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働き方改革の問題点を解説|解決方法や企業側・従業員側のメリットも紹介

働き方改革の問題点を解説|解決方法や企業側・従業員側のメリットも紹介

2021年01月29日掲載(2023年11月02日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

働き方改革のイラストイメージ

働き方改革の導入を検討している人向けに、働き方改革の問題点を解説します。企業側と社員側に分けて問題点を把握できるのがポイントです。問題を解決する方法もあわせて確認できるので、この記事を読めば自社で働き方改革をスムーズに導入できるでしょう。

目次

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そもそも働き方改革とは?

働き方改革とは、従業員ひとりひとりに合わせた働き方ができるように制度を整えることです。例えば、女性が働きやすい環境作りを行ったり、高齢者の雇用を促進したりすることが働き方改革に含まれます。その他、在宅勤務(リモートワーク)やサテライトオフィスの導入も働き方改革の施策と言えるでしょう。

2019年4月の働き方改革関連法が施行され、政府と民間企業が一体になって多様な働き方を選べる社会を実現するために労働環境の改革に取り組んでいます。

日本企業はなぜ生産性を求められている?

すべての企業は適切なコスト管理をして、売上を拡大することで利益を目標にしています。費用に対して得られる利益が大きいほど、余裕を持ったお金の使い方が可能です。例えば、優秀な人材を雇用したり、自社にとって新しい分野に投資できたりします。他にも、企業として社会に貢献する活動にお金を使う方法もあるでしょう。

日本企業は高齢社会などにより、人材不足という問題を抱えることが増えています。そのため、生産性を向上させて費用対効果を高める重要性が叫ばれていると言えるでしょう。

日本で働き方改革が行われる理由とは?

この章では日本で働き方改革が行われる理由について紹介します。働き方改革の問題点を確認する前に、そもそもなぜ改革が推進されるのかを理解しておきましょう。

長時間にわたる労働の是正

日本は諸外国に比べて労働時間が長いと言われており、社会問題にまで発展しています。長時間労働が原因で過労死につながることもあります。そこで、政府は働き方改革関連法に長時間労働を是正するため、次の施策を提示しました。

・時間外労働の上限の設定

・有給休暇の取得の義務化

・客観的な労働時間の把握

・月60時間超の時間外労働に対する賃金の見直し

高齢者の就労の推進

日本は、少子高齢社会問題を抱えています。そのため、高齢者の就労を推進することで、働き手を確保する必要があるのです。具体的には、高齢従業員を継続して雇用したり、定年退職年齢を延長したりなどが挙げられます。その他、高齢者の就労をサポートするマッチング支援も強化されつつある現状です。

金格差の解消

以前から日本では、正規社員と非正規社員との間に賃金格差が生じていました。任されている仕事は同じなのに、正規社員の方が高い賃金が受け取れるという問題が起こっていたのです。賃金格差に対する不満を解決するために、働き方改革関連法では以下2つの目指す内容が盛り込まれています。

項目

内容

非正規労働者の正社員化

非正規社員に対して正社員へのキャリアアップを推進する取り組み

同一労働同一賃金制

正規社員と非正規社員との間の賃金格差や待遇の差を失くす考え方

働き方改革の問題点・デメリットを解説

働き方改革は一見するとメリットが多い施策に見えますが、問題点やデメリットもあります。この章で、企業側と従業員側とに分けて働き方改革における問題点やデメリットを確認しておきましょう。

企業側:会社の利益が減る可能性がある

働き方改革を推進することばかりに注力すると、本業の利益が減少してしまいます。この要因の1つとして、労働時間の短縮化によって、1つの業務が終わるまでにかかる日数が増えることが挙げられます。業務がなかなか終わらないと、会社として利益を獲得できるチャンスを逃す可能性があるでしょう。

また、生産性を向上させるために導入した制度やツールが原因で、コストが増加して会社の利益が少なくなることも懸念されます。

企業側:社内規約の変更が必要

働き方改革を行うためには、企業は社内規約の根本的に見直す必要があります。見直し作業を怠ると、場合によっては行政指導が入る可能性があるので注意が必要です。ある程度まとまった時間をとって社内規約を変更しなければいけないと言えるでしょう。しかし、通常業務も並行して行う必要があるので、企業にとって負担になることが考えられます。

企業側:高度プロフェッショナル制度が乱用されるかもしれない

高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)とは、高度な知見を持っていて一定水準以上の年収を得ている従業員の労働時間の規制を撤廃する仕組みです。労働時間ではなく、業務の成果にフォーカスされているのが特徴で、業務が早く終われば早く帰れます。一見、良い制度に思えますが、乱用されると業務量過多の従業員が増える可能性があるのです。

