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フリーアドレスとは?導入方法や注意点・失敗しないポイントを解説

フリーアドレスとは?導入方法や注意点・失敗しないポイントを解説

2024年02月29日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
フリーアドレスとは?導入方法や注意点・失敗しないポイントを解説

コロナ禍と企業の急速なデジタル化を経て、近年ではフレックスタイムやテレワークの導入など、多様な働き方を導入する企業が増えています。また在宅勤務が増えたことで、オフィス環境にフリーアドレスの導入を検討する企業も少なくありません。

フリーアドレスには、社内の空間を有効活用できるなど、さまざまなメリットがありますが、デメリットや注意点もあるため事前に知っておくとよいでしょう。

当記事では、フリーアドレスの意味や導入するメリット・デメリット、また導入する具体的な方法などを解説します。

目次

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1.フリーアドレスとは?

オフィススペースの有効活用や柔軟な働き方を実現できるスタイルの1つ

フリーアドレスとは、社員が従来のように自分専用の席を持たず、空いている席の中から自由に選んで働くオフィス形態です。無線LANなどの通信環境が整備された中、社員はノートパソコン(PC)やスマートフォン(スマホ)を利用しながら、自分に合った場所で業務を進めます。業務に必要な書類や文房具は共有のキャビネットなどに収納し、必要なときに取り出して使う形が一般的です。

フリーアドレスという言葉や働き方は以前から存在していましたが、一般企業にはあまり馴染みのないオフィススタイルでした。しかし近年、フリーアドレスはオフィススペースの有効活用や柔軟な働き方を実現できるスタイルの1つとして、導入を検討する企業も増えている状況です。

2.フリーアドレスが求められる背景

フリーアドレスへの注目が高まった背景はいくつかありますが、代表的なのはワークスタイルの変化や新規価値創造の重要性、IT技術の進歩などです。

以下では、フリーアドレスが求められるようになった3つの要因を解説します。

2-1.ワークスタイルの変化

フリーアドレスの需要が高まっている理由として、ワークスタイルの変化が挙げられます。働き方改革によりオフィスに固定席を設ける必要性が薄れつつあり、2021年8月末時点でテレワーク導入企業は51.9%に達しました。特に若年世代はテレワークに積極的で、今後も利用者は増えると考えられます。

出典:総務省「令和4年版 情報通信白書」

フリーアドレスは、このようなワークスタイルの変化に対応するのに有用です。リモートワークの広がりにより、社員がオフィス外でも仕事をすることが一般的になってきており、オフィスの役割も変わりつつあります。

フリーアドレスでは、社員が必要に応じて席を選ぶことが可能です。テレワークや時短勤務といった多様な働き方をしている社員が出社した際、固定席がなくても使用する席に困ることがありません。フリーアドレスは、社員それぞれの働き方にあわせやすい柔軟な環境づくりだと言えます。

2-2.新規価値創造の重要性

日本社会では、諸外国に比べて課題発見力や価値想像力を持つ人材の育成が遅れているとされ、これらの人材育成が課題となっています。

出典:経済産業省「創造性人材の育成支援」

この課題に対応する手段として注目されているのが、フリーアドレス化です。フリーアドレスでは、社員が毎日異なる刺激を得ながら働けるため、豊かな発想を得やすくなると言われています。

たとえば、フリーアドレスでは、通常業務では関わらない部署の人と隣り合わせで仕事をする機会が少なくありません。他部署との偶発的な会話から、新しいアイデアや発想が生まれるケースもあるでしょう。フリーアドレスによる他部署間のコミュニケーションは、創造性を高め、新規価値創造に寄与すると考えられています。

2-3.IT技術の進歩

IT技術の進歩により、無線通信の高速化・大容量化・低遅延化が進んでいます。モバイルツールの普及や書類のデジタル化・クラウド化といった、ICT(情報通信技術)の進化も加速している状況です。

