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エドテック(EdTech)とは?注目されている背景・メリット・具体例を解説

エドテック(EdTech)とは?注目されている背景・メリット・具体例を解説

2021年10月04日掲載(2023年11月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

子どもたちがタブレットで授業を受けている様子

エドテックとは、教育と最新技術を融合した新しい教育です。日本においても、今後はエドテックが推進されていくと考えられています。この記事では、エドテックについてくわしく知りたいと考えている担当者に向けて、エドテックの概要や現状について解説します。エドテックについて理解を深めるために、ぜひ参考にしてください。

目次

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エドテック(EdTech)とは何か?

エドテックとは、教育と最新技術や汎用技術を組みあわせて生まれた、新しい教育の方法です。教育を意味する「Education」と技術を意味する「Technology」のかけ合わせにより、エドテック (Edtech) という造語が生まれました。既存の産業とデジタルやICT (情報通信技術) 、AIやビッグデータなどをかけ合わせることで、新しい製品やサービスが生まれることを「クロステック (X-Tech)」といいます。エドテック (EdTech) もクロステック (X-Tech) の一つと位置付けられています。そのほか、金融とテクノロジーをかけ合わせたフィンテック (FinTech)、広告とテクノロジーをかけ合わせたアドテック (AdTech)、人材とテクノロジーをかけ合わせたエイチアールテック (HRTech) など、さまざまな業界にクロステック (X-Tech) は存在しています。世界中の教育業界でエドテックに注目が集まっており、さまざまな技術とのかけ合わせにより、新しい教育が展開され始めています。

エドテック(EdTech)が注目されている背景

エドテックはなぜ注目を集めているのでしょうか。ここでは、エドテックが注目されている背景を解説します。

教育の格差

従来から、経済格差によって生じる教育格差の問題が指摘されていました。特に、学校で提供される教育以外の部分で格差が生じています。たとえば、親の収入が低い子どもは塾に通えず、本人が希望する教育を受けられないケースも珍しくありません。

しかし、最近では、インターネットを活用して低料金で講習を受けられるサービスも出てきました。このようなサービスをさらに気軽に活用できるようになれば、教育の格差を是正できると考えられています。

グローバル化

エドテックは、加速するグローバル化に対応できる人材を育てるために役立つと期待されています。世界を舞台に活躍するうえでは、英会話の習得が必要不可欠です。ビデオ通話で世界中のネイティブスピーカーと気軽にやり取りできれば、スムーズに英会話を習得しやすくなります。AIを活用した効率的な学習方法にも注目が集まっています。

教育現場の働き方改革

教育現場を牽引する教員には、大きな負担がかかっています。しかし、エドテックを実現できれば、教員の負担を大幅に削減できる可能性があります。たとえば、インターネットを通して課題の進捗状況をチェックできれば、確認にかかる手間を減らすことが可能です。また、オンラインで教材や問題集などを配布できると、いちいち印刷する手間がかかりません。

エドテックは教育の質を高めるだけでなく、教員の負担を減らす効果も期待できます。その結果、教育現場の働き方改革にもつながると考えられています。

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エドテック(EdTech)の市場規模

IT企業が相次いで教育分野に参入し、画期的なサービスを数多く提供し始めています。エドテックが生まれたアメリカだけでなく、中国でもさまざまな企業がエドテックに力を入れています。

日本においても、エドテックの市場規模は徐々に拡大している状況です。2018年1月には経済産業省が「『未来の教室』とEdTech研究会」を立ち上げており、エドテックを推進しようとしている様子が伺えます。

日本のエドテック(EdTech)の現状

日本でもエドテックに注目が集まり始めていますが、現状ではまだ発展途上の段階です。政府がエドテックの推進に意欲をみせているものの、自治体や学校によって意識はまちまちとなっています。自治体や学校ごとに経済状況も異なるため、なかなか足並みがそろっていないのが実際のところです。

また、最新技術を活用するエドテックに対応できる教員も、まだ多くありません。日本国内でエドテックを推進するためには、教員の育成にも力を入れる必要があります。

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エドテック(EdTech)を後押しする「GIGAスクール構想」とは?

文部科学省は「GIGAスクール構想」を掲げており、エドテックを推進しようとしています。具体的には、2023年度までに高速通信環境を整備し、1人に1台ずつ端末が行き渡るようにすることを目標としています。

世界と比較すると、日本では学校のICT環境の整備が遅れている状態です。文部科学省は自らの取り組みにより、ICT環境の整備の遅れを取り戻そうとしています。

「教育改革・GIGAスクール構想とは?」くわしくはこちら

エドテック(EdTech)とICT教育・eラーニングの違い

エドテックに似た言葉としてeラーニングやICT教育があります。eラーニングは、インターネットと端末を活用して学習する形態です。パソコンやCD-ROMなどが普及した頃から、eラーニングという言葉が使われ始めました。PDF化された教材やオンデマンド配信動画による学習ができます。eラーニングはエドテック (EdTech) の一部と覚えておきましょう。

