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Starlinkの仕組み|速度やメリット・デメリット・利用方法も解説

Starlinkの仕組み|速度やメリット・デメリット・利用方法も解説

2024年02月08日掲載(2026年01月23日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
Starlinkの仕組みについて、速度、メリット・デメリット、そして利用方法を詳しく解説いたします。

Starlink(スターリンク)は、数千機の低軌道周回衛星によって提供されており、従来の衛星通信サービスに比べて大幅に高速かつ低遅延のデータ通信を実現するサービスです。山間部や離島といった通信が不安定になりやすいエリアでも利用できることから、導入する企業は少なくありません。

Starlinkの導入にあたっては、メリットやデメリットはもちろん、仕組みについても理解しておくことが大切です。そこで今回は、Starlinkの仕組みと既存のネット回線や衛星通信との違いを解説した上で、Starlinkのメリットやデメリットを紹介します。さらに、法人向けにStarlinkの利用方法と導入事例も紹介するので、ぜひお役立てください。

目次

1. Starlink(スターリンク)とは

StarlinkとはアメリカSpaceXが提供する低軌道衛星通信サービス

★ イラストはイメージです。

Starlinkとは、アメリカのカリフォルニア州ホーソンに本社を構える航空宇宙メーカー「SpaceX」が展開・提供する画期的な衛星通信サービスです。

以下ではStarlinkの仕組みや、既存のネット回線との違いなどを解説します。

2. Starlinkの仕組み

Starlinkは固定回線代わりに衛星を経由してインターネットに接続します

★ イラストはイメージです。

StarlinkはSpaceXが運用する低軌道衛星を介して、エリアや環境に左右されない高速インターネット通信を提供しています。

Starlinkの通信に利用する低軌道衛星は、高度約550kmを周回する非静止衛星です。多数の人工衛星群を連携させる「衛星コンステレーション」という技術により、世界中の広範な地域で衛星通信を実現しています。

なお、Starlinkの低軌道衛星は、2025年12月時点で9,357基が軌道上に存在し、そのうち9,347基が稼働中です。今後も打ち上げは継続され、最終的には数万基規模(最大42,000基)の投入が計画されていて、衛星コンステレーションにより地球全体をカバーする計画です。

Starlinkの低軌道衛星から発信された電波は、地上側に設置した専用アンテナで受信して、インターネット通信ができる仕組みとなっています。

出典:Starlink satellites: Facts, tracking and impact on astronomy

出典:Before the Federal Communications Commission Washington, D.C. 20554 - FCC 22‑91

2-1. Starlinkと既存のネット回線や衛星通信の違い

インターネット通信には、固定のネット回線や衛星通信を用いたサービスがあります。

固定のネット回線は、物理的な接続ケーブルをオフィスに引き込んだり、基地局からモバイル端末に電波を送信したりすることで、インターネット通信を提供しています。固定のネット回線は通信の遅延が少なく、安定してデータ通信ができる点が特徴です。

しかし、固定のネット回線を利用するには通信回線の敷設や電波塔の設置などが必要であり、山間部や海上などの条件では通信が難しいという課題があります。

また、既存の一般的な衛星通信は、高度約3万6,000kmを飛んでいる静止衛星を利用して通信を行っています。既存の衛星通信には環境を問わず通信できる利点があるものの、衛星との距離が離れているため、通信速度の低下や遅延が問題点となっていました。

Starlinkは、既存のネット回線と衛星通信が抱えていた課題をいずれも解決できる通信方法です。高度約550kmの低軌道を飛ぶ人工衛星を使って通信しており、速度は低遅延かつ高速です。さらに、回線の敷設が不要で、アンテナを設置するだけでインターネット通信を利用できます。

2-2. Starlinkと衛星コンステレーション

Starlinkは、低軌道に多数の小型衛星を配置する「衛星コンステレーション」を用いたインターネット接続サービスです。

衛星コンステレーションとは、共通の目的で連携して動く複数の人工衛星システムを指し、星座を意味する「コンステレーション」という名称のとおり、一群の衛星が一体となって機能します。Starlinkは、高度約550kmの低軌道に数千基規模の衛星を打ち上げ、地球全体を細かく覆う構成を採用しています。