企業側:人件費が増加する可能性がある

先に説明した賃金格差の解消を行えば、人件費が以前よりも増えることが予想されます。非正規雇用者は正規雇用者よりも少ない人件費ですんでいたのに、非正規労働者の正社員化や同一労働同一賃金制を導入すれば非正規雇用者の人件費の増加につながります。

従業員側:残業が減ることで、収入が下がる可能性がある

働き方改革によって長時間労働が是正されると、残業が少なくなります。そのため、従来よりも残業代が少なくなり、収入が減ることが懸念されます。企業側は人件費が抑えられて良いような気もしますが、十分な収入が得られないと会社に対して不満を抱く従業員が出てくる可能性があるので注意が必要です。従業員の中には、業務の効率が落ちてしまったり、退職を検討したりする場合があるでしょう。

従業員側:従業員間で負担する業務に不公平が生まれる

企業が業務の効率化を意識するように従業員に指導すると、処理能力が高い従業員に仕事が集中する可能性があります。特定の人だけ業務量が増えれば、従業員間で不公平が生まれてしまうでしょう。現場で活躍する従業員の声に耳を傾けたり、現状を理解したりせずに企業の上層部だけで働き方改革を推進すると、こうした弊害が発生しやすいので気を付ける必要があります。

従業員側:時間外労働は減っても業務量は減らない

働き方改革によって時間外労働を是正するルールが設定されましたが、規定ができても従業員の業務量は減りません。そのため、従業員は限られた労働時間で業務をこなすために、効率が良く働くことを求められます。このような状況下で長く仕事をすると、肉体的・精神的に大きな負担がかかってしまうでしょう。負担が大きくなればミスが出やすくなったり、退職を検討したりする従業員が出てくるので、業務量にあった働き方改革制度を検討しなければいけません。

従業員側:在宅ワークを導入した場合、部下の管理がしづらくなる

働き方改革に伴って在宅勤務(リモートワーク)を導入する企業も多いですが、1つの職場に集まって仕事をする機会がなくなるため、上司が部下の管理をしづらくなるデメリットがあります。部下が業務に打ち込む姿が見えないので、情報共有や上司としてのフォローが遅れる可能性があるでしょう。上司は適切な管理をするために、会社にいれば必要ないメールや電話などを使ったコミュニケーションをしなければいけないので負担が増える可能性があります。

働き方改革問題の解決策とは?

働き方改革で発生する問題を解決する方法をまとめて説明します。問題を解消できれば、企業側・従業員側ともに働き方改革のメリットを感じやすくなります。自社で発生しそうな問題の解決策をこの章で見つけておきましょう。

会社が抱える課題を分析する

自社に合った適切な働き方改革を行うためには、会社が抱える課題を正確に分析することが大切です。具体的には、現場の実情を調査したり、課題を洗い出したりする必要があるでしょう。部署や組織ごとに現状の生産性を把握するのも効果的です。分析結果から分かった問題を細分化して自社の顕在的・潜在的な課題を明確にすることで、適切な解決策が導き出せます。

ワークフローを見直す

ワークフローとは、業務をこなすときの一連の流れを指します。緊急度や重要度などを指標にしてワークフローの見直しを行うことで、会社全体で生産性の改善が可能です。例えば、緊急度や重要度が低い業務をカットしたり、後回しにしたりすることでワークフローの効率化がはかれるでしょう。

業務効率改善ツールを導入する

社内努力だけでは生産性の改善が難しい場合は、業務効率改善ツールを導入するのも1つの方法です。例えば、社外にいても簡単に情報共有ができるクラウドツールや労働時間を効率良く管理できる勤怠管理システムなどがあります。業務効率改善ツールは多種多様ですが、導入時のポイントは自社に合ったものを選ぶことです。人気があるツールを選んでも自社に合っていないと使い勝手が悪く、かえって生産性が落ちる可能性があるので注意しましょう。

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働き方改革は問題点だけでなく、メリットもある

働き方改革によって生じるメリットをチェックしましょう。デメリットを説明したときと同様に、企業側と従業員側とに分けてそれぞれのメリットを解説します。

企業側:生産性の向上が見込める

働き方改革を推進すれば、従業員の時間外労働が短縮されるだけでなく、社内のワークフローを見直すきっかけになります。そのため、企業全体で生産性の向上が見込めます。上手くいけば、費用対効果を大幅に改善できることもあるでしょう。

企業側:従業員が働きやすい環境を整えられる

従業員が「働きやすい」と感じる環境を整えられれば、会社に対する満足度の向上が期待できます。企業としては、従業員の満足度を高めることで、離職率の低下というメリットが得られるでしょう。また、従業員が働きやすいと感じていることを採用活動でアピールできるのも大きなメリットです。

