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IP電話とは?光電話との違いや仕組み・利用メリットとデメリット

IP電話とは?光電話との違いや仕組み・利用メリットとデメリット

2022年11月25日掲載(2024年02月08日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

IP電話とは?光電話との違いや仕組み・利用メリットとデメリット

企業が安定した企業活動を行うには、社内外で用いる通信インフラの整備が現代では必要不可欠と言えます。その中の1つの電話も、従来の電話回線を用いるもの以外にIP電話や光電話といった異なる技術を用いたものが普及してきています。ただし、それらの違いや特徴などが分からないという経営者や担当者の方もいるでしょう。

当記事では、IP電話の種類や仕組み、また光電話との違いやそれぞれのメリット・デメリットなどを解説します。

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1.IP電話とは?

IP電話とは?光電話との違いや仕組み・利用メリットとデメリット

IP電話は、電話回線ではなくインターネットを利用して通信・通話するための電話のことを指します。VoIP(Voice over Internet Protocol)と呼ばれる通信技術を用いて、音声をデジタルデータに変換し、相手先に伝達するという仕組みです。

インターネットを介しているため、音声だけでなく画像、映像も届けることができます。利用するには、インターネット回線を提供しているプロバイダーに申し込んで、回線を開通させる必要があります。固定電話のみならず、携帯電話で利用できるのもIP電話の特徴です。

1-1.IP電話と固定電話との違い

IP電話の利用には、従来の固定電話と比較するといくつか違いがあります。IP電話サービスは、固定電話サービスと異なり電話加入権を購入する必要がありません。インターネットが接続できる環境であればすぐに利用を開始できます。アナログ電話に使用する回線を接続工事する必要がないため、工事費用も不要です。

また、利用料金が一定であることもIP電話と固定電話の違いです。固定電話のアナログ回線は、ダイヤルすると電話交換機が着信先の電話番号を認識し、各基地局を経由して通話ができます。電話料金は距離に応じて変動し、遠方にかけるほど高額になる仕組みです。

しかし、IP電話は音声を電子信号に変換し、インターネット経由で着信者まで届けるシステムです。基地局を利用しないため、通話距離の影響を受けずに通話ができます。

2.IP電話の種類3つ

IP電話には「0ABJ番号IP電話」「050IP電話」「通話アプリケーション」の3つの種類があります。0ABJ番号IP電話と050IP電話は固定電話番号と同じく、利用時に電話番号が割り当てられるタイプのIP電話です。近年では、電話番号を割り当てる必要がない通話アプリケーションの利用も進んでいます。

ここからは、IP電話を種類別に解説します。

2-1.0ABJ番号IP電話

IP電話とは?光電話との違いや仕組み・利用メリットとデメリット

0ABJ番号IP電話とは、0から始まる市外局番を含めた10桁の番号を使用する電話です。10桁をアルファベットで「0ABCDE-FGHJ」と表すところから「0ABJ番号」と呼ばれています。

0ABJ番号IP電話は、電話同士の遅延が起こりにくいのが特徴です。0ABJ番号の番号を使用するには、総務省の定める「接続品質」「総合品質」「安定品質」「ネットワーク品質」の4つの通信品質を満たす必要があるためです。

出典:総務省「信頼性・品質の確保(技術基準)について」

固定電話のように安定した通話状態が保たれるため、利用時に通話が途切れる心配がありません。ビジネスシーンでも活用できる、信頼のおける電話サービスとして利用されています。

2-2.050IP電話

050IP電話は、050から始まる11桁の電話番号を使用する電話です。IP回線であることを示す050の後に、通信事業者(プロバイダー)の識別番号と利用者番号が続く11桁の数字で構成されています。

050IP電話は、番号に市外局番や市内局番を含まないのが特徴です。0ABJ番号IP電話と異なり地域の情報を含まないため、スマートフォンや携帯電話でも気軽に利用できます。また、短時間で番号を取得できたり番号取得時のコストを抑えられたりするため、初期コスト(イニシャルコスト)を抑えたい場合に適したIP電話です。

