ホームThink with magazine従業員満足度向上
福利厚生として子育て支援を行うのはなぜ?重要性や導入事例を紹介

福利厚生として子育て支援を行うのはなぜ?重要性や導入事例を紹介

2025年11月26日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
福利厚生における子育て支援の意義とは|導入の重要性と企業事例

少子化や人材不足が進む中、企業にとって従業員の子育て支援は欠かせない福利厚生の1つとなっています。制度を整えることで離職防止や採用力向上につながり、教育コスト削減やモチベーション向上といった効果も期待できます。

当記事では、企業が子育て支援を行う重要性とそのメリット、国が定める各種制度や助成金、実際の導入事例などを詳しく紹介します。ぜひ、自社の課題に合った取り組みを検討するための参考にしてください。

従業員エンゲージメント強化には
福利厚生の充実を図ることをおすすめします

1. 企業が行う子育て支援の重要性

企業の子育て支援:人材の確保・定着につながる、改正育児・介護休業法で定められている

子育て支援とは、従業員が安心して育児と仕事を両立できるように制度や環境を整える取り組みを指します。少子化や人材不足が深刻化する中、企業にとっても人材の確保・定着のために欠かせない施策となっています。

以下では、企業が行う子育て支援の重要性を2つ紹介します。

1-1. 人材を確保・定着させるため

企業が人材を確保し定着させる上で、子育て支援は重要な取り組みです。厚生労働省の行った調査では、正社員だった女性のうち「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立が難しかったため」に退職した人は38.1%を占めています。その背景には、「短時間勤務制度や残業免除制度がなかった」(30.6%)、「産前・産後休暇や育児休業制度が整備されていなかった」(41.3%)といった課題がありました。このように制度が不足していると、優秀な人材が働き続けられず、離職につながる可能性が高まります。

出典:厚生労働省「育児・介護休業法等の改正の背景」

一方で、男性育休の実績がある企業について、転職希望者の27.5%が「応募にプラスの影響を与える」と回答しており、採用活動にも効果をもたらしています。子育て支援を整えることは、従業員が安心してキャリアを築ける職場環境をつくり、企業の人材確保や定着力を高める施策と言えるでしょう。

出典:マイナビ「転職動向調査2025年版(2024年実績)」

1-2. 改正育児・介護休業法が施行されたため

2022年から段階的に改正が進められている育児・介護休業法により、企業には仕事と育児の両立を支援する取り組みが一層求められるようになりました。特に2025年4月からは、常時雇用する労働者数が301人以上の企業に対する、男性の育休取得状況の公表義務化や、所定外労働の制限の対象拡大、子の看護等休暇の見直しなどが施行されました。

出典:厚生労働省「育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説」

さらに令和7年(2025年)10月からは、小学校就学前の子を養育する従業員に対し、短時間勤務やテレワークなど柔軟な働き方を選択できる措置が義務付けられます。こうした法改正は、制度を整備するだけでなく、実際に利用を促進することが企業に強く求められていることを示しています。

出典:厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要」

2. 企業が子育て支援に力を入れるメリット

離職率の低下、企業イメージ向上、育成コストの抑制、パフォーマンス向上

企業が子育て支援に積極的に取り組むことで、従業員の離職防止や企業イメージの向上といった効果が期待できます。さらに、教育コストの抑制や従業員のモチベーション向上にもつながり、組織全体の成長に寄与する重要な施策です。

ここからは、企業が子育て支援に力を入れることで得られるメリットを解説します。

2-1. 離職率が低下する

育休を取得して継続就業する従業員は、男女ともに増加傾向にあります。企業が子育て支援を整備することで、出産や育児を理由に退職してしまう人材の流出を防げます。働きやすい環境があれば「この会社で長く働きたい」と考える大きな動機となり、離職率の低下につながります。

