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スマホを内線化する方法|費用の目安・メリット・注意点を解説

スマホを内線化する方法|費用の目安・メリット・注意点を解説

2024年02月08日掲載(2025年10月27日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
スマホを内線電話として使うには?費用・導入方法とメリットを紹介

出先で会社にかかってきた電話に対応したり、社内に残っている人に連絡を取ったりする際に、スマートフォン(スマホ)を内線電話として扱えると便利です。FMCやクラウドPBXを利用するとスマホを内線化できるため、社員の出先での対応が多い企業ではスマホの内線化を導入することをおすすめします。

当記事では、スマホ内線化の方法やメリットを詳しく解説します。導入コストやデメリットについても確認しながら、スマホ内線化を検討しましょう。

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1. スマホは内線化できる?

ビジネスフォンの内線・外線・転送となどの機能をスマートフォンでも利用できるようにする

スマホの内線化とは、ビジネスフォンに備わった内線・外線・転送といった機能をスマホでも利用できるようにする技術です。スマホを内線化すると、据え置き型のオフィス電話の代わりにスマホを利用でき、場所を問わず仕事の電話対応が可能になります。インターネット回線を利用してスマホを内線化するため、出先からの内線電話や会社番号を用いた発信ができます。

スマホの内線化によって期待できるメリットは、業務効率化やコスト削減です。特に、リモートワークの従業員が多い仕事や事業所が留守になる機会の多い職場では、効果を発揮します。

内線化を目的としたツールにはさまざまな種類があり、中にはチャット機能やビデオ通話など豊富な機能が使えるサービスもあります。あらかじめ必要な機能を検討し、条件に適った内線化の方法を選びましょう。

2. スマホを内線化する方法

スマホを内線化するには、以下のように大きく2つの方法に分けられます。

  • オンプレミスPBX(IP-PBXまたはレガシーPBX)を利用する方法
  • クラウドPBXを利用する方法

まず始めに、「PBX」とは何かについて説明します。PBXは「Private Branch Exchange」の略称で、「構内交換機」と訳されます。PBXは、内線同士の通話や内線と外線の接続を制御・管理する装置です。スマホを内線化する際には、このPBXを「物理的に置くか」それとも「クラウド上に置くか」という違いがポイントになります。

また、スマホの内線化には「FMC」という概念が登場します。FMCは「Fixed Mobile Convergence」の略称で、「固定電話と携帯電話の融合」を意味します。この概念を踏襲し、これを実現するサービスを総じてFMCサービスと呼びます。

2-1. オンプレミスPBXを利用してFMCを実現する

FMCを利用する回線のイメージ

この方法は、企業内に物理的なPBXを設置・維持するものです。利用するのは、従来の電話回線網(レガシーPBX)やインターネット回線網(IP-PBX)です。スマホを内線化するには、既に社内にPBXが導入されている場合は、専用のアダプターを追加して利用する方法があります。また、PBXを新たに導入する場合は、初めからFMC機能に対応した機器を選ぶことで、スマホと社内の電話網を統合することができます。

これはFMCを実現する代表的な方法です。

キャリアが提供するFMCサービスを導入してスマホ内線化を実現する場合、異なる携帯電話会社はサービスの対象外となるため、すべてのスマホを同じキャリアに揃える手続きが必要です。

2-2. クラウドPBXを利用してFMCを実現する方法

クラウドPBXを利用する回線のイメージ

近年では「クラウドPBX」が主流になりつつあります。クラウドPBXは、従来のオンプレミスPBXによる電話環境が、クラウド上に構築され、インターネット回線を通じて通話や転送ができます。

クラウドPBXは、スマホ利用のみなら、インターネット環境さえ整っていれば工事不要で導入できるため、コストが抑えられることがメリットです。クラウドPBXによるスマホの内線化により、出先にいても内線・外線の通話が可能になり、スマホから会社番号で発信することもできます。

なお、クラウドPBXは、回線の状況によって音声が不安定になる場合があります。また、緊急通報には使用できない、FAX番号が使えなくなるといったケースもあるため、導入前には提供元に確認しましょう。