出典:総務省「ワイヤレス分野の技術ロードマップ」

固定電話やデスクトップPC、紙の書類といった物理的な制約が減少したことで、フリーアドレスという働き方が現実的な選択肢となりました。

クラウド技術や高速Wi-Fiの普及により、もはや従来のような有線接続は必要ありません。社員はノートPCさえあれば、オフィスのどこにいても同じ通信速度で仕事ができるようになりました。IT技術の進化が、フリーアドレスの導入を後押ししていると言ってよいでしょう。

3.フリーアドレスを推進するメリット

フリーアドレスの導入は社員の働き方や組織文化にも大きな影響を与える

フリーアドレスを導入すると、さまざまなメリットが得られます。いずれのメリットも、オフィス環境だけでなく、社員の働き方や組織文化にも大きな影響を与える要素です。

以下では、フリーアドレスを推進するメリットを5つ解説します。

3-1.空いているスペースを有効活用できる

フリーアドレスでは、社員全員分の席を用意する必要がありません。余ったスペースをミーティングルームなどに活用できるため、スペースパフォーマンスの向上につながります。コミュニケーションスペースや、リフレッシュエリアを設けてもよいでしょう。オフィス面積が削減されれば賃料の削減にもつながり、経済的にも効率的なオフィス運用が実現します。

デスクや椅子などの数を減らせば、物理的なスペース効率だけでなくオフィス家具にかかるコストの削減も可能です。さらに、文房具や備品なども共有すれば、個人ごとに用意する必要もありません。基本的には固定席に資料を置く必要もないため紙の資料は必要最低限に抑えられ、ペーパーレス化の促進ならびに環境負荷の軽減にも貢献します。

3-2.社員同士のコミュニケーションを推進できる

社員同士のコミュニケーションを促進できるのも、フリーアドレスのメリットです。従来のオフィスでは部署ごとに仕事を行うことが多く、異なる部署の人々とのコミュニケーションは限られていました。しかし、フリーアドレスの環境では異なる部署や役職の人と出会う機会が自然と増え、さまざまな視点からの意見交換が可能です。

これにより、自分の考えやプロジェクトに新しい視点を取り入れやすくなり、クリエイティブなアイデアが生まれる可能性が高まります。偶発的な出会いから、業務上の悩みが解決するケースや新たな協力関係が生まれるケースも珍しくありません。フリーアドレスは、組織内での部署を横断したコミュニケーションを活発化し、組織全体の理解と連携を深められるシステムです。

3-3.自律的・主体的な働き方を促せる

フリーアドレスは、自律的かつ主体的な働き方を促せるのもメリットです。フリーアドレスでは上司から離れた場所で働くことも増えるため、自律的に動いて業務を進められる人が働きやすい職場になります。

フリーアドレスでは、業務内容に応じて社員が都度自分で最適な場所を見つけなければなりません。たとえば、集中を要する業務には静かな席を選び、コミュニケーションが必要な際は共同スペースを利用するといった具合です。これにより、自分自身で考えて行動に移す力が育まれ、主体性の向上も期待できます。

フリーアドレスによって自律的・主体的に働く姿勢が身につけば、社員の働く意欲も高まり、満足度や生産性の向上ももたらすでしょう。

3-4.整理整頓の意識が生まれる

フリーアドレスには「自分の席」という概念がありません。デスクに物を置きっ放しにできなくなるため、社員は自分の荷物を持ち運びやすく、かつ必要最低限に整理する必要が生じます。結果として、デスク周りは常にすっきりと片づいた状態を保てるようになるでしょう。

フリーアドレスでは共有スペース全体に清潔で整頓された状態の維持が求められるため、快適な職場環境の実現にも貢献します。フリーアドレスは、個人の整理整頓能力を高めるとともに、オフィス全体の清潔さと秩序を保つ文化を育む効果が期待できるワークスタイルです。

3-5.組織の変化に柔軟な対応ができる

組織の変化に対する柔軟性が高いのも、フリーアドレスのメリットです。テレワークや短時間労働制の導入、部署の再編など、組織が変化した場合でも、フリーアドレスなら席替えに時間をかけずに対応できます。

