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物流の2024年問題とは?影響と対策方法を解説

物流の2024年問題とは?影響と対策方法を解説

2023年09月29日掲載(2023年12月13日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

物流の2024年問題とは?影響と対策方法を解説

2024年4月1日以降、働き方改革関連法によって物流業界の労働環境が大きく変わります。一見するとホワイト化の実現につながるきっかけにも見られますが、法施行によるさまざまな問題・課題の発生が懸念されていることも実情です。

法施行によって物流業界に発生し得る諸問題は、「物流の2024年問題」と総称されています。しかし、中には具体的にどのような問題が発生するのか、理解できていない方も多くいるでしょう。

そこで今回は、物流の2024年問題について、働き方改革関連法の概要、起こり得る影響、必要な対策を挙げながら詳しく説明します。2024年問題として何が発生するのか知りたい方・2024年問題に向けた適切な対策を講じたい方は、ぜひ参考にしてください。

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1.物流の2024年問題とは?

物流の2024年問題とは、「働き方改革関連法」によって2024年4月1日以降、物流業界に発生し得るさまざまな問題の総称です。

働き方改革関連法が施行されると、運送ドライバーの年間時間外労働の上限規制が導入されます。これにより運送能力の低下が生じ、結果としてあらゆる影響を及ぼすという点が主な概要となっています。

物流の2024年問題をより詳しく理解するためには、発端である働き方改革関連法についての知識が不可欠です。まずは、働き方改革関連法について説明します。

 

1-1.働き方改革関連法

働き方改革関連法とは、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の略称であり、労働者の健康を目的に「労働時間の削減」「雇用形態による待遇格差の解消」を目指す法律です。

近年、EC市場が急成長したことによって運送事業の需要は著しく高まりました。その一方で、労働力不足・ドライバー不足が生じていたために物流業界では長時間労働が常態化していたことも実情です。

物流業界の過酷な労働環境を改善するために施行される働き方改革関連法では、主に自動車運転業務における時間外労働の上限規制(年間960時間)が設けられます。なお、目安として1カ月の平均労働時間は80時間となるものの、1カ月あたりの上限に制限はありません。

働き方改革関連法はあらゆる業界において2019年4月1日から順次施行されましたが、トラック運送業界やバス・タクシー業界の自動車運転業務においては2024年4月1日から施行されることとなります。これには、働き方改革関連法の目指す時間外労働の上限規制に対し、実情がかけ離れていたために猶予が与えられていたという背景があります。

出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

 

2.2024年問題で起こる影響

物流の2024年問題とは、働き方改革関連法の施行によって「自動車運転業務における時間外労働の上限規制」が原因で生じる諸問題の総称であることを説明しました。

しかし、誰に・どのような問題が起こり得るのかをしっかりと把握できていないという方も多くいるのではないでしょうか。

ここからは、物流の2024年問題によって起こり得る影響を、項目ごとに詳しく説明します。

 

2-1.トラックドライバーの収入減少

物流の2024年問題によって、主にトラックドライバーが大きく受ける影響が「収入の減少」です。配送業務における時間外労働の上限規制が定められると、労働時間の短縮が余儀なくされます。これにより、トラックドライバーは安定した労働時間で働ける一方で、得られる賃金が減少する可能性も当然生じます。

トラックドライバーの中には、時間外労働でさらなる収入を得ている方も多くいました。希望する収入を得られなくなった優秀な人材が退職したり、より高い給料を受け取れる職場へ転職したりするおそれがある点は、そもそも人手不足状態に陥っている物流企業や運送会社にとっての大きな懸念点と言えるでしょう。

 

2-2.物流コストの増加

物流の2024年問題では、物流企業や運送会社に商品の運搬・運送を委託する荷主企業にも影響を及ぼします。荷主企業が受ける最大の影響は「物流コストの増加」です。

前述のとおり、物流企業・運送会社は2024年問題によってトラックドライバーの労働時間を短縮せざるを得なくなり、運送能力の低下が生じます。結果として、事業の売上・利益が減るため、荷主企業に対して運賃の値上げ交渉をするケースも決して珍しくありません。

値上げ交渉に承諾した場合、荷主企業が委託先の物流企業・運送会社に支払う運賃は当然上がります。こうしたことから、荷主企業は物流コストの増加が懸念されています。

なお、値上げ交渉に応じるかどうかは荷主企業の自由ですが、万が一断った場合、物流企業・運送会社から契約を解除される可能性もあります。物流コストの増加を抑えようと思えば、さらなるリスクが発生することにも注意が必要です。

 

2-3.物流企業の利益低下

物流の2024年問題で、物流企業や運送会社に起こり得る問題が「利益の低下」です。トラックドライバーに自動車運転業務における時間外労働の上限規制が定められたことによって請負業務量が減少するため、売上・利益が減少する可能性は大いにあるでしょう。

前述のとおり、物流企業・運送会社は収入の減少分をカバーするため、そして事業を存続させるためにも荷主企業に対し運賃値上げを交渉することが可能です。しかし、すべての荷主企業が交渉を承諾するとは限りません。

加えて、トラックドライバー1人あたりの労働時間が短縮されたことから、これまでどおりの請負業務量をこなすとなれば新たな人材の投入・確保も必要です。たとえ売上は変わらなくても、人的コストの高まりによって利益が低下するおそれがあることも覚えておきましょう。

 

3.2024年問題にはどのような対策が必要?