出典:厚生労働省「令和6年度育児休業取得率の調査結果 (雇用均等基本調査)のポイントについて」

また、福利厚生の充実や育休制度の利用実績は求職者にとって安心材料となり、企業選定時に重視するポイントの1つです。採用活動に好影響を与える、優秀な人材の確保と定着に効果的な施策と言えるでしょう。

2-2. 企業イメージが向上する

子育て支援に力を入れる企業は、従業員やその家族を大切にする姿勢が評価されやすく、社内外での信頼獲得につながります。従業員や求職者からは「働きやすい会社」と評価され、採用力の強化や定着率の向上に直結します。

さらに、取引先や投資家といった社外のステークホルダーにも、従業員を重視する「ホワイト企業」として好印象を与える効果があります。

子育てしやすい環境を整える取り組みは、企業のブランド価値を高め、優秀な人材やステークホルダーから「選ばれる企業」へと成長する上で欠かせない要素です。

2-3. 教育コストを間接的に抑制できる

子育て支援を充実させることは、出産や育児を理由にした離職を減らす効果が期待できます。制度や環境が整っていれば、従業員は復職を前向きに検討しやすくなり、結果として新たに後任を採用、育成するコストを抑制できます。

特に経験やスキルを持つ人材が復帰すれば、即戦力として活躍でき、教育期間の短縮にも寄与します。子育て支援制度や復職をサポートする環境は、企業の経費削減や組織の安定性を高め、長期的な人材活用の基盤を築くことにつながります。

康保険に加入

2-4. モチベーションアップにつながる

子育て支援制度が整っていることは、従業員に大きな安心感を与えます。「出産や育児をしても出世コースから外されない」「会社が継続して支えてくれる」という確信が持てることで、従業員は安心して働くことができ、仕事への意欲が高まります。

その結果、個々のパフォーマンスが向上し、日々の業務効率や成果にも好影響をもたらします。また、制度の内容が明確に可視化されていることで、将来的なライフイベントへの不安が軽減され、キャリア継続への意欲も維持されやすくなります。

こうした取り組みは、従業員の意欲向上とエンゲージメント強化のみならず、組織全体の生産性向上や人材定着の促進につながります。企業にとって、持続的な成長を支える重要な経営戦略としての側面を持っていると言えます。

3. 国が定めている子育て支援の種類

休業・休暇制度や柔軟な働き方の拡充、金銭面での援助

企業独自の取り組みに注目する前に、まずは国が定めている子育て支援制度を理解しておくことが大切です。休業・休暇制度や柔軟な働き方の拡充、金銭面での援助など、公的に用意された仕組みを把握することで、企業の支援との違いや活用方法がより明確になります。

以下では、休業・休暇制度や柔軟な働き方の拡充など、子育て支援の種類の詳細を解説します。

3-1. 休業・休暇制度

子育て支援における代表的な仕組みが、産休・育休をはじめとした休業・休暇制度です。法律で定められているため、企業の規模を問わず従業員が利用できる点が特徴です。利用条件や日数は制度ごとに異なり、育児と仕事を両立するための大きな柱となっています。

制度名 利用要件 日数
産前休業制度 出産予定の女性労働者 出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合14週間前)から取得可能
産後休業制度 出産した女性労働者 出産翌日から8週間(医師の承認があれば6週間以降就業可能)
育児休業制度 原則、1歳未満の子を養育する労働者(男女ともに対象) 子が1歳に達するまでに取得可能(一定条件下で最長2歳まで延長可)、分割して2回取得可能
産後パパ育休 子の出生後8週間以内に育児する男性労働者 4週間まで、分割して2回取得可能
子の看護休暇 小学校就学前の子を養育する労働者 年5日(子が2人以上の場合は年10日)、半日・時間単位でも取得可能

出典:妊娠出産・母性健康管理サポート「産前・産後の休業について」

出典:厚生労働省「その時のために、知っておこう。育児休業制度」

育児休暇制度には、加えて夫婦で協力して休業を取る際に利用できる仕組み 「パパ・ママ育休プラス」があります。パパ・ママ育休プラスは、夫婦がともに育児休業制度を取得する場合に適用されるもので、通常は子が1歳までの育児休業制度を最長1歳2カ月まで延長できます。ママが先に休業を取り、パパが後から交代して取得するなど、家庭の状況に応じて柔軟に休業期間を調整できるのが特徴です。

