コロナ禍でのオンライン授業対応が喫緊の課題だった春日部共栄中学高等学校。その中でも同校の伝統「素晴らしい未来を築いていく人材を育成すること」に則り、将来まで見据え、Chromebookを導入。キーボードがあるデバイスによってメリットが生まれた事例を紹介します。
春日部共栄中学高等学校
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- 「未来を築いていく
人材の育成」を念頭に、
ICT機器を選定 - 教育方針に則り、キーボード入力を重要視。Chromebookを導入。
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- 理系人材の育成を目指し
プログラミング授業を開始、
教員側もキャッチアップ - 外部講師によるプログラミング授業も実施。
教員自身も受講。
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- ルールは最低限にとどめ、
がんじがらめにしない - ICTの恩恵を最大化し「自主自律」の
精神を育むためにルールを最小限に。
- 導入サービス
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- Chromebook セルラーモデル

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吉場 慎二 教頭
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下田 教諭
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淡川 教諭
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春日部共栄中学高等学校
埼玉県春日部市
私立 中学校 382名 高等学校 1757名
(2025年4月1日時点)
1938年、東京都葛飾区に本田裁縫女学校として創立。その後、学校法人共栄学園に組織変更し、「至誠一貫」を建学の礎とし、独自の教育方針と特色ある取り組みを展開。1980年に埼玉県春日部市に春日部共栄高等学校を設立し、「自主自律・明朗勤勉・協調奉仕」の校訓に基づき、未来を切り開く力を持つ生徒の育成に力を入れている。
2025年4月24日 公開
★ 記載された情報は、掲載年月日時点のものです。
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家庭によって、通信環境がまちまちで、安定したオンライン授業ができない
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大学進学以降、社会に出てからも有益なものにしたい
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授業中もデバイスを利用し、ディスカッションをしてほしい
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理系人材の育成を目指したい
豊富な導入事例があります。
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「未来を築いていく人材の育成」を念頭に、
ICT機器を選定

春日部共栄中学高等学校では、2018年からセルラーモデルのChromebookの導入を開始し、2024年には中学生・高校生問わず全生徒に導入した。背景には、文部科学省が推進しているGIGAスクール構想とコロナ禍への対応があった。
セルラーモデルのChromebookにより、各家庭に左右されない通信環境を実現
吉場 慎二 教頭は「コロナ禍でオンライン授業の対応を進めるも、各家庭の通信環境はまちまちでした。通信環境の課題を解決し、全生徒に同じ環境で授業を受けてもらうためにセルラーモデルのChromebookを導入しました」と話す。セルラーモデルのChromebookを導入したことで、コロナ禍では全生徒に対して同一の通信環境でオンライン授業が可能になった。加えて、対面授業の再開以降も、1学年数百名におよぶ生徒が同時に資料をダウンロードしても、校内の通信をひっ迫しなくなり、授業が滞ることなどがなくなったという。
全生徒に対してオンライン授業を提供することが喫緊の課題ではあったものの、同校の伝統でもある「素晴らしい未来を築いていく人材を育成すること」に則り、導入するデバイスはChromebookを選択した。その理由は、将来まで見据えるとキーボードに慣れておく必要性があると考えたからだった。