たとえば、急な組織変更やプロジェクトごとにチームメンバーが変わるときです。社員は自由に席を移動できるため、オフィスレイアウトを変更する必要がありません。ハイブリットワークの導入により社員の出社率が低い日が増えたら、空いたスペースを休憩エリアに使うこともできます。

フリーアドレスは、組織の動きや変化に迅速かつ柔軟に対応できる効率的なオフィス環境を実現します。人事異動や組織変更の多い企業にとっては、特に大きな利点と言えるでしょう。

4.フリーアドレスのデメリット・注意点

フリーアドレスには多くのメリットがある一方で、デメリットがあることも忘れてはなりません。どのようなデメリットがあるかを知っておけば、事前に対策を練っておくことも可能です。

ここでは、フリーアドレスの導入で生じる可能性のあるデメリットと、注意点を5つ解説します。

4-1.誰がどこにいるのか分かりにくくなる

フリーアドレスでは、目的の人物を探すのに手間取りやすいのがデメリットです。社員の使用する席が日によって異なるため、外部からの電話の取り次ぎや来客の対応時に困ることがあります。早急な連絡が必要なときや上司に相談したい状況で、すぐに相手を見つけられなかった場合、業務に支障をきたすおそれがあります。

また、離れた席を使用していると、相手の状況を見定めて声をかけるのが難しくなります。特に、新たに立ち上げたプロジェクトや新人が複数人入った部署など、関係性がまだ十分に形成されていないチームでは要注意です。コミュニケーション不足による業務の滞りを防ぐためにも、連絡手段の確立や情報共有ツールの導入を検討したほうがよいでしょう。

4-2.集中しにくくなる社員もいる

フリーアドレスでは、部署の垣根を超えたコミュニケーションが促進されます。一方で、共用スペースに人が集まるため、会話や電話の声などが周囲から聞こえやすく、集中力の低下を招く場合があります。オープンすぎる空間や自分の席がないことにストレスを感じる社員がいる点にも、注意が必要です。集中できないことで、人によっては業務効率が下がったり、ミスの原因につながったりすることがあります。

フリーアドレスのデメリットを最小限に抑え、メリットを最大限に引き出すには、オフィスのレイアウトに気を配る必要があります。集中できる個室スペースや電話・私語禁止エリアの設置など、集中力を維持できる環境づくりが重要です。

4-3.持ち物管理が大変になる

個人の荷物管理が大変になるのは、フリーアドレスのデメリットです。固定席があれば、書類や文房具類をデスクの引き出しに収納できますが、フリーアドレスの環境下では都度座席をきれいにする必要があります。

私物や備品を置いておけず、席から離れるたびに持ち歩くことになれば、紛失などのトラブルにもつながります。解決策としては、個人ロッカーや共通収納場所の設置などが考えられますが、荷物管理の効率化やセキュリティの確保には特に注意が必要です。

固定電話や大きなモニターなども利用しにくくなるため、部署によっては作業効率が低下するケースもあります。フリーアドレスを導入する際には、これらの問題の対策を考えておくことが大切です。

4-4.マネジメントが難しくなる

フリーアドレスは部署を横断した業務には便利ですが、マネジメントに関しては複数の課題があります。各々が好きな席で業務を進められることでチームメンバーに目が行き届きにくくなり、全体の状況を把握しにくいためです。指導や報告・相談などの業務に支障をきたす場合もあります。

従来のオフィスは、自己申告がなくても上司が部下の健康状態やトラブルの有無に気づきやすい環境です。しかし、通常時との比較がしにくいフリーアドレスでは、部下の異変への対応が遅れかねません。また、部下から上司への報告や相談もしにくくなることで、生産性や業務効率の低下が懸念されます。

フリーアドレスの導入に当たっては、従来のような直接的な監督や管理手法のみに依存せず、新しいマネジメントのスタイルを模索する必要があります。また、月に一度や週に一度など、意識的に対面で集まる機会を設け、部下と直接コミュニケーションを取る機会を確保することで、気軽に報告や相談がしやすい雰囲気づくりをするのもよいでしょう。