3. スマホ内線化にかかる費用の比較が難しい理由

スマホを内線化する際の費用は、企業の規模や通信環境、導入するシステムの種類によって大きく異なります。初期費用を重視するか、月額コストを抑えるかなど条件に応じた差が大きいため、費用の目安を一律に示すことは難しく、単純な比較も困難です。

以下では、主な内線化方法である「オンプレミスPBX」と「クラウドPBX」それぞれの費用の変わり方について詳しく解説します。

3-1. 「オンプレミスPBX」を使う場合(自社に機器を設置するケース)

オンプレミスPBXとは、自社内に電話交換機(PBX)を設置して通話を管理する仕組みで、従来のビジネスフォンで広く使われてきた方式です。この方式でスマホを内線化する場合、PBX本体への作業・設定費用に加えて、内線通話を可能にする「光回線(光ファイバーなど)」と「FMCサービス」の2つの費用が主に発生します。

しかし、これらの費用は企業によって大きく異なります。たとえば、既存のPBXの機種や接続方式、構成、どのベンダーが提供しているかなどが会社ごとに異なるため、作業にかかる工数もさまざまです。設定費用や作業費も依頼先の業者によって変動します。

つまり、オンプレミスPBXを使った内線化の費用は、企業のPBX環境や回線状況によってケース・バイ・ケースとなります。

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3-2. 「クラウドPBX」を使う場合(ネット上のサービスを使うケース)

クラウドPBXは、従来のPBX機器を社内に設置せず、インターネットを通じてクラウド上で通話の制御や内線機能を提供するサービスです。この方式では、スマホの内線化機能があらかじめ基本サービスに含まれているケースが多いため、追加で特別な工事や高額な機器を導入する必要がありません。

そのため、スマホを内線として使いたい場合でも、クラウドPBXを契約すれば「標準機能としてすでに利用できる」という状態になっていることが一般的です。利用者側のイメージとしては、「スマホ内線化はクラウドPBXに付帯するおまけ機能」と捉えると分かりやすいでしょう。

このように、クラウドPBXではスマホ内線化が基本機能に含まれていることが多いため、内線化にかかる費用がはっきりと分からず、ほかの方法と個別に比較するのが難しいという特徴があります。

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4. スマホ内線化のメリット

場所を問わない/会社番号で通話/コストの削減

スマホを内線化すると、業務におけるさまざまな問題を解決できる可能性があります。ここからは、スマホ内線化にはどのようなメリットがあるのか、実際の業務と関連付けて紹介します。

4-1. どこでも内線・外線がかけられる

スマホを内線化することで、社内の電話機能をスマートフォンでも利用できるようになり、場所を問わずに内線・外線の通話が可能になります。持ち運びできるスマホを活用すれば、外出先やリモート環境でも柔軟に電話対応が行え、業務の迅速化・効率化に寄与します。

お客さまや取引先からの連絡に対して、社内での取り次ぎや折り返し対応に時間がかかると、ビジネスチャンスを逃す可能性もあります。スマホを内線化しておくことで、状況に応じてすぐに対応できる体制を整えやすくなり、結果として顧客満足度の向上や信頼関係の強化につながります。

もちろん、すべての場面で即時対応が可能とは限りませんが、スマホを内線化することで、従来よりもスムーズな連絡体制を構築できる点は大きなメリットです。

4-2. 外出先から会社の番号で電話ができる

スマホの内線化によって、会社の固定電話番号で発着信ができるため、オフィスに戻らなくても電話対応ができます。スマホから会社番号で発着信できれば、出先にいる社員やリモートワークの社員もそれぞれの場所から会社番号での通話が可能です。

また、スマホの内線化によって個人の携帯電話番号で発信する必要がなくなるため、社員のプライバシーを守ることにもつながります。

4-3. コスト削減が期待できる

スマホを内線化すると、通信コストと端末コストの両方が削減できます。スマホが内線化されていない場合、出先にいる社員の通話手段は外線のみです。一方、スマホの内線化を行った場合、社員同士の通話が内線電話扱いになり、通信コストの削減につながります。

また、スマホを内線化することで、社内の固定電話を減らすことも可能です。固定電話の管理コストを削減でき、維持費もかからなくなる点もメリットの1つです。

4-4. 担当者不在時もスムーズに取り次ぎできる

スマホを内線化すると、担当者が外出中でも会社宛ての電話を直接受け取れるようになります。これにより、代表電話にかかってきた着信を、顧客を待たせることなく直接担当者のスマホに着信させられるため、スムーズな対応が可能です。

