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電子帳簿保存法におけるタイムスタンプとは?目的や要件、導入する手順を解説

電子帳簿保存法におけるタイムスタンプとは?目的や要件、導入する手順を解説

2023年01月30日掲載(2023年11月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

電子 帳簿 保存 法 タイム スタンプ

電子帳簿保存法において必要とされているのがタイムスタンプです。タイムスタンプとは何か、どう使うのかが周知されていない部分もあり、戸惑う担当者の方も多いでしょう。本記事では、タイムスタンプや電子帳簿保存法の概要、タイムスタンプの目的や仕組み、法改正の変更点などを解説します。また、タイムスタンプの利用方法や導入する手順、費用などにも触れるので、業務において必要とする方はぜひ参考にしてください。

目次

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電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言います。帳簿書類の電子データについて、取引などの証拠として保存するための法律です。原則として紙で保存することが定められていた帳簿書類について、ペーパーレス化に対応できるよう改正したものです。

参照:電子帳簿保存法が改正されました

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電子帳簿保存法におけるタイムスタンプとは

タイムスタンプは電子データに付与される時刻情報で、スタンプが付与された時刻に当該の電子情報が存在していたことや、その日時以降に改ざんや変更が行われていない事実を証明するものです。タイムスタンプの付与は、電子文書が原本であることを示しています。実際に付与するためには、時刻配信サービスや時刻認証サービスの利用が必須です。

タイムスタンプの目的

タイムスタンプの目的は、帳簿類が電子データで保存されるようになっても、紙と同じように不正な改ざんや複製などを防止することにあります。従来の紙による保存であれば、担当者の捺印や書類の劣化具合、記入された日付、書類に残された指紋などから、保管期間や場所を推測できます。また、人の手によって記載された紙なら、筆跡から改ざんが行われたかの推測も可能です。

一方、電子データは簡単に複製が可能で、防止策を講じていなければ改ざんもできます。このような電子データについて、付与時点でデータがあり、付与後にデータの改ざんがないことを証明するものがタイムスタンプです。

タイムスタンプの発行機関

タイムスタンプは、第三者機関の時刻認証業務認定事業者が発行するものです。時刻認証業務認定事業者は通称、TSA(Time-Stamping Authority)とも呼ばれます。

一般財団法人日本データ通信協会によって、技術・運用・設備などが一定基準を満たしていると判断された事業者がTSAとして認定されます。

タイムスタンプ付与の要件

タイムスタンプがないと信頼性に欠ける電子書類全般にタイムスタンプが必要です。電子帳簿の場合は、そもそも使用する会計ソフトが電子帳簿法に対応していれば、データの作成や修正について履歴が残るため、タイムスタンプを付与しなくても大丈夫です。

一方、電子取引での電子データやスキャナ保存には付与が欠かせません。書類の内容は、国税関係帳簿書類のほかに、貸借対照表、損益計算書などの決算関係書類、領収書や請求書、発注書などの取引関係書類も含まれます。

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タイムスタンプの仕組み

タイムスタンプはどのようにして書類の作成時間を証明しているのでしょうか。タイムスタンプの仕組みについて解説します。

タイムスタンプのハッシュ値

ハッシュ値と呼ばれる一種の暗号のようなデータがタイムスタンプに付与されています。ハッシュ値は入力された元の帳簿データによって作成されますが、ハッシュ値から帳簿データを導き出すことはできない仕組みです。

データが変わるとハッシュ値も変わってしまうため、ハッシュ値に変化があった場合は電子文書が改ざんされた可能性が出てきます。反対に、ハッシュ値に変化がなければ改ざんの可能性はないと言えます。

タイムスタンプの要求・付与・検証

タイムスタンプは要求・付与・検証の3段階を経てデータの信頼性が担保されるものです。帳簿を作成する企業は、帳簿データから上述のハッシュ値を生成し、時刻認証業務認定事業者(TSA)へ送ったうえでタイムスタンプを発行するよう「要求」します。

ハッシュ値に対して、TSAで時刻情報を書き加える段階が「付与」です。企業側では、付与されたタイムスタンプを保管し、帳簿データについて信頼性の証明が必要になれば、タイムスタンプのハッシュ値と原本データのハッシュ値とを照合することで「検証」を行います。

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改正電子帳簿保存法の変更点

2022年1月より改正された電子帳簿保存法が施行されました。これまでの電子帳簿保存法においてもタイムスタンプや保存義務についての規定がありましたが、改正によって変更されているため注意が必要です。ここでは、改正電子帳簿保存法の変更点を解説します。

