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探究学習と教科学習の違いとは?探究学習を進める4つのステップ・学習のコツを解説

探究学習と教科学習の違いとは?探究学習を進める4つのステップ・学習のコツを解説

2022年12月19日掲載(2023年11月01日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

探求 学習

2022年から、高等学校で「探究学習」の授業が本格的に始まりました。教育に携わる方であれば、すでに聞き馴染みがある言葉かと思います。しかし、なかには従来の教科学習と比較して何が違うの? 探究学習の特徴が実はよく分からない...という方も、いらっしゃるかもしれません。ここでは、探究学習の基本や教科学習との違い、探求学習の進め方や事例などをご紹介します。生徒にとって有意義な探究学習を実行するための、ご参考になれば幸いです。

目次

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探究学習とは

探究学習とは、生徒自身が設定した課題を調査・分析し、周囲の生徒と話しあったり協力しあったりしながら、解を導き出す学習方法です。教師が用意した課題ではなく、自分が見つけた課題を解決することが探究学習のポイントです。

2022年から、高等学校で「総合的な学習の時間」を「総合的な探究の時間」に変更し、新たに実施することが、新学習指導要領で規定されました。2019~2021年は、新学習指導要領への移行期間として扱われます。また「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究基礎」「理数探究」の、6つの探究学習科目新設されました。総合的な探求の時間と、新設された6つの探求科目は「探求」の違いを踏まえて取り組む必要があります。

文部科学省は、小学校・中学校でも探究学習に取り組むよう求めています。小学校・中学校の探究学習「総合的な学習の時間」という科目名で実施されています。

参考:【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説

探究学習の課題(テーマ)

多くの学校では、課題(テーマ)があらかじめ決められています。生徒は、学校ごとの課題に沿う「自分なりの課題」を設定したうえで、探究学習に取り組みます。学校ごとの課題は「職業」「国際理解」などです。

自分なりの課題は、教師が用意したいくつかの課題の中から選ぶ場合もあります。探究学習に不慣れな小学生のうちは、教師が用意した課題から始めるケースも少なくありません。

総合的な学習の時間と総合的な探求の時間の違い

高等学校における総合的な探求の時間では、それまでの総合的な学習の時間と比較し、より生徒の探求の質の向上が求められます。質の向上のためには、具体的に以下の2つのポイントで考えることが必要だと定められています。

<高度化した探求>

  1. 整合性:目的と解決方法に矛盾がない
  2. 効果性:資質・能力の適切な活用
  3. 鋭角性:焦点化し深堀をする
  4. 広角性:広い視野で可能性を考慮する


<自律的な探求>

  1. 自己課題:自身と関わり深い課題になる
  2. 運用:過程を見据え自身の力で推進する
  3. 社会参画:得られた知見を生かした社会参画

総合的な探求の時間と6つの探求科目の違い

新設された6つの科目は、各科目の理解をより深めるために、探求を重視するように見直しが図られたものです。対して総合的な探求の時間は、以下の3つの点で異なります。

1 学習の対象・地域
  特定の科目や教科に留まらない。
  自身が関わりを持つ実社会・実生活などを対象とした、横断的で総合的な探求。

2 見方・考え方
  複数の教科や科目の見方・考え方を取り入れ、実社会・実生活のなかにある
  さまざまな問題を
多角的、かつ俯瞰して捉える。

3 唯一の正解が存在しない
  総合的な探求の時間は、唯一の解が存在しない課題に時間をかけて取り組み、
  生徒なりの最適解や納得解を見出すことを重視する。

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探究学習の実施状況

2019年の「探究学習白書」で実施された調査の結果、約7割の高等学校が「今のところ実施予定はない、わからない」と回答しました。探究学習の準備が進まない理由として、以下が挙げられます

・学習範囲が広く、教師の理解が追いつかない
・学習スケジュールの立案が難しい
・どのように成果を評価してよいかわからない
・探究学習に関して保護者の理解を得られない
・探究学習に協力してくれる機関が見つからない
・探究学習への準備にあてる時間がない