4-5.座席が固定化するケースがある

フリーアドレスを導入したにもかかわらず、座席が固定化してしまうケースも少なくありません。仲のよい人同士で固まってしまう、利便性の高い席を陣取ってしまうなど、自由に席を選べる環境でも同じ人が毎日同じ場所に座りがちになる現象です。特に同じ部署やチームのメンバーが固定化してしまうと、異なる部署の人たちとの横断的コミュニケーションの活発化というメリットを生かしきれません。

対処方法としては、ルーレットやくじ引きで日替わりに席を決めたり、一定時間ごとに席を変えたりするなど、座席の固定化を防ぐ工夫が必要です。自動的に座席を決めるシステムの導入も有効な手段となります。このような運用方法の工夫により、フリーアドレスのメリットを最大限に生かせるでしょう。

5.フリーアドレスが向いている企業

導入の目的とルールを明確にすることが大切

フリーアドレスは、企業の方向性や部署の業務によって、ある程度向き不向きが分かれます。向いていない企業が無理に取り入れれば、かえって業務の効率が下がりかねません。

以下の特徴に当てはまる企業であれば、フリーアドレスの導入を検討してもよいでしょう。

5-1.ペーパーレス化を推進している企業

現在ペーパーレス化を推進している企業や、今後ペーパーレス化を進める予定の企業はフリーアドレスが向いている企業です。自席を設けないフリーアドレスでは、それまでそれぞれがデスク周りに収納していた紙文書の保管場所がなくなります。

そのため、紙媒体でのやり取りが多い企業では、新たに保管場所を増やしたり逐次出し入れする必要が生じたりと、かえって業務が非効率になりかねません。一方、書類のデジタル化を進められる企業では物理的な収納の必要性が減り、フリーアドレスをスムーズに導入できるでしょう。

5-2.外出・離席やテレワークが多い企業

社員の外出や離席が多い企業やオフィスワークが少ない企業は、フリーアドレスに適しています。特に、営業職やクライアントに常駐するSEなど外出の多い業務を持つ社員を抱える企業では、全員分の席を常時確保する必要がありません。フリーアドレスを導入すれば、オフィスの省スペース化や有効活用が実現しやすくなります。

また、出社している社員数が日々変動するテレワークや時短勤務が可能な企業でも、フリーアドレス導入によりオフィスの運用を柔軟かつ効率的にできるでしょう。

5-3.部署を横断した仕事が多い企業

部署を横断した仕事が多い企業には、フリーアドレスの導入が有効です。部署をまたいでプロジェクトを行う場合、柔軟に座席を選べるフリーアドレス環境なら、必要に応じて関係するメンバーが簡単に集まれます。

プロジェクトに必要な人材が物理的に近ければ、迅速な意思決定や情報共有が可能になり、仕事の進行がスムーズに進むでしょう。プロジェクトが終わればそのまま解散でき、また新たに立ち上げる場合もレイアウトの変更が必要ない点でも向いています。

6.フリーアドレスをオフィスに導入する方法

フリーアドレスをオフィスに導入する際には、計画性が必要になります。適切な手順を踏んで計画を進めることで、スムーズにフリーアドレスが導入され、オフィスの機能性と働きやすさが向上するでしょう。 以下では、フリーアドレスの導入方法を5つのステップに分けて解説します。

6-1.導入の目的を決める

フリーアドレスをオフィスに導入する最初のステップは、導入の目的を明確にすることです。なぜフリーアドレスを導入したいのか、目的をきちんと決定し、社内に浸透させる必要があります。たとえば、「部署を超えたコミュニケーションの活性化」「社員の働きやすさ向上」「生産性・創造性の向上」などが代表的です。

フリーアドレスを導入すると働き方への大きな影響があるため、社員からの懸念や不安の声も考慮しましょう。導入の目的について社員とディスカッションの場を設け、理解を深めることが、導入による効果の最大化につながります。フリーアドレスを導入することが「目的」ではなく、業務における目標を達成するための「手段」の1つであるという認識を持ち、社員と共有することが大切です。