吉場 慎二 教頭
入試のデジタル化、社会に出てからを見据えキーボード入力を選択
キーボード入力ができるデバイスを選定したことについて、吉場 教頭はこう話す。
吉場 教頭「オンライン授業への対応、中学・高校の学習だけを考えればタブレットでも可能でしょう。事実、生徒たちはスマートフォンの入力に慣れており、最初はタブレットの操作の方がスムーズです。しかし、2025年度以降、大学入学共通テストの一部や大学の入試形態のデジタル化が進むこと、さらには大学進学以降のレポートなどの作成、社会に出てからと、将来まで見据えると今からキーボード入力に慣れておくことは重要だと考えました」
Chromebook導入後の卒業生からは、大学入学以降、周りがキーボード入力に苦戦するなか、高校時代からキーボード入力に慣れていたことで得られるアドバンテージは大きかったとの声も上がっているそうだ。
同校はアクティブラーニングや探究活動、部活動や学校行事などが未来を切り開くことにつながると捉え、機会拡充に取り組んでいる。その一環で行われている校外探究活動について、吉場 教頭は「Chromebookを校外に持っていくことで、Wi-Fi環境を気にせずその場で調べ、まとめることができるようになり、探究活動から得られる学びも増えました」とセルラーモデルによるメリットを語った。探究活動以外では、文化祭などの行事でもChromebookは活用されている。「文化祭のオブジェの設計図を調べたり、デザインを作ったり、発表用のスライドを作成したり、生徒たちは積極的にChromebookを活用しています」と吉場 教頭は話す。また、「授業中に白紙のGoogleスライドに複数人がアクセスし、図形などを付箋のように活用し、ディスカッションや情報の整理を行うこともあります」と付け加えた。これにより、たとえインフルエンザなどで学級閉鎖になっても、生徒たちはオンライン上でディスカッションを行うことができているという。
見学させていただいた授業では、GoogleスライドというGoogleが提供するオンラインのプレゼンテーション作成ツールを活用して、生徒が発表を行い、これを聞く生徒たちは、その場で自分の気づきをGhromebookでメモをしていく姿がみられた。


授業中のディスカッションがしやすく、オンラインでも情報・意見の交換が可能
情報の授業を受け持つ、下田 勉 教務部長はキーボード入力の習熟について、生徒の自主性に任せていると話す。
下田 教諭「年度のはじめに、キーボード入力が練習できるサイトを生徒に紹介し、『やりたいだけやってごらん』と伝えています。中学からの一貫の生徒か、高校から入学の生徒かでスピードの差はあるものの、いずれはみんなブラインドタッチでキーボード入力するようになっていきます」
下田 教諭は、Chromebookの活用におけるメリットとして、授業中のディスカッションのしやすさを挙げた。キーボードがあるChromebookであれば、授業中にディスカッションが必要な場合も机を移動することなく、生徒が膝の上にデバイスを載せ、メモを取ったりしながらディスカッションが可能となる。
理系人材の育成を目指し
プログラミング授業を開始、
教員側もキャッチアップ

同校は、各専門分野の研究者や開発者として、リーダーシップを発揮できる理系人材の育成にも力を入れ、中学ではJavaScriptでは、ブロック崩しやランダムを利用したガチャなどのゲームを作成。高校ではPythonで実際にコードを書きながらプログラミンの仕組みや考え方を学び、毎回出されるさまざまな課題に対して、自分で考えプログラミングする授業を行っている。見学させていただいた高校2年生の授業では、二人に一台設置されたモニターで画面を共有しつつ授業を進行していた。
プログラミング授業により自主性が育ち、席替えプログラムを自作する生徒も
Chromebookを一人一台導入し、プログラミングの授業も開始したことで、生徒にはどのような変化があったのだろうか。担任を持つ、数学科の淡川 教諭は「担当している中学3年生の生徒の中には、ランダムで席替えができるプログラムを作った生徒もいました。生徒の自主性が伸び、プログラミングが好きな生徒は自分でいろいろな挑戦をするようになっています」とプログラミング授業の効果を教えてくれた。ほかにも情報検定に興味を持ち、参考書の相談も受けたことがあるという。一方で、これまで馴染みのなかったプログラミングに対して、教員側のキャッチアップも求められる。

淡川 教諭「中学校ではプログラミングは月に1回、外部の講師を招いて授業をしてもらっていますが、初学者が実際どこまでできるようになるのか肌感がなかったため、私自身が実際に授業を受け、プログラミングもやってみました。そういった教員側の対応もICT機器を使いこなしていくことにつながっていくと感じます」