従来のビジネスフォンでは、担当者が外出中の場合、顧客に折り返しを依頼するか、一度電話を切ってから担当者へ連絡を取り直す必要がありました。しかし、スマホ内線化により外出中の担当者へもオフィス内と同様に内線で直接つなぐことができるようになると、この手間が不要になります。結果として、顧客への対応速度が上がり、機会損失の防止や満足度の向上にもつながります。また、担当者が社外にいる状況でも、会社の代表番号での発着信ができるため、信頼感を損なうこともありません。

4-5. 多様な働き方に対応できる

スマホの内線化は、テレワークや在宅勤務といった柔軟な働き方に役立ちます。インターネットに接続できる場所であれば、国内外を問わずオフィスと同様の通話環境を構築できるため、出社せずとも会社番号での発着信や内線通話が可能です。これにより、従業員は場所にとらわれず働けるようになり、子育てや介護との両立など個人の状況に合わせた働き方が実現します。企業にとっては地方在住の人材活用や災害時の事業継続といった、多様なニーズに応えられるという利点があります。

また、通勤時間や移動の削減によって生産性向上やワークライフバランスの改善にもつながるため、「働き方改革」を進める企業にとっても有効な手段です。

4-6. BCP対策として有効である

スマホの内線化は、災害や緊急事態に備えるBCP(事業継続計画)対策として有効です。クラウドPBXを活用すれば、通話履歴や連絡先などのデータはクラウド上に保存されるため、オフィスが被災しても業務に必要な情報を失うリスクを低減できます。スマホ内線化により、出社が困難な状況でも自宅や避難先から会社番号での発着信が可能となり、関係者との連絡を継続できます。

また、停電や設備の損傷に左右されにくい通信手段として、モバイル回線との併用も可能です。ただし、FMCによるスマホ内線化は電話網やインターネット網を経由するため、それぞれの網自体がつながらないような甚大な被害が発生した際に通話ができない可能性がある点には注意が必要です。BCP対策の観点では、万が一に備えてFMC(オンプレミスPBXやクラウドPBX)のほか、衛星を利用した連絡手段の確保など、複数の通信手段を組み合わせて備えることが望まれます。

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4-7. 専用設備が不要で導入が容易である

従来の固定電話機や社内の電話設備を撤去でき、専用設備を用意する必要がなくなることも、スマホを内線化するメリットです。社員それぞれのスマホが会社の電話として機能するため、新たな電話機の購入や配線工事、設置スペースの確保も不要です。これにより、設備費や保守・管理のコスト削減が見込まれるほか、オフィスのレイアウト変更や移転時の柔軟性も向上します。

特にクラウドPBXを導入すれば、電話機の設置やPBX本体の導入も不要で、インターネット環境があればすぐに利用を開始できます。固定電話に比べて導入ハードルが低く、初期費用・維持費ともに抑えられる点は、中小企業やスタートアップにとって大きなメリットです。

※専用電話機設置が不要で、スマホのみの利用で良い場合。

4-8. 業務効率が向上する

スマホを内線化することで、社外からの連絡や社内連携がスムーズになり、業務全体の効率が大きく向上します。外出先でも会社番号で発着信できるため、顧客対応のスピードが上がり、機会損失を防ぎやすくなります。社員同士の連絡もスマホの内線番号で行えるため、取り次ぎや折り返しにかかる手間を削減できる点もメリットです。

さらに、会社全体の受電体制を整える施策としてIVR(自動音声応答)を導入すれば、発信者が音声ガイダンスに従って番号を選択するだけで適切な担当者につながるなど、取り次ぎ業務の負担を軽減できます。FAQや営業時間の案内といった定型的な問い合わせにも対応できるため、業務全体の効率化を一段と加速できます。

また、クラウドPBXを利用したスマホ内線化であれば、通話履歴や対応状況をリアルタイムで共有でき、情報の行き違いや対応漏れを防ぎやすくなります。このように、スマホ内線化をベースに、クラウドPBXやIVRを組み合わせて活用すれば、組織全体の電話業務をより効率化できるのが大きな特徴です。

5. スマホ内線化のデメリット・注意点は?