衛星と地上の距離が短いため遅延が小さく、クラウドサービスやビデオ会議にも使いやすい通信品質を確保できる点が大きな特徴です。

2-3. 衛星コンステレーションの仕組み

そもそも、衛星コンステレーションは、多数の衛星を低軌道に分散配置し、常にどこかの衛星が地上局をカバーするように設計する考え方です。

低軌道の衛星は地球に近い分、1つの衛星がカバーできる範囲が狭く、公衆回線として利用するには数十~数千基規模の衛星が必要です。また低軌道では衛星の移動速度が速く、同じ衛星が長時間同じ場所をカバーし続けることはできません。このため、ある衛星が通過した後は次の衛星へ通信を自動的に切り替え、地上側からは途切れなく接続しているように見えるのが、衛星コンステレーションの仕組みです。

実際の通信は、利用拠点のアンテナから上空の衛星へ電波を送り、衛星同士や地上局を経由してインターネット網に接続するようになっています。

3. Starlinkを利用できるエリア

Starlinkは多数の低軌道衛星を連携させることで、日本国内のほぼ全域をカバーしており、都市部だけでなく山間部や離島でも利用できます。海上では、領海の基線から12海里を超える接続水域や排他的経済水域、公海まで通信可能で、グローバル優先やROAM無制限プランにより広範囲で高速通信を確保できます。

将来的には衛星数をより拡大させる計画もあり、さらに安定した通信環境が期待されています。

4. Starlinkが使用できる環境

Starlinkは、過酷な天候や気温変化が多い地域でも安定した通信を維持できるよう設計されています。実際の耐雪試験では、ヒーターをオフにした状態でも乾雪10cmまで通信が維持され、通常の環境では雪が滑落するため問題が生じにくいとされています。

耐候性も高く、-30~+50℃の屋外で動作し、時速160km超の強風にも耐える設計です。豪雨や強風時には一時的に速度低下や通信断が発生する可能性はあるものの、Starlinkの衛星ネットワークは複数の衛星間で自動的に通信経路を切り替えるため、遮蔽物が一時的に発生しても影響を最小限に抑えるよう工夫されています。これらの特性により、山間部・沿岸部・積雪地域など多様な環境でも継続的なインターネット利用が可能です。

5. Starlinkの回線速度

Starlinkの回線速度は、ビジネス利用にも十分対応できる水準です。2025年8月時点では、東京でStarlink Businessのアンテナを利用した場合、下り204~327Mbps、上り24~42Mbps、遅延26~35msが確認されています。この数値は、メール送受信に必要とされる1Mbpsや、Webサイト閲覧に目安となる下り10Mbpsを大きく上回ります。

また、Web会議でも上り1Mbps以上、下り10~30Mbps以上があれば安定した通信が可能とされているので、Starlinkの回線速度であれば映像や音声のやり取りも支障なく行えることが分かります。固定回線が整備されていない環境でも、高速かつ低遅延の通信を実現できる点は、業務の継続性や生産性向上の面で大きな強みです。

★速度は設置環境や回線の混雑状況により変動します(ベストエフォート型サービス)。

6. Starlinkのメリット

Starlinkは広いエリアで安定した高速通信を提供できるほか、さまざまなメリットがあります。ここでは、Starlinkの代表的な4つのメリットを紹介します。

6-1. ネット環境がないエリアでも使える

離島・山間部・海上も。日本全域、空が見える場所なら利用可能

★ イラストはイメージです。

Starlinkは衛星通信によりインターネット接続ができるため、ネット環境がないエリアでも使えます。Starlinkの対応エリアは日本の全域です。山間部や離島、海上も含めて、インターネットが通常使えない場所でも空が開けた環境であればどこでも利用できます。

