
働き方の多様化や慢性的な人手不足といった社会課題が深刻化し、市場競争が激化するなか、中小・中堅企業にとって、業務効率化や生産性向上は喫緊の課題です。こうした背景から今、「オフィスDX」が注目を集めています。
オフィスDXとは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の考え方をオフィス業務に適用し、従来の仕事のやり方や働き方を根本から見直す取り組みです。オフィスDXの実現は、単なるデジタルツールの導入に留まらず、企業文化そのものを改革し、持続的な成長を可能にする礎となります。
当記事では、「オフィスDXとは何か?」の基本から、導入によって得られる具体的なメリット、さらに、実際に他社で導入されている施策事例を分かりやすく解説します。これから「オフィスDX」を進めたいと考えている中小・中堅企業の経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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1. オフィスDXとは

オフィスDXとは、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の概念をオフィス業務に取り入れ、業務のやり方や働き方を根本から見直す取り組みを指します。
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術とデータを活用し、製品やサービス、ビジネスモデル、組織、企業文化そのものを変革していく広範な概念です。その中でもオフィスDXは、特にバックオフィス業務や日常の働き方に焦点を当て、業務効率化や生産性向上、従業員の働きがい向上を目指すものです。
一言でオフィスDXといっても、オフィス空間や設備をデジタル化する「オフィス環境DX」と、オフィス内で行う業務そのものをデジタル化・効率化する「オフィス業務DX」の2種類の取り組みがあります。この記事では、後者である「オフィスで行う業務のDX」に焦点を当て、業務の自動化や情報共有の促進、クラウドツールの活用など、日々の業務に直結し、働き方改革にもつながるDXの取り組みについて解説します。
2. オフィスDXのメリット

オフィスDXの導入は、人手不足への対応、情報管理の複雑化、働き方の多様化など、さまざまな組織課題の解決に寄与します。ここでは、オフィスDXを推進することで得られる4つの主なメリットを紹介します。
2-1. 業務の効率化・生産性向上
オフィスDXの最大の利点の1つが、業務効率の向上と生産性の改善です。これまで手作業で行っていた繰り返し業務や確認作業をデジタルツールで自動化・簡素化することで、社員の業務負担が軽減され、ミスが減少します。たとえば、経理部門では請求書の自動発行や経費精算システムの導入により処理時間が短縮され、人事部門では勤怠管理や給与計算の自動化によってヒューマンエラーのリスクが低減します。
さらに、DXの推進は人手不足への対策としても有効です。DX推進により業務の省力化によって限られた人材でも多くの業務を処理できるようになれば、注力するべきコア業務に、よりリソースを割り当てることが可能になります。人件費や業務時間といった「業務コスト」の削減も実現でき、企業の収益性向上にもつながると期待されています。
2-2. 労働環境の改善
オフィスDXは、社員の働きやすさにも大きく寄与します。たとえば、これまで人的負担の大きかったペーパーワークの自動化や、チャットボットの導入による24時間対応の簡素化により、長時間労働の是正が進みます。反復的な作業から解放されることで、社員のモチベーションや集中力が向上し、健康的な働き方が実現しやすくなります。
また、DXによってリモートワークの整備が進めば、柔軟な働き方が可能となり、ワークライフバランスの向上や、育児・介護と仕事の両立支援にもつながります。これらは、従業員の定着率向上にも寄与するだけでなく、採用市場においても「柔軟な働き方を提供する企業」として評価され、優秀な人材の獲得にもつながります。
同時に、リモート対応は災害時や感染症拡大時の事業継続(BCP)対策としても有効です。
2-3. 情報の共有と一元管理
DXの導入により、紙の資料に依存していた情報管理がデジタルに置き換わると、社内の情報共有が格段にスムーズになります。たとえば、文書管理システムの導入で、ファイル共有ツールによるリアルタイムなデータ共有が可能になります。その結果、業務の属人化を防ぎ、各担当者の業務状況や進捗が可視化されます。
このほか、ペーパーレス化によりオンライン上での情報の一元管理が進むことで、紙書類の課題であった紛失や改ざんのリスクが低減されます。また、蓄積されたデータを活用すれば、現状分析から意思決定までのスピードが飛躍的に向上し、変化の激しい市場環境にも柔軟に対応できるようになります。データドリブンな組織運営は、現代における競争力維持のカギとなるでしょう。
2-4. ヒューマンエラーの削減
オフィスDXの導入により、作業の自動化が進むことでヒューマンエラーの発生率を大幅に抑えられます。特に、数字の入力ミスや転記ミスといった、人的作業に起因するトラブルを防止できる点は大きなメリットです。たとえば、経理や受発注管理、在庫管理などの領域では、入力作業の自動化によって業務の精度が大きく向上します。
さらに、チェック業務もAIやシステムが担うことで、複数人による二重チェックが不要になり、人的工数の削減にもつながります。社員は本来集中すべき創造的・戦略的業務に注力できるようになり、組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。
3. オフィスDXの施策事例