出典:厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」

3-2. 柔軟な働き方の拡充

子育て世代が仕事を続けやすいように、国は柔軟な働き方を実現するための仕組みを整えています。ここでは代表的な取り組みを紹介します。

■所定外労働の制限

小学校就学前の子どもを養育するすべての労働者は、時間外労働や深夜労働を制限するよう法律で認められています。これにより、家庭の事情に配慮した働き方が可能になります。

■短時間勤務制度

子どもが3歳になるまでの間、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮できる制度です。出勤を続けながらも育児に時間を割ける点で、多くの企業で導入されています。2025年4月の改正では、制度の利用が難しい場合の代替措置の選択肢として、テレワークが追加されました。

■柔軟な働き方を実現するための措置

3歳から小学生就学前の子を養育する労働者が職場のニーズに応じて、「始業時刻等の変更」「テレワーク」「時短勤務制度」など、複数の措置から選んで利用できる仕組みです。2025年10月から企業に義務付けられています。

■育児のためのテレワーク導入

企業の努力義務ではありますが、3歳未満の子を養育する労働者が、テレワーク勤務を選択できるようにするものです。

出典:厚生労働省「育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説」

出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行」

3-3. 金銭面での援助

子育てに伴う経済的負担を軽減するため、国はさまざまな金銭面での支援制度を整えています。ここでは代表的な制度を表にまとめました。

制度名 支給要件 金額
出産育児一時金 健康保険に加入している被保険者または被扶養者が出産した場合 子ども1人につき50万円
★産科医療補償制度に加入していない場合は48.8万円
出産手当金 健康保険に加入する被保険者が出産のために会社を休み、給与が支払われない場合 給与の約3分の2相当額を、産前42日、産後56日の範囲で支給
育児休業給付金 雇用保険に加入し、育児休業制度を取得した被保険者 休業開始から
  • 180日目まで:賃金の67%
  • 181日目以降:賃金の50%
児童手当 0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童を養育している人
  • 0~3歳未満:月1.5万円
  • 3歳~小学生:月1万円
  • 中学生:月1万円
★第3子以降は月3万円
社会保険料免除 産前産後休業・育児休業制度を取得する被保険者 育児休業中の本人負担分と事業主負担分の保険料が全額免除される

出典:全国健康保険協会 協会けんぽ「子どもが生まれたとき」

出典:全国健康保険協会 協会けんぽ「出産で会社を休んだとき」

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」

出典:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」

出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」

上記の内容に加えて、2025年4月1日からは以下の新たな支援制度が施行されています。育児休業中の収入減少への不安を解消し、男女ともに仕事と育児を両立できる環境を整えることが目的です。

■出生後休業支援給付の創設(育児休業給付率の引き上げ)

子の出生直後8週間以内に両親が14日以上の育休を取得した場合、最大28日間、給付率が「休業開始前賃金の80%(手取りで10割相当)」に引き上げられます。専業主婦(夫)世帯やひとり親家庭も対象となります。

■育児時短就業給付の創設

2歳未満の子を育てるために時短勤務をした場合、賃金の10%が給付されます。ただし、賃金と給付金の合計が時短前の賃金を超えないように調整されます。

出典:厚生労働省「育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説」

4. 【2025年9月】福利厚生として子育て支援を行う際に使える公的制度

企業が子育て支援を充実させる際には、国の公的制度を活用することで取り組みを後押しできます。ここからは代表的な「両立支援等助成金」「くるみん助成金」「仕事・子育て両立支援事業」について解説します。