Starlinkの導入により、Web会議やデータ送受信、クラウドツール利用などのインターネットを介した業務をどこでも安定して利用できるほか、災害時のバックアップ回線としてBCP(事業継続計画)にも活用できます。通信途絶が起こりにくいため、企業のインターネット業務をより効率化でき、万が一のときの事業継続性も高められるでしょう。

6-2. 大がかりな工事不要で始められる

Starlinkは、アンテナを設置するだけで利用できるインターネットサービスであり、大がかりな回線敷説工事は不要です。

一般的な光回線では、オフィスに光ファイバーケーブルを引き込む回線工事が必要で、専門資格を持つ業者による施工が不可欠です。そのため、自力での開通はできません。

対して、Starlinkはアンテナキットが届いた後、基本的には自分で機器を設置してすぐ利用を開始できます。屋外にアンテナを設置し、電源とルーターを接続するだけで通信が可能です。

ただし、法人利用の場合は注意が必要です。オフィスの屋外や外壁に恒久的に設置する場合、

  • アンテナの固定
  • 防水、安全対策
  • 電源確保やLAN配線

といった作業が必要になるケースが多く、専門業者によるサポートや、設置工事を推奨します。特に、耐風・耐候性を確保するための施工は、BCP対策や安全管理の観点からも重要です。

★KDDI まとめてオフィスでは、Starlink Business向けに「Localプラン」専用の設置工事・手配サポート(KDDIサポートパック)を用意しています。

6-3. 回線速度が速い

Starlinkは、空が開けた場所であれば高速な通信を確保できる点が大きな特徴です。下り・上りともに非常に高速な光回線サービスと単純比較すると、Starlinkによる接続は常時同等の数値が出るわけではありません。ただし、地理条件やインフラ整備状況の影響を受けにくい点を踏まえると、Starlinkは高速通信と呼べる水準を十分に備えています。

利用エリアやプランによって速度は変動しますが、一般的なポケットWi-Fiや携帯電話回線と比べても遜色ない速度での通信が可能です。災害時や非常時でも通信を確保しやすく、信頼できるインターネット回線として活用できる点は大きなメリットです。

6-4. 事前に公式アプリを使って電波がつながる場所か確認ができる

Starlinkがつながるかどうか事前に公式のアプリケーション(アプリ)を使って設置場所の衛星通信状況を確認できるのもメリットの1つです。

Starlinkを利用するには肝心の衛星通信が届く場所であることが重要です。iOS・Android向けに配信されているStarlinkの公式アプリを使えば、設置場所の衛星通信状況をその場でチェックが可能です。

アプリを起動して諸設定を済ませるだけで簡単に確認することができます。購入前の稟申時のエビデンスとしても活用できます。

7. Starlinkのデメリット

Starlinkには、導入前に押さえておきたい注意点もあります。ここでは、企業のバックオフィス担当者が検討時に見落としやすいデメリットを整理し、導入判断の参考となるポイントを解説します。

7-1. 空が開けた場所以外では通信が遅くなる

Starlinkは、人工衛星との通信に専用のアンテナを使用します。そのため、空が開けた場所以外にアンテナを設置すると通信が不安定になる点がデメリットです。

Starlinkの通信を速くし、安定させるためには、アンテナを設置する場所の周囲に電波を妨げる障害物がないことが重要です。

ビジネス用にStarlinkのアンテナを設置する場合、最も適した設置場所はオフィスビルの屋上です。ベランダなども一見すると空が開けているものの、Starlinkのアンテナには角度の自動調整機能があるため、窓・外壁やフェンスが周囲にある場所は最適とは言えません。

7-2. ほかの通信回線サービスより価格は高めである

Starlinkは、ほかの固定回線サービスと比べると総費用が高めになる傾向があります。利用にはアンテナやルーターを含むStarlinkキットの初期費用が必要で、さらに月額料金も光回線と比較すると高水準です。特に都市部のように1Gbps~10Gbpsの光回線が低価格で利用できる地域では、Starlinkを選ぶメリットが相対的に小さく、割高と感じることもあるでしょう。