6-2.導入する範囲を選ぶ

次に、フリーアドレスを導入する範囲を選択しましょう。全社的に導入するのか、フリーアドレスに向いている特定の部署に導入するのか、スモールスタートとして一部の部署で試すのかを決めます。フリーアドレスは、部門によって適応度が異なるためです。

たとえば、デスクワークが少ない営業部門や会議が多い企画部門は、フリーアドレスに適しています。一方、社内から依頼や相談を受けることが多い総務・人事・経理などは、固定席のほうが向いている部門です。紙媒体の書類を多く扱う職種やセキュリティレベルの高い資料を扱う職種も、フリーアドレスに向いていません。

導入対象となる部署は事前に決め、社員一人ひとりの意見に耳を傾けながら最適な運用方法を模索することが重要です。部署ごとの在席率や機密情報の取り扱い、現在のオフィス活用状況を把握し、フリーアドレスの導入が課題解決につながる手段となり得るかを判断します。

6-3.座席をどのように運用するか決める

座席の運用方法としては、「完全フリーアドレス制」と「グループアドレス制」の2つの形態があります。完全フリーアドレスでは社員全員が自由に席を選ぶ形式で、グループアドレスでは同じ部署やチームごとに指定されたエリアの中で席を選びます。

グループアドレスは、フリーアドレスよりも固定席に近く、導入ハードルが低めです。部署ごとの業務内容やプロジェクトの状況に応じて、ルールや運用方法を柔軟に調整できます。

電話対応の多い部署や機密情報を多く扱う部署は、グループアドレスのほうが向いているでしょう。制度に抵抗のある社員はフリーアドレス対象者から外すといった配慮も必要です。部署によっては、フリーアドレスとグループアドレスを組み合わせた運用もできます。

6-4.オフィスのレイアウトを考える

フリーアドレスの運用方法にあわせて、最適なオフィスデザインやレイアウトを考えましょう。まず、執務スペースに加えて打ち合わせ用の会議室や休憩エリア、収納スペースなど、フリーアドレスオフィスに必要なスペースをゾーニングします。

部署間のコミュニケーションを活性化させたいのなら、動線を考慮したオフィス空間づくりが大切です。座席数を決定し、目的や社内の需要にあわせてデスクや椅子などの備品を用意します。レイアウト変更が容易なキャスターつきのタイプやパーツを連結できるタイプ、大型のタイプなど、フリーアドレスデスクの種類やサイズはさまざまです。

荷物置き用のワゴン、ハンガーなども配慮すると、より働きやすい環境を作れます。また、災害対策も忘れてはなりません。

6-5.フリーアドレスのルールを策定する

フリーアドレス導入に際しては、社員が使いやすいように明確な運用ルールづくりが必要です。フリーアドレスのルールとしては、以下の例が挙げられます。

  • 同じ席を利用してよいのは3日までとする
  • 荷物の保管場所を決める
  • 帰宅時や長時間の離席時はデスクの上を片づける
  • 通話・私語・飲食は指定されたブースで行う
  • 着席時と離席時はそれぞれ報告する

ルールを定めたら「運用マニュアル」を作成し、社員がいつでもアクセスできるようにするとよいでしょう。社員から反対意見の多いルールは改訂も視野に入れる必要があります。運用ルールの明確化は、フリーアドレスの目的やメリットを意識して業務に取り組むために不可欠です。

7.フリーアドレスの導入に失敗しないポイント

フリーアドレスの導入に成功するためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを押さえて運用をはじめれば、社員の満足度や業務効率の向上の実現が可能です。

以下では、フリーアドレスの導入を失敗させないためのアプローチを5つ解説します。

7-1.目的や運用ルールについて社内に浸透させる

フリーアドレス導入の成功は、目的や運用ルールを社内にしっかり浸透させることから始まります。なぜフリーアドレスを導入したのか、どのように運用するのかを明確にし、全社員が理解できるように伝えることが大切です。