参考:2019年度、高校における探究学習科目の実施状況 - 一般社団法人 英語4技能・探究学習推進協会 (ESIBLA)

探究学習と教科学習の相違点

探究学習と教科学習の相違点について、スキルや能力の面から解説します。

探究学習で養うスキルや能力

探究学習では、各科目の枠を超えた課題解決能力が身につきます。探究学習の課題設定・情報収集・まとめ・発表という体験を通じて、主体性や実行力を養うことが可能です。グループで探究学習に取り組むことで、コミュニケーション能力も養われると期待されています。

教科学習で養うスキルや能力

教科学習は、詳細な学習内容があらかじめ決められており、教師が主体となって進める学習方法です。教科学習では、各科目の専門的な知識やスキルが身につきます。また、各科目の特徴に基づく課題解決能力も得られます。

探究学習が始まった背景と必要性

探究学習が始まった背景は、主体性や実行力のある人材を育てることを、社会が期待しているためです。不確実性が高く、目まぐるしく変化する今の世の中では、自分なりに状況を読み取り、考えて、自律した行動をとれる人材が求められています。その傾向は今後ますます高まっていくことでしょう。

新しい技術の登場や国際化など、子どもたちを取り巻く環境が多様化する時代に、教科学習で得られる課題解決能力だけでは、うまく対応できないケースが増えていくと予想されています。

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探究学習を導入するメリット

探究学習を導入すると以下のメリットが得られます。

・学習へのモチベーションアップ
・学力向上
・進路について考える機会の増加
・豊かな心の育み

探究学習では、生徒自身が興味ある課題に取り組むため、探求のモチベーションがアップします。学ぶ楽しさを知ることで従来の教科学習における学力向上期待されています。学校ごとの課題に「職業」がありました。職業について深掘りできると、進路について考えるきっかけにもつながります。

さらに、グループで課題に取り組、成果を発表し合うなかでさまざまな視点や考え方に触れ、生徒は「多様性を意識するようになります。

探究学習の4つのステップ

文部科学省の資料の「第2節 探究的な学習における学習指導」に基づき、探究学習の4つのステップについて解説します。

参考:今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(高等学校編) 第1編第2章-1

1.課題の設定

多くの場合、生徒自身が課題を決めます。体験学習・統計などのデータの閲覧・ブレインストーミングなどの経験を基に生徒は課題を考えます。課題に求められる条件は以下のとおりです。

・生徒の日常や将来に関係する
・さまざまな結論が予想される

探究学習に不慣れな小中学生には「身の回りのことで興味があることを探してみましょう」など、教師の誘導が求められます。

2.情報の収集

正しい情報を適切に得ることも、探究学習の狙いのひとつです。情報収集の例を以下に示しました。

・街頭で不特定多数にインタビューする
・電話で専門家や関係者にヒアリングする
・図書館や図書室を利用する
・インターネットで検索する
・講演会やセミナーに参加する
・実験や実習に参加する

情報を収集する際は基本的なスキルが必要です。たとえば、インタビューする際の他者へのマナーや、収集した情報を蓄積する方法などについて、事前に生徒に教えておく必要があります。

3.整理・分析

グラフや図形などを使い、収集した情報を生徒に整理させます。手法をよく理解していないと、整理・分析に時間を取られすぎて結論に至らない場合もあります。あらかじめ整理・分析のやり方を生徒に教えておきましょう。

整理・分析を実施すると、情報の傾向や規則性を導き出せます。課題解決に向けて不足している情報があれば、追加の情報収集も検討しましょう。

4.まとめ

まとめでは、探究学習の一連の流れをまとめて発表します。新聞やポスター、Webサイトの作成などまとめ方はさまざまです。

意見交換すると課題に対する新たな観点に気がつき、多様性への理解につながります。また、発表を通じて論理的に話をくみ上げる技術や表現力も養われます。

まとめ・発表・意見交換まで時間を取れるように、探究学習全体を通じて時間配分に気をつけてください。特に情報収集や整理・分析には時間がかかるため、あらかじめ時間配分を決めておきましょう。