企業は、既存回線との速度・可用性・コストのバランスを見極め、自社環境での費用対効果を慎重に評価することが大切です。

8. 【法人向け】Starlinkの活用方法

Starlinkは、従来の固定回線やモバイル回線だけではカバーしきれなかった環境でも、高速インターネットを提供できる通信基盤です。災害発生時のBCP対策から、山間部・離島・海上での現場業務、屋内外イベントでの一時的なネットワーク構築、ドローンによる遠隔監視まで、用途は多岐にわたります。ここでは、具体的な活用方法を詳しく解説します。

8-1. 災害時のBCP対策

災害時のBCP対策としてStarlinkを活用すると、既存インフラが被災した場合でも事業継続のための通信手段を確保しやすくなります。

地震や豪雨で光回線や基地局が停止すると、社内システムやクラウドサービス、取引先との連絡が同時に途絶え、復旧までの時間が長引くほど損失が拡大します。その際、Starlinkであれば、衛星経由でインターネットに接続できるため、避難所や一時拠点にアンテナと電源さえ用意すれば、短時間で臨時オフィスの通信環境を構築できます。

平時は既存回線とのトラフィック分散やテレビ会議用回線として活用しつつ、有事にはBCP回線として切り替える運用も可能です。情報共有や指示伝達、被災状況の映像共有を維持できることは、復旧判断の質やスピードを大きく左右します。

8-2. Wi-Fiがつながりにくい場所でのネット環境の確保

大規模ホールや地下会場では、防音構造や建材の影響で携帯電波が届きにくく、参加者やスタッフ用の通信環境が課題になることがよくあります。Starlinkを使用すれば、会場外の見通しの良い場所にアンテナを設置し、屋内へLANケーブルやアクセスポイントを引き込むことで、安定したWi-Fi環境を構築できます。

オンライン配信付きセミナーやハイブリッドイベントでは、配信回線が途切れると視聴者離脱や信頼低下につながるため、専用のバックアップ回線を用意しておく意義は大きいと言えるでしょう。キャッシュレス決済端末や受付システムも同一ネットワーク上で運用できるため、イベント運営全体の品質向上に貢献します。

8-3. 屋外イベントでのネット環境確保

屋外イベントでは、来場者のスマートフォン利用が集中し、周辺のモバイル回線が混雑で低速化しやすくなります。特に音楽フェス、スポーツイベント、観光客が多いエリアでの催事では、運営側の決済端末や受付システムまで影響を受けるおそれがあります。

Starlinkは、空が開けた見通しの良い場所にアンテナを設置するだけで、現場にブロードバンド回線を「持ち込める」点が特徴です。耐候性に優れ、雨や雪、強風にも対応した設計であるため、季節や天候に左右されにくい運用が期待できます。会場内には複数のアクセスポイントを配置し、スタッフ用と来場者用でSSIDを分ければ、運営系と来場者向けWi-Fiを分離した構成も可能です。

8-4. 複数施設間のイントラネットの構築

複数の拠点を持つ企業では、本社・支店・工場・倉庫・仮設事務所などを安全につなぐネットワークづくりが欠かせません。閉域ネットワークサービスとStarlinkを組み合わせれば、光回線が引けない場所でも社内ネットワークに参加させることができます。

仕組みとしては、Starlinkでインターネットに接続し、別売りのイーサネットアダプタやVPNルーターを通じて社内ネットワークへつなぐ形です。これにより、山間部の現場や一時的な事務所でも、本社と同じように業務システムやファイルサーバー、クラウドサービスを安全に利用できます。

8-5. 島しょ部や山間部での作業の際の通信

離島や山間部、ダム・トンネル工事現場などでは、携帯電話が圏外となり、現地の事務所や作業員の連絡手段が限られるケースが少なくありません。Starlinkを導入すれば、光回線や基地局の整備が進んでいない地域でも、現地でブロードバンド環境を構築できます。