タイムスタンプについて要件緩和

スキャナ保存については要件が法改正によって緩和され、タイムスタンプを付与できる期限が変更になりました。以前は最短で3日以内だった期限が緩和され、最長でおおむね2か月と7営業日以内への変更となりました。

条件により期間は異なるものの、期間延長に加えて「おおむね」とされていることで、規定を満たしやすくなっています。さらに、一定条件下ではタイムスタンプが不要であることも定められました。

電子データによる保存義務化

法改正により、電子データは電子データのままでの保存が義務化されています。以前は、電子書類のデータを紙で出力保存することが認められていましたが、法改正によって紙での保存は原則不可となっています。電子書類はタイムスタンプを付与して保管するなど、紙での出力を行わない保存措置が必要です。

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タイムスタンプを利用する方法

タイムスタンプはどのようにすれば利用できるのでしょうか。具体的な手順を解説します。

タイムスタンプを付与する書類を用意

まずはタイムスタンプを付与しなくてはならない書類について、データを準備します。たとえば、該当する書類の電子データ、または紙媒体をスキャンした書類データを用意します。

書類のスキャンに関しては画質の条件が設けられているため、合致するよう注意しましょう。また、スキャンしたものではなく、スマートフォンの撮影画像でも画質の条件に合致すればタイムスタンプ付与の対象とすることができます。

画像をアップロード

画像が用意できたら、タイムスタンプ付与のために企業で使っているシステムに画像をアップロードします。アップロードをすることにより、時刻認証業務認定事業者(TSA)に対するタイムスタンプの付与依頼が完了となります。

この機能を使うためには、あらかじめタイムスタンプの付与が可能なシステムを導入しておく必要があります。また、あらかじめTSAとの契約が必要です。

TSAによるタイムスタンプ付与

画像をアップロードし、時刻認証業務認定事業者(TSA)にタイムスタンプの付与を要求することで、書類データはハッシュ値へ変換されます。TSAで受け取ったハッシュ値に時刻情報を結合して作成されるものが、タイムスタンプトークンです。

TSAから利用者へタイムスタンプトークンが返送されるため、利用者側では原本である書類の電子データとタイムスタンプトークンを一緒に保管します。

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タイムスタンプを導入する手順

法改正によってさまざまな企業が、タイムスタンプを行えるサービスを導入し始めています新規でタイムスタンプを導入する際の手順について解説します。

インターネット環境の構築

タイムスタンプをやりとりする際は、インターネット環境が必要です。インターネットそのものは、すでに導入済みかもしれません。しかし、タイムスタンプのやりとりによって業務に支障をきたさないようにするためには、安定した通信を確保することが大切です。タイムスタンプの導入にあわせて、インターネット環境をあらためて見直してみましょう。

TSAとの契約

タイムスタンプを導入するには、時刻認証業務認定事業者(TSA)との契約が必要です。TSAは一般財団法人日本データ通信協会の認定事業者でなくてはなりません。すでにTSAとして認定されている企業には、アマノ株式会社、セイコーソリューションズ株式会社、株式会社TKC、株式会社サイバーリンクス、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社などがあります。

実際にタイムスタンプシステムを導入する際には、TSAとの契約がセットになっていることもあるため、あわせて確認しておくとよいでしょう。

タイムスタンプのシステム導入

タイムスタンプの付与にはTSAとの契約だけでなく、システムの導入が必要です。まずは、すでに自社で利用している会計システムや複合機がタイムスタンプ付与に対応しているか確認してみましょう。

対応していなければ、タイムスタンプ付与機能があるものを新たに導入しなければなりません。その場合は、導入するシステムについての検討をはじめましょう。

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タイムスタンプの導入にかかる費用

タイムスタンプの導入にかかる費用も気になるところです。導入費用について解説します。

タイムスタンプの初期費用

タイムスタンプの導入には、初期費用が不要でランニングコストのみで提供している場合と、初期費用としてアカウント発行などのシステム導入費用が数十万円程度必要となる場合があります。初期費用の有無は、契約する時刻認証業務認定事業者(TSA)によっても異なるため一概には言えません。

タイムスタンプのランニングコスト

タイムスタンプのランニングコストは、従量制と定量制で異なります。従量制の場合、タイムスタンプ1回あたり10円程度が一般的な価格です。一方、定量制の場合、1か月におけるタイムスタンプ発行の上限回数によって変動する方式が多い傾向にあります。また、タイムスタンプを付与できる書類の種類、管理機能の程度などによってもコストが変化します。

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まとめ

2022年に施行された電子帳簿保存法の改正によって、電子帳簿は電子データによる保存が義務化され、タイムスタンプの利用を必要とするシーンも増加しています。

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