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給与計算業務の流れと注意すべきポイント|テレワークにおけるポイントも解説

給与計算業務の流れと注意すべきポイント|テレワークにおけるポイントも解説

2021年11月22日掲載(2023年11月09日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

給与計算をイメージした写真

給与計算業務は複雑ですが、正確に行わなければなりません。企業は流れや注意点をよく理解したうえで、従業員に給与計算業務を任せる必要があります。この記事では、給与計算業務をスムーズかつ正確に進めたいと考えている企業の担当者に向けて、給与計算業務の流れや注意点を解説します。給与計算業務を適切に進めるために、ぜひ参考にしてください。

目次

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給与計算業務とは

給与計算業務とは、従業員の毎月の給与の金額を計算する業務です。まず、雇用契約、社内規定、勤怠状況、適用される手当などの情報をもとにし、総支給額を算出します。そのうえで、所得税、住民税、社会保険料などの金額を計算し、総支給額から差し引きます。さらにその結果をもとにして、従業員の手取り金額を算出するまでが給与計算業務です。

給与計算業務は総務部でまとめて対応している企業もあれば、人事部や経理部などで分担して対応している企業もあります。規模が大きい企業は計算のみ総務部や人事部が対応し、振込や税金の納付は経理部が対応しているケースが多いです。

給与計算の手順

給与計算はどのような手順で進めるのでしょうか。ここでは、具体的な手順について解説します。

1.総支給額の算出

まずは各従業員の基本給、手当、勤怠状況などのデータをもとにし、給与の総支給額を算出します。さらに、残業代、深夜手当、休日出勤手当などがある場合は、「時間外労働の時間数×1時間あたりの賃金×割増率」で計算します。時間外労働は1分単位で計算に含めなければなりません。また、深夜手当は、割増率を25%以上にする必要があります。

2.控除額の算出

従業員の給与からは社会保険料や税金などを控除する必要があります。社会保険料に含まれるものは、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、介護保険などがあります。ただし、介護保険の対象となるのは、40歳以上65歳未満の従業員のみです。また、所得税や住民税などの税金についても、従業員ごとに個別に計算しなければなりません。

3.手取り額の算出

最初に算出した総支給額から、社会保険料や税金などの控除額を差し引きます。差し引いた後の金額が従業員の手取り額になります。この時点で、それぞれの計算に誤りがないか改めて確認しておきましょう。

4.事務処理を行う

手取り額を算出した後は、さまざまな事務処理が必要です。経理部が管理している賃金台帳に給与額を記載したり、各従業員に配布する給与明細書を作成したりします。それぞれ重要な書類であるため、正しく作成しなければなりません。

5.給与の支給と税金等の納付

給与の支給日になったら、あらかじめ算出しておいた給与の手取り額を支払います。従業員の銀行口座へ振り込む場合は、給与の支給日に振り込みが完了するように手続きを済ませておく必要があります。

給与計算をする際の注意点

給与計算するときは注意すべきこともあります。ここでは、具体的な注意点を解説します。

総支給額を算出する際の注意点

総支給額を算出するときはさまざまな配慮が必要になります。

割増賃金を考慮する

従業員の時間外労働に対しては、労働基準法にしたがって割増賃金を支払う必要があります。たとえば、22時から翌朝5時までの時間外労働に対しては、深夜手当を支給します。割増率は最低でも25%以上としなければなりません。

また、労働時間を計算する際は1分単位ですべて含める決まりになっています。仮に15分未満の労働時間を切り捨てて処理すると、違法になるため注意が必要です。割増賃金や労働時間は正しく計算しましょう。

端数計算に気をつける

給与計算においては、端数の計算に注意しなければなりません。たとえば、1時間あたりの割増賃金に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満は切捨てられます。しかし、50銭以上1円未満については、1円に切り上げる必要があります。

また、1カ月の割増賃金に総額1円未満の端数が出た場合も、50銭未満は切り捨てが可能です。50銭以上1円未満については1円に切り上げ、計算に含めるようにしてください。

控除額を算出する際の注意点

控除額はそれぞれ算出方法が異なります。所得税はその年の予想額を算出して控除し、税務署に納付します。年末調整の際に正確な所得税の金額を算出し直し、差額分を従業員へ還付する流れです。