2-3.通話アプリケーション

通話アプリケーションとは、インターネット回線を利用した音声通話システムです。ダウンロードしたアプリケーションからインターネット上のサーバーを仲介し、音声に変換したデータをやりとりする「VoIP(Voice over IP)技術」を利用しています。

通話アプリケーションは、通話機能を持つアプリケーションのダウンロードが必須です。IP電話番号は必要としません。通話をする双方が、同じアプリケーションをダウンロードした時点で音声通話を利用できます。

電話回線やIP電話の専用回線を使用しないため、すぐに利用を開始できるのがメリットです。アプリ同士の通話は電話番号不要で基本料金がかからないことも、手軽に使いやすいポイントとなっています。ただし、公衆回線を利用するため、セキュリティの観点から見ると、個人向けの通話アプリをビジネスで利用することはおすすめできません。

3.IP電話の仕組み

IP電話は、下記のような仕組みによって通話が実現しています。

発信者 VoIP技術を使って発信者の音声情報を電気信号に変換する
VoIPゲートウェイ インターネット回線で送信するため、VoIPゲートウェイを使用して電気信号をIPパケットに変換する
インターネット IPパケットを着信者のVoIPゲートウェイへ送信する
VoIPゲートウェイ 着信者が音声情報を確認するため、VoIPゲートウェイを使用してIPパケットを電気信号に復元する
着信者 発信者の電気信号を音声情報に変換する

VoIPゲートウェイとは、異なるコンピューター同士を中継するための機器です。IP電話を契約すると貸し出しされます。

音声情報は、電気信号のままではインターネット回線で送れません。また、着信者に音声情報を届けるには、IPパケットを電気信号に戻す必要があります。VoIPゲートウェイは、VoIP技術によってデジタル信号化された音声情報を、IPパケットに変換、または復元する役割を果たしています。

IPパケットとは、インターネットでデータをやりとりする際の規則に従い、小さく分割された電気信号です。電気信号はデータ量が大きいため、インターネットによる通信ができない場合があります。ルールに従い、電気信号を適切な大きさに分割します。

4.IP電話と光電話の違い

IP電話とは?光電話との違いや仕組み・利用メリットとデメリット

光電話は、光ファイバーケーブルを用いて通信・通話をする電話のことを指します。インターネットを用いる点において、光電話はIP電話の一種と捉えることもできます。

光電話は、電話回線業者が提供しているサービスのため、利用するには電話回線業者に開通してもらう必要があります。光電話では、0ABJ番号を取得できます。

IP電話と光電話には、上記以外にも異なる点があります。ここでは、IP電話と光電話の違いについて解説します。

4-1.電話番号

IP電話では一般的に、「050」から始まる11桁の電話番号が付与されることになっています。一方、光電話は従来の電話回線を用いる電話と同じような「03」や「06」などから始まる電話番号が付与されます。

特に法人で用いる電話は「03」や「06」などの市外局番で始まる電話番号のほうが、信用度が高いとされています。自社の事業形態や年数などを考慮して、どちらのサービスを利用するかよく検討しましょう。

4-2.緊急電話番号やフリーダイヤルなどの発信制限

光電話では、「110」や「119」などの緊急電話番号にも発信可能ですが、IP電話ではできません。フリーダイヤルも同様です。なお、フリーダイヤルの着信は可能となっています。

4-3.回線と伝達方法

IP電話と光電話では回線と伝達方法が異なります。

IP電話はADSL回線を利用して、IPパケット信号でデータを送信し、ONUを経由して電話を利用できる仕組みです。一方、光電話は光回線を利用して光信号でデータ送信をして、ONUと呼ばれる変換装置を経由して電話が利用できる仕組みとなっています。

IP電話と光電話では回線を提供する業者が異なるため、このような違いが生まれます。

5.IP電話と光電話の共通点

IP電話と光電話には、いくつかの共通点があります。以下では、それぞれの共通点について解説します。

5-1.通話料金

IP電話と光電話は、国内での通話料金が全く同じです。全国一律で時間帯を問わず3分8.8円なので、従来の電話回線を用いた電話よりも割安で利用できます。電話料金では全く差がつかないので、この点についてはどちらを選んでも支障はないでしょう。

