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働き方改革法の罰則(罰金刑・懲役刑)とは?時間外労働や有給休暇などの改正について解説

働き方改革法の罰則(罰金刑・懲役刑)とは?時間外労働や有給休暇などの改正について解説

2021年02月01日掲載(2023年11月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

働き方改革における罰則について

働き方改革の罰則内容を知らない・詳しく知りたいという人向けに、働き方改革の概要や罰則について詳しく説明します。この記事を読めば、働き方改革の罰則について正しく理解し、自社で適切な対策を整えられます。働き方改革に対応した労働環境を整える参考にしてください。

目次

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働き方改革とは?

働き方改革は「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みの1つです。2019年4月10日に「働き方改革法」が施行され、以下のことが定められました。

・時間外労働の上限規制

・同一労働同一賃金

・高度プロフェッショナル制度

上記の内容に違反すると刑事罰が科せられ罰金や懲役のリスクもあります。そのため、企業は働き方改革法の内容を把握したうえで、必要な対策を取ることが求められています。

働き方改革による罰則とは?

働き方改革法における規制や罰則について解説します。法律なので少し複雑ですが、重要なポイントにしぼって内容をお伝えしていきます。

時間外労働の上限規制

原則、時間外労働は「月45時間、年間360時間」以内に抑えることが前提であり、特別条項を利用する場合は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

・1年のうち6カ月を超えない範囲であること

・年間時間外労働時間が月平均で60時間(年720時間)を超えないこと

・月平均時間外労働時間が80時間を未満であること(休日労働を含む)

・1カ月の時間外労働が100時間未満になっていること(休日労働を含む)

上記の条件に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。

所定労働時間を超える労働の割増率

1カ月あたりの労働時間が60時間を超える時間外労働を従業員にさせた場合は、割増賃金を5割以上支払う必要があります。これは働き方改革法が施行される以前からの規制ですが、中小企業の場合は適用が猶予されていました。

しかし、中小企業の適用猶予措置が2023年4月1日で終了します。この日以降で違反している場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられるので未対応の中小企業は注意が必要です。

フレックスタイム制の清算期間の伸長・届け出義務違反に対する罰則

働き方改革法によって、フレックスタイム制の清算期間が1カ月から3カ月に伸長されました。フレックスタイム制とは、1日の明確な始業時間と終業時間を定めず、従業員が自分で労働する時間帯を決められる制度です。

従来のフレックスタイム制では、残業時間も含めて1カ月単位で清算されていました。しかし、働き方改革方が施行されて清算期間が3カ月になったことで、より柔軟に働き方ができるようになりました。ただし、清算期間の設定が1カ月を超える場合は、労使協定を締結し届け出なければいけません。

これらの内容に違反した場合、30万円の罰金が課せられる可能性があります。

医師の面接指導

働き方改革法により、高度プロフェッショナル制度が導入されました。この制度によって、新たな技術や商品開発を行う労働者や特定の専門業務や成果型労働制の対象になっている労働者に対して、企業は医師による面接指導を受けさせることが義務付けられています。

この条件に違反すると、50万円以下の罰金などの罰則となります。

年次有給休暇の取得

こちらは、労働基準法第39条によって定められた法律です。この法律では、従業員に付与した有給日数が10日以上ある場合、企業は労働者に有給を5日取得させる義務が課されています。これは正社員でも契約社員でも同様です。

条件に違反すると、30万円以下の罰金が課せられます。

取得対象者

年次有給休暇で有給の取得が義務付けられる対象者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者です。

有給が10日以上付与される労働者の条件は、労働基準法第39条で以下の通りに定められています。

・雇い入れの日から6カ月間継続勤務している

・労働日の8割以上出勤した労働者

企業は上記の条件を両方満たした従業員に対して、10日以上の有休を付与しなければいけません。なお、管理監督者や有期雇用労働者も取得対象者に含みます。

主な対応方法は2つ

会社側の対応方法は、「個別指定方式」と「計画年休制度の導入」の2つがあります。

個人指定方式とは、従業員本人の自由で有給を取得させる方式です。ただし、期限内に有給の取得が終わらなさそうな従業員に対しては、有給休暇取得日を指定する必要があります。

計画年休制度の導入とは、休暇の取得パターンを会社が設計することです。社員による自発的な消化が難しい場合は、部署ごとに有給取得日を設定して日程を分散させて対応します。

会社に合った導入方法を検討することが大切

個別指定方式および計画年休制度の導入は、会社の業務内容や社風に合わせて検討することが大切です。

例えば、個別指定方式は、すでに労働者が自発的に有給休暇を取得する文化のある会社に適しているでしょう。一方、計画年休制度は、有給休暇の取得率が低い会社に向いています。

会社の状況に合った方法で、従業員が適切に有給を消化できる環境を整えましょう。

働き方改革で理解しておきたい36協定とは?