建設現場では、図面や施工要領書をクラウドで共有したり、Webカメラを使って本社から安全パトロールや進捗確認を行ったりすることが可能になり、山小屋など観光拠点では、登山者向けのWi-Fi提供や、気象情報の取得、緊急時の連絡手段としても活用できます。従業員の安心感向上と、現場DXの推進を同時に実現しやすい点が企業にとってのメリットです。

8-6. フェリーや漁船・クルーズ船でのネット通信

海上では、従来の衛星通信は高コストかつ低速で、動画や大量データの送受信には適していないケースが多くありました。Starlink Businessを船舶に導入すると、航海中でも陸上に近い感覚でブロードバンド通信を利用できるようになり、船上業務と乗客サービスの双方にプラスの効果があります。

漁船では、漁場データや気象・海況情報をリアルタイムに取得し、漁場選定や安全運航の判断を高度化できます。貨物船では、エンジンや機器の状態監視データを陸上の拠点へ常時送信し、故障予兆の把握や遠隔支援につなげることが可能です。フェリーやクルーズ船では、乗客向けWi-Fiやキャッシュレス決済、オンラインエンターテインメントの提供がしやすくなり、サービス品質と顧客満足度の向上に寄与します。

同時に、船員の家族とのビデオ通話など福利厚生面の改善にもつながる点が見逃せません。

8-7. ドローンによる遠隔巡視

ダムや河川、砂防施設、橋梁、倉庫やプラントの屋根など、人が容易に立ち入れない場所の点検では、ドローン活用が急速に進んでいます。しかし、山間部や不感地帯では、ドローンの映像をリアルタイムに伝送するための通信インフラがなく、現地での目視確認に頼らざるを得ないケースも残っています。

Starlinkを設置した現場にドローンドックや地上局を組み合わせれば、10km以上離れた管制室からの遠隔巡視や自動飛行が可能です。河川やダムの水位・法面の状況、橋梁やトンネルの劣化箇所などを高頻度で撮影し、映像や3Dデータをクラウドにアップロードすれば、専門技術者が都市部のオフィスから診断できます。これにより、現地への移動時間や安全リスクを抑えながら、点検頻度と精度の向上を両立しやすくなります。

9. 【法人向け】Starlinkの設置の流れ

Starlinkはアンテナと電源がそろえばすぐに通信を開始できる仕組みで、光回線のような大がかりな敷設工事は不要です。代理店に依頼する際も、通常の設置であれば特別な工事は必要ありません。

ただし、法人利用の場合は、屋上や高所への恒久設置や安全対策が求められるため、専門業者による施工を推奨します。

9-1. 設置場所を検討する

Starlinkは複数の低軌道衛星と常時通信するため、アンテナを「空が広く見える場所」に設置することが重要です。木の枝や建物、屋根や看板などの障害物があると、通信が不安定になり、速度低下や瞬断が発生することがあります。

法人利用では、屋上や建物の高所が推奨されますが、耐風・耐久性を確保するための固定工事が必要になるケースがあります。

9-2. 公式アプリで設置場所の状態をチェックする

設置場所の候補が決まったら、Starlink公式アプリで障害物の有無を確認します。アプリを起動後、「セットアップを開始する」→「障害物を確認する」を選ぶと、スマートフォンのカメラで空をスキャンする手順に進みます。

アプリは撮影した範囲から、衛星との通信を妨げる可能性がある物体を自動で判定し、設置に適しているかを評価します。スキャン後に「障害物あり」と表示される場合は、木の枝や建物の影響で通信が切れやすい可能性があるため、別の場所に変更することが推奨されます。このチェックを事前に行うことで、設置後の通信トラブルを大幅に減らせます。

9-3. ケーブル接続と安全対策

設置場所が決まったら、アンテナと電源装置、ルーターをケーブルで接続します。Starlinkキットに同梱されているケーブルは、防水仕様になっており、しっかり奥まで差し込むことで安定した通信が確保されます。アンテナ側のケーブルは、プラグの面が平らに密着していることを必ず確認し、外れないよう確実に固定します。