5-2.仕組み

伝達手段が異なるIP電話と光電話ですが、「インターネットを用いる」という点では全く同じです。電話とインターネット両方を利用するのであれば、IP電話と光電話に違いはありません。

6.IP電話のメリット・デメリット

IP電話を導入することで、さまざまなメリットが得られます。また、少なからずデメリットもあるため、導入の前にデメリットを把握しておくとよいでしょう。

ここでは、IP電話を導入するメリットとデメリットについて解説します。

6-1.【メリット】通話料が安く無料のケースもある

IP電話はインターネットを用いることで、通話料を低く抑えられます。さらに、同じプロバイダーや提携しているプロバイダー同士の通話であれば無料です。企業の拠点間の電話を同一もしくは提携同士のプロバイダーで統一すれば、拠点間の電話料金のコストカットが実現できます。

他の固定電話や携帯電話などへの通話も格安で、通話したい相手の距離が遠くても料金は変わりません。国際電話についても、従来の電話回線を用いる電話よりも安価で利用できます。

6-2.【メリット】既存の電話機をそのまま使える

これまで使っていた電話機を、交換や新規に購入することなくそのまま引き継いで使えるのもIP電話のメリットです。050から始まる番号であっても問題はありません。

6-3.【メリット】電話番号を無料で取得できる

固定電話では、新規に電話番号を取得するには電話加入権の購入が必要です。しかし、IP電話では電話加入権を購入する必要がないため、無料で電話番号を取得できます。余計な経費がかからないのも、IP電話の魅力です。

6-4.【デメリット】通話品質が不安定

IP電話は、インターネットを用いるがゆえに、通信状況によって通話品質が変動します。なんらかの理由で回線が混雑していたり、山奥や僻地などのインターネットが使いづらい環境で通話しようとすると、音声が伝わりづらい状況に陥ることがあります。

特に、050から始まる電話番号をスマートフォンで利用する場合に、電波状況の影響を受けやすいので注意が必要です。ビジネスシーンで、常に高品質の通話が求められる業態の企業にはIP電話は不向きと言えます。

6-5.【デメリット】緊急通報やフリーダイヤルが使えない

「110」や「119」に代表される緊急通報やフリーダイヤルに発信できないことも、IP電話のデメリットです。一部のIP電話はフリーダイヤルに対応していますが、緊急通報についてはすべて未対応なのが現状です。

すべてをIP電話に変更すると万が一の際に発信できない事態も想定されるため、これに対する対処方法を検討した上で、導入するか否かを決めましょう。

7.光電話のメリット・デメリット

光電話も導入することでさまざまなメリット、また少なからずデメリットがあります。ここでは、光電話のメリット・デメリットを紹介します。

7-1.【メリット】料金が安い

IP電話と同様に光電話も通話料金は3分8.8円と、従来の電話回線を用いる電話に比べ安価に利用できます。この通話料金は距離に関係なく一定であるため、遠距離でも気にせず通話できます。

KDDI 光ダイレクトでは月額料金が3chで8,250円〜となっています。光電話の中で飛び抜けて安い価格ではありませんが、同じKDDI 光ダイレクト宛てやKDDIのIPフォン宛てなど対象の電話への通話料は、同一法人以外であっても無料になり、さらに、KDDI ビジネスコールダイレクトに加入することで、au携帯電話、auスマホとの通話も内線番号扱いで0円となります。

また、auスマホ・au携帯電話と、クラウドサービス、固定電話回線をセットでご利用いただくことで、2年間ご利用料金を割引するサービスに申し込むことができ、よりお得になるのが特徴です。詳しくは導入検討相談フォームよりお問い合わせください。

参考:KDDI 光ダイレクト 料金
スマートバリュー for Business

7-2.【メリット】音声品質が高い

光回線を利用する光電話は、IP電話と比較して音声が安定しており、品質が高いです。従来の電話回線を用いる電話とも遜色ないので、ビジネスシーンにおいても問題なく利用できるでしょう。

7-3.【デメリット】光回線が必要

光電話には、まず光回線を導入しておく必要があります。企業がADSL回線を導入している場合は、ADSL回線を解約し新たに光回線を開通させなければ利用できません。

7-4.【デメリット】電話できない番号もある

光電話はIP電話の一種であるため、コレクトコールや伝言ダイヤルといった一部の電話番号には発信できません。ただ、緊急通報は可能なので、万が一の事態にも安心して導入できます。