4-1. 両立支援等助成金

両立支援等助成金は、"仕事と育児・介護等を両立できる職場環境づくり"を行う中小企業事業主を支援する国の助成金制度です。育児休業・短時間勤務・代替要員の確保・柔軟な勤務制度等の取組を制度として整備し、労働者がこれらを利用できる環境を作ることで、企業の負担を軽減するのが目的です。

2025年度には、新たに「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」が新設されるなど、女性の健康も含めた柔軟な対応が拡充されています。

制度名 支給要件 金額 備考
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金) 父親が出生後一定期間育児に関する休業・制度を利用すること等 1人20万~60万円
  • 対象の種別、要件、子どもの人数によって異なる
  • 子ども1人につき1回
  • 父親が育児休業を取るたびに申請が可能
介護離職防止支援コース 従業員が介護休業等を取得できる制度を整備し、実際に取得実績があること等 1人3万~40万円
  • 休業取得日数や制度整備等に応じて変動する
  • 介護対象者や取得実績が異なれば複数回申請が可能
育児休業等支援コース 育休を取得する従業員が一定条件(復帰、継続雇用等)を満たすこと等 育休取得時と職場復帰時それぞれで1人30万円
  • 1従業員につき1回限り
  • 2人目以降は対象外になる可能性が高い
育休中等業務代替支援コース 育休等中の業務を代替する人員を確保すること等 最大67.5万~140万円
  • 対象の種別・要件によって異なる
  • 1育休取得者につき1回限り(代替要員ごと)
  • 育休を取る従業員が変われば複数回申請可能
柔軟な働き方選択制度等支援コース 始業時刻変更、テレワーク、時差出勤、短時間勤務など複数の制度を整備・利用させること等 1人20万~25万円
  • 制度数、利用実績により異なる
  • 制度の数や利用者数に応じて複数回申請可能
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース 不妊治療・月経・PMS・更年期など女性特有の健康課題に対応するための制度を就業規則等で整備し、労働者が制度を一定回数利用すること等 30万円
  • 制度設備+利用実績があっても1回限りの支給

★ 最新情報や詳細は、必ず厚生労働省の公式情報をご確認ください。

出典:厚生労働省「2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内」

4-2. くるみん助成金

くるみん助成金は、厚生労働大臣の「くるみん認定」や「プラチナくるみん認定」などを受けた中小企業を対象に支給される助成制度です。次世代育成支援対策推進法に基づき、育児休業制度の取得促進や所定外労働の削減など、子育てと仕事の両立を進める環境整備を目的としています。助成対象は常時雇用300人以下の事業主で、トライくるみん認定は対象外です。

経費は人件費や消耗品費、光熱費などが含まれ、助成額は上限50万円です。くるみん認定・プラス認定は「1認定につき1回」、プラチナ認定・プラチナプラス認定は「年度ごとに1回」申請可能です。なお、事前認定の取得が必須で、受付期間内でも予算が上限に達すれば終了となります。

出典:厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて」

出典:くるみん助成金ポータルサイト「助成金について」

4-3. 仕事・子育て両立支援事業

福利厚生として子育て支援を導入する際に活用できる制度として、以下の3つがあります。

■企業主導型保育事業

企業が設置した保育施設の整備費・運営費を補助し、休日や夜間など柔軟な保育サービスを提供可能とする制度です。複数企業による共同利用や地域児童の受け入れも認められています。

出典:公益財団法人 児童育成協会「企業主導型保育事業」

■企業主導型ベビーシッター利用者支援事業

残業・夜勤など多様な働き方に応じてベビーシッター派遣を利用する際、利用料の一部を助成します(補助券2,200円/回・1日2枚まで使用可能)。対象は乳幼児から小学3年生までの子どもで、家庭の状況にあわせて利用しやすい仕組みです。

出典:厚生労働省「Ⅹ.仕事・子育て両立支援事業」

出典:公益社団法人全国保育サービス協会

■中小企業子ども・子育て支援環境整備事業

育児休業取得を促進する中小企業を対象に、制度を整備するためにかかる経費に対し、助成金(上限50万円)を支給する制度です。くるみん認定やプラチナくるみん認定の取得が条件となっています。

