近年、日本企業の多くが「若者の採用が難しい」と感じています。少子高齢化による若年層の絶対数の減少や都市部への一極集中、仕事に対する価値観の変化などが影響し、若年層の労働力が急速に減少しているのが現状です。さらに、安定志向と自由志向の二極化、フリーランスや海外就労といった新しい働き方の広がりも、企業の採用環境を複雑化させています。
当記事では、「若者はどこへ行ったのか」という疑問を軸に、人口動態や社会構造の変化を踏まえて人手不足の原因を解説します。今後の人材確保に向けて企業が取るべき対策についても分かりやすく解説します。
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1. 若者はどこへ行った?
日本では深刻な人手不足が続く中、特に中小企業では若者の採用難が顕著になっています。かつては地元企業での安定就職が一般的でしたが、今の若年層は多様な価値観や働き方を重視する傾向が強まっています。ここでは、人口減少や都市部への流出、働き方の多様化など、若者がいないと感じる背景を解説します。
1-1. 若者の人口が減少している
日本の若者人口は少子化の影響により急速に減少しています。2024年の出生数は68万6,061人で、前年より4万1,227人減少しました。出生率は5.7と過去最低水準に落ち込み、昭和24年の約269万人をピークに減少傾向が続いています。
出典:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
労働力の中心である生産年齢人口(15~64歳)も1995年の8,716万人を頂点に減少を続け、2024年には7,373万人(総人口の59.6%)と、過去最低水準まで縮小しています。さらに、2070年には4,535万人まで縮小すると考えられています。こうした人口構造の変化が若年層の採用難を引き起こし、企業は限られた人材を確保するために採用戦略の見直しを迫られています。
1-2. 都市部へ流出している
地方では若者の都市部への流出が続いており、地域の人手不足を深刻化させています。都市部は求人数が多く、賃金水準やキャリア形成の機会に恵まれているため、進学や就職を機に移住する若者が多いのが現状です。
特に東京圏への一極集中は顕著で、2023年の東京23区への転入者のうち、約50%が20代を占めています。また、2024年の都道府県別転入超過数を見ると、東京都・神奈川県・埼玉県など7都府県が転入超過。東京圏全体で13万5,843人の転入超過で、前年より9,328人増加しており、29年連続の転入超過となっています。こうした動きにより地方の労働力は減少し、店舗や中小企業では若手人材の確保が難しくなっています。今後は、地域で働く魅力づくりや、柔軟な働き方の導入など、地元定着を促す取り組みが重要となります。
出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2024年(令和6年)結果」
1-3. 若者の志向が二極化している
現代の若者の仕事観は、安定を求める層とやりがいや自由を重視する層に二極化しています。マイナビの2026年卒大学生就職意識調査によると、「絶対に大企業がよい」「やりたい仕事ができるなら大企業がよい」と回答した割合は51.8%に上り、安定志向が依然として強いことが分かります。企業選択の基準としても、「安定している会社」が51%、「給料の良い会社」が25.2%と、経済的安定を重視する傾向が明確に現れています。
一方で、ワークライフバランスを重視し、自分の裁量でマイペースに仕事がしたいと、やりがい・自由・柔軟な働き方を求めてベンチャーやフリーランスを選ぶ若者も増加中です。このような価値観の二極化により、安定や挑戦できる環境が提供できない企業は相対的に魅力が下がり、若者の応募が集まりにくくなっています。
1-4. 不人気職種を避けている
若者の間では、体力的負担や待遇面の厳しさから避けられる職種が多く見られます。一般的に、建設業、製造業、飲食業、運送・物流業、小売業、介護職などは「体力的にきつい」「給与が低い」「将来の見通しが立てにくい」といった理由で敬遠されがちです。これらの業界には、長時間労働が常態化しているという共通のネガティブなイメージが根強くあります。
特に建設業や運輸業では、若者の採用が困難な状況に加えて、2024年4月から始まった時間外労働の上限規制(2024年問題)の影響により、労働力不足が一層深刻化しています。
また、立ち仕事やシフト勤務の多い店舗業なども、ワークライフバランスの観点から若者に敬遠されやすい傾向があります。人材不足を改善するには、労働環境の見直しや給与・キャリア制度の整備など、若者にとって働く魅力を感じられる環境づくりが大切です。
1-5. フリーランスや新しい働き方を選択する若者が増えている
近年、企業に依存せずに働く若者が増加しています。総務省「就業構造基本調査」によると、本業でフリーランスとして働く人は約209万人です。インターネットの発展により、Webデザインやプログラミングなど、オンラインで完結できる仕事が広がり、柔軟な働き方が選びやすくなりました。また、副業・兼業だけでなく、短時間のスキマ労働といった多様な働き方も主流になっています。
企業に所属せず、自分の裁量で働ける点が魅力であり、ワークライフバランスや自己成長を重視する若者から支持されています。こうした新しい働き方の普及により、従来型の店舗や企業では若年層の確保が難しくなっており、柔軟な勤務制度の導入が求められています。
1-6. 海外へ流出している
海外での学びやキャリア形成を目指す若者が増加しています。外務省「海外在留邦人数統計」によると、海外の長期滞在者数は1989年の約59万人から、2019年には約141万人へと右肩上がりで増加しました。2020年以降は減少傾向にありますが、2023年時点ではいまだ約129万人が海外に滞在しています。また、海外永住者も継続して増加しており、国外での生活を選ぶ日本人は確実に増えています。
若者は、高い給与水準や良好な労働条件、キャリアアップの機会を求めて海外に活躍の場を移すケースが増えています。特に、ITやクリエイティブといった専門スキルを持つ若者は海外企業からの需要が高く、積極的に海外へ挑戦する傾向が強いです。国内企業は人材流出の防止に向けて、海外研修の導入や魅力的なキャリアパスの提供など、国際的な視点を持ったキャリア形成支援が求められています。
2. 日本の人手不足はいつまで続く?