以下はKDDI 光ダイレクトと、KDDI IPフォンで接続可能な番号一覧です。自社に必要な番号へ発信可能かどうかをこのようなリストで事前に確認しておくことが重要です。

参考:接続可否番号一覧(KDDI 光ダイレクト/KDDI IPフォン)

8.IP電話の注意点

前述したように、IP電話ではフリーダイヤルが使えません。また、ほとんどのIP電話が110番、119番など緊急通報に対応していないこともデメリットです。IP電話を利用するときは、注意点を十分に検討する必要があります。

ここからは、IP電話導入時に検討するべき注意点を3つ解説します。

8-1.停電時に利用できない

IP電話は、停電時の利用ができないことに注意が必要です。固定電話では、電話線から電力が供給されているため、停電時に通話ができる場合があります。しかし、IP電話は固定電話と異なり電話線がありません。専用の機器を使用してコンセントから電力を供給しているため、停電が起こると機器が使用できなくなります。

IP電話をビジネスで利用する場合は、停電に備えることが必須です。停電が起きた際はスマートフォンを利用する、UPS(無停電電源装置)など災害グッズを備えておくといった対策マニュアルの作成や代替手段を準備し、社内で共有する必要があります。固定電話回線を残してIP電話を併用するのも対応策の1つです。

8-2.インターネット回線の影響を受ける

IP電話は、インターネット回線の状態によって通信環境に影響が生じる場合があるため、注意が必要です。インターネット接続が不安定なときは、声がうまく聞き取れない、通話が途切れるといった電話対応のトラブルが起こります。また、大容量のデータをやりとりしている、帯域に利用者が集中しているなどの理由によりインターネット回線が混雑した場合も、データ通信に障害が発生します。

IP電話を導入するときは、安定したインターネット環境を構築しているサービスを提供するIP電話接続事業者を選択しましょう。総務省によるIP電話事業者の音声品質をもとにしたランキングを参考にするのがおすすめです。

8-3.セキュリティ対策が必要になる

IP電話を導入するときは、セキュリティ対策が必須です。インターネット回線を利用しているため対策を怠ると、乗っ取りやなりすましといった不正アクセスの被害が起こる可能性があります。

不正アクセスを防ぐために、通信機器の設定が適切か、十分なセキュリティ対策がされているかを定期的に確認することが大切です。また、ソフトウェアを最新バージョンにアップデートする、IDやパスワードを定期的に変更するなどの基本的な対策も効果を発揮します。セキュリティ対策への共通認識を企業内で共有することが、不正アクセスを防ぐ第一歩です。

9.IP電話と光電話の併用にもメリットがある

企業内にて、IP電話と光電話をどちらも導入することは、一見煩雑になりコストもかさむと思われがちですが、メリットがある方法です。

相手先がIP電話である場合は、こちらもIP電話で通話することで通話料金がかからなくなります。切り替えは自動で行われるため、運用にも支障は起きにくいでしょう。

一方で、光電話は電話番号をそのまま引き継げることが大きなメリットです。光回線による高品質な通話や緊急通報にも利用できることも、利用者の安心につながります。

まとめ

IP電話と光電話には、インターネットを用いるという共通点がある一方で、異なる点もいくつかあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらか一方の導入でも問題ありません。

KDDI まとめてオフィスでは、「KDDI 光ダイレクト」を提供しています。「KDDI 光ダイレクト」は、アクセス回線に光ファイバーを利用した、高品質のIP電話サービスです。宅内機器については、現在お使いのPBXや電話機をそのまま引き継いで利用できます。1契約につき、1つの電話番号(0ABJ番号、または050番号)と、ch数を選択いただけます。

同一法人以外であっても、KDDIのIP電話宛の通話は無料、さらに「KDDI ビジネスコールダイレクト」やビジネス通話定額サービスに加入することで、auスマホ・携帯電話との通話もお得に利用できます。

固定電話の新規導入や、お切り替えを検討中なら、ぜひお気軽にKDDI まとめてオフィスにお問い合わせください。

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