目的やルールが浸透しないと積極的な協力が得られないどころか、不満が生じる可能性があるためです。たとえば、フリーアドレスを導入したにもかかわらず、座席が固定化してしまうといったケースが起こりやすくなります。「社内でのコミュニケーション活発化」などのメリットを十分に理解してもらえば、このような問題は避けることが可能です。

社員説明会やマニュアル、社内ポータルサイトなどを通じて、導入目的やルールを明確に伝えましょう。

7-2.フリーアドレスに使いやすい什器を用意する

使いやすい什器の用意も、フリーアドレスを成功させる鍵です。固定席がなくなることで、個人のワゴンや引き出しに収納できていた荷物や文房具、書類の保管場所が必要になります。

荷物管理の負担を軽減するためにも、私物をしまうパーソナルロッカーやファイルボックスの整備が必要です。モバイルバッグやキャリーボックスを支給してもよいでしょう。事務用品をすべて共有化して管理すれば持ち運ぶ荷物を減らせる上、消耗品のコスト削減にもつながります。

また、ペーパーレス化を進めると、書棚のスペースを他の什器に転用可能です。動かしやすい椅子や机を導入すれば、レイアウトの変更が容易になりフリーアドレスの柔軟性が高まります。

7-3.電話や郵便物の取次方法を明確にする

フリーアドレス導入後のスムーズなオフィス運営には、電話や郵便物の取次方法を分かりやすくしておくことが大切です。社員が固定席にいないフリーアドレス環境では、外部からの電話の取り次ぎや来客対応時に手間取るケースが少なくありません。この問題の解決法としては、クラウドPBXなどの導入が効果的です。

クラウドPBXを利用すると、社員はオフィスのどこにいてもスマホやクラウドPBXを経由した電話機などを通じて内線電話を受けることができます。社員の居場所をWeb上で確認できるツールとも併用すればより現在の状況を把握しやすくなり、業務の効率化にもつながるでしょう。

7-4.ビジネス向けの情報共有ツールを導入する

フリーアドレス導入の成功には、ビジネス向けの情報共有ツールの活用が必要です。特に、チャットツール・ファイル共有サービス・タスク管理ツールの3つは、フリーアドレス環境下での円滑なコミュニケーションと業務効率の向上に有効です。

チャットツールを利用すれば、社員同士がそれぞれどこにいても気軽にコミュニケーションが取れます。ファイル共有サービスの導入により、書類の持ち出しや紛失のリスクを減らし、セキュリティの強化も期待できるでしょう。また、タスク管理ツールはチームメンバーが物理的に見えなくても個々の業務の進行状況を可視化し、プロジェクト全体の管理を効率化できます。

7-5.ABWを導入する

フリーアドレスを導入するのであれば、ABW(Activity Based Working)の採用も検討するとよいでしょう。ABWは業務内容に応じて、最適な作業場所を選択する働き方です。ABWは仕事の場がオフィスの指定エリア内に限られるフリーアドレスよりも自由度が高く、さまざまな場所で働けます。

たとえば、1人で作業できる集中ブース席やチームでのブレーンストーミングに適したオープンスペース、電話が多い業務用の専用スペースなどです。社内のルールによっては、自宅やカフェ、サテライトオフィスなどを選ぶこともできます。

オフィスの共用スペースでの騒音による集中力の低下や、オープンすぎる空間に対するストレスに悩まされる社員にとっては、1つの解決策となるでしょう。

まとめ

フリーアドレスとは、社員が自席を持たず、空いている席の中から席を選んで働くオフィス形態のことです。社員同士のコミュニケーションの推進や整理整頓や意識が生まれるなど、さまざまなメリットがあります。一方で、誰がどの席にいるか分からなかったり、持ち物の管理が必要だったりなどのデメリットもあるため、デメリットを補う対策が必要です。

フリーアドレスを導入する場合は、導入の目的とフリーアドレスにおけるルールを明確に決定し、社内に共有しましょう。その他、どの範囲まで導入するのか、オフィスのレイアウトはどうするのかなども、社員の働きやすさをしっかりと考慮して決めていくことが大切です。

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※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。