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企業が把握すべきビジネスの「レジリエンス」とは?レジリエンスの高い社員の特徴や育成方法を解説

企業が把握すべきビジネスの「レジリエンス」とは?レジリエンスの高い社員の特徴や育成方法を解説

2021年12月01日掲載(2023年12月01日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

会社組織や社員の構成をイメージした写真

ビジネスにおけるレジリエンスとは、困難な状況に対する適応力やストレス耐性のことです。コロナ禍のテレワークにおいては、特に社員のレジリエンスが重要になっています。

この記事では、社内のレジリエンスを高めたいと考えている企業の経営者や担当者へ向けて、ビジネスにおけるレジリエンスの概要や具体的な強化方法を解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

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ビジネスにおける「レジリエンス」の定義

ビジネスにおける「レジリエンス」とは、どのようなものでしょうか。ここでは、レジリエンスの意味や由来について解説します。

レジリエンスの意味

レジリエンスとは英語の「resilience」のことであり、日本語で表すと「回復力」「復元力」「弾力」などとなります。ビジネスにおいてレジリエンスという場合、厳しい状況に対する適応力やストレス耐性などを表しています。レジリエンスが高い人材は、仕事で困難に直面してもめげずに立ち向かい、成功を目指して努力できるでしょう。

レジリエンスの詳細は以下で解説しています。
→こちらも併せて読みたい
「レジリエンスとは|ビジネスにおける意味や組織レジリエンスを高める方法について解説

レジリエンスの由来

レジリエンスは、もともと心理学の専門用語でした。ナチス・ドイツが行った大虐殺の「ホロコースト」によって生じた孤児を調査したところ、トラウマを乗り越えて回復する力が発見されました。そこからレジリエンスという言葉が誕生しています。

ビジネスにおけるレジリエンスの現状

現代では、組織が直面する可能性があるリスクは多様化しており、幅広い対応力が求められるようになっています。そのため、ビジネスにおいては、個人だけでなく組織としてのレジリエンスも高めなければなりません。組織のレジリエンスに関連する要素については後述するため、あわせて参考にしてください。

企業におけるレジリエンスの指針「ISO22320」とは

2011年、国際標準化機構(ISO)は、組織のレジリエンスの指針として国際規格の「ISO22320」を公表しました。企業の危機管理として必要な要素が示されています。具体的には、「指揮・統括」「活動情報」「協力及び連携」の3つの要素について定められました。簡易的なチェックリストが公開されているため、自社の危機対応力を簡単に可視化できます。

※参考:一般社団法人レジリエンス協会

組織レジリエンスとは

組織レジリエンスとは、ビジネスの環境の変化や危機に適応するための能力全般を表しています。組織レジリエンスを強化して経営に活かせば、自社の社員も守ることが可能です。欧米では、社員に対してレジリエンス研修を実施している企業も増えています。深刻な事態に立ち向かうためには、組織レジリエンスの強化が必要不可欠です。

組織レジリエンスを高めるためには

アメリカ心理学会(APA)は、レジリエンスを高める方法を10個あげ、「10 ways to build resilience(レジリエンスを高める10個の方法)」としてまとめています。組織全体でこれら10個の方法を実現することで、ビジネスのレジリエンスを高めることができます。

・Make connections コミュニケーションを作り上げる
・Avoid seeing crises as insurmountable problems 克服できない問題とは考えない
・Accept that change is a part of living 変化は起こりうることを受け入れる
・Move toward your goals 目標に向かって柔軟に動く
・Take decisive actions 決断する
・Look for opportunities for self-discovery 自己を理解する
・Nurture a positive view of yourself ポジティブな見方をする
・Keep things in perspective 視野を広げる
・Maintain a hopeful outlook 希望を持ち続ける
・Take care of yourself 自分を大事にする

また、英国規格協(BSI)は、組織が繁栄するために準備や適応するための能力を組織レジリエンスとしています。BSIの指標やベンチマークツールを活用すると、自社のレジリエンスの現状を把握可能です。

※参考:組織レジリエンス指標年次レポート2021

サイバーレジリエンスとは

サイバーレジリエンスとは、サイバー攻撃を受けた際の影響範囲を最小限に抑え、素早く復旧させる仕組みや能力、考え方を示しています。従来のサイバーセキュリティが情報漏洩や金銭の窃取、信用失墜などあらゆるリスクに備えたものであるのに対し、サイバーレジリエンスは「事業活動の停止による損害」に焦点を合わせており、事業を継続することを目的としているのが大きな特徴です。日々巧妙化するサイバー攻撃により、ビジネスに甚大な被害をもたらすケースが増えています。比例して、サイバーレジリエンスの強化にも注目が集まっています。

サイバーレジリエンスを実現するには

サイバーレジリエンスを実現するためには、サイバー攻撃の発生を想定した実践的な仕組みを作らなければなりません。第一歩として、組織の現状を可視化し、サイバーレジリエンスの観点から自社にとっての重要な資産を特定する必要があります。次に、対象となる重要資産にアクセスする経路において脆弱性がないかを確認し、対策を講じます。具体的には、特定した重要資産に対し悪意ある第三者の侵攻をさせないよう、アクセス権の制限・管理を行う、アクセスする端末や通信経路にセキュリティ対策を施す、ログ収集、異常検知/異常発生時のアラート機能を実装する、などが必要となります。また、実際にサイバー攻撃を受けた際のガイドラインの策定・周知も忘れないようにしましょう。