アンテナに電力が供給されると自動的に起動し、水平調整や衛星探索が始まり、数分で初期設定が完了します。屋外に設置する場合は、ケーブルが風や雨で損傷しないよう、外壁用クリップや配線保護チューブを併用するとより安全です。基本的な組み立ては難しくありませんが、ケーブルの挟み込みや曲げすぎによる断線に気を付けましょう。

また、社内ネットワーク(LAN)やVPN機器と接続する場合は、専用の「イーサネットアダプタ」を利用し、有線LAN環境を構築します。これにより、既存のファイアウォールやHUBとの連携が可能になり、セキュリティポリシーにも適合しやすくなります。必要に応じて、電気工事士などの資格を持つ業者による施工を推奨します。

9-4. 接続状況を確認する

ケーブル接続とアンテナの起動が完了したら、実際にインターネットに接続できているかを確認します。まずはパソコン(PC)やスマートフォンからStarlinkルーターのWi-Fiに接続し、必要に応じてSSIDとパスワードを設定します。

通信の状態はStarlink公式アプリで確認でき、速度テスト(ダウンロード・アップロード)、レイテンシ(遅延)、使用データ量のほか、衛星の受信状態や一時的な遮断が起きていないかもリアルタイムで把握できます。もし通信が不安定な場合は、アンテナの向きや設置場所の再調整、ケーブル緩みの確認を行いましょう。

社内システムと連携させる場合は、有線LAN接続の設定や動作確認も併せて行い、VPNや社内ネットワークへの統合を確認してください。

10. Starlinkによくあるトラブル

Starlinkは、一度正しく設置すれば日常的なメンテナンスをほとんど必要としない点が大きなメリットです。しかし、屋外設置である以上、環境や機器の状態によって通信が不安定になるケースもあります。

ここでは、利用者が実際に遭遇しやすい主な事例とともに、早期に対処するためのポイントを解説します。

10-1. 設置環境に関するトラブル

Starlinkの通信が不安定になる原因で最も多いのが、アンテナ周辺の「障害物」です。Starlinkは上空を移動する複数の衛星と常に接続を切り替えながら通信を行うため、アンテナの視界をさえぎる木の枝、建物、電柱、屋根の傾斜などがあると、短時間でも通信が途切れる可能性があります。

トラブルが発生した際は、まず公式アプリに搭載されている「障害物チェック」機能を使い、アンテナの視界がどの程度確保されているかを確認しましょう。アプリでは、衛星との接続が妨げられている方向がグラフィックで表示され、障害物が通信にどれほど影響しているかを数値で把握できます。

もし障害物の割合が高く表示された場合は、設置場所を数メートル移動させるだけで改善するケースもあります。庭や屋根、外壁など複数の候補地をアプリでスキャンし、最も視界が開けている場所への再設置を検討しましょう。

10-2. ハードウェアの故障や汚れのトラブル

通信が断続的に切れる、速度が極端に遅くなるといった症状が出る場合は、ハードウェアやケーブルに問題が生じている可能性があります。

まずはStarlinkアプリを開き、アラートが出ていないかを確認します。その上で、アンテナ、電源装置、ルーターのランプが正常に点灯しているかをチェックし、ケーブルがしっかり接続されているかを目視で確認してください。ケーブルが窓枠に挟まれていたり、端子部分に傷や水分があったりすると、通信が不安定になる原因になります。

また、アンテナ表面に塩分やほこりが付着していると、衛星との通信に悪影響を与えることがあります。清掃する際は、マイクロファイバークロスやガラスクリーナーなど、表面を傷付けないものを使用し、優しく拭き取ります。布で覆う、市販の撥水剤を塗布する、塗料をかけるなどの行為は、融雪機能や防水性能を損なう可能性があるので避けましょう。

10-3. 天候に関するトラブル

Starlinkは厳しい気象条件を想定して設計されており、雪、みぞれ、大雨、強風、極端な暑さなど、多くの環境下でも安定して動作します。ただし、衛星通信である以上、一定の天候では一時的に品質が低下する可能性があります。