出典:厚生労働省「Ⅹ.仕事・子育て両立支援事業」

関連サービス 補助金・助成金相談デスク

5. 福利厚生として子育て支援を行っている事例

企業の中には、福利厚生として子育て支援に積極的に取り組む事例が増えています。ここでは、実際の企業の取り組みを紹介します。どのように従業員の両立支援や企業の成長につながっているのかを確認してください。

5-1. 株式会社さくらインターネット

株式会社さくらインターネットでは、「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)」という制度を導入し、社員が会社に縛られずにキャリア形成とプライベートの充実を両立できる環境づくりを進めています。リモートワーク前提の働き方や、フレックスタイム制・時短勤務制度など、多様なライフスタイルにあわせた柔軟な働き方を推進している点が特徴です。

さらに同社は、厚生労働大臣が「子育てサポート企業」として認定する「くるみん認定」を取得しています。2020年4月から2023年3月の実績では、女性社員の育休取得率が100%、男性社員は66%と基準を大幅に上回りました。法定時間外労働の平均も月10時間以下と、国の基準を大きく下回る数値を実現しています。社員が安心して仕事と子育てを両立できる環境を整備し、将来的には「プラチナくるみん」取得も目指しています。

出典:SAKURA internet「働く環境」

出典:SAKURA internet「News」

5-2. 株式会社コジマ

株式会社コジマでは、社員が家庭と仕事を安心して両立できるよう、多彩な子育て支援制度を整備しています。法定の産前産後休業や出産手当金に加え、同社独自の制度として「復帰奨励金」や「両立支援手当」を導入。復帰奨励金は出産後に職場へ戻った社員に支給され、両立支援手当は保育園入園から小学校卒業まで毎月支給される仕組みです。さらに、妊娠中の体調不良時に取得できる「母性保護休暇」も設けられており、社員が安心して働き続けられる環境を支えています。

2001年には社員専用保育所「コジマキッズガーデン」を開設しました。「子どもと一緒に出社し、一緒に帰る」という社員の声を反映した施設で、保育士6人体制で運営されています。利用者増加に伴い保育所を新築移転し、安全で伸び伸びとした保育環境を整備しています。本社勤務の社員が中心に利用可能ですが、他事業所の社員向けに補助制度も用意されています。さまざまな取り組みが、女性社員比率約6割という実績にもつながっています。

出典:株式会社コジマ「子育て支援体制」

5-3. 株式会社丸信

株式会社丸信は「子育て応援宣言」「介護応援宣言」を掲げ、家庭と仕事を両立できる環境づくりを進めている企業です。育児休業中の代替要員を確保できる体制を整えるほか、復帰前には子どもの預け先や勤務条件を丁寧に確認し、配属先や仕事内容を調整しています。さらに、企業主導型保育園を設立・運営し、病児保育にも対応するなど、安心して職場復帰できる仕組みを整えています。

制度面では、産後パパ育休のうち最長5日間を有給とする制度や、配偶者出産休暇1日(有給)を導入。介護休暇も年間7日間取得可能で、そのうち2日は有給扱いとしています。さらに子ども手当の支給による経済的支援も継続しています。

出典:福岡県 働く人・企業にもプラスになるサイト 両立支援ポータルサイト「企業取組事例紹介」

5-4. 株式会社アミテス

株式会社アミテスは、従業員が育児と仕事を両立できるよう独自の人事制度を導入しています。役職に縛られず「Operator」「Manager」「Specialist」「Executive」という役割を設け、妊娠や育児中は一時的に「Operator」として働けるため安心してキャリアを継続できます。評価は本人の回答と上長の検討で決まり、透明性を確保しています。

また、時短勤務制度を設け、9:00~15:00など柔軟な働き方が可能です。子どもの体調不良や学校行事の際には休暇や短時間勤務を利用でき、他の従業員が支える仕組みを整えています。経営陣は定期的に面談を行い、個々の希望に応じた働き方を調整しています。

