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働き方改革関連法が中小企業の2極化を引き起こす!?猶予終了の中小企業が直面する影響と対策とは

働き方改革関連法が中小企業の2極化を引き起こす!?猶予終了の中小企業が直面する影響と対策とは

2020年12月02日掲載(2023年11月02日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

働き方改革のイメージ

中小企業に対する猶予措置があった働き方改革関連法は、2020年4月から全面施行されています。中小企業にとって働き方改革関連法は、従業員の待遇を改善できる反面、人件費や業務負担が増えるなど対応が難しい制度です。

この記事は、働き方改革関連法を推進する企業担当者に向けて、中小企業が直面する働き方改革関連法のポイントや、どのような影響が出るのか、対応策などを解説します。働き方改革関連法への対応を検討する参考にしてください。

目次

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働き方改革関連法で中小企業が直面する5つの改正ポイント

働き方改革関連法によって、中小企業が直面する課題とは何でしょうか。5つの重要な改正ポイントと、中小企業が受ける影響を解説します。

1.中小企業にも施行された「時間外労働時間の上限規制」

2019年4月から大企業で実施されていた「時間外労働時間の上限規制」が、中小企業でも2020年4月からスタートし、原則として「年720時間未満・複数月平均80時間未満・月100時間未満」という条件が課せられています。

従来は届け出さえ出していれば、実質は上限なしという状態でした。しかし、今後は雇用側が労働時間を管理できていないと、ペナルティを課せられる可能性があります。

2.休みにくい職場も多い「有給休暇の取得義務」

有給休暇の取得が雇用側の義務となりました。そのため雇用者は従業員の有休取得数を把握し取得させるよう管理する必要があります

従業員一人ひとりの役割が重い中小企業では、有給取得を言い出しにくい職場も多いでしょう。このような場合、管理職が調整役として職場に不満が出ないようにスケジュール管理する必要があり、管理業務のみならず、心理的な負担も増す傾向があります。

3.2023年4月スタート「割増賃金率引き上げ」

割増賃金率とは、月60時間以上の時間外労働に対する、残業代の引き上げ率です。大企業においては、すでに50%以上の引き上げが義務化されています。

中小企業に対しては、この割増賃金率引き上げが猶予されていますが、2023年4月から実施される予定です。業務量が削減されない場合、人件費が増大する中小企業が少なくありません。

4.労使協調が不可欠「同一労働同一賃金」

労働内容が同じなら、雇用形態に関係なく、同じ賃金を支払わなければならないとするのが、同一労働同一賃金の制度です。

この制度に対応するには業務内容を分解し可視化する必要があります。労使協調が重要になるため、客観的な評価と説得力のある説明が求められます。人件費増加に対する対策も必要です。

5.働き方改革関連法と同時期に施行された「未払賃金請求権の時効延長」

未払賃金請求権とは、退職手当を除く賃金や、災害補償などの未払い分を請求できる労働者の権利です。この未払賃金請求権の時効延長は、2020年4月から施行される「未払賃金請求権の時効延長」「同一労働同一賃金」と同時に施行されました。

時効が2年から3年になり、将来的には5年に延長される予定です。労働時間の厳正な管理が必要になるため、多くの企業が、働き方改革関連法への対応の一環として取り組んでいます。

働き方改革関連法が中小企業に与える影響

ここからは、どのような費用や業務の負担が増加するのか、また法律に違反した場合にどのようなペナルティがあるのか、さらに具体的に解説していきます。

人件費の増加

多くの中小企業では、同一労働同一賃金への対応が遅れています。客観性のあるルールを示さなければ従業員の不満が高まり、離職などにつながりかねません。しかし、業務内容を精査せず賃金を引上げて人件費を増大させることは避けなければなりません。

必要なのは客観的な業務の評価システムです。同一業務にみえても、社員にしかできない業務内容などがあるはずです。従来以上に従業員の能力を区別する必要が生じています。

就業ルール整備と管理の手間が増大

有給取得の義務化や時間外労働時間の厳格化などによって、管理の手間が増大しています。労務管理者の業務負担が増えるほか、ペナルティによる心理的負担も増加します。

中小企業がテレワークやフレックス制を導入しようとしても管理が複雑化し、担当者の業務負荷が増えてしまう可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

厳しいペナルティが課せられる

働き方改革関連法で改正された法案に違反することでペナルティを負うだけでなく企業イメージを損なうリスクがあります。

主な罰則は以下のとおりです。

時間外労働時間の上限に違反した場合:半年以下の懲役、または30万円以下の罰金

有給休暇の取得義務違反:30万円以下の罰金

割増賃金率引き上げに関する違反:半年以下の懲役、または30万円以下の罰金

働き方改革関連法の推進で中小企業が今、取り組むべきこと

ここでは、中小企業の働き方改革関連法の推進で重要である「ICT環境整備による業務効率化」「多様な人材の活用」「労務管理システムの更新」について解説します。

ICTによる業務効率化

業務内容を変えずに働き方改革関連法に対応すると、多くの企業では人件費増大が避けられません。これを業務の割り振りや人材配置などで補うには、限界があるでしょう。

根本的な解決には業務のデジタル化が不可欠です。たとえばテレワークの導入やクラウドサービスの活用は、多くの企業取り入れられるようになりました社内にノウハウ導入のためのリソースがない場合は、ワンストップでICT環境整備からツール導入まで任せられるサービスを利用するのが効率的です。

