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リモート前提の時代、オフィスは「働く場所」から「価値を生む場」へ。4つの最適化ポイント

リモート前提の時代、オフィスは「働く場所」から「価値を生む場」へ。4つの最適化ポイント

2025年09月05日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

リモートワーク環境が整備されると、多くの企業でまず話題になるのが「オフィスをどう活かすべきか」という課題です。従業員が日常業務を自宅やサテライトオフィスで完結できるようになると、オフィスの固定席や島型レイアウトは過剰設備と化し、賃料が無駄な固定費として経営を圧迫し始めます。しかし、視点を変えれば、この状況こそがオフィス機能を再定義する絶好の機会でもあるのです。本コラムでは、現実味のない未来予想図ではなく、情報システム部門や総務部門が「明日からでも着手できる現実的な4つの最適化ポイント」について解説します。リモートワーク環境を導入済みの企業が「次の一手」として押さえるべき基礎を、順を追って解説していきます。

「作業場」から「協創ハブ」へ。オフィス再編の第一歩は面積最適化

リモートワークを導入し、毎日全員が出社するという前提がなくなった時点で、オフィスの必要席数は確実に減少します。そこでまず取り組みたいのが必要なフロア面積の再計算です。社員1人あたりの専有スペースを見直し、必要最小限の執務席を残します。一方、空いた区画は、オンライン会議用ブースやプロジェクト型のコラボレーションスペースへの転換を検討します。

ここで重要なのは、性急に「大規模な改装を計画しない」「大幅な減床を進めない」という点です。たとえば、使用されなくなった固定席エリアを1列だけ撤去し、試験的にソファとモニターを設置してみるなど、小さな実証を積み重ねます。これにより、社員の行動データを可視化し、最終的にどの程度の席数と、どの種類のスペースが本当に必要かを定量的に判断できるようになるでしょう。面積を最適化することで、賃料や光熱費といった固定コストが削減でき、余剰スペースをサテライト運営や外部向けイベントに転用することも可能です。最適なオフィス面積を検討するために、KDDI まとめてオフィスでは、最大出社人数と必要会議室数を入力するだけで、必要となる作業スペースや会議室の広さをシミュレーションを提供しています。

「席を選ぶ自由」が集中力と協働力を同時に底上げする

オフィススペースの再編が軌道に乗り始めたら、フリーアドレスやABW(Activity Based Working)の導入を通じて、「働く場所を業務内容に合わせて選ぶ」文化を根付かせていくことが重要です。たとえば、午前中は集中作業に適した静音ゾーンで資料作成に集中し、午後はプロジェクトメンバーとカジュアルミーティング用のハイテーブルに移動してディスカッションを行う。こうした行動の切り替えは、固定席では実現が難しいものです。

フリーアドレスを成功させるには、主に2つのポイントがあります。1つ目は、書類を極力デジタル化し、私物はロッカーで一時保管できる運用を徹底すること。2つ目は、着席状況の可視化ツールを併用し、空席を探す際のタイムロスを回避することです。フリーアドレスやABWを導入すると、「どこでも働ける」利便性を享受する一方で「どこにいるかわからない」という課題も発生しがちです。あらかじめ座席予約アプリやセンサー連動型のオフィス可視化ダッシュボードを整備しておけば、総務部門や情報システム部門への問い合わせ対応も最小限に抑えられます。結果として、「場所」が業務を後押しする仕組みが定着し、社員の集中度と協働効率を同時に底上げすることが可能となるのです。

クラウドPBXに切り替え、代表電話をスマホで受けることで顧客体験と経費が好転

フリーアドレスを導入する際、課題のひとつとなるのが固定電話の扱いです。従来の固定電話や内線が残存すると「席を選ぶ自由」は十分に実現できません。そこで鍵を握るのがクラウドPBXです。従来のPBX(構内交換機)はオフィス移転のたびに工事が発生する上、リモートワーク環境下では代表番号の受発信が不可能でした。しかしクラウドPBXに切り替えれば、会社の固定電話番号への着信をスマートフォンアプリに転送できるため、顧客との接点を維持したままオンプレミスのハードウェア維持費や工事費用を削減できます。

実際の導入ステップは以下の通りで、比較的シンプルに進められます。

  1. 代表番号をクラウドPBXサービスへ番号ポータビリティで移行する。
  2. 各社員のスマートフォンやパソコンに専用アプリケーションをインストールする。
  3. 自動分配や営業時間設定といった各種設定をクラウド上で行う。

オンプレミスのPBXと比較して初期費用は抑えやすく、設定変更もブラウザから即時反映が可能です。結果として、顧客応対の質を維持したまま、設備投資と運用コストを圧縮できます。

統合IDと高速モバイル網で実現する「安全につながる」と「ケーブルからの解放」

リモートワーク環境が充実すると、社内においてもVPN接続やクラウドアクセスの利用頻度が高まります。こうした状況下で課題になるのがネットワークの安全性と接続の手間です。情報システム担当者が社内Wi-Fiの証明書更新やケーブル敷設に追われることで、せっかくの省スペース化効果が運用負荷によって相殺されてしまう可能性があります。

そこで推奨したいのが、KDDIが提供する統合ID管理と閉域(へいいき)モバイル網を組み合わせた無線LAN化です。SIM認証で端末を識別し、インターネットを経由しないキャリア閉域網を介することで、オフィス内はケーブルレスかつVPN不要のセキュアな環境へと転換します。情報システム担当者は証明書の配布やゲストWi-Fiの設定といった業務から解放され、端末紛失時にはキャリアポータルから即座に通信停止やリモートワイプが可能になります。これにより「安全」と「利便性」を一度の投資で同時に手に入れられるのです。

最適化の第一歩は「大規模改装」ではなく「小さな実証」から

リモートワーク環境の導入は、オフィスを不要にするのではなく、その本質的な価値を再定義するものです。作業スペースとしての席数を減らし、コラボレーションを促進する場を増やす。電話設備をクラウドへ移行し、固定費を削減する。そして、統合 ID とモバイル網を活用して『安全なワイヤレス環境』を構築し、情報システム部門の運用負荷を軽減する。こうした一つひとつの施策は、いずれも数か月で効果が数字に現れやすいものです。

KDDI まとめてオフィスでは、オフィス家具・備品から、通信環境の構築、セキュリティ対応、各種デバイスの準備に至るまで、働く環境の課題に対するソリューションをワンストップでご支援が可能です。まずは「不要な席を10%だけ試験的に削減し、そのスペースをコラボレーションスペースに変える」といった小規模なテストから始めてみませんか。成功事例が社内で共有される頃には、オフィスは単なる"作業場"を超え、新たなビジネスの価値を生み出すハブへと自然に進化しているでしょう。

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

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