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医師の働き方改革は2024年スタート|制度の内容と実現に向けて取り組むべきことを解説

医師の働き方改革は2024年スタート|制度の内容と実現に向けて取り組むべきことを解説

2022年09月28日掲載(2023年11月01日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

働き 方 改革 医師人材不足や働き方の多様化などにより、働き方改革に注目が集まっています。さまざまな業種で働き方改革が推進されており、医師も例外ではありません。この記事では、医師の働き方改革について詳しく知りたい人に向けて、医師の働き方改革の概要や課題、取り組むべき内容などについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

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医師の働き方改革が推進される背景

医師の働き方改革は2024年4月から開始予定となっています。働き方改革自体は、2019年から順次施行されていますが、医療分野には5年間の猶予期間が設けられていました。医療分野における働き方の見直しや整備などに時間がかかることが、猶予期間を設けた理由です。

医師の働き方改革が推進される背景には、長時間労働が常態化していることや、休日がなかなか取れない医師が多いことが挙げられます。医師の業務は患者の診療から治療、診断書の作成など多岐にわたり、勤務体系も特殊であるため労働時間が長くなりがちです。

長時間労働が常態化し睡眠時間が不足することで、作業能力が低下、結果として医療事故につながるリスクが高まるという懸念があり、働き方改革の推進が求められています。

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医師の働き方改革の目的

医師の働き方改革では、医師の健康確保と勤務環境改善が大きな目的となります。実際、厚生労働省の「令和元年 医師の勤務実態調査」によると、週の勤務時間が60時間以上という医師は約40%となっており、長時間労働が続いている医師が多いことがわかります。

また、抑うつ尺度で中等度以上にある医師もいるなど、状態的な長時間労働によって心身ともに疲弊してしまっている医師も珍しくありません。このまま医師の健康被害が拡大してしまうと、医療崩壊が起こってしまう可能性もあるでしょう。また、過酷な労働環境により医師のなり手が減少していく恐れもあるなど、将来的な医師不足という懸念もあります。

医療崩壊や医師不足対策としても、医師の健康確保と勤務環境改善は急務です。

参考:04 資料4 R1年医師勤務実態調査

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2024年の施行により変わる点

医師の働き方改革は2024年から開始予定となっていますが、実際にどのような変更があるのでしょうか。医師の働き方改革では、「時間外労働」への対応が要となっています。ここでは、働き方改革施行による、詳しい変更点について解説します。

時間外労働の上限規制

一般的な業種の場合には、労働基準法第32条で労働時間が定められています。これを法定労働時間といい、「1日8時間まで(休憩時間1時間除く)」「1週間40時間まで」です。

しかし、医師の場合には国民の健康を守るという性質上、残業なども多く時間外労働が長くなりすぎているという問題がありました。そこで、2024年施行の働き方改革では、時間外労働の上限規制が設けられます。上限規制は三つの水準に分けて設定されます。また、厚生労働省の計画では、2035年度末までにすべての医療機関をA水準とすることを目指しています。

対象 上限

A水準

すべての医師

年960時間以下/月100時間未満

B水準

救急医療などを提供する医療機関

年1,860時間以下/月100時間未満

C水準

初期臨床研修医などの短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師

年1,860時間以下/月100時間未満

対象となる医師が細かく分類されているため、どの水準に当てはまるかは個人での確認が必要です。

追加的健康確保措置

追加的健康確保措置とは、医師の健康や医療の質を確保するための措置です。追加的健康確保措置では、労働基準法上の宿日直許可を受けている場合を除いて、連続勤務時間を28時間までとすると定めています。

また、通常勤務から次の勤務までにはインターバルを9時間確保することとされており、当直明けの場合に18時間のインターバルが必要です。また、連続勤務時間制限と勤務間インターバルを実施できなかった場合には、代償休息を与えなければいけないと定められています。

時間外労働が100時間を超える前に、面談指導を実施しなければいけません。管理者は、医師の意見や報告などを踏まえたうえで、就業上の措置を講じる必要があります。

時間外割増賃金率の引上げ

医師は時間外労働が多く過酷な労働環境であるのに対して、適切な残業代が支払われていないという課題もありました。この課題の対策として、時間外労働の賃金に対して割増率の引き上げが行われます。

雇用者は月60時間を超える法定時間外労働に対して、50パーセント以上の割増賃金を算出して支払わなければいけないと定められます。また、労働時間管理の徹底と医師側の積極的な申告など、時間外労働に対する意識の改善も必要です。

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医師の働き方改革における課題

医師の働き方改革を推進するうえで、さまざまな課題があります。ここでは、医師の働き改革における課題を解説します。

人手が不足している

日本の医師数は先進国30カ国の中で26位、アメリカの医師数の約5分の1です。一方、病院の数はG7でもっとも多く、病院数に対して医師の数が圧倒的に不足しているという現状です。