中程度から豪雨レベルの雨、ひょう、湿った雪が降る場合は、無線信号が減衰し、速度の低下や短時間の通信断が発生することがあります。強風や台風時には、アンテナが揺れてしまうことで接続が不安定になるケースもあるため、しっかり固定されているか確認しましょう。

悪天候が収まった後も、速度が戻らない場合は、機器の再起動(電源の抜き差し)やケーブルの乾燥、Wi-Fiの再設定を行うことで改善するケースがあります。

11. Starlinkの利用料金

KDDI まとめてオフィスが提供しているStarlink Businessの料金プランは、利用場所に応じて「Local(国内陸上)」「Global(海上・海外)」「Globalシェアリング」の3種類に分かれています。

Localプランは月額9,000円(50GB)から利用でき、山間部や不感地帯でのBCP対策に適しています。海上や海外でも使えるGlobalプランは、月額40,000円(50GB)からと、Localプランと比較すると高めですが、広いエリアで確実に通信を確保したい場面に向いています。Globalシェアリングプランは、同一拠点内で2台の端末を共有可能で、月額64,000円(50GB)から利用でき、バックアップ回線として活用しやすい設計です。

プランは導入の目的と用途に応じて検討しましょう。

★KDDI まとめてオフィスが提供する各プランには50GBから最大5TB(Localプランのみ最大6TB)までの容量帯があり、ご希望のプランを柔軟に選択できます。従量課金オプションを合わせて申し込むことで、容量超過後も引き続き利用できます。

★ 表示の金額はすべて免税です。

関連ページ Starlink Business|料金

12. Starlinkの法人への導入事例

Starlink Businessは、携帯電波が届きにくい山間部やイベント会場、海上など、従来の通信手段では確保が難しかった環境でも、高速で低遅延の通信を実現できる点が評価されています。ここでは、代表的な法人導入事例を紹介します。

12-1. 携帯電波の"圏外"でも衛星通信で遠隔臨場を実現|宮田建設株式会社様

宮田建設株式会社様は、広島県や島根県を中心に公共工事を数多く担う建設会社です。山中の現場では携帯電波が届かず、発注者との連絡や情報共有に支障が出ることが課題でした。

導入後は、衛星通信によって高速で低遅延の接続を確保でき、現場から離れた発注者との映像と音声のやり取りが安定して実施可能に。アンテナは現場に自社で設置し、半径200mをカバーするWi-Fi環境を構築することで、離れた場所へ電話やチャットのために移動する必要もなくなりました。また、クラウドサービスの活用範囲も広がり、現場管理の効率化が大きく進みました。

操作がシンプルで工区間の共有も可能なため、他工区でも導入を希望する声が上がるなど、現場全体で利便性を実感されています。

12-2. 野外イベント会場に安定したネット接続環境を提供|キッセイコムテック株式会社様

キッセイコムテック株式会社様は、国際会議や展示会、スポーツイベントなど多様なシーンで情報通信機器のレンタルやネットワーク構築を提供する企業です。野外イベント事業を拡大する中で、フェス会場など携帯電波が不安定になる環境での通信確保が課題となり、Starlink Businessを導入しました。

光回線の敷設が難しい山中や広い野外エリアでも、Starlink Businessなら短時間で安定した通信環境を構築可能です。Starlink Businessの導入によって、イベント運営スタッフ同士のオンライン会議、配信設備との連携、オンラインチケット対応など、ネット需要の増加に柔軟に応えられる体制が整いました。

さらに、同社は国際会議でもバックアップ回線としてStarlinkを活用。重要会議の通信リスクを下げるための冗長化手段として高く評価されています。自社の高密度Wi-Fi構築技術とStarlinkを組み合わせることで、数千人規模でも安定した利用が可能になり、今後も幅広いイベントや業務シーンで活用の拡大が期待されています。