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探究学習における教師の3つの役割

探究学習における教師の役割について、コーチング・ティーチング・ファシリテーションの3つを解説します。

1.コーチング

コーチングでは、教師は生徒の自発的な活動を促します。答えそのものを教えず、生徒自身が無意識に考えている内容に気づかせることがコーチングの狙いです。適切なコーチングは生徒の主体性を促し、モチベーションを高めます。たとえば、課題設定の際にコーチングすると、生徒は自然に課題を決められます。

2.ティーチング

探究学習におけるティーチングとは、探究学習の進め方を指導することです。教科学習のティーチングとは異なり、専門的な内容を教える訳ではないと理解しておきましょう。生徒が基本的な進め方を理解していないと探究学習が進みません。

3.ファシリテーション

ファシリテーションとは、グループワークや発表の場を取りまとめる役割です。教師は中立の立場で生徒に意見を求め、話が脱線しないようにサポートしましょう。ファシリテーションなしでは、学習の進行が遅れてまとめまで到達しなかったり、まとめが思うようにできなかったりする恐れがあります。

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探究学習の4つのコツ

探究学習の4つのコツを紹介します。探究学習におすすめのICT教材についても解説します。

1.教師が探究学習のステップを理解する

教師自身が、探究学習と教科学習の違いを理解しましょう。教師には、コーチング・ティーチング・ファシリテーションの3つの役割があります。役割を理解したうえで探究学習をサポートすると、質のよい学びにつながります。

2.探究学習のサイクルを繰り返す

「探究学習の4つのステップ」を繰り返すと、新たな課題の発見と探究につながります。また、探究学習の繰り返しは、成功体験の蓄積に欠かせません。自分なりの取り組みで課題解決できたと自信をもてると、主体性のある行動を取れるようになります。

3.体験活動を重視する

課題設定や情報収集のステップでは、体験活動を重視しましょう。体験活動では、教室では得られない気づきを得られる可能性があるためです。体験活動には、ボランティア活動・農業などの自然体験・就業体験・伝統工芸など文化や芸術に関する体験が挙げられます。

4.ICT教材を活用する

まとめまで完了してこそ、探究学習が成功したと言えます。効率よく質の高い探究学習には、ICT教材が役立ちます。

タブレットやノートパソコンなどのICT教材の活用は、情報収集や思考の整理におすすめです。たとえば、ICT教材があればインターネットを使って情報収集ができます。端末で写真撮影をしたり、動画機能を使うと、そのままの情報を残せます。思考の可視化や整理には、マインドマップツールも便利です。

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「学校×KDDI まとめてオフィス」の探究学習の事例

学校法人 神村学園は、探究学習にタブレットとICT教材を活用しています。学園の近くには大きな図書館はありませんが、タブレットがあればインターネットを使って情報収集ができます。データのグラフ化や、まとめ用の資料作成にもタブレットは便利です。

探究学習だけではなく、ペーパーレス化や、データを活用した授業などにも、タブレットやパソコンといったICT教材役立っています。

詳しくは以下をご確認ください。
【導入事例】「タブレットを導入し生徒に変化が現れ始めた」学校法人 神村学園

まとめ

2022年から高等学校で始まった探究学習は、生徒の主体性を促すだけではなく、他の科目を学ぶモチベーションも高めることが期待されています。質の高い探究学習の実現に向けて、タブレットの活用やICT教材の導入を検討してはいかがでしょうか。

KDDI まとめてオフィスでは、探究学習に役立つタブレットやパソコン、ICT教材を提供しています。選定から導入、その後の活用までをワンストップでサポートします。KDDIが長年培った高品質でセキュアな通信を軸に、クラウド・セキュリティなどのITソリューションや、学校に必要な什器・備品まで、豊富なラインアップをご用意。課題を抱えた学校様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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