一方、住民税については、毎年5月に各市町村から納付書が届きます。記載されている金額をそのまま給与から差し引いて源泉徴収を行い、会社が各市町村に対して住民税を支払います。それぞれ対応方法が異なるため、正しく手続きを行いましょう。

事務処理の際の注意点

給与の金額を計算した後は、賃金台帳を作成する必要があります。賃金台帳の作成は労働基準法によって義務付けられており、会社は適切に保管しなければなりません。

賃金台帳は、労働基準監督署による定期監督や深刻監督の際に提出を求められる可能性があります。必要な書類をきちんと管理していなければ、不正を疑われる原因にもなります。毎月の給与を正しく記載し、必要な場面で提示できるようにしておきましょう。

納税の際の注意点

税金の納付期限は、給与支給日の翌月10日です。毎月忘れずに税金を納める必要があります。税金は所得税や住民税などにわかれているため、それぞれを正しく納付しましょう。

また、社会保険料は、会社に届いた納付書に基づいて支払いましょう。雇用保険は、翌年の3月分までの見込み金額を毎年7月に納付する決まりになっています。差額が生じたときは翌年の支払いの際に調整できます。

給与計算業務に重要な「賃金払いの5原則」を押さえよう

給与計算業務を行ううえでは、労働基準法で定められている「賃金払いの5原則」を押さえておくことが大切です。具体的には、「通貨払いの原則」「直接払いの原則」「全額払いの原則」「毎月1回以上払いの原則」「一定期日払いの原則」が定められています。これらの原則は、従業員が適切に給与を受け取るために重要な考え方です。

5原則のうちひとつでも違反すれば、労働基準法違反として罰則が科される可能性があります。給与計算業務においてはそれぞれの原則に注意し、うっかり違反を犯すことがないように注意しましょう。

テレワーク時の給与計算を行う際のポイント

コロナ禍においてはテレワークが推進されており、実際にテレワークを導入している企業も多くなっています。テレワークに取り組む従業員の給与を計算する際は、通常の給与計算を行うとき以上にさまざまなポイントを意識しなければなりません。ここでは、テレワークの給与計算を行ううえで押さえておきたいポイントを解説します。

テレワークにおいても基本の給与計算方法は一緒

テレワークも労働基準法の適用を受けるため、給与計算で必要な考え方は出社している従業員と同様です。テレワークに取り組む社員の残業についても1分単位で計算し、深夜手当については割増賃金を支払う必要があります。

テレワークに取り組む社員と出社している社員の給与について差を設けた場合、労働基準法に違反しているとみなされる恐れがあるため要注意です。また、労働契約法3条では、会社と従業員の両方が同意しなければ、待遇の変更はできないと定められています。会社側がテレワークに取り組む社員の待遇を勝手に変更すると、このルールにも違反してしまいます。

通信費などの会社負担について

テレワークにおいては、自宅の電源やインターネット回線などを使用します。かかった費用をどちらが負担するのかについて就業規則で定めておき、明確な基準に基づいて費用を支給しましょう。テレワークで消耗品を使用する場合も同様です。

テレワークならではの手当については、以下の記事でも解説しています。
「在宅勤務手当(テレワーク手当)は必要なの?支給の必要性やメリットについて知ろう!」

給与計算業務の業務効率化は可能?

給与計算業務を効率化するためには、給与計算ソフトを導入すると効果的です。給与計算ソフトがあれば、専門的な知識がない従業員にも給与計算を任せやすくなります。また、システムをカスタマイズし、自社の状況に最適化できる場合もあります。自社独自の給与計算の方法があっても、システム上で設定が可能です。

さらに、社内の既存のシステムと連携できる給与計算ソフトを選ぶと、より便利に活用できます。たとえば、勤怠管理ソフトと連携させれば、各従業員の勤怠情報をいちいち手入力する手間がかかりません。そのため、給与計算業務をさらに効率化できます。

まとめ

給与計算業務ではさまざまなことに配慮が必要です。オンラインの給与計算ツールを活用した業務効率化を進めると、手間やミスを少なくできるでしょう。また、ツールを活用するためには、受け皿となるデバイスや、通信環境の構築なども必要となることを忘れてはいけません。

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