12-3. 災害復旧の命綱である通信を「Starlink Business」で確保|株式会社ソミックマネージメントホールディングス様

自動車の重要保安部品で国内トップシェアを持つソミック石川様を中核とし、グループ全体を統括するソミックマネージメントホールディングス様は、東海地方で想定される大規模地震に備え、BCP対策として通信インフラの強化を進めてきました。これまで固定回線の二重化やモバイルルーター・無線機の配備は行っていたものの、キャリア設備そのものが被災した場合に通信が途絶するリスクが残ることが課題でした。

そこで地上設備への依存度が低く、高速で低遅延かつ比較的コストも抑えられる災害に強い手段として、主要4拠点にStarlink Businessを導入しました。試験運用では、本社約150名分の業務通信をStarlinkだけで問題なくまかなえることを確認。平時は既存回線と組み合わせたバックアップ回線として、災害時にはSD-WANとの連携により自動的に切り替わる構成にすることで、被災状況の画像・動画共有やクラウドサービスの継続利用を可能にし、復旧活動と事業継続のスピード向上に大きく貢献しています。

12-4. Starlinkから始まる海のDX|株式会社菅原組様

北海道で海洋土木事業を手掛ける菅原組様は、大型クレーン船をはじめとした作業船に乗組員が長期間乗り込み、港湾や水産施設の工事を行っています。しかし、港や沖合では電波状況が不安定なことが多く、図面や資料の受け取り、トラブル時の本社連絡、クラウドサービスの活用が思うように進まない点がDX推進と働き方改革の大きな壁になっていました。

そこで、全船にStarlink Business マリタイムプランを導入し、船内Wi-Fi環境を整備。航行中でもメールやクラウドサービス、ビデオ会議が利用できるようになり、資料確認や施工準備を事前に進められるようになりました。海象・気象情報サイトの閲覧も容易になり、安全な運航判断にも役立っています。

さらに、乗組員は休憩時間やオフの時間に動画視聴やオンラインゲーム、家族との通話などを楽しめるようになり、船上生活のストレス軽減とモチベーション向上にも大きく寄与。快適な通信環境が採用面でのアピール材料にもなり、海の現場のDXと人材確保の両面で効果を発揮しています。

12-5. 災害時の救急医療を「Starlink Business」が支援|名古屋掖済会病院様

名古屋掖済会病院様は、名古屋市南西部の基幹病院として高度急性期医療を担い、DMATによる被災地支援にも積極的に取り組んできました。しかし、大規模災害の現場では通信インフラが損傷していることが多く、従来のスマートフォンや衛星携帯電話だけでは速度・安定性・使い勝手の面で限界がありました。

そこで、被災地でも平時に近い感覚で通信を利用できる手段としてStarlink Businessを導入。能登半島地震の現場では、WEB会議やチャット、クラウドサービスを活用しながら、DMAT間や自治体との情報共有を高速化し、EMISへのリアルタイムアクセスによる状況把握も実現しました。さらに、院内のBCP対策としても活用を予定しており、津波リスクがある立地でも外部との連絡や患者受け入れ体制を維持できるよう備えています。

今後は、同グループの他病院への展開も視野に入れ、1人でも多くの命を救うための通信インフラとしてStarlink Businessが重要な役割を担っています。

まとめ

Starlinkとは、SpaceXによる衛星通信サービスのことで、低軌道衛星を活用し、インターネット未接続の地域や災害時にも利用できる点が大きなメリットです。一方で、空が開けた場所以外では通信が遅くなる可能性があり、アンテナの設置場所に注意が必要であるというデメリットもあるので注意しましょう。

KDDI まとめてオフィスでは、「Starlink Business」を提供しています。通信障害や災害など、有事の際の事業継続の"一手段"として、または、僻地の事業所や移動先での安定したインターネットを確保する方法として、利便性高く活用できる点が魅力です。さらに、個人でStarlinkを導入する場合と異なり、設置方法や設置場所に関する事前相談や、アフターサポートを受けられる点も法人利用ならではの魅力となります。法人専用のStarlinkの導入をご検討中なら、ぜひお気軽にご相談ください。

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