企業側:優秀な人材を確保できる可能性が高まる

働き方改革で在宅勤務(リモートワーク)を導入したり、育児や介護との両立が可能な労働環境を整えたりすれば、必然的に優秀な人材を確保できる可能性が高まります。新卒者はもちろん、高度なスキルを持った転職者が入社する確率も高まるでしょう。人手不足に悩まされている会社や優秀な人材の確保が難航している会社は、思い切って働き方改革に力を入れるのも1つの方法です。

企業側:助成金等を受け取れる

働き方改革の制度を構築した企業は、国から助成金などを受け取れます。今回は、助成金の例として職場意識改善特例コースと労働時間短縮・年休促進支援コースの概要や支給対象条件を説明します。

助成金1:職場意識改善特例コース

職場意識改善特例コースは、特別休暇制度を新しく整備したうえで休暇の取得促進のための制度作りをした場合に受け取れる助成金です。支給対象は、労働者災害補償保険が適用されている中小企業事業主に限られます。

中小企業事業主とは、下表の1か2の要件を満たす中小企業を指します。

業種

要件1.資本額(出資額)

要件2.常時雇用の労働者数

小売業

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他

3億円以下

300人以下

助成金2:労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間短縮・年休促進支援コースは、会社の生産性を向上させて年次休暇の促進や労働時間の短縮に向けた環境を整備した場合に受け取れる助成金です。支給対象者は、労働者災害補償保険が適用されているだけでなく、36協定の締結・届出が済んだ状態で設定された成果目標の条件を満たしている中小企業事業主に限られます。

従業員側:長時間労働が是正される

会社で働き方改革が行われれば、従業員は長時間労働しなくて済みます。仕事に使う時間が少なくなってプラベートの時間が長くなるので、ライフワークバランスの実現につながるでしょう。友人や家族とコミュニケーションを取ったり、趣味に打ち込んだりすることで従業員は心身のリフレッシュができます。企業としては、従業員の生活が充実することで業務のパフォーマンスの向上を期待できるのがポイントです。

従業員側:雇用形態による格差が少なくなる

雇用形態による格差が少なくなれば、従業員が会社に対して満足感を抱きやすくなります。そのため、退職防止や労働生産性の向上につながることが予想されます。業務に対する意識の改善が可能になるケースもあるでしょう。また、退職する従業員も少なくなることが期待できるので、優秀な人材を失うリスクが抑えられます。

従業員側:有給を取得しやすくなる

働き方改革関連法では、年5日の有給取得の義務化が定められています。そのため、従業員は働き方改革関連法が施行される前よりも、有給を取りやすくなります。働き方改革関連法が導入される前には、有給を取りたくても仕事が忙しくて取れない従業員もいたでしょう。こうした従業員は、会社に対して不満感を持ちやすいです。しかし、法律で有給取得が義務化されることで、忙しい職場でも休みが取りやすい雰囲気が作りやすくなるでしょう。

従業員側:ライフステージに合ったキャリアを選択しやすくなる

企業が働き方改革を推進すれば、従業員は自分のライフステージにあわせてキャリアを選びやすくなります。いわゆる単線型キャリアパスの脱却です。単線型キャリアパスとは、新卒採用で終身雇用を前提にしたキャリアパスを指します。働き方改革が始まったばかりの日本はライフステージに合わせた転職が難しい状況ですが、今後は自由にキャリアを選択しやすくなるでしょう。

企業としては人材の流動性が高まることで、中途採用で優秀な人材を確保できる可能性が高まります。

働き方改革におけるデメリットやメリットについて説明してきましたが、中小企業が働き方改革で直面する影響や対策についてもっと詳しく知りたい人には以下の記事がおすすめです。

こちらも併せて読みたい!「働き方改革関連法が中小企業の2極化を引き起こす!?猶予終了の中小企業が直面する影響と対策とは」

働き方改革問題を解決する場合の注意点

働き方改革に関する問題を解決するときは、これから紹介する2つの注意点に気を付けてください。

会社全体での改革が必要

働き方改革を行う場合は、会社全体で問題を洗い出して根本的に解決することが大切です。現場主導で始めても抜本的な改革の実現は難しいことが予想されます。一定の権限を持つ人が会社全体を統率しながら、働き方改革を行うことで会社全体における生産性の改善につながるでしょう。

社員・従業員がすぐに適応できるとは限らない

働き方改革はすぐに社内に浸透するわけではありません。社員や従業員に新しい制度を根付かせるためには、必ずある程度の時間が必要になります。短期間で改革が完了するとは限らないので、粘り強く改革を推進していくことが大切です。

まとめ

働き方改革は、従業員が働きやすい労働環境を整える改革です。しかし、改革を行っていく企業側にもメリットがなければ、本格的な導入は難しいでしょう。働き方改革の推進によって生じる問題点はいくつかありますが、今回説明した内容を参考に適切な解決で対応することが大切です。

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