ICT教育は、パソコンやタブレットなどのICT端末を用いて学習する方法です。ICT教育を推進するため、生徒にタブレットを配布する学校も出てきました。

そして、エドテックは、スマートデバイスの浸透によって世間に広まった言葉です。エドテックは、eラーニングよりもさらにスムーズなオンライン上でのやり取りを重視している点が特徴的です。

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エドテック(EdTech)のメリット

日本でも、今後はエドテックが推進されていくと考えられます。ここでは、エドテックのメリットを解説します。

離れた場所へ高度な教育を提供できる

エドテックなら、場所を問わず高度な教育を提供できます。現状では、住んでいる場所によって受けられる教育の内容や質が限定されています。親元を離れて生活しながら教育を受けようとしても、費用の負担が大きくて実現できないケースも少なくありません。

エドテックにより教育が提供されるようになると、住んでいる場所にかかわらず高度な教育を受けられるようになります。

双方向のやり取りを通して学習できる

エドテックでは、インターネットの通信により教員と生徒がリアルタイムでやり取りしながら学習を進められます。それぞれが離れた場所にいても、つまずいている部分や理解できていない部分をスムーズに共有できます。保護者ともコミュニケーションを取りやすく、連携を強めることが可能です。

海外とのやり取りもできる

エドテックはインターネットを活用する教育スタイルであり、国内だけでなく海外とのやり取りも可能です。たとえば、海外の教育機関と連携すると、生徒は国内にいながら海外の授業を受けられるようになります。従来は実現できなかった幅広い学習の機会を提供できるため、教育内容をさらに充実させられます。

それぞれに適した学習環境を選べる

エドテックは、インターネットに接続できる場所ならどこでも学習に取り組めます。たとえば、静かな場所で勉強したい人もいれば、他人の気配がある場所で勉強したい人もいるでしょう。エドテックなら、自分が集中できる環境を選んで学習を進められます。不登校になり学校へ通うのが困難な生徒も、必要な教育を受けやすくなります。

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エドテック(EdTech)のデメリット

エドテック (EdTech) にはもちろんデメリットもあります。エドテックの活用を検討する際は、デメリットの存在も把握し、対策を検討する必要があります。

人間関係の構築がしづらい

人間関係の構築がしづらいインターネットを介したオンライン上のコミュニケーションが前提となるため、新たな人間関係を構築し、円滑に意思疎通をするには、それなりのコツと時間を要します。また、個人の学習最適化に力を発揮する一方、集団行動の指導などには不向きといえます。学習指導におけるオンラインとオフラインのバランスが重要です。

眼精疲労を招く

パソコンやタブレットなどの端末を使って長時間学習をすることで、眼精疲労やこれに伴う肩こりなどの身体的症状がでるおそれがあります。

ITリテラシーが必要

エドテックを導入するにあたり、ITリテラシーが低い場合は、導入初期に苦労するかもしれません。特に教職員は、使いこなせないことにより、授業の質の低下や、カリキュラムの進みが遅くなるということも考えられます。教職員間のITリテラシー格差をなくすための取り組みが必要です。また、小学校の低学年の生徒などは、学校だけでなく、家庭での保護者のサポートも重要になってきます。不要なサイトにアクセスしてしまうなど、トラブルに巻き込まれるリスクがあります。学習に使用する端末自体に、アクセス制限を施す、生徒に対しどんなリスクがあるかを学ぶ時間を設けるなどなど、セキュリティ意識の醸成と対策も重要になってきます。

エドテック(EdTech)による教育の具体例

エドテックとしては、具体的にどのような教育が行われているのでしょうか。ここでは、エドテックの具体例を紹介します。

アダプティブラーニング

アダプティブラーニングは、AI技術を活用し、各生徒の状況をもとにして最適化した学習方法を提示します。生徒の過去の回答や学習履歴をデータとして蓄積し、分析します。それにより生徒の弱点や思考のクセを明らかにし、最適な学習方法を示す方法です。

内容やレベルはもちろん、学習の進度も考慮したうえで学習内容を最適化します。そのため、最も効果的な学習方法の提案が可能です。

「アダプティブラーニング」の導入事例はこちら:日本大学第三中学校・高等学校

オンライン学習

オンライン学習は、インターネットを通じてさまざまな講義を受講する方法です。日本ではJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)が設立され、場所を問わず幅広い学習機会を得られるようになりました。国内の主要な大学から講義内容が配信されています。

また、最近ではオンラインでさまざまな学習ができるサービスが登場しています。たとえば、英会話やプログラミングを学べるサービスも増えてきました。

疑似体験学習

エドテックでは、VRによるリアルな疑似体験学習も実現できます。VRは、映像や音声の効果によって、まるで実際に体験しているような感覚を提供できる技術です。仮想空間のなかでさまざまな場面を体験できます。

たとえば、歴史的建造物へバーチャルトリップし、見学することも可能です。大勢の疑似観衆の前でプレゼンテーションを行う体験もできます。

まとめ

エドテックは世界的に注目されており、日本でも少しずつ推進されています。今後はさらにエドテックが浸透していく可能性が高いです。そのためには、エドテックに必要なさまざまな準備を整えなければなりません。

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