けとったデータを一定の要件を満たしたうえで、そのまま電子データとして保存することです。2023年12年までの猶予期間が設けられているものの「義務規程」となっており、該当する場合は要件を満たしたうえで保存する必要があります。

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電子帳簿保存法で定められている保存要件

電子帳簿保存法では、保存区分や書類の種類によって保存要件が異なります。3つの保存要件について解説します。

電子帳簿等保存の要件

2022年の改正により、電子帳簿等保存は「優良電子帳簿」「その他の電子帳簿」の2つに分けられました。どちらの場合も以下に挙げる3つの要件を満たす必要があります。

・関係書類等の備付け
・見読可能性の確保
・税務調査時のデータ提供

優良電子帳簿として認められるには、さらに以下の要件が追加されます。

・訂正、削除履歴の確保
・相互関連性の確保
・検索機能の確保

優良電子帳簿では要件を満たすシステムの導入などが必要ですが、要件を満たすことによって過少申告加算税の軽減措置などの適用を受けられます。

スキャナ保存の要件

スキャナ保存の対象書類は「重要書類」「一般書類」の2種類に分けられます。

重要書類

重要書類とは、資金や物の流れに直結または連動する書類のことです。たとえば、契約書、領収書、請求書などが重要書類に該当します。重要書類では、次の要件を満たす必要があります。

・タイムスタンプの付与
・検索機能の確保
・相互関連性の確保
・システムマニュアルの備え付け

タイムスタンプの付与はできる限り速やかに行われるべきですが、書類受領後7営業日以内または自社で規定した最長2カ月までの任意の期間内とされています。

一般書類

一般書類とは、資金や物の流れに直結または連動しない書類のことです。たとえば、見積書、口座振替依頼書、注文書などが一般書類に該当します。一般書類では、次の要件を満たす必要があります。

・タイムスタンプの付与
・検索機能の確保

一般書類では、重要書類のようにタイムスタンプ付与の期間などは決められていません。

電子取引の保存要件

電子記録の授受によって行われる電子取引では、次の4つの要件を満たす必要があります。

・真実性の確保
・関係書類の備え付け
・見読可能性の確保
・検索機能の確保

真実性を確保するためには、信頼性の高いシステムの採用、タイムスタンプの付与が有効です。また、税務調査が円滑に行えるよう、システムのマニュアルを備え付ける、運用ルールや検索方法を明確にしておくなども重要です。

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電子帳簿保存法による電子データ保存のメリット

電子帳簿保存法による電子データ保存を行うことは、企業・個人事業主の双方にメリットがあります。

経理業務の効率化

電子化によって時間や場所に関係なく、必要なデータにアクセスできるようになります。紙でのやりとりは印刷や郵送といった作業が発生しましたが、電子化によって業務の手間を大幅に削減することが可能です。電子データ保存を推進することで、経理業務の全体的な効率化が期待されています。

セキュリティ面の強化

書類での保存は、盗難・消失・紛失のリスクがありました。電子データでは、適切なセキュリティ対策を行うことでこれらのリスクを軽減することができます。また、システム管理部門が一括して管理することで各部門の負荷が軽減されるため、セキュリティ面の強化だけでなく、管理業務の負荷軽減にもつながります。

保管コストの削減

書類のままで保管するにはコピー用紙やインクなどのコストがかかりますが、電子データ保存では不要なのでその分のコストを削減することができます。また、書類は種類ごとに保存期間が定められており、書類の量が多くなるほど保管場所にかかるコストも増えてしまいますが電子データ保存は物理的な保管場所が必要なくなるため、保管期間が長くなるほどコスト面の優位性が高くなります。

2022年の改正電子帳簿保存法での注意点

2022年の改正では、要件が緩和されたことによって企業が電子データ保存に取り組みやすくなった一方で、不正があった場合の罰則も強化されました。企業の電子データ保存を大きく後押しする改正電子帳簿保存法ですが、要件を正しく満たすためには注意が必要です。

2022年時点でのペナルティには「スキャナ保存のデータや電子取引の情報に関して、隠蔽や偽装などの不正があった場合には申告漏れ等に課される重加算税が10%加重される」などがあります。

参考:電子帳簿保存法が改正されました - 国税庁

まとめ

電子帳簿保存法は、急速に進むデジタル化にあわせて改正を繰り返しています。2022年の改正では、要件の緩和とともに罰則も強化されました。企業や個人事業主にとって積極的に取り組むべき電子データ保存ですが、要件を満たせるよう注意しなければなりません。また、重要書類などの電子化に伴い、さまざまな場所・デバイスからアクセスが可能となることで、セキュリティ面の対策強化も求められます。法改正への対応に際しては、データの取り扱いに対する従業員への啓蒙にも務める必要があります。

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