なお、サイバーレジリエンスを実現するうえでは、CSIRTやCISOなどの専門的な部署の設立や担当者の選任も必要となります。

ビジネスにおいてレジリエンスが注目されるようになった背景

ビジネスでレジリエンスに注目が集まるようになったのは、なぜでしょうか。ここでは、その背景について解説します。

労働環境の変化

世の中では、不当な労働条件や長時間労働などが課題になっています。これらを改善するには、企業による努力が必要です。しかし、ビジネスの状況によっては、やむを得ない理由により一時的に社員に負担がかかる場面もあります。そのような状況でも着実に業務をこなすためには、社員個人が高いレジリエンスを備えている必要があります。

仕事によるストレス

厚生労働省が公表した「令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事で「ストレスとなっていると感じる事柄がある」と感じている人は54.2%となっています。社員は仕事からさまざまなストレスを感じているようです。

社員が仕事に前向きに取り組み続けるには、自分を回復させるスキルが必要です。そのためには、社員個人のレジリエンスの強化が大きな意味をもちます。

※参考:令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省

コロナ禍による状況の変化

コロナ禍においては常に新型コロナウイルスへの感染リスクがあり、社会全体が不安を感じています。また、テレワークや外出自粛により、従来ほど自由には過ごせなくなりました。他人とのコミュニケーションの機会も少なくなっています。そのような不安やストレスに打ち勝つためには、自分自身をコントロールするスキルが必要です。

ビジネスにおいてレジリエンスを高めると得られるメリット

レジリエンスを高めれば、ビジネスにおいて大きなメリットがあります。ここでは、企業側のメリットと社員側のメリットをそれぞれ解説します。

企業側のメリット

社員のレジリエンスを強化することで、幅広い多様な考え方を受け入れられる柔軟な組織を形成できます。その結果、組織としてのダイバーシティ実現に近づくことが可能です。また、企業ブランディングや投資家に対するアピールとしてもレジリエンス強化は生きてきます。予測不能で変化の激しい現代社会において、企業の柔軟性、リスク対応能力を評価する指標としてレジリエンスを高めることは有効です。

社員側のメリット

社員自身がレジリエンスを身につければ、仕事でストレスを感じても悩みにくくなります。物事を前向きに捉えられるようになり、仕事上の人間関係も改善しやすくなるでしょう。また、状況を冷静に判断し、適切に自己評価ができるようになります。その結果、自信がつき、仕事にさらに積極的に取り組めるようになります。

ビジネスにおけるレジリエンスが高い社員の特徴

レジリエンスが高い社員には、どのような特徴があるのでしょうか。具体的に解説します。

常にポジティブに物事を考えている

レジリエンスが高い社員は、どのような状況でも物事を前向きに捉えられます。くよくよ悩まずに必要な行動をとれるため、困難な状況でもビジネスを成功させるために努力を重ねることが可能です。

自尊心が高い

レジリエンスの高さは、自尊心の高さにもつながります。自分なりの価値観や信念を明確にもっているため、どのような場面でも自分の基準に基づいて行動できます。

思考力に柔軟性がある

レジリエンスが高いと、自然に柔軟な思考力が身につきます。困難な状況ではネガティブな気持ちになりますが、レジリエンスが高い人は柔軟な考えにより解決策を導き出すことが可能です。

自分の感情を制御できる

レジリエンスが高ければ、どのような場面でも自分の気持ちをコントロールできます。感情的にならず落ち着いて考えたり行動したりできるため、その場に適した最良の結果をもたらせる可能性が高くなります。

チャレンジ精神が旺盛である

チャレンジ精神が旺盛なことも、レジリエンスが高い人の特徴です。レジリエンスが高いといつでも前向きな発想ができるため、難しい課題に対しても果敢に挑戦しようとします。挑戦を繰り返している人は、成長しやすいです。

レジリエンスの高い社員を育成する方法

社員のレジリエンスを強化すると、組織全体のレジリエンスも高まります。そのためには、まず高いレジリエンスが求められる役職の見極めも重要です。たとえば、経営幹部やプロジェクトリーダーなどの役職はストレスを感じやすいため、レジリエンスを強化する必要があります。将来の候補者についても同様です。

具体的には、それらの対象に向けて、社内研修によりメンタルコントロールや自己肯定感を高める方法を学ぶ機会を設けると効果的です。さらに個別指導を行う方法もあります。

ただし、ストレスの耐性や考え方は人によって異なるため、個人にあわせて取り組むべきです。

参考|レジリエンスと似た言葉と意味の違い

レジリエンスに似た言葉はいくつかあります。ここでは、レジリエンスとの違いについて解説します。

ストレス耐性

ストレス耐性とは、ストレスに耐えられる程度のことです。ストレス耐性はレジリエンスの一部であり、ストレス耐性が高まるとレジリエンスも強化できます。

メンタルヘルス

メンタルヘルスは、精神的なストレスや疲れを和らげるためにサポートすることです。メンタルヘルスは他者からの働きかけであるのに対し、レジリエンスは自分自身をコントロールして回復を促すことを表しています。

ハーディネス

ハーディネスは、ストレスを受けても傷つかないスキルを表しています。一方、レジリエンスは、ストレスを受けて傷ついた後、回復するスキルのことです。ハーディネスは傷を防ぐことを示しているのに対し、レジリエンスは傷を回復させることを示しています。

まとめ

予測不能かつ変化の激しいビジネス環境を乗り切るためには、今後レジリエンスの強化に注力することが肝要です。社員一人ひとりのレジリエンスを高めることで、組織としてのレジリエンス強化を実現します。また、企業の責任を果たし、事業を継続するためには、サイバーレジリエンスの強化にも務める必要があります。

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