2024年4月1日から施行される働き方改革関連法によって、物流業界ではトラックドライバー・荷主企業・物流企業や運送会社のいずれにおいても何らかの影響を受けることとなります。

その中でも、物流企業や運送会社は特に多方面での影響が生じやすいことも特徴です。2024年問題によって業界で起こり得る影響をできる限り最小限化するためにも、物流企業や運送会社はさまざまな対策を講じる必要があります。

最後に、運送事業者がとるべき2024年問題への有効な対策法について、3つ紹介します。

 

3-1.労働環境の改善

物流企業や運送会社にとって労働環境の見直し・改善は、働き方改革関連法が施行される2024年4月1日より前に行っておくべき重要なポイントです。

労働環境を改善しないまま2024年4月1日を迎えると、働き方改革関連法に違反したことによって罰則を受けたり、「過酷な労働環境が変わらない」と感じたトラックドライバーが辞職したりするなど、さまざまな問題の発生が予測されます。

労働時間の長さはもちろん、給与水準やその他の待遇面などを一度見直し、法律に抵触しない・労働者が働きやすい職場環境を構築するとよいでしょう。

 

3-2.広報の強化

物流企業や運送企業は、2024年問題を迎えたあとも事業をしっかりと存続させるために、各所に対する広報の強化も不可欠です。

特に重要視すべきポイントとしては、下記が挙げられます。

  • 「荷主企業」に対して:標準的な運賃・運送以外に発生する料金(高速道路利用料・附帯作業料金など)の収受
  • 「一般消費者」に対して:再配達や配送回数の削減に関連した取り組み・荷物を確実に受け取れる環境整備の推進

また、荷主企業に対する直接の値上げ交渉が困難な現状を踏まえ、国は2024年度末までの時限措置として「標準的な運賃の告示制度」を導入しています。物流企業や運送会社は、この制度を活用し各種書類を地方運輸局長宛てに提出すれば、取引先の荷主企業に対して運賃値上げの申し入れ・交渉を行えます。

このように、2024年問題による問題の解決に向けて、あらゆる制度を活用するのも1つの手段と言えるでしょう。

 

3-3.業務効率化

働き方改革関連法によって自動車運転業務における時間外労働の上限が設けられる中、生産性をできる限り落とさずに業務を進めるためには、これまで以上の業務効率化を図る必要があります。

業務効率化を実現するためには、ITテクノロジーを活用した「スマートデバイス」の導入が有効です。スマートデバイスを導入・活用すれば、下記の業務を自動化できます。

スマートデバイスの活用例
  • 検品・ピッキング業務
  • 入荷商品の確認
  • 荷物情報の自動取得
  • 伝票・送り状のデータ化
  • 配車ルートの提示・最適化
  • 従業員の勤怠管理・労務管理 など

幅広い業務を担えるスマートデバイスは、業務の手間や人件費削減にも大きく役立ちます。さらに、人的ミスの削減や労災事故の防止、労働環境の改善にもつながるなど、メリットの多い選択肢と言っても過言ではありません。

2024年問題に向けてしっかりと対策をしておきたいという方は、スマートデバイスの導入をまず検討してみるのもよいでしょう。

 

まとめ

物流の2024年問題とは、2024年4月1日以降、「働き方改革関連法」によって自動車運転業務における時間外労働の上限規制(年間960時間)が設けられることから物流業界に発生し得るさまざまな問題の総称です。

具体的な影響としては、トラックドライバーや物流企業・運送会社の収入減少、さらに荷主企業の配送コスト増加など、各所において何らかの問題発生が予測されています。特に物流企業や運送会社はあらゆるリスクがあるため、事前の対策が不可欠です。

2024年問題に向けた有効な対策法としては、労働環境の改善・広報の強化・業務効率化が挙げられます。スマートデバイスを活用した業務効率向上の取り組みは、結果として労働条件向上・生産性向上にもつながるでしょう。また、併せてクラウド上から日報の作成や、管理者側でドライバーの運行ルートの確認などが行えるサービスを組み合わせることも、業務の効率化につながります。ここまでの内容を参考に、ぜひ2024年問題に向けた準備を進めてみてはいかがでしょうか。

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