通信状態により通話品質が変化/セキュリティリスクの対策が必須

スマホの内線化にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。デメリットにどう対処すべきか知っておくことで、混乱を回避しましょう。ここからは、スマホを内線化するときのデメリットと対処法について解説します。

5-1. 音質がインターネット回線に左右される

内線化したスマホで通話するとき、インターネット回線の状況によって音質が変化します。通信状態が悪いと通話の品質が低下し、声が聞き取りづらくなります。

スマホを内線化する際はトライアル期間があるサービスならこれを利用して、実際の通話音質を確認しましょう。通信状況に関して相談窓口を設置しているなど、サポートが充実しているサービスを選ぶのもおすすめです。また導入実績を確認し、高品質な通話が可能か確認することも大切です。サービスを選ぶときは、通信が安定しているかどうかに着目しましょう。

5-2. セキュリティリスクへの基本的な備える

スマホを内線化する際には、日常的な業務で安心して使えるよう、最低限のセキュリティ対策を講じておくことが望ましいです。リスクは大きく分けて、技術的な面と人的な面に分類できます。

技術的なリスクとしては、スマホが外部からの不正アクセスやマルウェアにさらされる可能性があります。ただし、こうしたリスクは、セキュリティアプリの導入や、信頼性の高いネットワーク環境の利用など、基本的な対策を行うことで十分に抑えられます。特別な設備や高度な知識がなくても、一般的なセキュリティ対策で対応可能です。

人的リスクは、スマホの紛失や誤操作など、誰にでも起こり得るちょっとしたミスが原因となります。ID・パスワードの管理をしっかり行うことや、社員向けのセキュリティ研修を実施することで、人的リスクも自然と減らせます。

スマホの内線化は、業務の効率化や柔軟な働き方を実現する上で非常に有効です。過度に心配する必要はありませんが、基本的な対策を整えておくことで、より安心して活用できる環境が整います。スマホ内線化にあたりセキュリティ面で不安があれば、知見のあるプロの業者に相談しましょう。

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5-3. 通信環境によってはモバイルデータ通信が必要になる

スマホの内線化では、通話にインターネット回線を使用するため、Wi-Fiがない環境ではモバイルデータ通信が必要となります。社員の私用スマホを業務利用するBYOD(Bring Your Own Device)方式の場合、仕事で発生する通信料が社員の負担となることもあります。特に通信量に制限があるプランでは、個人負担が大きくなりかねません。

Wi-Fiのない外出先での業務が多い場合は、通信費の補助制度や業務用端末の貸与など、企業側で配慮が求められます。運用コストが見えにくい点にも注意し、導入前にルールの整備が必要です。

5-4. 仕事とプライベートの切り分けが難しくなる

勤務時間外でも会社からの電話が鳴る可能性があり、仕事とプライベートの切り分けが難しくなる点に注意が必要です。特にBYODの場合、休日や終業後に顧客から連絡が入るケースもあり、心身の負担が増すおそれがあります。

プライベート時間の確保のためには、業務時間外の留守番電話設定や不在通知機能の活用、内線アプリのログイン・ログアウト機能の運用ルール化が重要です。従業員が安心して働けるよう、事前に明確なガイドラインを整えておくことをおすすめします。

5-5. サービスによっては一部機能に制限がある

スマホを内線化する際、サービスによっては一部の機能に制限がある点に注意が必要です。たとえば、クラウドPBXの中には、これまで使用していた市外局番が使えず、050から始まるIP電話番号を新たに取得しなければならないケースがあります。その場合、取引先や顧客に番号変更を通知する手間が発生します。

また、クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、110番や119番などの緊急通報への発信ができない場合があります。業種や業務内容によっては、緊急対応が必要な場面もあるため、通報手段が限られる点は重大なリスクとなります。こうした制限は事前に確認し、必要に応じて代替手段を準備しておくことが重要です。

まとめ

スマホを内線化することで、どこにいても内線通話や会社番号での外線通話を行える環境が整います。ビジネスチャンスを逃しにくくなり、加えて顧客満足度が上がる可能性もあります。

内線化の方法には複数あるので、導入コストや自社で使用しているスマホキャリアを確認しながら導入を検討しましょう。

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