また、日本では少子高齢化も加速化しています。医療が必要となる高齢者が増加するのに対して医師の人手が不足することは、致命的といえるでしょう。

参考:医療関連データの国際比較

時間外労働が多い

医師たちは患者の健康を守るという大切な使命があります。しかし、その一方自身の健康はないがしろになりがちです。時間外労働が多くなり勤務負担が重くなった結果、心身の健康を害してしまうケースも少なくありません。勤務負担を軽減するためにも、医師の健康支援は重要な課題です。

また、医療事故などの経験割合は、勤務時間が長くなるほどに上昇するともいわれています。時間外労働の増加で睡眠不足となることで、集中力・判断力などが欠如することから、医療ミスや事故などを引き起こす可能性は十分にあるため注意が必要です。

また、医師の6割以上が32時間以上の連続勤務を経験しています。医師の多くが、過労死ラインを超える長時間労働を経験しており、異常な勤務状況が常態化しています。

参考:医師の働き方改革について

高ストレスな労働環境である

医師は、人命に関わる仕事です。そのため、人の命を預かっているという責任感から、他の業種よりも圧倒的に日々ストレスを感じる機会が多くなります。実際に、株式会社医師のともによるアンケートによると、9割の医師が仕事でストレスを感じていると回答しています。

医師の人手不足による負担増加や、新型コロナウイルス感染防止のための業務増加に加えて、行動制限などもあり精神的な負担が大きくなっているという現状です。

参考:9割の医師が仕事でストレスを感じている! 医師1,021名を対象としたアンケート調査から、『コロナ禍で、医師が抱えるストレスの原因』が浮き彫りに!|株式会社医師のとものプレスリリース

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医師の働き方改革に向けて取り組むべきこと

医師の働き方改革に向けて取り組むべき項目は大きく分けて四つあります。ここでは、取り組むべき項目について詳しく解説します。

労働時間の管理方法を適正化

医師の勤務体系は複雑です。なかには、手書きで紙の勤怠申請書に実績を記入する、自己申告制を採用している医療機関もあるなど、正確な管理と把握が難しいという実態があります。医師の働き方改革を実行するためには、管理者が勤怠データを正確に把握する必要があります。適切な労働時間の管理が、医師の健康、ひいては病院の継続にも重要だということを認識し、管理者と医師の双方で、労働時間に関する意識を高めていきましょう。

また、労働時間の適正化や適切な管理をするうえでは、世代間のギャップを埋める必要もあります。ベテランのなかには、長時間労働が当たり前と考える医師も多いため、そういった医師の意識改革は特に重要です。意識改革と併せ、ICTの導入・活用を推進し人的工数を削減するなど、医師の業務負担を軽減できる手段の導入も求められます。

36協定に基づく自己点検

法定労働時間を超えて勤務する場合には、限度時間数を定めた36協定の締結と監督署への届け出だけでなく、割増賃金の支払いも必要です。また、36協定で定めることのできる時間数としては、月45時間、年360時間という上限が決まっているため注意しましょう。

医師個人の点検も重要です。36協定で定められている時間数を超えて時間外労働をしていないか定期的に自己点検をして、過度な長時間労働とならないように意識します。

タスク・シフティングの推進

医師の業務は患者の診療や治療に留まりません。事務作業や、教育・研究への参加など、その業務量は膨大です。そこで推進されるのが、タスク・シフティングです。タスク・シフティングとは、医師の業務負担を軽減させるための取り組みです。業務の一部を看護師や薬剤師などの他の業種へと分担することで、医師の負担を軽減します。

ただし、どのような業務でも分担できるわけではありません。分担できる業務には限りがあり、看護師が医師の代わりに特定行為を行うためには、特定行為研修を修了する必要があります。そのため、タスク・シフティングを実行する場合には、他職種の理解や協力が必要不可欠です。

女性医師に対する支援

女性医師に対する支援も欠かせない取り組みです。女性医師の多くは、結婚や出産などといったライフイベントを機にキャリアを中断されてしまい、いったん離職すると医療現場への復帰をためらってしまうという声が多いようです。

そのため、出産や育児、介護などのライフイベントによってキャリア形成が難しくならないように、短時間勤務などの柔軟な制度の導入や、多様な働き方に対する支援の推進が求められます。

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まとめ

2024年からは医師の働き方改革が施行され、時間外労働の上限規制や時間外割増賃金率の引上げなどが行われます。医療機関や管理者、医師自身も働き方改革について理解し、意識改革を行いましょう。また、医療現場において「本当の働き方改革」を実現するには、ムダをなくし業務を効率化することが重要で、ICTの導入と活用が欠かせません。

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