オフィスDXを推進するには、単にツールを導入するだけでなく、自社の課題や業務内容に即した施策を取り入れることが重要です。
ここでは、オフィスDXを効果的に実現している具体的な施策と、それによって得られるメリットを紹介します。
3-1. 文書管理システムの導入
文書管理システムの導入は、紙媒体からデジタルへの移行により、管理や検索、共有の手間を大幅に軽減できる施策です。保管棚や倉庫といったスペースが不要になり、省スペース化によって固定費を抑えられると同時に、バージョン管理機能によって、古い資料を誤って使用する事態も防げるのがメリットです。
社内情報の整備がされていないと社内情報の検索に時間がかかり、1日あたり平均1時間5分を社内情報の検索にかけているという調査もあります。オフィスDXで文書を適切に管理し、キーワード検索機能を使用することで、必要な資料を数秒で見つけ出せ、探す時間の削減につながります。
同時に、アクセス権限の設定や操作ログの記録により、情報の持ち出しや改ざんのリスクを可視化し、情報漏えいリスクの低減も実現します。
法人向けのクラウドベースであれば、社外や在宅勤務中でも安全にアクセスできるため、テレワーク時代におけるセキュリティと利便性の両立を叶えます。
3-2. コラボレーションツールの導入
チャットやWEB会議、ファイル共有などを統合したコラボレーションツールは、場所にとらわれないスムーズなコミュニケーションを可能にします。オフィス内外を問わず、リアルタイムに情報をやり取りできることで、会議や意思決定のスピードが向上し、口頭伝達に比べて情報の抜け漏れも減ります。
また、社内外の関係者と同じ窓口で情報を一元的に管理できるため、取引先とのやり取りも効率化されます。履歴から過去のやりとりを簡単に振り返ることができ、プロジェクトの透明性や信頼性が向上する点もメリットです。特にリモートワークや多拠点展開している企業にとっては、欠かせないDX施策の1つです。
近年では生成AI技術を駆使し、コラボレーションツールで会議を行った際、生成AIが議事録を作成してくれたり、作成した議事録の中からタスクのリストを生成してくれたりといった機能も登場しており、より導入による効果は大きなものとなっています。
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3-3. ワークフローの自動化
稟議や経費精算など、定型的な業務フローをデジタルツールで自動化することで、承認プロセスにかかる時間や労力を削減できます。紙の申請書を回覧する必要がなくなり、スマートフォンやパソコン(PC)からワンクリックで承認が可能となるので、上司(決裁者)が出張中でも決裁業務が止まりません。同時に、転記ミスや入力ミスを削減し、修正対応にかかる時間やコストも抑えられます。
また、ワークフローの流れを可視化することで、どこにボトルネックがあるかを把握しやすくなり、業務負荷の偏りや遅延の解消にもつながります。ワークフローの自動化は全社的な業務平準化と効率向上の実現につながる施策です。
3-4. データドリブンを実現するツールの導入
オフィスDXにおいて、データ分析ツールの導入は意思決定の質とスピードを大きく変えます。
たとえばBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入すれば、会計、販売、在庫などのデータを一元管理し、リアルタイムで経営指標を可視化できます。視覚的に集計・分析された情報により、経営層や現場の迅速な意思決定が可能になります。
さらに、CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)ツールを活用することで、顧客との接点や営業活動の進捗をデータとして蓄積・管理できます。属人化していた営業ノウハウを共有でき、業務のブラックボックス化を防ぎます。数値ベースでのPDCAサイクルの運用が可能になるため、継続的な業務改善にも寄与します。
3-5. セキュリティ対策の強化
オフィスDXの進展とともに、情報セキュリティ対策の強化も欠かせません。たとえば、社用PCやスマートデバイスの持ち出しに対し、デバイス管理やリモートロック機能を導入しておけば、万が一の紛失や盗難による情報漏えいリスクを低減できます。
また、ウイルス対策ソフトやファイアウォール、EDRなどを組み合わせることで、サイバー攻撃やマルウェアの侵入を防ぎます。加えて、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)や個人情報保護法といった認証や法規制にも対応しやすくなるため、コンプライアンス面でも安心です。
テレワークの拡大やクラウド利用の増加に対応するため、セキュリティはDXと並行して強化していく必要があります。
まとめ
オフィスDXは、業務の効率化や労働環境の改善、情報管理の高度化といった多くのメリットをもたらす施策です。文書管理やコラボレーションツール、ワークフローの自動化など、導入しやすく効果の高い取り組みも多く、企業規模を問わず実践が可能です。
また、セキュリティ対策やデータ活用といった分野の強化も並行して行えば、持続的に企業としての競争力を高められます。これからDXを推進する企業は、自社の課題に応じた施策を見極め、段階的に導入していくことが成功への第一歩となるでしょう。
KDDI まとめてオフィスではオフィスのDXを支援しています。DXの推進でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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