働き方改革法を理解する上で、特に重要なのが36協定です。この章では、36協定の内容や改正された背景について詳しくみていきましょう。

働き方改革前の規制内容を解説

働き方改革前の36協定では、時間外労働は「1カ月45時間」「1年360時間」という上限が定められていました。しかし、いずれの上限に違反しても、企業が罰則を受けることはありません。

事前に特別条項を定めればさらなる時間外労働も可能な状況で、事実上無制限、残業させることも可能でした。

しかし、働き方改革法により、この特別条項に制限が追加されます。それに加えて違反した場合には罰則が課せられるため、規制がより強化されています。

36協定が改正された理由は過労死の防止

36協定が改正された大きな理由の1つとして、過労死の増加が挙げられます。先述の通り、改正前の36協定は増加特別条項の条件を満たすことが簡単なうえ、事実上、残業の規制がなく、無制限に時間外労働ができたことが過労死が増加した背景にあると考えられています。

増えてしまった過労死を防止するために36協定は改正され、違反した場合に刑罰が課せられるようになったという流れです。改正後も企業は従業員に残業をさせられるものの、年間・月間ごとに残業できる時間の上限が定められています。違反すれば罰金や刑事罰が与えられるので、企業はルールに即した範囲内でしか従業員に残業をさせられなくなりました。

働き方改革で創設された新しい規制

働き方改革では従来の条件に加えて、36協定に新しい規制が加えられました。ここでは新しく加えられた規制について解説します。

1ヵ月あたりの時間外労働と休日労働の上限時間

改正後の36協定では、1ヵ月の時間外労働と休日労働の上限時間が設定されました。具体的には、1ヵ月の時間外労働と休日労働の合計時間が100時間を超すと罰則の対象になります。

これは特別条項に当てはまる場合でも、この規制の対象内です。通常特別条項を設けている場合は、1ヵ月あたり45時間を超える時間外労働は許されています。しかし、特別条項は6ヵ月未満までしか適用できておらず、次に説明する条件も合わせて計算する必要があります。

所定期間の時間外労働と休日労働の上限時間

複数月にまたがる時間外労働の平均についても制限されます。連続する2カ月、3カ月、5カ月および6カ月のそれぞれについて、平均残業時間が80時間以内に抑えなければいけません。

1つの月でも80時間を超える場合は、違反とみなされて刑罰の対象になります。

1年間の時間外労働の上限時間

1年間の時間外労働の上限は、720時間までに改正されました。なお、この上限時間は特別条項を設けている場合に適応され、法定休日労働を除いて考えます。

特別条項を設けていない場合の労働時間の上限は、年間あたり360時間までになるので混同しないように気を付けましょう。

働き方改革法の施行以前は、特別条項を設けることで実質無制限での残業が可能でした。しかし、改定後は上記の条件を満たさない時間外労働は刑罰の対象になります。

違反した場合の罰則規定

先述した条件に違反した場合、違反が判明した労働者1人あたり6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。

働き方改革法が施行される前は条件に違反しても罰則を受けることがありませんでしたが、今後は刑罰の対象となるので注意が必要です。自社の残業時間を明確に管理し、勤怠管理を正確に行える体制を整えましょう。

罰則がない法律にも注意!

働き方改革法の中には残業時間の規制のように罰則が設けられているものが多いです。そのため、罰則があるものを優先的に対処しなければいけません。

ただし、罰則がない法律の内容も重要です。なぜなら、条件に違反した場合に罰則ではなく、ペナルティを受ける可能性があるからです。罰則がない法律に該当するルールとして、高度プロフェッショナル制度と同一労働同一賃金があります。

高度プロフェッショナル制度とは、高い技術が必要な業務につく従業員に対して適用できる制度です。前述した労働時間や割増賃金の規制が適用されません。

同一労働同一賃金とは、同じ労働をするなら雇用形態に関わらず同等の賃金を支給すべきという考え方です。不合理な待遇差を設けることを防ぐために、今回の改正で導入されました。

高度プロフェッショナル制度と同一労働同一賃金を適用するためには、それぞれ条件を満たす必要があります。しかし、いずれも条件を守っていなくても、違法にはなりません。ただし、ペナルティは付きます。ペナルティがつくと、制度利用ができなくなる可能性があるので注意が必要です。

働き方改革に対応するには勤怠管理システムを使った労働管理がおすすめ

働き方改革法に対応するためには、労働時間の管理が欠かせません。しかし、条件が細かく複雑なため、勤怠管理システムを使った労働管理の適用がおすすめです。ここでは勤怠管理システムの概要と導入のメリットについて解説します。

勤怠管理システムとは?

勤怠管理システムとは、出勤・退勤時刻の記録や休暇の申請、取得記録などの勤怠管理業務を支援するためのシステムです。タイムカードのように労働時間を打刻するだけはなく、打刻時間を元にした給与計算まで行えます。

勤怠管理システムのメリット

勤怠管理システムを導入するメリットは、以下の通りです。

・労働時間の管理がしやすい

・不正な打刻を防止できる

・休日の申請・管理もしやすい

・法改正への対応が可能

勤怠管理システムは労働時間の状況をまとめられるため、従業員の労働時間の管理がしやすくなります。

またタイムカードのように手作業ではなく、機械的に管理できるので記入ミスや不正が発生するリスクが避けられるのが特徴です。

在宅勤務でもオンラインで打刻できるシステムもあり、さまざまな業務形態にも対応できます。休日の申請や管理もシステム上で管理でき、業務の効率化にも対応できます。

また、法改正に対応したシステムを導入すれば、法改正に違反しない勤怠管理も可能です。

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まとめ

働き方改革法では、残業時間などに対して細かい規制が設けられています。法律の内容を確認しないまま営業を続けていると、罰金や刑罰が課される可能性があるので注意が必要です。企業は、これまで以上に勤怠管理などを正確に管理する必要性が高まっているとも言えるでしょう。

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