多様な人材の活用

「一億総活躍社会」のフレーズにあるように、多様な働き方実現は、働き方改革関連法のテーマのひとつです。この背景には、日本の少子高齢化による労働人口不足があります。

実際、中小企業の約7割は、人手不足という問題に直面しています。テレワークや短時間労働、週3日出勤など、多様な働き方の実現が、労働力確保のために必要です。

労務管理システムの更新

働き方改革関連法によって、長時間労働に対する監視は厳しくなりました。違反すれば重いペナルティを課せられてしまいます。

在宅勤務やモバイルワークが増え、さらに出社が少なくなるなか、クラウド型の労務管理システムなど、オンライン上で完結するシステム・ツールは有効です。この機会にシステム更新を検討してみてはいかがでしょうか。

働き方改革関連法の推進によって中小企業が得られるメリット

働き方改革関連法の推進を組織改革につなげることも可能です。ここでは働き方改革関連法を推進する3つのメリットについて解説します。

競争力アップ

ソリューションを導入すると、業務を見えるできて、適切なタスクの割り振りが行いやすくなります。長時間労働是正や同一労働同一賃金の対応につながるほか、価格競争の面で優位に立つことも可能です。

テレワーク対応のために、ビジネスチャットやWeb会議を導入して報告・連絡・相談を強化したり、ペーパーレス化や電子承認・決済を進めたりすることも効果的です。社内連携や機動力などの向上が期待できます。

採用率向上・離職率低下

多様な働き方を実現することで職場環境がよくなり、採用率向上が期待できます。また、仕事に対するやりがいを感じてもらうことで、離職率低下にもつなげられるでしょう。

企業ブランドの向上

現状では、中小企業の多くは、大企業よりも働き方改革関連法に対応できていません。だからこそ、テレワークなどによって働き方改革関連法に対応すること企業の魅力や信頼につながります。

就職先・転職先の評価では、働き方改革関連法の推進状況が、企業の魅力度を測る要素になっています。積極的に働き方改革関連法に取り組むことが、「魅力的な企業→優秀な人材の確保→企業の成長→利益増大」という好循環が生み出します。

中小企業こそテレワークで働き方改革関連法に取り組むべき4つの理由

業務のデジタル化では、クラウド活用が効果的です。業務効率化やコスト削減、テレワークへの対応ができ、BCP(事業継続計画)や多様な働き方も実現可能です。

1.「ニューノーマル」実現

時間や場所にとらわれない働き方が進んでいます。テレワークが難しいといわれた営業活動などにも普及してきました。

中小企業はまだ早いというイメージがあるかもしれませんが、たとえば2019年の「テレワーク・デイズ」の成功事例の大部分は中小企業です。経営者・情報システム・総務の決裁者などの決断が、企業の将来を左右した事例も多く、「ニューノーマル」を実現する好機ということがわかります。

2.人手不足の解消

人手不足解消の対策のひとつとして、テレワーク導入は非常に有効です。短時間労働、在宅勤務など、多様な働き方によって労働力確保が可能です。また、就職活動をする学生においては、テレワーク導入状況に対する関心度がとても高く、企業ブランディングの一環としても、メリットがある施策になるでしょう。

3.コスト削減

テレワークによって移動費やオフィス費用の削減が見込めます。クラウド型の電子承認・契約システムの導入は、コスト削減とともに、今後本格化する脱ハンコへの準備も可能です。

テレワークは電子署名・契約システムなどのクラウドツールと連携しやすいものの、勤怠管理やWeb会議など複数のツールを連携すると導入・運用が難しくなります。個々の業者に依頼すると非効率なシステムになりやすいため、注意が必要です。

4.BCP(事業継続計画)対策

企業の経営層は、自然災害や感染予防対策など、予期しない事態から従業員の安全を守りつつ、事業を継続するBCP(事業継続計画)が必要です。実際、テレワーク導入が、存続の分かれ目となってしまった中小企業の例も少なくありません。中小企業を対象にした補助金、助成金も活用できるため、テレワーク、クラウド活用でBCPを強化してはいかがでしょうか。

まとめ

中小企業にこそ、テレワークやクラウドツールを活用した働き方改革関連法の推進が必要です。長時間労働是正や多様な働き方推進に対応することは、企業にとってもコスト削減や労働力確保など、多くのメリットがあります。

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