淡川 教諭
ルールは最低限にとどめ、
がんじがらめにしない
ICT機器の導入で、論点に上がるのはセキュリティとルールの問題だ。同校では、Google 純正 Chromebook 用の MDM「Chrome Education Upgrade」(モバイルデバイス管理)を活用し、デバイスの管理やセキュリティ強化を行っている。
啓蒙しそれぞれがルールについて考えることが重要
ルールについて、下田 教諭は啓蒙の重要さを語る。
下田 教諭「MDMを使った利用制限や、教科担当教員が『Chromebookを出してください』と言うまで、Chromebookを机に出さないなどのルールは設けています。ただ、ICTの恩恵を最大限に受けるためには、ルールでがんじがらめにするのではなく、啓蒙し、それぞれがルールについて考えるのが重要です。校訓の『自主自律』を目指す上でも、生徒にも立ち止まって考えてほしいと思っています」
教員含め最適なルールを考えつつ、仕事の効率を上げる使い方の工夫も必要だという。下田教諭の場合は、以前に数学科を担当していたころ、生徒にノートを提出してもらっていた課題を、ノートの写真を撮ってデータで送付に変更したという。
下田 教諭「ノートを提出してもらう形だと、こちらが確認している間は生徒の手元にノートがなくなり、復習などができません。そのため、提出後はとにかく急いで返却する必要があり負担でした。写真を撮って送ってもらうようになってからはその負荷が減りましたし、生徒はノートが手元になくて困ることがなくなりました。ICTの活用は工夫次第だと思っています」

下田 教諭
また、教科の特性に合わせてChromebookを使うかどうかは選択するべきと続けた。下田 教諭自身、数学科を担当していたころは授業にChromebookを使用していなかったそうだ。
下田 教諭「数学の授業では、手を動かしてノートに書くことで学習していってほしいのでChromebookは使用しませんでした。教科によって端末の使い方は担当の教員に任せています。今後はどう使えばより授業の質が高まるのかをほかの先生含めて、話し合っていこうと思っています」
授業以外の業務効率化に向けた教員側のICT活用も進み始めている。アンケート機能を使用し保護者にアンケートを取ったり、共有フォルダを使い生徒の情報を共有したりしているそうだ。
予測困難な「VUCAの時代」と言われるなか、春日部共栄中学高等学校では、既存のやり方や固定概念にとらわれずに未来で活躍できる人材を育てていく。そのために、今後は生徒に合わせた課題の最適化やさらなるICT機器の活用にも取り組んでいくという。
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春日部共栄中学高等学校 吉場 慎二 教頭
柔軟性が決め手に
ICT機器の導入にあたっては、他社含めご相談をしました。その中で、契約の回線数など制約事項が多く、どうしても本校の運用ニーズには合いませんでした。そこを柔軟にご対応いただけた点がKDDI まとめてオフィス を選んだ理由です。導入後のサポートも手厚く対応してもらえているので非常に助かっています。
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KDDI まとめてオフィス 担当者から一言
授業で活用している様子を見学させていただきました。生徒の皆さんが端末を利用してプレゼンをする姿や、生徒さん同士で教えあう姿を拝見し、春日部共栄中学高等学校様のICT機器導入をご支援できていること大変うれしく思います。
特に2024年度から入試科目に「情報」が加わり、より一層、今後の授業に必要不可欠なツールとなるかと思います。先生や生徒さんの授業が滞りなく行われるよう、より良い教育への貢献とサポートを精一杯ご提供させていただきます。
豊富な導入事例があります。
まずは資料をお役立てください。
- セルラーモデルのChromebookにより、各家庭に左右されない通信環境を実現
- 入試のデジタル化、社会に出てからを見据えキーボード入力ができるデバイスを選択
- キーボードがあるChromebookで、どこでもディスカッションが可能に
- 「キーボード」を活用したプログラミング授業で理系人材を育成、生徒の自主性も向上
- 利用のルールを最低限にとどめることで、「自主自律」を目指す