育児経験のある経営陣が「キャリアを諦めさせない」という方針を掲げ、従業員が安心して長期的に働ける環境を実現しています。

出典:家庭と仕事の両立支援ポータルサイト「事例18:株式会社アミテス」

6. 福利厚生として子育て支援を行うときのポイント

福利厚生として子育て支援を導入する際は、制度を形だけにせず、実際に従業員に利用される内容であることが重要です。ここからは、企業が支援を効果的に進めるための具体的なポイントを解説します。

6-1. 従業員に使われる制度を作る

子育て支援制度は、導入しても従業員に十分に利用されなければ効果を発揮しにくいものです。制度を使いやすくするには、マタハラやパタハラを防ぐ仕組みを整え、管理職や同僚への研修を通じて理解を深めることが大切です。

自社の課題に合ったサービスを選定し、必要に応じて外部の専門知識を取り入れることも有効です。運用しやすさや対象地域のカバー範囲、相談窓口の有無なども確認し、従業員が安心して制度を活用できる環境を整えることで、支援の効果を最大化できます。

6-2. 従業員のニーズを把握する

効果的な子育て支援を行うためには、まず従業員がどのような支援を望んでいるのかを把握することが重要です。アンケートや面談を通じて声を集め、自社が抱える課題と照らしあわせて制度設計を進めると、満足度向上につながります。

たとえば、育休からの復帰支援が課題であれば、復帰面談やフォロー体制を整えることが有効です。取り組みの方向性に迷う場合は、両立支援プランナーなど専門家の助言を受けるのも有効な方法です。

6-3. 継続的に見直しを行う

子育て支援制度は導入して終わりではなく、継続的な見直しが欠かせません。時間の経過とともに従業員のニーズは変化し、取り組みの中で新たな課題が見えてくることもあります。定期的な見直しを行うことで、従業員にとってより実用的で満足度の高い支援制度へとブラッシュアップできます。

また、法改正により国の制度が更新される場合もあるため、自社制度も最新の法令に対応させることが重要です。こうした取り組みを重ねることで、従業員に信頼される企業文化を築くことができます。

6-4. アウトソースする場合はノウハウや実績も含めて検討する

福利厚生として子育て支援を導入する際、自社だけで制度設計や運用を行うのが難しい場合は、専門業者へアウトソースする方法もあります。その際には、アウトソーシング先のサービス内容やコストだけでなく、子育て支援に関するノウハウや導入実績も確認しましょう。

十分な知識や経験を持つ業者であれば、従業員にとって利用しやすい制度設計や運用サポートを提供できます。信頼できる委託先を選ぶことで、企業は安定的かつ効果的に子育て支援を実施できるようになります。

まとめ

企業による子育て支援は、少子化や人材不足の中で人材確保・定着の重要な施策となっており、2022年から段階的に施行されている改正育児・介護休業法により、企業の取り組みは一層求められています。

子育て支援の充実により、企業は離職率低下、企業イメージ向上、教育コスト抑制、従業員のモチベーションアップといった多くのメリットを得られます。子育て支援を行うときは、まず従業員ニーズを把握し、利用しやすい制度設計をして、継続的な見直しをしましょう。

KDDI まとめてオフィスでは、福利厚生アウトソーシングサービス「まとめて福利厚生」を提供しています。少人数から導入でき、140万点以上の充実した優待特典や学びの支援も可能です。子育て世代やそのほかの従業員の、QOL向上、エンゲージメントの強化と、教育体制の強化を実現し、人材定着・採用力強化に貢献します。福利厚生のアウトソーシングサービスをご検討中なら、ぜひお気軽にご相談ください。

また、補助金・助成金の相談窓口も用意しております。こちらもお気軽にご相談ください。

※ ご相談の内容や補助金・助成金の種類によっては、お受け付けできないケースもあります。

<お役立ち資料>

<お問い合わせ>

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。