日本の人手不足は今後も長期的に続くと見られています。少子高齢化による労働人口の減少に加え、2025年以降には「団塊ジュニア世代」の多くが50歳を超え、定年退職が増加する見通しです。2040年には、65歳以上の高齢者数が全人口の35%弱に達すると予想されています。
さらに、若者の価値観の多様化や、都市部への人口集中も重なり、特に地方の中小企業では人材確保が一層困難になるでしょう。飲食業や宿泊業、小売業などのサービス業では、すでに慢性的な人手不足が深刻化しています。今後は人材の確保だけでなく、業務の効率化やテクノロジーの導入など、労働力に依存しない経営体制の構築が重要です。
3. 人手不足により生じる問題
人手不足が深刻化すると、企業経営のあらゆる面に影響が及びます。特に、採用コストの増加や、従業員一人当たりの負担が増えることによる生産性の低下は深刻です。2024年の人手不足倒産件数は342件に達し、2023年から2年連続過去最多を記録しました。こうした悪循環が続くと、事業の継続や競争力の維持が難しくなる可能性もあります。ここでは、人手不足によって生じる問題を詳しく解説します。
3-1. 採用コストの上昇
人手不足が進むなかで、求人広告や採用活動にかかる費用の負担が企業にとって大きな課題となっています。内閣府の調査によると、人手不足の悪影響として「採用コストが増えた」と答えた企業は49.2%でした。応募者が集まりにくく、採用活動が長期化することで、担当者の人件費や面接対応などの間接コストが増える傾向にあります。
さらに、労働力不足を背景に賃金水準も上昇しており、企業の人件費全体が拡大しつつあります。政府が掲げる2030年代半ばまでに「最低賃金1,500円」に引き上げるという目標の実現を見据えると、今後も採用や人件費の負担増が経営を圧迫する可能性が高く、持続的な経営戦略の見直しが求められています。
3-2. 生産性の低下
人手不足が進むと、残った従業員に過剰な業務が集中し、疲労やストレスの増大によってモチベーションや集中力が低下します。その結果、業務の効率が落ち、労働生産性が下がる傾向があります。
高齢化の進行により労働人口が減少し、体力面や作業スピードの低下も顕在化しています。介護や健康上の理由で勤務時間を減らすケースも増え、企業全体の稼働率が下がることも少なくありません。このような生産性の低下は、企業の成長力や競争力を損なう大きなリスクとなります。
4. 人手不足の企業が行うべき対策
人手不足に悩む企業は、採用活動だけでなく、働き方や業務体制の見直しも重要です。主な対策としては、次のような取り組みが挙げられます。これらの対策を複合的に行うことをおすすめします。
| 隠れた労働力(高齢者・主婦・外国人材など)に目を向ける |
|---|
| 短時間シフトや在宅勤務など、個々の事情に合わせた柔軟な勤務制度を整備することで、高齢者や子育て中の女性といった「働きたい意欲があるのに条件が合わない層」や、履歴書に空白期間がある人など、従来の採用慣行で不採用にされていた「隠れた労働力」を確保できます。 |
| 採用広告の打ち出し方を見直す |
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| 若年層をターゲットにする場合、大学構内での広告など早い段階からキャリアの選択肢として認識してもらう工夫が考えられます。 |
| SNSや社員紹介(リファラル)など多様な採用方法を導入する |
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| リファラル採用はミスマッチが少なく、高い定着率が期待できます。 |
| 賃金や労働条件を改善し、働きやすい職場をつくる |
|---|
| 中小企業は、給与や知名度で勝負しにくい分、福利厚生を充実させることが、求職者に「社員の生活を大切にしている」というメッセージとなり、差別化要素となります。 |
| 従業員教育によりスキルを高め、生産性を向上させる |
|---|
| 新しい人材を採用するよりも既存従業員のスキルを向上させたほうがコストを抑えられるという推計もあり、OJTの強化や分かりやすいマニュアルの整備が重要です。 |
| 非効率な業務を省き、ITツールや自動化を活用する |
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| AIやロボットを導入し、単純な繰り返し作業や肉体的な負担が大きい業務を代替させることで、従業員はコア業務に集中できる環境を整え、生産性を向上させます。サービス業では配膳ロボットやAIチャットボット、製造業では搬送ロボットなどが活用されています。 |
| 一部業務をアウトソーシングして負担を分散する |
|---|
| 採用や研修に関する時間や業務を削減できるため、全体の業務負荷を軽減できます。 ・働きやすい環境の整備 |
まとめ
日本の人手不足は、少子化や都市部への人口集中、働き方の多様化など複合的な要因によって長期化しています。若者の採用が難しくなるなかで、企業には採用活動の工夫だけでなく、働きやすい環境づくりや福利厚生の充実など、人材定着の仕組み化と改善が求められています。
特に中小企業では、高齢者や主婦、外国人材など潜在的な労働力の活用や、IT・AI・自動化による業務効率化がポイントとなります。人材確保と従業員定着の両立を図り、持続的な成長につながる経営基盤を築くことが重要です。
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